法人化(法人成り)のベストタイミングを、徹底解説します。
はじめにそもそも法人化(法人成り)とは、何なのかについて解説します。
その後、法人化(法人成り)のベストタイミングについて見ていきます。
所得や消費税から見た、法人化のベストタイミングについて説明していきます。
さらに法人化(法人成り)の注意点についても見ていきましょう。
そして、法人化(法人成り)の方法は、どのようになっているのでしょうか。
最後に、法人化(法人成り)のタイミングにお悩みの方に、専門家を紹介します。
そもそも法人化(法人成り)とは
法人化(法人成り)のベストタイミングについて説明する前に、そもそも法人化(法人成り)とは何でしょうか。
法人成りとは、個人事業主が株式会社や合同会社の法人を設立することを指します。
法人成りすることで、社会的な信頼の獲得、資金調達しやすいなど多くのメリットがあります。
そもそも個人事業主と法人化した場合の違いについて、しっかりと把握しておく必要があるでしょう。
法人と個人事業主の一番の違いは、設立の手続きと費用の大きさです。
法人化(法人成り)する場合には、株式会社の場合約20万円以上、合同会社の場合に6万円以上、設立までに2週間以上かかります。
一方で個人事業主の場合には、開業廃業届を提出するだけなので1日でできますし、初期費用もかかりません。
このような違いから、法人はコストを負担している点から社会的に信頼性が得やすいです。
そのため法人化した場合には、取引先の獲得や、採用が受け入れられる、事業展開・拡大していけるなどの点で有利です。
次に、個人事業主が法人化(法人成り)するベストタイミングについて見ていきましょう。
法人化(法人成り)のベストタイミング
法人化(法人成り)のベストタイミングは以下のような時です。
- 社会保険に加入したいタイミング
- 社会的な信用を得たいタイミング
- 所得から法人化(法人成り)のタイミング
- 消費税から法人化(法人成り)のタイミング
以上のような法人化のベストタイミングがありますが、後半の二つは後から詳しく説明していきます。
法人化のタイミング1つ目は、社会保険への加入をしたいタイミングです。
個人事業主の場合には国民年金しかありません。そのため個人事業主も従業員も将来年金をもらえる額がとても少なくなります。
個人事業主の場合は、常時雇用する従業員の数が5人未満の場合、社会保険の加入は任意となっております。
個人事業主や従業員が厚生年金も受け取りたいと考えた時が、法人化するベストタイミングと言えるかもしれません。
実際に厚生年金を含めた社会保険料の負担をしても、経営が成り立つと判断できた場合には、法人化するベストタイミングとなるでしょう。
法人化するタイミング2つ目は、対外的な信用と取引を獲得したいというタイミングです。
法人化(法人成り)すると対外的な信用を得られます。対外的な信用を得られると、取引を増やせるのです。
例えば対消費者のインターネットにおけるビジネスにおいては、消費者の信頼を得るために、最初から株式会社を設立する場合があります。
その他には、法人成りのタイミングとしては、公共事業への仕事へ参入するという時があります。
例えば一人の大工さんが、個人事業を初めて従業員を増やし、事業を拡大してきた時に、建設業の許可を取得していた場合、公共事業の受け入れが可能です。
その場合に法人でないと仕事が受けられない案件もあるため、法人化(法人成り)するベストタイミングとなるでしょう。
その他の法人化するベストタイミングについては、この後詳しく説明していきます。
所得から法人化(法人成り)のベストタイミングを考える
所得から法人化(法人成り)へのベストタイミングを考えてみましょう。
法人成りするタイミングの一つと言えば、所得(利益)に対する額が、ある一定額を超えたタイミングです。
個人事業の場合には、利益に対する税負担が変わってくるからです。
個人事業の場合には所得金額に応じて、5%から45%の所得税がかかる累進課税となっております。
そのため所得が多くなれば多くなるほど、納めるべき税金は増えてきます。
一方で法人所得の場合には法人税や事業税などが課税されます。
法人税については所得800万円の場合までは15%、大法人と中小法人の所得が800万円を超える場合については、23%程度と決まっています。
その他の税負担を含めた場合、法人所得に対する実効税率は30%弱と言われています。
法人の場合には、このようにどれだけ利益が増えたとしても、所得が増えたとしても、税率は変わりません。
つまりある一定額以上の所得が増えた場合には、法人成りしたほうが節税できるため、法人化のベストタイミングと言えるでしょう。
一般的には個人事業をして、所得が800万円から900万円ぐらいになったら、そのタイミングで法人化を検討すると良いでしょう。
