これから起業したいと考えていても、具体的に何をすべきか理解できていない人は多いでしょう。
起業する方法にはいくつもの方法があるため、何から手をつけるべきか判断できなくても不思議ではありません。
このように起業にまつわる困りごとが出た際は、誰かに相談するのが一番です。
実は皆さんが起業するにあたって、相談に乗ってくれる団体などが存在します。
今回はこれから起業するにあたって知っておきたい、困ったときの相談先についてご説明します。
これから起業したい場合の相談先6つ
これから起業したいと考えている場合、相談先としては以下の6つを候補にすると良いでしょう。
- 商工会議所
- 中小企業基盤整備機構
- 東京開業ワンストップセンター
- 日本政策金融公庫
- よろず支援拠点
- 民間企業の相談窓口
それぞれについてどのような相談先であるのかご説明します。
起業の相談先1:商工会議所
日本各地の商工会議所には、起業から経営まで幅広くサポートしてくれる仕組みが用意されています。
起業にあたって何かしら相談したいと考えているならば、まずは商工会議所で解決できないか検討してみましょう。
基本的に商工会議所には企業をサポートするための窓口が設けられています。
商工会議所に登録していない状態でも利用できる窓口で、起業に関する相談ならば全般的に受け付けしてもらえます。
例えば資金調達について相談したり、事業計画の作成方法について意見をもらったりできます。
多くの人が相談に訪れるため、担当者の人も慣れておりスムーズに対応してもらえる点が特徴です。
また、起業にあたって利用できる助成金や補助金などの案内も受けられるようになっています。
起業にあたっては自己資金を用意することも重要ですが、公的機関の資源を活用することも重要です。
これらの制度については自力での情報収集に限界があると考えられるため、商工会議所で相談しておくと確実な情報が得られます。
なお、商工会議所では各種セミナーなどが実施されています。
このようなセミナーに参加して人脈を築いておけば、起業してからその人脈を活かせるかもしれません。
単純に問題を解決するだけではなく、起業してからのことも考えて商工会議所で相談すると良いでしょう。
起業の相談先2:中小企業基盤整備機構
あまり聞き慣れない組織ですが、中小企業を支援するために経済産業省の配下で設置されているものです。
中小企業の経営だけではなく、起業の段階からサポートしてくれる組織となっています。
商工会議所と比較すると拠点の数は少ないですが、国の機関ということもあり手厚くサポートしてくれる点が魅力的です。
中小企業を幅広くサポートしているため、起業や起業後の心配事に関する質問には全般的に回答してくれます。
質問に回答して行動を示してくれるだけではなく、進め方に問題がある場合は助言をしてもらうことも可能です。
また、起業にあたって資金不足の相談があるならば、機構の貸付制度を案内してもらったり出資の説明をしてもらったりすることも可能です。
また、中小企業基盤整備機構は拠点の数が少ないこともあり、対面以外での相談対応にも力を入れています。
具体的には対面の相談だけではなく、オンライン・電話・メールなどで起業に関する相談が可能です。
近年はオンライン対応してくれる公的機関が増えていますが、抽象的に基盤整備機構も例外ではなく対応してくれます。
起業の相談先3:東京開業ワンストップセンター
東京開業ワンストップセンターは国と東京都が共同で運営しているサービスで、東京都内に3ヶ所の拠点があります。
「開業ワンストップ」との名称が用いられているとおり、起業して業務を開始するまでの手続きを1ヶ所で済ませられます。
本来、起業にあたってはいくつかの公的機関に出向いて手続きをする必要がありますが、こちらを利用すればその手間は省けます。
手続きのために各省庁から相談員が派遣されていて、手続きだけではなく起業の相談も受付してもらえます。
起業にあたって、書類の作成方法や申請方法など基本的なことがわからなくとも、該当する相談員の人に相談すれば簡単に解決可能です。
中小企業診断士に無料で相談することも可能であり、具体的に詳細なアドバイスを受けたいときに利用できます。
また、東京開業ワンストップセンターの魅力として、英語対応できる担当者が常駐しています。
このような相談サービスは言語の壁で利用できない人も見受けられますが、東京開業ワンストップセンターはいつでも英語に対応可能です。
英語圏の人で起業の相談があるならば、英語で相談することでより正しい理解ができるでしょう。
起業の相談先4:日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、一般的な金融機関に代わり融資などを行う目的で設立された公的機関です。
学習政策や法律などに基づき、予算の範囲内で融資などを担当する政策金融機関です。
一般的に日本政策金融公庫は、低金利で融資を受けるために利用されます。
