会社を設立する際には、必ず作成しなければならない書類が「定款」です。定款は、会社の根本的なルールや方針を記した重要な文書であり、これがなければ会社設立が認められません。しかし、定款の存在やその重要性については、普段あまり馴染みがない方が多いでしょう。
この記事では、「定款とは何か」という基本的な内容から、実際にどのように作成すべきか、また記載すべき事項や注意点について、詳しく解説していきます。会社設立を考えている方や、定款の作成にお悩みの方に向けて、理解しやすくまとめました。
定款とは？
定款とは、会社設立時に必要な「会社のルールブック」です。会社を運営していくための基本的なルールや方針が記載されており、会社を「どう運営するか」を示す宣言書のような役割を果たします。例えば、会社の目的、商号（会社名）、本店所在地、事業の内容、発行する株式数などが記載され、これに基づいて会社が運営されます。
定款の役割
定款は、国家における憲法のようなものです。会社設立時に定めた定款に基づき、将来にわたって会社の活動が行われるため、会社運営において非常に重要な役割を持っています。会社の経営方針や事業の方向性が定款によって定められるため、事業内容が変わる場合や新しい事業を始める場合には、定款の変更が必要です。
定款の種類
定款は、紙で作成する「紙定款」と、電子的に作成する「電子定款」の2種類があります。電子定款は収入印紙が不要なため、コストを削減できるというメリットがあります。どちらの形式でも、会社設立時には定款を作成しなければなりません。
定款には何を書くの？
定款に記載する内容は、大きく分けて3つの種類に分類されます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1. 絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項であり、これが欠けていると定款自体が無効になります。以下が絶対的記載事項に該当します。
- 目的：会社が行う事業の内容を明確に記載します。例えば、飲食業であれば「飲食店の経営」と記載します。また、将来的に他の事業に進出する可能性を考慮して、広範囲な事業目的を設定することが推奨されます。
- 商号：会社の名称（商号）を定めます。商号は自由に決めることができますが、株式会社や合同会社などの形式が必ず含まれる必要があります。
- 本店所在地：会社の本店の所在地を記載します。市区町村までの記載で足りますが、詳細な住所を記載しても問題ありません。
- 設立に際して出資される財産の価額：会社を設立するために出資される資本金額を記載します。会社法では、資本金の最低額に制限はなく、1円でも会社設立が可能です。
- 発起人の氏名・住所：会社を設立する発起人の氏名と住所を記載します。発起人が複数いる場合は、全員の情報を記載する必要があります。
2. 相対的記載事項
相対的記載事項は、記載しておくことで法的効力が発生する事項です。これが記載されていない場合、その内容についての効力が発生しません。以下が相対的記載事項に該当します。
- 現物出資：設立時に現金ではなく、物や土地などで出資する場合、その内容を定款に記載する必要があります。
- 財産引受：会社設立に際して、特定の財産を会社が受け入れる場合に記載します。
- 役員の報酬：設立時の役員に対して報酬を支払う場合、その内容を記載します。
3. 任意的記載事項
任意的記載事項は、必ずしも定款に記載しなくても問題ありませんが、記載しておくことで会社運営がスムーズに進む事項です。例えば、事業年度や取締役の人数、株主総会の招集時期などがこれに該当します。
定款違反とそのリスク
定款は会社運営の基本ルールであるため、これに違反した場合、法的リスクが発生することがあります。例えば、定款に記載していない事業を勝手に行うと、株主や取締役との間でトラブルが生じる可能性があります。定款に違反した場合、事業活動の停止や株主からの訴訟など、会社経営に大きな影響を与えることがあります。
定款の変更手続き
事業拡大や方針変更に伴い、定款を変更することが必要になる場合があります。定款の変更には、原則として株主総会の特別決議が必要です。事業目的や商号、本店所在地、役員の変更など、大きな変更がある場合は、速やかに定款の修正を行うことが求められます。
定款に違反したらどうなるの？
定款は、会社設立時に一度作成するだけではなく、その後の会社運営においても重要な役割を果たします。会社のルールや事業の方向性を定めるため、慎重に作成し、必要に応じて適時修正を加えることが重要です。また、定款に記載する内容が不十分であったり、変更が行われていなかったりすると、後々のトラブルの原因になることもあるため、専門家のアドバイスを受けながら適切に作成・管理することが推奨されます。
【まとめ】定款はきっちり作成しよう
定款は、会社を設立し、運営する上で欠かせない重要な書類です。定款には会社の基本的な情報や運営のルールが記載され、これに基づいて会社が運営されます。会社の設立時に定款を作成する際には、記載事項を正確に理解し、適切な手続きを行うことが求められます。また、会社運営中にも定款を適時見直し、必要に応じて変更を行うことが大切です。
定款の作成に不安を感じる方や、詳細な手続きについて知りたい方は、専門家に相談することでスムーズに進めることができるでしょう。
会社設立時の定款作成についてお迷いの方は、経営サポートプラスアルファへご相談ください。
