会社を設立したい場合、自分自身の独学で書類を揃え、どの会社(株式会社or合同会社)を立ち上げるのか、資本金はどのくらいにするのかを決めて、設立登記をするケースがあります。
一方、事前に専門家に相談して、その道のプロの指示を仰ぎ、設立する会社の詳細を詰める方法もあります。
そもそも、会社を設立せずに、個人事業主として開業届を出してやっていくという方法もあり、早計な判断は却って以降の経営の幅を狭めてしまうことにもつながりかねません。
適切な規模で、適切な会社を設立するためには、専門家に相談すべきなのでしょうか?今回は会社設立と専門家、専門機関への相談について解説していきます。
会社設立するか、個人事業主でやるかも相談したい
会社設立を考えている際、本当に会社(株式会社や合同会社)を登記し立ち上げて事業を行うべきなのか、個人事業主としてまずはやっていくべきなのか、そのことも含めて相談したい場合、どの専門家、専門機関に相談すべきなのでしょうか?
会社設立手続きのテクニカルな内容だけでなく、今後の経営戦略も見据えて相談したいのか、もう会社を立ち上げることは決めていて、その手続きや資本金規模などに絞って説明したいのかで相談機関が分かれます。
前者、会社にするのか個人事業主にするのか、あるいはそもそもその事業を創業することに勝算はあるのかなど、開業、創業全般について相談したい場合、創業するかどうか自体決まっていない場合などは、会社設立代行をしている総合的なコンサルティング会社や商工会議所の「創業塾」、自治体の創業窓口などに相談すべきです。
そうではなく、会社の設立は確定していて、その内容について詰めたい場合は以下で紹介する相談先に聞き、専門家によるテクニカルな中身を詰めるようにしてください。
事業計画が正しいのか、無謀な選択ではないのかなど、根本的な創業の目的や見通しについて、会社設立の相談先よりも先に創業、開業の相談先にあたっていただくことをおすすめします。
というわけで、下記ではすでに会社設立について意思が固まっている人向けに、どのような相談先でどのような内容を相談できるのか説明していきます。
会社設立の相談先には種類がある
会社設立の相談先は1か所ではありません。様々な専門家がいて、それぞれ相談できる内容や、手伝ってもらえる内容が異なります。それぞれ誰に相談すべきなのか、よく考えてください。
会社設立の相談先:弁護士、司法書士
法律の専門家です。
弁護士や司法書士に相談できることは、会社設立手続き代行についてです。
法律に基づき会社を設立しますので、その手続きに瑕疵がないかチェックできるのは彼らだけであり、定款の認証や法人登記の代行も含めて行うことができます。
しかし、彼らは法律のプロではあるものの、経済や経営のプロではありません。
事業計画書をチェックしてほしいと言われてもそれは管轄外になりますし、事業の今後についてコンサルティングすることもできません。
法に則って適切な手続きを行うために相談が可能で、かつ設立代行まで考えている場合、弁護士か司法書士に相談することになります。
会社設立の相談先:行政書士
行政書士も法律を扱う資格ですが、できることは行政へ提出する書類の作成や、許認可業の届出、申請などになります。会社設立にあたっては、定款の作成や相談を依頼することができます。
しかし、法務局での会社設立登記などは弁護士か司法書士しか認められていないため、行政書士に依頼することができません。
定款の中身について行政書士に相談することはできますが、作成した定款を添えて法人設立登記代行ができるのは、司法書士か弁護士になります。行政書士は登記代行はできません。
会社設立の相談先:税理士
会社設立について税理士に相談できることはあまりありません。
登録免許税の書類作成くらいで、むしろ税理士には会社設立後、長い間相談をしていくことになります。
日々の会計、経理から、決算、税務申告等は税理士に相談し、代わりにやってもらうことになります。
あらゆる専門家の中でも、会社経営に密接にかかわっているのが税理士です。
可能ならば、会社設立の際にある程度面識を持っておくと後が楽です。
ただし、会社設立に税理士はあまり直接的に関われないのが現実です。
相談せずに会社設立すると「損する会社設立」に?
