合同会社の定款の中身とは?
合同会社の定款に書く内容について説明していきます。
合同会社の定款に具体的にどのような内容を記載しているのかについて説明します。
さらに、合同会社の定款作成時の注意点や、合同会社の電子定款と紙の定款での申請について解説していきます。
合同会社の会社設立の場合にも、株式会社と同じように定款の作成が必要です。
しかし、株式会社のように株主構成や株式の譲渡制限などの記載が必要ないため、株式会社に比べて比較的簡単に定款を作成できます。
合同会社の定款に書く3種類の内容
合同会社の定款に書く内容は以下の3つがあります。
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
順に説明していきます。
絶対的記載事項
合同会社の定款に書く絶対的記載事項とは、定款に必ず書かなければ、いけない事項のことです。
定款に絶対記載しなきゃいけない絶対的記載事項は、以下の6つがあります。
- 会社名(商号)
- 合同会社の事業目的
- 本店所在地
- 出資する社員の氏名や法人の名称及び住所
- 全社員が間接有限責任者であることを示すこと
- 社員の出資する内容とその価額、評価基準
絶対的記載事項についてはどの分野での事業であっても、必ず書く必要があります。
相対的記載事項
合同会社の定款に書く相対的記載事項とは、必ず書かなければいけないことではありませんが、ルールとして定めたい場合に定款に記載するという内容です。
次にある任意的記載事項との違いは、相対的記載事項に該当する部分はルールと定めた場合には、定款に書く必要があるということです。
例えば代表社員を決めて、その定めを記載する場合には、この相対的記載事項にあたります。
複数いる社員の中から誰が代表者になるかについて記載するということです。
絶対的記載事項ではないため、必ず書かなければならない内容ではありません。
相対的記載事項の事項の例として以下のようなものがあります。
- 執行社員の定め
- 代表社員の定め
- 利益の配当に関する事柄
- 社員の退社に対する言葉等
一般に合同会社では、出資者と経営者が同一になってきます。
つまり社員全員が業務執行社員になり、業務の執行していることになります。
しかし社員によっては、出資はするけど、経営に関しては関わりたくない人もいるケースや能力が長けている人に任せたいという場合があります。
そのような場合に、定款に業務執行社員や代表社員を規定することで、経営に関してはその業務執行社員や代表社員に一任することになります。
社員の退社に関する定めについては、出資金額の払い戻しをどうするかについて規定していきます。
任意的記載事項
合同会社の定款に書く任意的記載事項とは、必ずしも定款に書く必要はないけどルールとして決めて記載してもよいという事項のことです。
合同会社のメリットと言える、会社の運営方針を社員の希望に沿うように自由に決められるということから、任意的記載事項を記載できます。
組織運営の在り方について、株式会社のように法律で厳密に決められているものではないので、合同会社の場合は、自由に決められます。
このことから株式会社は、大きな企業に向いていて、合同会社は小規模な事業者に選択しやすいという特徴がありますがシスコシステムズなど大きな会社でも合同会社の例があります。
合同会社の定款の構成
合同会社の定款の構成は、以下の通りです。
- 表紙
- 商号
- 目的
- 本店所在地
- 公告
- 社員及び出資
- 社員の責任
- 業務執行社員
- 代表社員
- 社員の加入
- 任意退社
- 決定退社及びその特則
- 計算
- 損益の分配と分配の割合
- 最初の事業年度
- 記名押印
定款の構成は、ほぼ決まっているので、見本を参考に作成していくといいでしょう。
それぞれ、順に説明していきます。
表紙
合同会社定款の一番初めは表紙を作成します。
表紙には会社名を記載しますが、合同会社の略であるLLCと表記できません。
そして定款の作成日を記入します。
会社設立日の日付については、登記申請の終了後に記載しますので、空欄で空けておきます。
商号
商号、つまり会社名を記載していきます。
