【税理士が解説】合同会社の定款とは?記載事項・ひな形・作り方を解説

合同会社の定款とは、会社の目的や商号、本店所在地、社員(出資者)の権利義務など、会社運営の基本ルールを定めた文書です。株式会社の定款と異なり、合同会社の定款は公証人による認証が不要で、紙定款の場合にかかる収入印紙代4万円を除けば、認証にかかる費用は発生しません。ただし、絶対的記載事項に不備があると設立登記が受理されないため、記載すべき内容を正しく理解しておくことが重要です。

出典:法務省「合同会社の設立手続について」

合同会社は、2006年に日本の会社法の改正によって設立できるようになった法人形態で、特に少人数での運営や小規模ビジネスに適しています。合同会社を設立する際、最も重要な書類の一つが「定款」です。定款は会社の根本的なルールや運営方針を定めた文書であり、これを基に会社が運営されます。

この記事では、合同会社の定款について、その作成方法や記載するべき事項、そして電子定款について詳しく解説していきます。これから合同会社を設立しようとしている方に向けて、必要な情報を網羅しています。

合同会社の定款とは

合同会社の定款は、会社の基本的なルールを定める文書です。会社名(商号)、目的、本店所在地、出資者の情報などが記載され、会社設立後の経営において基盤となります。定款は、合同会社の運営や業務執行の仕組みを明確にするために必要不可欠なものです。

定款には、紙定款と電子定款の2種類があり、それぞれの提出方法に違いがあります。電子定款を使用する場合、印紙代が不要になるため、コスト削減が可能です。

合同会社の定款の役割

定款は、合同会社の設立における「憲法」のような存在です。会社の運営や取引において、あらゆるルールや決定事項が定款を基に行われます。特に、出資者(社員)同士のトラブル防止や、会社外部との取引における信頼性向上のためにも、定款を適切に作成することが重要です。

定款が正しく作成されていない場合、将来的にトラブルが発生する可能性があるため、専門家の協力を得ることが推奨されます。

合同会社の定款と株式会社の定款の違い

合同会社の定款と株式会社の定款には、いくつかの重要な違いがあります。

最も大きな違いは、定款認証の要否です。株式会社は公証役場で公証人の認証を受ける必要がありますが、合同会社の定款には認証手続きが不要です。認証手続きが不要な分、公証人手数料もかからず、設立費用を抑えられる点が合同会社のメリットです。

また、記載事項の性質も異なります。株式会社の定款には株式に関する事項や機関設計(取締役会・監査役の設置など)を記載しますが、合同会社の定款には社員(出資者)の氏名・住所や出資の目的・価額など、社員間のルールに関わる事項を中心に記載します。合同会社は「人的会社」としての性格が強く、定款によって社員間のルールを柔軟に定められる点が特徴です。

出典:法務省「合同会社の設立手続について」

合同会社の定款に記載する3つの事項

合同会社の定款に記載するべき内容は大きく3つに分けられます。これらの事項は、定款作成時に必ず確認しておく必要があります。

1. 絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、合同会社の定款に必ず記載しなければならない項目です。これが記載されていないと、定款自体が無効となり、会社の設立が認められません。具体的には、以下の項目が絶対的記載事項に該当します。

  • 商号(会社名):会社の名称を決定し、「合同会社」の表記を含める必要があります。
  • 事業目的:会社がどのような事業を行うかを具体的に記載します。将来的に行う可能性のある事業も記載しておくと便利です。
  • 本店所在地:会社の本店所在地を記載します。市区町村までの記載で足りる場合が多いです。
  • 社員の出資額と氏名:出資する社員(出資者)の氏名と住所、出資額を明記します。
  • 社員の責任:合同会社の社員は、全員が有限責任社員であることを明記します。有限責任とは、会社が負った債務に対して出資額以上の責任を負わないということです。
  • 出資の方法とその価値:出資が現金か、現物か、またその価値をどのように評価するかを記載します。

2. 相対的記載事項

相対的記載事項とは、定款に記載しなくても法的には有効ですが、定款に記載することでその効力が発生する事項です。相対的記載事項は、会社の運営方針や重要な決定事項を定める際に役立ちます。主な相対的記載事項は次の通りです。

  • 業務執行社員の指定:複数の社員がいる場合、誰が業務執行社員になるかを明確にします。業務執行社員は会社の経営を実際に行う社員です。
  • 代表社員の指定:合同会社では、全社員が代表権を持つことが基本ですが、特定の社員だけに代表権を持たせることも可能です。その場合、定款にその旨を記載します。
  • 利益の分配方法:合同会社では、利益の分配を出資比率に基づかず自由に決めることができます。定款に記載しておけば、後々のトラブル防止に役立ちます。

3. 任意的記載事項

任意的記載事項とは、定款に必ず記載しなくてもよいものの、記載しておくことで会社運営がスムーズになる事項です。合同会社は株式会社と比べて運営が自由であり、任意的記載事項を活用することで、会社の運営方針を柔軟に決めることができます。具体的には、以下の事項を任意的記載事項に含めることができます。

  • 社員の退社に関する規定:社員が退社した場合の出資金の払い戻し方法や退社手続きについて記載します。
  • 事業年度:会社の事業年度を定めます。通常は4月から3月までとすることが多いですが、会社の都合に合わせて自由に設定できます。

