会社設立の際に決めなければならない事の一つとして、決算月があります。
決算月とは会社の事業年度の区切りの最後の月の事を言い、決算月の中でも最終日のことを決算日といいます。
決算月はいつでも良いのですが、その会社の最も適した月を選ぶことができます。
この記事は決算月の決め方や決算月を決める時のポイントなどについて、説明していきます。
決算月のおすすめの決め方
決算月の決め方7選を紹介しています。
またさらには、決算月が3月や12月が多い理由や決算月・事業年度は後から変更できることについても説明していきます。
決算月とは?
決算月とは会社の一事業年度、最後の月の事を言います。
会社の事業年度が1月1日からその年の12月31日に決めた場合には、決算月が12月、決算日が12月31日となります。
この決算月、決算日は自分の会社の都合によって自由に決定することができます。
決算月と言えば普通は3月と決まっているように考えてる方もいらっしゃるかもしれませんが、比較的小さい規模の株式会社の場合には、3月決算にこだわる必要はありません。
決算月の決め方7選
会社設立する時に、決算月をいつにするかは悩ましいことです。
決算月をいつにするかは、その会社の業種、繁忙期の時期や節税に関してなど様々な決め方があります。
7つの決算月の決め方について紹介してきますので、あなたの会社に合う決算月を選んでみてください。
繁忙期を避け、売上の落ち着いている月にする
決算月の一つ目の決め方は、繁忙期を避け、売上の落ち着いてる月を決算月にするということです。
第1に繁忙期には本業が忙しく、書類の整理や棚卸などの決算業務する余裕がないということがあります。
繁忙期を避け余裕のある時期に決算月にすることで、会社が安定的に運営できます。
2番目に繁忙期に決算月に決めてしまうと売上の予想がなかなかできないということがあります。
繁忙期は売上の変動が激しいため、売上の予測がなかなか難しくなってしまいます。
すると「予想よりも売り上げが上がったので決算月に最終利益多くなってしまい、納税額は予想よりも増えてしまう」とか、逆に「予想よりも繁忙期の売上が落ち込んでしまったため赤字で決算日を迎えてしまった」などということも起こりかねません。
こういった2つの理由から、その会社の繁忙期を避け売上の落ち着いている月に決算月にすると良いでしょう。
繁忙期に合わせ社内の追い込みムードを作る
2つ目の決算月の決め方としては、繁忙期に決算月を重ね業績向上を全社で目指すという決め方です。
この決算月の決め方は、一つ目とは全く反対の考え方になります。
繁忙期の売上が1年のうちに多くの会社の売上を占める場合においては、あえて決算月は繁忙期に合わせ全社で売上を伸ばしていこうという気運を高めていきます。
会社全体の目標売上を達成しようというムードを作るのには良い決め方かもしれません。
消費税の免除期間が長くなる月にする
3つ目の決算月の決め方としては、消費税の免除期間が最も長くなるように決算月を設定するという考え方です。
資本金1000万未満の株式会社の場合には、設立第1期目と第2期目の消費税納税の義務の免除を受けることができます。
この第一期目を一番長くなるように、設立年月日から遠い月を決算月にするのが良いということになります。
例えば令和元年3月1日に設立された株式会社の場合は、以下のようになります。
- 決算月を3月にした場合には、第1期は令和元年3月1日から3月31日(1か月)になります。
- 一方で決算月を2月にした場合には、第1期は令和元年3月1日から令和2年2月29日(12か月)になります。
つまり決算月を2月にした場合には、消費税納税義務の免除期間・第1期を12ヶ月にまで伸ばせるのです。
資金繰りを考え、キャッシュが必要な月は避ける
4つ目の決算月の決め方は、資金繰りを考えキャッシュが必要な月は避けるということです。
通常決算日から2か月以内に、法人税、住民税、事業税及び消費税を納付する必要があります。
そのような税金は利益額にもよりますが、通常大きな資金の支出が必要となってきます。
そのため夏季ボーナス月や、源泉所得納税上半期分の納付の月など別に支出が必要な時期を避けて、決算月を設定すると良いでしょう。
つまり会社の資金繰りを考えて決算月を設定するのです。
最も売り上げの上がる月を期首にする
5つめの決算月の決め方は、最も売り上げの上がる月を期首にするという考え方です。
繁忙期を避けるという考え方に似ていますが、売上の最も上る月というのは利益の予想がしづらくなります。
そのような予想しづらい月を期首にすることで、年間を通して経営計画の見直しや売上の予測を可能にしていきます。
決算月に思ったよりも利益が出てしまったり、決算月の売上が予想よりも売上が上がらなかったので赤字になってしまったということがないように、売上の多い月を期首にするのがひとつの決め方になります。
税務署や専門家の忙しい時を避ける
6つ目の決算月の決め方としては、税務署や専門家が忙しい時を避けるということです。
通常個人事業主の確定申告は3月15日までと決められているので、毎年2月か3月は税務署が忙しくなります。
それにに合わせて税理士や会計事務所も12月から3月にかけて忙しくなるのです。
会社の決算期をそれらの忙しい時期を避けることで、専門家に余裕をもって対応してもらうことができます。
在庫の少ない時を決算月にする
7つ目の決算月の決め方は、在庫の少ない月を決算月とする考え方です。商品などの在庫を持つ会社の場合には、年度末に棚卸する必要が出てきます。
棚卸しとは、在庫にある数を全て数え、在庫金額を確定する手続きになります。
つまり在庫の少ない月を決算月にすることで、棚卸の作業を最小限に抑えることができます。