民間の金融機関と比較すると低金利に設定されていて、なおかつ最大3,000万円までとまとまった融資を受けられます。
低金利でまとまった融資を受けるために、日本政策金融公庫に相談するのです。
ただ、このように融資を受ける使い方が一般的ですが、創業の段階で「起業前相談」に対応してもらうことも可能です。
融資を受けるかどうかといった資金面の相談だけではなく、起業にまつわる相談事は全般的に受け付けしてくれます。
また、起業に関する相談をした結果として資金が不足するならば融資の相談もしてくれます。
なお、注目ポイントとして日本政策金融公庫は、事前予約しておくと土日や祝日も相談を受付してくれます。
公的機関は土日や祝日が休みになっていることが多いため、予約制で対応してもらえるのは大きなメリットです。
起業の相談先5:よろず支援拠点
よろず支援拠点は国が全国に設置する中小企業などをサポートする相談施設です。
「よろず」という名称が利用されているとおり、経営に関する幅広い相談事に対応してくれます。
起業してからの相談だけではなく、起業にあたっての相談にも乗ってくれるため安心です。
いくつもの分野の専門家が在籍しているため、基本的にはどのような相談事でも対応してもらえます。
小さな相談事から複雑な相談事まで対応してもらえるため、相談できるかどうか悩んだ際はまず連絡してみると良いでしょう。
多くの場合はよろず支援拠点で対応してもらえますが、必要に応じて別の専門家を紹介してもらえます。
また、理論的なアドバイスをするだけではなく、実現可能な提案をしてくれる点でも魅力的です。
例えば、これから起業を考える人の中には「制度があるのは理解しているが使うのが難しい」などと考えている人はいるでしょう。
そのような人に制度の紹介をするだけではなく、相談主の現状を踏まえて適切な制度や別の手段について提案してくれるのです。
起業の相談先6:民間企業の相談窓口
上記でご説明した相談先は公的機関の起業に関する相談窓口です。
これらは無料で利用できるものが多くあり、公的機関という安心感もあるため積極的に利用したいサービスではあります。
ただ、公的機関であることから利用者が多く、また平等に対応する必要があり、状況によっては親身に対応してもらえません。
決してサービスが悪いということはありませんが、どうしても個人・個社の細かい部分まで踏み入れられないケースが見受けられるのです。
そのような状況も鑑みると、民間企業が設けている起業の相談窓口に相談してみる選択肢も持つべきです。
例えば、会計事務所・税理士事務所・行政書士事務所・起業支援団体などが相談窓口を開設しています。
民間企業ならば最終的に顧客になる可能性があるため、公的機関よりも親身に対応してくれるのです。
相談窓口を設けている民間企業であれば、上記でご説明した公的機関と同じような相談が可能です。
むしろ、プロフェッショナルであり、実りのある相談ができるかもしれません。
相談は無料の企業もあるため、公的機関に限らず民間企業の相談窓口も視野に入れておきましょう。
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起業に関する専門的な事柄を相談したい場合の相談先2つ
起業や起業してからの経営にあたって専門的な相談事があるならば、以下のとおり専門家に相談することが重要です。
- 弁護士
- 税理士・会計士
続いては、それぞれどのような相談をすれば良いのかをご説明します。
起業の専門的な相談先1:弁護士
起業する際や起業してからは法律に関する相談事が多々発生します。
契約に関する相談事がその代表例で、他にはビジネスモデルに法律的な問題がないかどうかなどが挙げられます。
ビジネスモデルについては起業前に確認しておく内容であり、起業前から弁護士に相談する可能性は十分にあります。
契約関連の問題など法律に関連する部分はトラブルに発展するとこじれる可能性があります。
トラブルが長引いてしまうと長時間拘束されかねないため、事前に相談して疑問点などは解決しておくべきです。
また、起業してビジネスを始めると「法律を知らなかった」では済まされない状況になってしまいます。
場合によっては起業したにも関わらず廃業するようなことにもなりかねないため、不安な部分があれば事前に相談しておきましょう。
なお、起業するタイミングで必ず顧問弁護士が必要とは限りません。
顧問弁護士の契約はある程度事業が軌道に乗ってからでも良いでしょう。
ただ、起業前も起業してからも何かしらのトラブルが起きる可能性はあるため、どこの弁護士が相談を受け付けてくれるかなどは確認しておくべきです。
起業の専門的な相談先2:税理士・会計士
税金や会計の疑問があるならば税理士や会計士に相談すると良いでしょう。
特に税理士は起業に関する相談を受け付けていることが多いため、税理士への相談をおすすめします。
