投資をサポートするサービスを提供する投資顧問会社を設立するためには、さまざまな準備が必要です。
届出が必要であり、法人設立や集客なども気を付けなければいけません。
そこで、投資顧問会社を設立する際のポイントや注意点などについて解説しましょう。
投資顧問会社の設立とは?
投資顧問会社の設立とはそもそもどういうことなのか解説します。
投資運用の代行や助言を行うのが投資顧問会社
投資顧問会社とは投資の専門家として投資家に対して助言や投資運用の代行を行う仕事のことです。
投資顧問会社が提供する業務は多岐に渡り、どの範囲の業務まで担当するのかで違いがあります。
近年、個人投資家が増えて投資顧問会社の需要は高まっており、投資顧問会社で独立を考えている人も多いです。
独立して投資顧問会社を設立するケースがある
投資顧問会社は大きな会社が経営しているケースだけではなく、独立系の投資顧問会社も増えています。
現在は誰でも簡単に法人設立ができる時代であり、Webを活用すれば簡単に集客が可能です。
ウェブ上でサービスを提供することもできるため、独立して投資顧問会社を設立することは不可能ではありません。
過去に証券会社での勤務経験があるなど投資に関する専門的な知識や経験のある人であれば、独立して成功できる可能性があります。
開業には金融商品取引業や投資運用業の届出が必要
投資顧問会社は法律によって規制されています。
開業するためには金融商品取引業の届出が必要です。
金融商品取引業は業務内容によって以下の4種類に区分されています。
- 第一種金融商品取引業
- 投資運用業
- 第二種金融商品取引業
- 投資助言・代理業
有価証券の販売を行うためには第一種金融商品取引業・第二種金融商品取引業が必要です。
顧客から最終的な投資判断を受任して投資運用をする場合は投資運用業の届出をします。
単に投資のアドバイスに留まる場合は投資助言・代理業の登録だけでサービスを提供可能です。
それぞれの届出区分ごとに必要要件は大きく異なっています。
投資顧問会社設立のメリット
投資顧問会社を設立するメリットは以下の通りです。
- 需要が高い
- 在庫を抱える必要がない
- 店舗を用意する必要がない
投資顧問会社のサービスは需要が高いです。
老後のために投資をしたいと考えている人が増えていて、専門家によるサポートを受けながら投資をしたいという需要が存在します。
そのような人たちを顧客にすれば、投資顧問会社として大きな売上を実現できるでしょう。
また、投資顧問会社のサービスでは在庫を抱える必要がありません。
在庫を抱えることによるリスクがない点は大きなメリットです。
店舗を用意する必要がない点もメリットといえます。
完全にウェブ上の対応のみでサービスを提供することも可能です。
これらのメリットがあるため、投資顧問会社の設立を真剣に考えてみましょう。
投資顧問会社の業務内容について
投資顧問会社は具体的にどのような業務を行うことになるのか紹介します。
投資一任業務
投資一人業務とは投資顧問会社が投資者の財産を活用して投資運用する業務のことです。
顧客とは投資一任契約を締結します。
投資対象の調査・選定を行い、実際に売買発注をして運用していくのです。
財産は顧客の名義のままで運用します。
収益が生じたならば、その一部を報酬として受け取れるのが特徴です。
投資助言業務
投資助言業務とは顧客と投資顧問契約を締結して、顧客の投資判断に対する助言を行う業務のことです。
投資助言業務の場合、最終的に投資の判断をするのは顧客であり、投資顧問会社はあくまでもアドバイスをするだけに留まります。
ファンド運用業務
ファンド運用業務とは多くの投資者から集めた資金を活用して有価証券やデリバティブ取引などに投資を行い財産の運用をする業務のことです。
ファンド運用業の登録が必要なケースは運用財産の50%を超える有価証券やデリバティブ取引をしている場合になります。
その他の業務
投資信託委託業という業務があります。
こちらは投資信託の委託者として投資信託の運用を行う業務です。
受託者である信託銀行とのやり取りや投資信託についての計算などを行う必要があり、業務のレベルはとても高くなっています。
そのため、しっかりとした社内体制を整えないと投資信託委託業は難しいでしょう。
代理・媒介業務というものもあります。
