【税理士が解説】合同会社の定款とは?記載すべき事項や作り方も解説!

合同会社は、2006年に日本の会社法の改正によって設立できるようになった法人形態で、特に少人数での運営や小規模ビジネスに適しています。合同会社を設立する際、最も重要な書類の一つが「定款」です。定款は会社の根本的なルールや運営方針を定めた文書であり、これを基に会社が運営されます。

この記事では、合同会社の定款について、その作成方法や記載するべき事項、そして電子定款について詳しく解説していきます。これから合同会社を設立しようとしている方に向けて、必要な情報を網羅しています。

合同会社の定款とは

合同会社の定款は、会社の基本的なルールを定める文書です。会社名(商号)、目的、本店所在地、出資者の情報などが記載され、会社設立後の経営において基盤となります。定款は、合同会社の運営や業務執行の仕組みを明確にするために必要不可欠なものです。

定款には、紙定款電子定款の2種類があり、それぞれの提出方法に違いがあります。電子定款を使用する場合、印紙代が不要になるため、コスト削減が可能です。

合同会社の定款の役割

定款は、合同会社の設立における「憲法」のような存在です。会社の運営や取引において、あらゆるルールや決定事項が定款を基に行われます。特に、出資者(社員)同士のトラブル防止や、会社外部との取引における信頼性向上のためにも、定款を適切に作成することが重要です。

定款が正しく作成されていない場合、将来的にトラブルが発生する可能性があるため、専門家の協力を得ることが推奨されます。

合同会社の定款に記載する3つの事項

合同会社の定款に記載するべき内容は大きく3つに分けられます。これらの事項は、定款作成時に必ず確認しておく必要があります。

1. 絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、合同会社の定款に必ず記載しなければならない項目です。これが記載されていないと、定款自体が無効となり、会社の設立が認められません。具体的には、以下の項目が絶対的記載事項に該当します。

  • 商号(会社名):会社の名称を決定し、「合同会社」の表記を含める必要があります。
  • 事業目的:会社がどのような事業を行うかを具体的に記載します。将来的に行う可能性のある事業も記載しておくと便利です。
  • 本店所在地:会社の本店所在地を記載します。市区町村までの記載で足りる場合が多いです。
  • 社員の出資額と氏名:出資する社員(出資者)の氏名と住所、出資額を明記します。
  • 社員の責任:合同会社の社員は、全員が有限責任社員であることを明記します。有限責任とは、会社が負った債務に対して出資額以上の責任を負わないということです。
  • 出資の方法とその価値:出資が現金か、現物か、またその価値をどのように評価するかを記載します。

2. 相対的記載事項

相対的記載事項とは、定款に記載しなくても法的には有効ですが、定款に記載することでその効力が発生する事項です。相対的記載事項は、会社の運営方針や重要な決定事項を定める際に役立ちます。主な相対的記載事項は次の通りです。

  • 業務執行社員の指定:複数の社員がいる場合、誰が業務執行社員になるかを明確にします。業務執行社員は会社の経営を実際に行う社員です。
  • 代表社員の指定:合同会社では、全社員が代表権を持つことが基本ですが、特定の社員だけに代表権を持たせることも可能です。その場合、定款にその旨を記載します。
  • 利益の分配方法:合同会社では、利益の分配を出資比率に基づかず自由に決めることができます。定款に記載しておけば、後々のトラブル防止に役立ちます。

3. 任意的記載事項

任意的記載事項とは、定款に必ず記載しなくてもよいものの、記載しておくことで会社運営がスムーズになる事項です。合同会社は株式会社と比べて運営が自由であり、任意的記載事項を活用することで、会社の運営方針を柔軟に決めることができます。具体的には、以下の事項を任意的記載事項に含めることができます。

  • 社員の退社に関する規定:社員が退社した場合の出資金の払い戻し方法や退社手続きについて記載します。
  • 事業年度:会社の事業年度を定めます。通常は4月から3月までとすることが多いですが、会社の都合に合わせて自由に設定できます。

合同会社の定款の作り方

合同会社の定款を作成する際には、以下のステップを踏む必要があります。

1. 定款の形式を選ぶ

定款には、紙定款と電子定款の2種類があります。紙定款の場合、定款には収入印紙(4万円分)を貼る必要があるため、コストがかかります。電子定款では収入印紙が不要なため、コスト削減が可能ですが、電子署名を行うためのソフトウェアや機材が必要です。

2. 必要事項を記載する

前述の絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項を記載します。定款作成時には、将来的に変更する可能性がある事項をあらかじめ考慮しておくと良いでしょう。特に事業目的については、事業が成長しても支障のないように広く設定しておくことが推奨されます。

3. 公証役場で認証を受ける

株式会社の場合は定款を公証役場で認証する必要がありますが、合同会社の場合、定款認証の義務はありません。そのため、手続きがシンプルであり、設立までの期間を短縮することができます。

電子定款の利用方法

合同会社の定款は、電子データとして作成することも可能です。電子定款を使用すると、紙定款に必要な収入印紙代(4万円)が不要となり、コスト削減につながります。ただし、電子定款を作成するためには、以下の準備が必要です。

1. Adobe AcrobatなどのPDF編集ソフトの準備

電子定款はPDF形式で作成されます。PDF形式にするためには、Adobe AcrobatなどのPDF編集ソフトを用意する必要があります。

2. 電子署名とカードリーダーの準備

電子定款には、作成者の電子署名が必要です。そのため、電子署名を行うためのカードリーダーやICカードが必要となります。

3. 法務局への提出

電子定款が完成したら、法務局にオンラインで提出します。電子定款は紙定款よりも手続きがシンプルであり、申請の手間も少ないのが特徴です。

定款作成時の注意点

定款は一度作成すると簡単に変更することができません。定款の変更には、社員全員の合意が必要であり、変更には登記手続きも必要となるため、コストと手間がかかります。定款を作成する際は、将来的な事業の展開や社員構成の変化なども考慮し、慎重に内容を決定することが重要です。

また、頻繁に変更が予想される事項は、定款に記載するのではなく、社内規定などで対応することが推奨されます。

まとめ

合同会社の定款は、会社の運営における基本的なルールを定める重要な文書です。絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項を正しく記載し、将来的なトラブルを防ぐために適切な定款を作成することが必要です。また、電子定款を活用することで、コスト削減や手続きの簡素化が可能です。

合同会社を設立する際は、定款の作成に注意を払い、専門家のアドバイスを受けながら手続きを進めることをお勧めします。

ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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