決算月をなんとなく3月にするのはやめる
決算月は何となく3月にするのは避けた方が良いでしょう。
決算月が一般的には3月という理由で、自社の決算月も3月にしてしまうと公認会計士や税理士の最も忙しい時期とぶつかってしまいます。
公認会計士などは、決算チェックや会計監査、法人税の申告などの作業があり、繁忙期にそれらの仕事は多く抱えていることになります。
会計士や税理士の忙しくない時期に決算期を設定することで、ゆとりをもって対応してもらうことができます。
また個人事業主の確定申告の関係から、決算月を1月にするのもお勧めできません。同じように税理士が最も忙しい時期は2月か3月になるため避けた方が良いでしょう。
会社が決算月に決算セールする理由
会社の決算整理する理由は以下のようになります。
- 販促を目的とする
- 納税のためのキャッシュを増やす
- 会計上の売上原価を増やし、法人税の税額自体を下げる
順に説明していきます。
販促としてはマーケティングの一手法として、小売店などが行う手法になります。
2つ目に、決算月の2ヶ月後には納税期間があるため、多くのキャッシュが必要となってきます。
納税するためにキャッシュを少しでも蓄えておくため決算セールが行われます。
3つ目は、会計上の売上原価を増やすことで法人税の税額を下げることができます。
これは決算月の在庫が少なければ少ないほど、売上原価が大きくなるため、計算上利益が少なくなり、納税額は下げられるのです。
会社の決算月に3月と12月が多い理由
会社の決算月が3月は12月が多い理由は以下のようになります。
上場企業などの有力企業で3月決算の企業が多いのは、日本の官公庁が3月末を年度末としていることや学校も3月に卒業するため、4月から人事面で区切りをしやすいなどの理由があります。
12月決算については欧米諸国は12月決算が一般的なため、グローバルな事業展開をしていく場合には12月決済をしています。
国税庁の報告では3月決算の企業は全体の20%程度で最多ではありますが、その次に多いのが6月、9月と分散されています。
決算月 | 法人数 |
---|---|
2月 | 176,981 |
3月 | 543,709(1位) |
4月 | 195,243 |
5月 | 216,449 |
6月 | 252,265(3位) |
7月 | 202,806 |
8月 | 238,234 |
9月 | 290,587(2位) |
10月 | 114,052 |
11月 | 70,919 |
12月 | 245,664(4位) |
1月 | 94,398 |
合計 | 2,641,307 |
令和2年分のデータになります。
引用:国税庁ホームページより
決算月・事業年度は、後から変更できる
決算月は後から変更できます。
そして決算月は登記事項ではないため、変更登記手続が要らなくなり、会社名や住所の変更などより簡単にできます。
決算月を変更する際に、注意しておかなければいけないのは決算月の変更を前倒しで行う必要があるということです。決算を先送りするような変更はできません。
決算月を変更することにより、決算が早まったり、決算の事務の負担が増すことがあるので注意しておきましょう。
決算月変更は節税になることも
決算月の変更は節税につながることもあります。
あらかじめある月の売上がとても多くなることが分かっている場合には、その月よりも前の月に決算月を設定し直すことで節税につながります。
例えば決算日が6月30日だった場合に、年のはじめの時点に5月の売上が大きく上がることが分かっていたとします。
この場合には決算月を4月にしてしまうことで、5月の売り上げを決算の中に入れないことができるため税金を抑えることができます。
5月に売上がある部分に関しては、それ以降の一年で節税対することができるのです。
決算月変更の手続き
決算月(決算日)の変更の方法は以下の通りです。
1.株主総会を開催する
株主総会を開催し、決算日変更について決議します。
小規模の会社の場合には、株主総会を開かない場合がありますが、そういった場合は株主総会議事録を作成しておきます。
2.定款を変更
株主総会で決議した内容に基づいて、定款を変更します。
決算日については登記事項ではないので、法務局での手続きが不要になります。
3.届出をする
税務署及び都道府県税事務所、市区町村に異動届出書を提出します。
以上で決算日の変更ができます。
決算月変更は、頻繁にするものではない
決算月変更をむやみに行うことは、やめたほうがいいでしょう。
確かに決算月の変更は、比較的容易であるため、節税目的で頻繁に行うことがあるかもしれません。
しかしそれなりの時間や労力がかかることですし、長期的に見れば節税効果も少なくなっています。
決算月を固定しておけば、会社の流れというものもできてきます。
決算月の変更はやむを得ない場合に行うもので、何度も行うことではないと考えておいた方が良いでしょう。
設立手数料0円の会社設立サポート
会社設立の際に、決算月についていつにしたらいいのか分からなくなったらば相談してみるのも良いでしょう。
初めて会社設立する方は、以下のような悩みがあるかもしれません。
- 個人事業と法人の違いやメリットデメリット分からない
- 少しでも早く会社を設立したい
- 会社設立費用を安く、会社設立後の費用も安く抑えたい
- 賢く節税したい
そんな方には、代行費用0円で、安くて早い会社設立の方法があります。
合同会社の設立の場合には6万円、株式会社設立の場合は202,000円で行えます。
司法書士を利用して会社設立した場合よりもちろん安いのですし、ご自身で会社設立する場合よりも安く済みます。