「マイクロ法人」という言葉を耳にする機会が増えています。これは、個人事業主やフリーランスの方が節税効果や社会的信用度を高めるために法人を設立し、1人または少人数で事業を運営する形態を指します。
本記事では、マイクロ法人の作り方やそのメリット・デメリット、設立の具体的な手順について詳しく解説します。
マイクロ法人とは?
マイクロ法人とは、発起人1人、役員1人で設立される法人であり、一般的には「一人会社」と呼ばれることもあります。この形態は、個人事業主やフリーランスが税務上の優遇措置や社会的信用を得るために法人格を取得し、法人として事業を行うものです。
マイクロ法人の特徴は、事業の規模が小さくても法人化することで得られる以下のようなメリットにあります。
- 社会的信用度の向上:法人として取引することで、取引先や金融機関からの信用度が向上します。
- 税務上の優遇措置:法人税の一律課税や役員報酬を経費として計上できるため、節税効果が期待できます。
マイクロ法人の作り方
マイクロ法人の設立手順は、通常の会社設立手続きとほとんど同じです。以下に、具体的な手順を説明します。
1. 発起人と本店所在地の決定
まず、会社を設立する発起人を決定します。マイクロ法人の場合、発起人は通常1名で、その人物が会社の代表取締役になります。また、会社の本店所在地も決めておく必要があります。多くの場合、自宅を本店所在地として登記するケースが見られます。
2. 機関設計と役員の決定
マイクロ法人では、発起人自身が代表取締役や社長となり、その他の役員を設置しないことが一般的です。このため、組織の運営はシンプルであり、決定も迅速に行うことが可能です。
3. 商号と目的の決定
会社の名前(商号)と事業の目的を決定します。商号は、他の企業と重複しないかどうかを事前に確認することが重要です。事業の目的については、法人設立時に登記されるため、正確に記載する必要があります。
4. 印鑑の作成
法人設立には、代表取締役の印鑑(実印)や法人の印鑑(社印)が必要です。これらの印鑑は登記申請や契約書に使用されるため、事前に作成しておきます。
5. 定款の作成と認証
次に、会社の基本的なルールを定める「定款」を作成します。定款には、会社の目的や商号、本店所在地、発起人の名前、資本金額などを記載します。株式会社の場合、定款は公証役場で認証を受ける必要がありますが、合同会社の場合は認証が不要です。
6. 資本金の払い込み
定款が完成したら、発起人の個人口座に資本金を振り込みます。マイクロ法人の場合、資本金は1円からでも設立可能ですが、対外的な信用を得るためにある程度の資本金を設定することが推奨されます。
7. 設立登記
最後に、法務局で設立登記を行います。必要書類(定款、資本金の払い込み証明書、印鑑証明書など)を揃えて、法務局に提出します。登記が完了すると、マイクロ法人は正式に設立され、法人として活動を開始することができます。
マイクロ法人と個人事業主の作り方の違い
実質的な中身は同じでも、マイクロ法人と個人事業主、フリーランスでは、設立方法、作り方のステップが大きく違います。
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マイクロ法人 |
個人事業主、フリーランス |
違いステップ1 |
商号(社名)や事業目的、資本金、社員(役員)等を決める |
開業届を税務署に提出する(これで完了) |
違いステップ2 |
定款を作成する |
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違いステップ3 |
定款を公証役場で認証する(合同会社は不要) |
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違いステップ4 |
社印を作成する |
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違いステップ5 |
資本金を振り込む |
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違いステップ6 |
法務局へ行き会社設立登記をする |
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違いステップ7 |
設立登記後社会保険や年金の手続きをする(ようやくここで完了) |
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マイクロ法人と個人事業主の費用面の比較
実質1人で事業を行うので、マイクロ法人と個人事業主、フリーランスの実態は似ていても、費用面は大きく異なります。
会社設立の費用 |
マイクロ法人(株式会社) |
マイクロ法人(合同会社) |
個人事業主/フリーランス |
定款印紙代の違い |
紙の定款:4万円 |
紙の定款:4万円 |
なし |
定款認証代の違い |
5万円 |
0円(認証手続きそのものが認証不要) |
なし |
謄本代の違い |
2,000円 |
なし |
なし |
登録免許税の違い |
最低15万円 |
最低6万円 |
なし |
資本金の違い |
最低1円 |
最低1円 |
なし |
社印作成費用の違い |
約2万円 |
約2万円 |
なし |
合計 |
最低20万2千円+資本金+社印代 |
最低6万円+資本金+社印代 |
0円! |
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このようにマイクロ法人設立はメリットも大きい分、デメリットや費用面の負荷もあります。
ひょっとするとマイクロ法人設立をせずに、個人事業主やフリーランスのままの方がいいかもしれません。
マイクロ法人の作り方は複雑でそれに見合った恩恵はありますか?
ご自身のライフスタイルや今後の事業展開等も考え、マイクロ法人にするか否か?よく考えてください。
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