個人事業主の所得税は以下のようになっています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
国税庁ホームページより引用
このように個人事業主の所得が一定額を超えると、法人化するタイミングとなっているでしょう。
消費税から法人化(法人成り)のベストタイミングを考える
消費税の観点から法人化(法人成り)のタイミングを考えましょう。
消費税に関しては、売上高に応じて納税義務になるかどうかが決まってきます。
個人事業主の場合、2年前の消費税課税売上高が1,000万円を超える場合には、法人化するベストタイミングと言えるでしょう。
消費税はご存知の方も多いと思いますが、売上高に対して10%か8%の税率がかかります。
所得ではなく売上高に対してかかるため、かなり大きな影響があります。
2年前の売上高が1,000万円を超える場合や、またその他にも、2年前の課税売上高が1,000万円以下であったとしても、前年の前半6ヶ月の課税売上高が1,000万円を超える場合には、消費税の課税事業者となります。
このように課税事業者となった場合に、法人化(法人成り)すると一旦売上がリセットされるため、2年前の売上高というのがゼロになり、免税事業者となります。
そのため売上高が1,000万円を超えた場合には、法人化(法人成り)するベストタイミングと言えるでしょう。
法人成りした翌年もまだ2年前の売上高は、無いため、消費税の免税事業者となります。
つまり新規に法人化した場合には、2年間消費税の納税が免除される可能性が高いのです。
ただし法人化した際に、資本金を1,000万以上で設立した場合には、設立事業年度から消費税の課税事業者となるので注意しましょう。
以上4つの法人化(法人成り)するベストタイミングについて説明してきました。
どれか一つでも当てはまるなら、法人化(法人成り)するタイミングかもしれません。
法人化(法人成り)の注意点
法人化(法人成り)の注意点としては、個人事業主の売り上げや所得が継続的に得られるかどうか検討するべきということです。
法人成りするメリットやタイミングというのは、ある一定額の所得を超えた時や、1,000万円以上の売り上げを超えた場合でした。
しかしある所得を下回った場合には、個人事業主であった場合のほうが節税できるということに注意しておく必要があります。
事業の売り上げが、一定しておりその額が800万円を超えている場合には、法人成りするタイミングと言えます。
しかし、売上が一定せず下回る年がある場合には、法人化するタイミングではないかもしれません。
個人事業であれば廃業はとても簡単ですが、株式会社の場合、法人を解散させるのはとても大変です。
司法書士などの専門家の助けが必要となってくるでしょう。
そして法人化するということは、好調でも不調でも法人住民税を払わないといけないということがあり、さらに社会保険にも加入しなければならなくなります。
節税だけに注目しすぎてしまうと、法人化する際に、本当に事業に必要なことを得られるかどうか分からなくなってしまいます。
法人化(法人成り)のタイミングを考える時はしっかりと売上が継続的に得られるかどうかを見通した上で判断すると良いでしょう。
法人化(法人成り)の方法は?
法人化(法人成り)するタイミングだと思ったら、法人化する手続きを進めてみましょう。
法人化する手順は、次のようになります。
- 法人の基本的事項を決める
- 定款を作成する
- 定款の認証を受ける
- 資本金の払い込みをする
- 法務局で設立登記をする
法人化するタイミングになったら、以上のような手続きをしていきます。
はじめに、事業の目的や、会社名、本店所在地、役員などの法人の基本的事項を決めていきます。
次に定款を作成します。最初に規定した基本的な事項をまとめた文章が、定款です。
定款については、決まった様式はありませんが、必ず記載しなければならない絶対的記載事項と、記載しなければ有効とはならない相対的記載事項、記載しなくても良い任意的記載事項がからなります。
絶対的記載事項は以下の事項です。
- 事業の目的
- 商号(会社名)
- 本店所在地
- 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額(資本金)
- 発起人の氏名又は名称及び住所
- 発行可能株式総数
法人化(法人成り)のタイミングが決まったらば、定款作成に着手しましょう。
法人化する会社形態が株式会社の場合には、次に定款の認証を受けます。
株式会社の場合には作成した定款を法務局で登記する前に、公証人役場で定款を認証してもらう必要があります。
作成した定款が公式の文章であることを認証してもらうためです。
公証人の認証を受けるには文章にした定款を認証してもらう方法の他、パソコンで作成した電子定款を公証役場にオンラインで送信して、認証を受ける方法があります。
電子定款で申請し認証してもらった場合には、収入印紙代4万円が不要です。