起業する前に相談することは少ないかもしれませんが、税金面など事前に知っておくべき知識はあります。
例えば売上や経費の見込みを踏まえて、どの程度の税金の支払いが必要となるのか知っておいた方が良いでしょう。
また、事業内容を踏まえて節税できる術があるならば、できるだけ早いタイミングから取り組むべきです。
確定申告が近づいてから税理士などに節税の相談をするケースは見受けられます。
ただ、節税は一長一短にできるものばかりではなく、相談が遅くなると手遅れになるかもしれません。
起業してすぐではなくても、できるだけ早い段階で相談をして、節税したり確定申告の準備をしたりするのが理想的です。
起業にあたって相談しておくべきこととは
起業にあたってどのような場所で相談をすれば良いのかはイメージを持ってもらえたでしょう。
ただ、具体的にどのような相談をすれば良いのかはイメージができていない人もいるはずです。
例えば、以下の観点から相談してみると良いでしょう。
- ビジネスモデル
- 資金調達の方法
- 個人か法人
人それぞれ相談すべき内容は異なりますが、どのような内容を相談すべきか考える参考にしてください。
ビジネスモデル
ビジネスモデルに問題があると起業しても失敗してしまう可能性が高くなります。
魅力的なビジネスモデルを思いつかなければ、競合他社に淘汰されてしまうのです。
思いつきだけで起業するのは危険であるため、ビジネスモデルは誰かに相談し魅力的であるか客観的な意見をもらいましょう。
このような相談が必要となる理由は、ビジネスモデルは多角的に評価するべきであるからです。
特に、初めて起業する人は理想的な事業計画を立てているケースは多々あり、リスクなどが考慮できていない可能性があります。
事業計画についても誰かに相談してみることで、リスクを踏まえた現実的な計画であるかどうかの判断ができるのです。
なお、ビジネスモデルについては専門家に相談するのもよいですが、起業の経験者に相談すると、より現実を踏まえたアドバイスを得られるでしょう。
事業計画についてはビジネスモデルが確立されていれば、それを踏まえて各所で相談でき意見を得られます。
資金調達の方法
起業するにあたって資金調達は非常に重要な部分です。資金が不足するとどんなにビジネスモデルが魅力的なものでも経営に失敗してしまう可能性があります。
事前に計画を立てておき、余裕のある資金を確保しておくべきです。
資金を確保するためには「自己資金」「出資」「融資」「補助金・助成金」などの選択肢が考えられます。
自己資金が潤沢にあるならば資金調達をする必要はありませんが、多くの場合は出資や融資をしてもらう必要があるでしょう。
これらの資金調達は他者が関係してくるため、どのような方法で手続きしたり依頼したりするのか学んでおかなければなりません。
資金調達の方法については、公的機関でも民間企業でもプロによる詳しい説明を受けられます。
商工会議所のようにお金を取り扱うような団体ではなくとも、申請方法などは丁寧に解説してもらえるため安心です。
個人か法人
起業する際は個人事業主か法人かを決定しなければなりません。
それぞれにメリットデメリットがあるため、どちらが良いとは一概に言えないのです。
素人が判断するのは難しい部分もあるため、専門家に相談してアドバイスをもらうようにするとよいでしょう。
例えば個人事業主と法人では、起業に必要な資金が異なってきます。
個人事業主は比較的少ない資金でも起業できますが、法人はある程度まとまったお金が必要となります。
起業にあたってのハードルが異なるため、法人を選択するべきかどうかは相談してみると良いでしょう。
また、個人と法人では社会的な信用力が異なっています。
一般的に個人よりも法人の方が社会的信用力が高いと考えられているため、起業する内容によっては法人の方が良いでしょう。
また、業種によってはそもそも法人でなければ起業できない場合もあります。
このあたりは不明点があるならば、できるだけ早く専門家に相談しておきましょう。
まとめ
皆さんが起業するにあたって知っておきたい相談先についてご説明しました。
起業する際は不明点が多いはずですが、その相談先については意外と知られていません。
今回ご紹介した相談先を中心に、疑問点を解決するようにしましょう。
意外かもしれませんが、起業にあたっての相談は無料で対応してくれる公的機関・民間企業が多くあります。
なお、公的機関の相談窓口はもちろん、民間企業でも起業に関する無料の相談窓口を設けています。
相談にお金が必要ではないかと心配するかもしれませんが、無料での相談は数多く存在するのです。
なお、起業の相談先に困っている場合は、経営サポートプラスアルファもご検討ください。
起業のプロが「起業するタイミングは今か」「法人を設立すべきか」「どのような手続きをすればよいか」などの皆さんが持ちやすい疑問点をそれぞれ解決し、必要に応じて手続きもサポートします。