会社は個人事業主と比べて、社会的信用があり、経費として認められる範囲も広く、メリットばかりというイメージがありますが、実際にはそうではないケースもあります。
所得税(個人事業主の場合)、法人税(法人の場合)はずっと法人の方が低いわけではなく、ある段階で個人と法人の税率が逆転します。
自分1人でこじんまりとやっている事業ならば、個人事業主のままの方が得することもあります。
また、法人の場合、社会保険料の支払い義務などもあり、法人設立のために定款認証料や登録免許税なども10万円~20万円単位で発生します。
事業が軌道に乗るまでは個人事業主で進めるのも1つの戦略ですので、近視眼的に法人化=正しいというわけではないことがあります。
そうしたことは、専門家に相談して初めてわかるものもあり、自分だけで判断しない方がいいでしょう。
会社設立の相談先を選ぶポイント
会社設立について相談する際、相談先をどの専門家にするのか、選ぶ際のチェックポイントについて押さえておきましょう。
会社設立のどこまで代行してくれるのか?
会社設立代行までできる専門家は弁護士と司法書士のみです。
実際に、設立登記の代行まで求めるのか、そこは自分で行い、定款などの作成だけお願いするのかで相談先は変わってきます。
また、会社設立については基本的に自分で行い、それ以降の税務などの代行を求めているのか(その場合税理士に相談します)、代行の範囲と必要性について事前によく自分の中で考えてください。
登記の代行を求めないのに司法書士に相談しても、定款のチェックくらいしかしてくれない可能性もあります。
ご自身のニーズと提供されるサービスを一致させてください。
代行費用はいくらか?
専門家に相談や手続き代行を依頼する場合、どのくらいの費用、報酬を支払うのか確認して下さい。
一般的に1件当たり5万円~15万円が相場ですが、弁護士に相談する場合はもっと報酬が跳ね上がり、数十万円になることもあります。
費用に見合ったサービスが提供されないのであれば、コスパが悪く、自分で設立手続きをおこなった方がいいかもしれません。
あまり高額すぎる(20万円超)のはやめておいいた方がいいでしょう。
電子定款に対応しているか?
会社設立にあたり定款に貼付する印紙代4万円について、紙の定款ではなく電子定款の場合、その印紙代が不要、つまり無料になります。
しかし、自分で電子定款を作成し提出しようとすると、専用ソフトやツールの購入が必要になり、また時間がかかるので、4万円払って紙の定款を提出した方がいいケースもあります。
電子定款の作成、提出も代行してくれる専門家であれば、4万円の費用を浮かすことができ、多少手数料を取られてもお得です。
- 自分で電子定款をするとソフト等&手間で4万円以上のコストになる
- 設立代行で電子定款対応の場合、電子定款の手数料を引いても4万円おつりがくる
こういう条件であれば積極的に電子定款対応の会社設立代行に依頼する価値はあります。
会社設立後に顧問契約の有無
会社設立後も顧問契約を結ぶことを条件に設立代行を行うケースがあります。
会社設立を希望している人にその前から「青田買い」するのはよくないと一概に言えない可能性があります。
設立にかかわっているということは、その会社の業務や理念などに詳しいわけで、新しく別の専門家に顧問を依頼するよりも手間がかかりません。
特にほとんどの会社は税理士を顧問につけています。最初から税理士と顧問契約を結べるのであればむしろコスパがいいとも言えます。
会社設立の無料相談を何度でもできるか?
会社設立にあたっての相談を無料で何度も受けてくれるところが親切な相談先です。
最初の1回のみ無料、以降有料相談では、本当に会社設立に尽力してくれるかどうかも怪しいです。
相談料ではなく、会社設立を果たしたことへの「成果報酬」を請求する方が、責任ある対応と言えるでしょう。
会社設立後のことも相談できるか?
会社設立した後のことは勝手にやってください、という相談先では、今後の経営について大いに不安が残ります。
むしろ、会社設立後の方がはるかに大切で、事業を軌道に乗せ安定的な収益をあげられるように積極的にアドバイスしてくれる専門家に頼りたいものです。
特に税務関連は、会社としての納税義務にもかかわるため迂闊な対応は絶対にできません。
積極的に税務や申告について相談できる環境があると、会社経営がとても楽になります。
平日夜・土日でも24時間会社設立の相談ができる
会社を設立しようとしている場合、開業準備で時間がなく、また本業とは別に副業として開業したい人もいるため、平日日中以外に相談時間をとってくれるところがあるとありがたいです。
夜間、深夜でもオンライン相談ができると、開業までのコストが大きく削減されます。
せっかく非対面モデルができつつある現在ですので、それを積極的に活用できる相談機関や専門家がいるとありがたいです。
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