また法人化する形態が合同会社の場合には、定款認証は必要ありませんので、このステップは飛ばして大丈夫です。
つまり法人化(法人成り)するタイミングになった時に、株式会社にするか、合同会社にするか検討する必要があるでしょう。
法人化のタイミングで、どのような目的で法人化するのかによって会社形態を決めていきます。
株式の発行により資金調達したいのであれば、株式会社が向いています。
一方で利益配分を自由に決めたい場合には、合同会社が向いています。
法人化のタイミングでどちらの会社形態も詳しく調べると良いでしょう。
定款認証が完了した後は、資本金を発起人の代表者個人の口座に振り込みます。
法人化(法人成り)を決めたタイミングでは、まだ法人の口座がないため、個人の口座に振り込みます。
あらかじめ決めた資本金の金額を正確に振り込んでおきます。
法人化のタイミングで、合同会社を設立することに決めた場合など、複数の出資者がいる場合には、代表者一人の個人口座にまとめます。
そして最後に法務局で設立登記します。法人化を決めたタイミングで、選んだ会社形態で設立登記します。
法人化を決めたタイミングの会社形態は、株式会社の場合には登録免許税が15万円以上かかります。
会社形態が合同会社の場合には、登録免許税が6万円以上かかります。
登録免許税の納付以外にも、登記申請書を作成し、定款や印鑑証明書などの添付書類とともに法務局の窓口に申請します。
法務局への登記が終われば、法人化の完成です。
その後は税務署、都道府県税事務所への届出、年金事務所への届出、労働基準監督署・ハローワークへの届出などを実施します。
社会保険の加入のため年金事務所に届け出をしていきます。
社会保険は、健康保険、介護保険、厚生年金保険の3つに入る必要があります。
従業員がいない個人事業主法人成りしたタイミングでも、役員報酬として給料を受け取る場合には、社会保険に加入する必要があります。
続いて、会社設立時に従業員を一人でも雇う場合には、労働保険の加入手続きが必要です。
そして最後に、個人事業主の廃業届を提出します。
以上で法人化の決めたタイミングから、実際に法人化までの流れとなります。
法人化(法人成り)のタイミングにお悩みであれば
法人成りのタイミングだと判断するものの、以下のようなことでお困りではありませんか?
- 個人事業主と法人化どちらがいいか分からない
- 法人成りした場合のシミュレーションが知りたい
- 新店舗を出すために、法人化したい
- 個人事業主の場合には、自分で確定申告できたが、法人化して会計処理を自分でできる自信が無い
- 法人化により節税したい
- 消費税納税者になり何か対策があれば知りたい
- 法人になり融資を得たい
- 法人化するとどれだけ取引に有利か知りたい
個人事業主の法人化のタイミングになっているかどうかの判断をしていきましょう。
法人化と個人事業主の比較は、以下の通りです。
法人化 |
個人事業主 |
|
開業費用 |
登録免許税・公証人役場の費用などがかかる |
一切かからない |
代表者の報酬 |
1年間固定(役員報酬) |
自由 |
節税 |
一定額を超えると節税になる |
利益が増えると税金が高くなる |
社会的信用 |
社会的信用が高く取引しやすい |
社会的信用が低く仕事の面で不利になる場合がある |
決算月 |
自由に決められる |
12月 |
資金調達 |
比較的しやすい |
資金調達しづらい |
社会保険加入 |
義務あり |
加入義務なし(従業員が5人未満ならOK) |
事業内容 |
登記した事業目的の場合のみ |
制限なし |
以上のような個人事業主と法人化の違いがあります。
現在の年収や売上などとともに、法人化のタイミングがどうか判断していきましょう。
法人化(法人成り)のタイミングかどうかが分からなければ、専門家に相談することもできます。
当社であれば法人化のタイミングかどうかについて、無料でいくらでも相談できます。
法人化(法人成り)の専門家「経営サポートプラスアルファ」
法人成りのタイミングについて説明してきました。
個人事業主から法人化のタイミングだと判断し、法人化しようと考えたとき、法人化する際には、多くの必要書類を準備し、さまざまな申請する必要があり、専門家にお願いしたほうが安心です。
法人化のタイミングかも専門家に聞いたほうが納得できるでしょう。
当社であれば、代行費用0円で、合同会社や株式会社設立サポートできます。
無料で納得がいくまで何度も相談もできます。
会社設立までは、対面相談でもオンライン相談でもできます。
設立費用は、合同会社の設立の場合には6万円、株式会社設立の場合は20万2,000円から行えます。
司法書士を利用して、会社設立した場合よりもちろん安いですし、ご自分で会社設立する場合よりも安く済みます。
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