会社名を決めるにはいくつかのルールがあります。
まず会社名の中に合同会社の文字がどこかに入っていなければいけません。
例えば〇〇合同会社、合同会社△△のように入れなければいけません。
使用できる文字には制限があり、日本語、ローマ字、アラビア数字、符号が使用できます。
そして同じ住所で同じ会社名は使用できないので、調べておく必要があるでしょう。
また同じ業種で活躍している企業がある場合には、その会社名と同じ名前をつけることは不正競争防止法に違反することから、避けておいた方が良いのです。
目的
事業目的は定款の絶対的記載事項として、記載が義務付けられている内容です。
事業目的は取引先や銀行が最初に定款の中で見る項目で、最も重要な内容の一つです。
事業目的はどのような事業をするかについて、記載していきますが、定款に記載した事業目的以外の事業をすることはできないので、将来行う可能性のある事業目的も書いておくとよいでしょう。
逆にあまりに事業目的を書きすぎてしまうと、取引先や金融機関から「この会社は何をしている会社なのか」と不審に思われてしまうので、書きすぎにも注意が必要です。
事業目的のお勧めの書き方としては、同業他社の定款を参考にして書いてくということです。
本店所在地
続いて会社の住所を記載していきます。
会社の住所によって管轄する法務局が決まってくるので確認します。
本店所在地の決め方としては、特にルールはありませんので自宅やマンション、賃貸事務所などどこでも記載が可能です。
しかし変更には、費用がかかるため、あまり変更のないところが良いでしょう。
住所の記載は神奈川県横浜市のように町までは書かずに最小行政区画内に止めておけば、事務所を移転した場合にも同じ管轄内であれば定款の変更は必要ありません。
公告
公告の方法について記載します。
公告の方法は、官報によるか電子公告によって行うかが一般的です。
電子公告を選んだ場合には、ホームページのURLが必要になるので準備しましょう。
社員及び出資
社員の氏名、出資額、住所について記載します。
合同会社の場合には、社員全員が出資し、業務をしていく必要があります。
つまり合同会社の場合には、社員全員が株式会社で、取締役に相当する業務執行社員となるのです。
出資額は、1円から可能です。
社員及び出資の記載は以下の通りです。
金50万円 神奈川県横浜市一丁目一番地1号 山田太郎
住所、氏名は、印鑑証明と同じものを記載する必要があります。
社員の責任
社員の責任について記載する必要があります。
合同会社の場合には、社員の全員が有限責任社員です。
有限責任社員とは、仮に会社の事業が失敗したとしても、借金した負債は会社の負債であり、経営者個人に対して返済の義務が発生しないということです。
反対に会社の負債は個人の資産で返さなければならないというのが無限責任です。
合同会社の場合には社員全員が、有限責任社員であることを記載していきます。
業務執行社員
業務執行社員について記載もできます。
業務執行社員とは、お金を出して業務する社員を限定的にしたい場合に記載します。
合同会社では原則として社員全員が業務をすることになっています。
しかし定款に業務執行社員を記載することで、お金を出して業務をする社員と、お金を出すだけの社員と区別できます。
業務の運営については、社員の過半数の一致により行われていきます。
株式会社の取締役と株主の関係とは違ってきます。
代表社員
合同会社の中で誰が代表権を持つのかを明記する代表社員について、記載もできます。
合同会社において基本的には、全ての業務執行社員が代表社員です。
しかし対外的に代表権をもつ者を明確にしたい場合には、代表社員として誰々と記載できます。
記載の仕方としては、「業務執行社員△△は会社を代表する」というように明確に記載しておきます。
社員の加入
合同会社において業務をする社員が、新たに加入した場合には定款の変更が必要です。
そして出資金を資本金として計上する場合には、社員の加入以外に資本金の額の変更も必要です。
任意退社
社員が退社する際の取り決めについて、記載できます。
社員の退社に関する予告期間も自由に設定できます。
決定退社及びその特則
合同会社の社員の退社に関する特則について記載できます。