合同会社の定款の作り方

合同会社の定款を作成する際には、以下のステップを踏む必要があります。

1. 定款の形式を選ぶ

定款には、紙定款と電子定款の2種類があります。紙定款の場合、定款には収入印紙(4万円分)を貼る必要があるため、コストがかかります。電子定款では収入印紙が不要なため、コスト削減が可能ですが、電子署名を行うためのソフトウェアや機材が必要です。

定款のひな形(テンプレート)を活用する

定款を一から作成するのが難しい場合は、無料のひな形(テンプレート)を活用すると効率的です。会社設立支援サービスなどが公開しているひな形を使えば、記載項目の抜け漏れを防ぎやすくなります。

ただし、ひな形はあくまで一般的なひな形であり、そのまま使うと自社の実態に合わない場合があります。絶対的記載事項(目的・商号・本店所在地・社員の氏名及び住所・社員の全部を有限責任社員とする旨・社員の出資の目的及びその価額、いずれも会社法第576条で規定)が漏れていないか、業務執行社員や代表社員の定めなど自社に必要な相対的記載事項が反映されているかを、公開後に必ず見直してください。

2. 必要事項を記載する

前述の絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項を記載します。定款作成時には、将来的に変更する可能性がある事項をあらかじめ考慮しておくと良いでしょう。特に事業目的については、事業が成長しても支障のないように広く設定しておくことが推奨されます。

3. 公証役場で認証を受ける

株式会社の場合は定款を公証役場で認証する必要がありますが、合同会社の場合、定款認証の義務はありません。そのため、手続きがシンプルであり、設立までの期間を短縮することができます。

電子定款の利用方法

合同会社の定款は、電子データとして作成することも可能です。電子定款を使用すると、紙定款に必要な収入印紙代(4万円)が不要となり、コスト削減につながります。ただし、電子定款を作成するためには、以下の準備が必要です。

1. Adobe AcrobatなどのPDF編集ソフトの準備

電子定款はPDF形式で作成されます。PDF形式にするためには、Adobe AcrobatなどのPDF編集ソフトを用意する必要があります。

2. 電子署名とカードリーダーの準備

電子定款には、作成者の電子署名が必要です。そのため、電子署名を行うためのカードリーダーやICカードが必要となります。

3. 法務局への提出

電子定款が完成したら、法務局にオンラインで提出します。電子定款は紙定款よりも手続きがシンプルであり、申請の手間も少ないのが特徴です。

定款作成時の注意点

定款は一度作成すると簡単に変更することができません。定款の変更には、社員全員の合意が必要であり、変更には登記手続きも必要となるため、コストと手間がかかります。定款を作成する際は、将来的な事業の展開や社員構成の変化なども考慮し、慎重に内容を決定することが重要です。

また、頻繁に変更が予想される事項は、定款に記載するのではなく、社内規定などで対応することが推奨されます。

合同会社の定款を変更する方法

会社設立後に事業目的や本店所在地などを変更したい場合は、定款の変更が必要になります。

合同会社の定款変更は、原則として総社員の同意によって行います(定款に別段の定めがある場合を除く)。株式会社のような株主総会の特別決議は不要ですが、社員全員の合意形成が前提となる点に注意してください。

商号や本店所在地、事業目的など登記事項に変更がある場合は、定款の変更にあわせて法務局への変更登記も必要です。変更登記には登録免許税がかかるため、事前に司法書士や税理士に確認しておくと安心です。

合同会社の定款によくある質問

Q1. 合同会社の定款に公証人の認証は必要ですか。

不要です。合同会社の定款は公証人による認証を受ける必要がなく、この点が株式会社との大きな違いです。

出典:法務省「合同会社の設立手続について」

Q2. 定款に貼る収入印紙はいくらですか。

紙の定款(原本)には4万円の収入印紙が必要です。定款は印紙税法上の第6号文書に該当し課税対象ですが、電子定款であれば印紙税はかかりません。

出典:国税庁No.7141

Q3. 合同会社の絶対的記載事項とは何ですか。

目的、商号、本店の所在地、社員の氏名又は名称及び住所、社員の全部を有限責任社員とする旨、社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準の6項目です。1つでも欠けると定款は無効になります。

出典:会社法第576条

Q4. 合同会社設立の登録免許税はいくらですか。

資本金の額の1000分の7です。ただし、これで計算した額が6万円に満たない場合は一律6万円です。

出典:法務省「合同会社の設立手続について」

Q5. 合同会社の定款を変更するにはどうすればよいですか。

原則として総社員の同意によって変更します(定款に別段の定めがある場合を除く)。商号や本店所在地など登記事項に変更がある場合は、あわせて変更登記も必要です。

出典:会社法第637条

Q6. 電子定款にすると何が得ですか。

紙の定款で必要な4万円の収入印紙が不要になる点が最大のメリットです。ただし電子署名やICカードリーダーなど専用の環境を用意する必要があります。

出典:国税庁No.7141

まとめ

合同会社の定款は、会社の運営における基本的なルールを定める重要な文書です。絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項を正しく記載し、将来的なトラブルを防ぐために適切な定款を作成することが必要です。また、電子定款を活用することで、コスト削減や手続きの簡素化が可能です。

合同会社を設立する際は、定款の作成に注意を払い、専門家のアドバイスを受けながら手続きを進めることをお勧めします。

ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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