【税理士が解説】資本金が少ない会社設立の4つのデメリットと資本金設定のポイント

資本金は、会社設立時に必要な出資金であり、会社の信用力や運転資金に直結する重要な要素です。日本では、資本金1円でも会社を設立できる制度が整っており、特にスタートアップ企業やマイクロ法人を設立する際には、低資本金での設立を選ぶケースが増えています。しかし、資本金を少なく設定することにはメリットもある一方で、いくつかのデメリットやリスクも存在します。

本記事では、資本金が少ない場合のデメリットや、適切な資本金を設定するためのポイントについて解説します。

資本金とは、会社設立時に株主(出資者)が出資した金額を指し、会社の経営資金として使われます。会社は、設立後に資本金を基にして事業を開始し、その運営資金として使用します。また、資本金は会社の信用力を示す指標でもあり、取引先や金融機関に対する信頼性を担保する要素にもなります。

資本金の役割

  1. 運転資金の提供:資本金は、会社設立時の初期費用や運転資金として使用されます。事業開始後の運営に必要な経費(設備投資、人件費、広告費など)をカバーするための資金として役立ちます。
  2. 信用力の源泉:取引先や銀行から見た場合、資本金が多い会社は、財務的に安定しているとみなされ、信用度が高まります。特に、初期段階での取引や融資を受ける際、資本金が会社の安定性を判断する基準の一つとなります。

資本金を少なく設定することには、スタートアップや小規模事業者にとっていくつかのメリットがあります。以下では、資本金が少ない場合の主な利点を紹介します。

1. 設立コストの削減

資本金を少なく設定する最大のメリットは、設立時のコストを抑えられる点です。資本金が1円でも会社を設立できるため、初期投資を最小限に抑えてスタートすることが可能です。特に、自己資金が少ない場合や、事業の見通しが不明確な段階では、低資本金でスタートすることでリスクを減らすことができます。

2. 資金繰りの柔軟性

資本金を少なく設定することで、事業運営に必要な資金を手元に残しておくことが可能です。設立時に大量の資金を資本金として拘束するのではなく、運転資金や事業拡大のために使える資金として活用することができ、資金繰りが柔軟になります。

3. 節税効果の享受

資本金1,000万円未満の会社は、設立後の2年間は消費税が免税となるため、資本金を少なく設定することで、この恩恵を受けることができます。消費税の免税期間を活用することで、初期段階の経費削減につながります。

一方で、資本金を少なく設定することには、いくつかのリスクやデメリットも存在します。特に、資本金の額は会社の信用力や資金調達に大きく影響するため、慎重に検討する必要があります。

1. 信用力の低下

資本金が少ない会社は、取引先や金融機関から見た際の信用度が低く見られる傾向があります。資本金が1円や数十万円の場合、会社の財務的な安定性が疑問視される可能性があり、取引先との契約や銀行からの融資が難しくなることがあります。特に大企業や銀行との取引を考えている場合、資本金の額が大きく影響することが多いため注意が必要です。

2. 融資が受けにくい

資本金が少ない場合、銀行からの融資が受けにくくなる可能性があります。銀行は、融資を行う際に会社の資本金を一つの指標として評価し、資本金が少ないと返済能力が低いとみなされることがあります。特に、創業当初の運転資金や設備投資を融資に頼る場合、資本金が少ないことで融資を受けられないリスクが高まります。

3. 税金への影響

資本金が少ない場合でも、一定の税負担は発生します。たとえば、法人住民税の均等割は、資本金の額に関わらず最低でも年間7万円が発生します。さらに、資本金が1,000万円未満であれば消費税の免税が適用されますが、逆にそれ以上の資本金を設定すると、消費税の支払いが発生し、税負担が増える可能性があります。

4. 資金繰りが困難になるリスク

資本金を少なく設定すると、運転資金や予備資金が不足し、資金繰りが厳しくなる可能性があります。特に、事業開始直後は売上が安定せず、支出が多くなる時期です。このような状況で十分な資本金がないと、資金不足に陥り、事業継続が困難になるリスクが高まります。