社員が退社したり、不慮の事故などで死亡した場合には、原則相続はせず、持分の払戻しが受けられます。
社員が1名の場合、事故で死亡してしまうと会社がなくなってしまうため、ここにその特則について記載することがあります。
計算
計算書類の承認を受けることに関して、記載ができます。
合同会社の場合には、株式会社と違い計算書類の承認義務が発生しませんが、株式会社のように計算書類に社員の同意を得るという仕組みを作っておくと良いでしょう。
合同会社の場合に、株式会社のように株主総会はありませんが、全て社員の承認を得るという形を記載します。
例えばその社員の過半数の承認を得るなどの記載をしておきます。
損益の分配と分配の割合
損益の分配の割合に関する規定を記載していきます。
合同会社の場合には、株式会社と違い出資の割合で損益の分配をするのではなく、自由に分配できます。
損益の分配を自由に決めたい場合、「利益の分配に関する事項は総社員の同意に定める」程度に記載しておくのが良いでしょう。
損益の分配に関する記載がなければ、株式会社と同じように出資の割合によって分配されることになります。
最初の事業年度
最初の事業年度について記載します。
会社がいつ設立されて、初年度がいつからなのかということを記載しますが、必ず記載する必要のある項目では無いのです。
記名押印
定款の最後には各社員の記名と押印をして、完成です。
最後の空白部分に、修正に備えた社員全員の実印による捨印を押しておくと良いでしょう。
電子定款の場合には、その旨を書いておきます。
合同会社の定款作成時の注意点
合同会社の定款作成時の注意点としては、一度定款に書いた内容は、簡単に変えることができないということです。
定款に記載した事項の変更するためには、全ての社員の決議が必要になり、法務局で登録免許税を支払って、登記する必要があります。
そのため、定款に書く内容である会社のルールについてはよく吟味してから記載するようにしましょう。
頻繁に変わるような内容のルールに関しては、定款に記載するのではなく、社内で運営していく上でルールを設けるとよいのです。
合同会社の電子定款と紙の定款での申請
合同会社の定款を提出するには、CD-ROMなどの電子データに記録する方法と通常の紙で作成する方法が選べます。
紙の定款で申請する場合には、印紙代4万円を負担するため、現在、電子定款を利用することが多いのです。
しかし自分で電子定款を作成するには、Adobe Acrobatやカードリーダーをそろえる必要があるため、その部分のコストがかかります。
専門会社に定款の作成を依頼している場合には、ソフトなどの費用はかかりません。
まとめ
合同会社の定款に書く内容は、以下の3種類があります。
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
定款についての絶対的記載事項は、必ず記載し、必要に応じてその他の事項を書いていきます。
定款についてはフォーマットのような決まった書き方があるので、参照しながら作ってみると良いでしょう。
合同会社の定款の構成は以下の通りになっています。
- 表紙
- 商号
- 目的
- 本店所在地
- 公告
- 社員及び出資
- 社員の責任
- 業務執行社員
- 代表社員
- 社員の加入
- 任意退社
- 決定退社及びその特則
- 計算
- 損益の分配と分配の割合
- 最初の事業年度
- 記名押印
合同会社の定款作成時の注意点としては、定款を簡単には変えられないということです。
そのため、定款に書く内容については十分に吟味して作成するようにしましょう。
設立手数料0円の会社設立サポート
会社設立の際には、定款の作成以外にも、さまざまな申請する必要があり、専門家にお願いしたほうが安心です。
当社であれば、代行費用0円で、会社設立サポートできます。
無料で納得がいくまで何度も相談もできます。
会社設立までは、対面相談でもオンライン相談でもできます。
合同会社の設立の場合には6万円、株式会社設立の場合は202,000円で行えます。
司法書士を利用して会社設立した場合よりもちろん安いですし、ご自身で会社設立する場合よりも安く済みます。