資本金を多く設定することには、信用力や財務安定性において大きなメリットがあります。特に、初期段階での資金調達や取引先との信用構築を考える場合、資本金を多く設定することで事業運営がスムーズになります。

1. 信用力の向上

資本金が多い会社は、取引先や金融機関からの信用度が高く評価されます。資本金が高ければ、財務的な安定性や事業の将来性が示されるため、大手企業や金融機関との取引がスムーズに進むことが期待されます。また、事業規模の拡大に伴って取引額が増加する場合、資本金の多さが契約の可否に影響することもあります。

2. 融資が受けやすい

資本金が多い場合、銀行からの融資が受けやすくなります。銀行は、資本金を会社の安定性や返済能力を判断する重要な指標として捉えているため、資本金が多いことで、より大きな融資を受けられる可能性が高まります。特に、事業拡大や新規投資を考えている場合、資本金を多く設定しておくことは有利です。

3. 運転資金に余裕を持たせる

資本金を多く設定することで、会社の運転資金に余裕を持たせることができます。初期段階での設備投資や広告宣伝費、人件費などの支出が多い時期でも、資本金が十分であれば安定した資金繰りが可能になります。また、予期せぬ事態に備えるための資金も確保できるため、経営リスクを軽減する効果も期待できます。

4. 株主への信頼性向上

資本金が多いことは、出資者や株主に対しても信頼性を示す指標となります。資本金が少ないと、株主や出資者からの信頼を得にくく、追加の資金調達が困難になる可能性があります。反対に、資本金を十分に確保している場合は、出資者からの期待も高まり、株主からの信頼を得やすくなります。

一方で、資本金を多く設定することにはいくつかのデメリットも存在します。特に、初期段階での大きな資金拘束が生じるため、慎重に判断する必要があります。

1. 設立時の負担が大きい

資本金を多く設定すると、設立時に大きな資金が拘束されることになります。資本金は会社設立後の運転資金として使えるものの、一度資本金として設定した金額は、自由に引き出すことができません。したがって、初期段階で大きな資金が必要となる場合には、過度に資本金を設定することで運転資金が不足するリスクがあります。

2. 消費税負担の発生

資本金を1,000万円以上に設定すると、設立後2年目から消費税の支払い義務が発生します。消費税の負担は、事業開始初期の売上が不安定な時期には大きな負担となるため、資本金を多く設定する場合には消費税の支払い時期を慎重に考慮する必要があります。

資本金を設定する際には、会社の事業規模や将来的な成長見込み、取引先との関係性を考慮することが重要です。以下に、資本金を設定する際のポイントをまとめます。

1. 事業計画に基づいた資本金設定

資本金の額は、会社の事業計画や初期の運転資金に基づいて設定するべきです。事業開始後に必要な資金を考慮し、無理のない範囲で資本金を設定することが大切です。

2. 信用力を重視した資本金設定

取引先や金融機関からの信用を得るためには、一定の資本金が必要です。特に、大企業や金融機関との取引を考えている場合、最低でも数百万円から1,000万円程度の資本金を設定することで、信用度を高めることができます。

3. 税務や社会保険の影響を考慮する

資本金の額は、税務や社会保険の負担にも影響を与えるため、これらの要素も考慮に入れる必要があります。特に、資本金1,000万円未満であれば消費税の免税が適用されるため、税負担を軽減する目的で資本金を調整することも一つの選択肢です。

資本金を多く設定することには、信用力や資金調達の面で大きなメリットがありますが、同時に設立時の負担や税務面でのリスクも伴います。一方で、資本金が少ない場合は、設立時のコストが抑えられる一方で、信用力の低下や資金繰りの問題が生じる可能性があります。事業の規模や将来の計画に応じて、適切な資本金を設定することが成功の鍵となります。

最終的には、会社のビジネスモデルや経営方針に応じて、最も適切な資本金の額を見極めることが重要です。
ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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