こちらは投資運用業者や投資助言・代理業者の行う投資一任契約あるいは投資顧問契約の締結に関する業務を委託して契約締結の代理・媒介をする業務です。
投資顧問会社を設立するまでの流れ
投資顧問会社を設立するための具体的な流れを紹介しましょう。
投資運用業や投資助言・代理業の届出をする
まずは、どのような業務を行うのか決めましょう。
そして、それぞれの業務を行うために必要な届け出をします。
たとえば、投資運用の代行を行いたい場合は投資運用業の届出をしましょう。
投資の助言を行いたい場合には、投資助言・代理業の届出が必要です。
それぞれの届出について細かな要件が定められている点に注意しましょう。
きちんと必要要件を満たした上で届出をすれば登録を受けられます。
日本投資顧問業協会へ登録する
日本投資顧問業協会とは投資家の保護や投資顧問業務の公正な運営などを目的とした社団法人です。
任意加入の団体なのですが、多くの業者が加入しています。
自主規制ルールの制定などの業務を行っており、コンプライアンス研修の実施もしているのが特徴です。
登録しておけば、これから投資顧問会社の経営を進めていく上でさまざまなサポートを得られるでしょう。
会社の基本事項を決める
会社を設立するために会社の基本事項について決めましょう。
商号や事業目的、資本金の金額などを決めなければいけません。
また、その他にも特別に定めておきたいルールがあれば考えておきましょう。
定款に記載することで効力を発揮する事項はたくさんあります。
法人設立の手続きを進める
法人設立の手続きを進める場合は、まず定款を作成します。
次に資本金の払込を行います。
そして、登記申請の書類を準備して法務局に提出するという流れです。
書類を提出してから2週間程度で設立登記は完了します。
法人設立の手続きを終えたならば、都道府県税事務所や市区町村役場に法人設立届出書を提出しましょう。
他には、社会保険の手続きが必要です。
また、法人設立をした後でないと法人口座を開設できないため、法人設立後には忘れずに金融機関で手続きをしましょう。
集客を行いサービスを提供する
投資顧問会社の設立が終わったならば、集客を行いましょう。
集客方法としては、人脈を活用したり、さまざまな媒体に広告を掲載したりするといった方法があります。
集客に成功すれば次々と利用者が現れるため、質の高いサービスを提供しましょう。
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投資顧問会社設立の注意点
投資顧問会社を設立する際の注意点を紹介します。
投資運用業は特に厳しい要件が定められている
投資運用業の許可を得るためには厳しい要件を満たす必要があります。
主な要件は以下の通りです。
- 株式会社であること
- 取締役設置会社であること
- 資本金及び純財産額が5,000万円以上であること
- 資産運用担当者やコンプライアンス担当者、内部管理担当者などを設置すること
投資運用業は顧客の財産を預かり、代わりに投資を行うという重大な責任を負う業務です。
そのため、さまざまな厳しい要件が設定されています。
特に財産要件と人的構成要件が厳しいです。
財務局金融証券検査官による立入検査が実施されることがある
投資顧問会社を設立すると、財務局金融証券検査官による立入検査を受けるケースがあります。
財務局金融証券検査官は金融関連業者へ法令上の検査を行う職員です。
金融関連業者の透明性を確保して、投資者を保護する目的で検査が実施されます。
きちんと法令を遵守して業務を行っているか確認されるため、しっかりと対応しなければいけません。
投資助言・代理業を登録するには供託金500万円を納める必要がある
投資運用業と比較すると投資助言・代理業は条件が緩和されています。
そのため、比較的登録しやすいです。
ただし、投資助言・代理業では供託金500万円を納める必要がある点に注意しましょう。
最寄りの法務局に対して供託金を渡す必要があります。
そして、実際に投資助言・代理業を行っている間はずっとお金を預けることになるのです。
将来的に投資助言・代理業を廃止するとき、あるいは会社を廃業するときに供託金は戻ってきます。
ただし、債権者からの申し出があると、供託金が申し出分に充当されるため、供託金がすべて戻ってこない場合があります。
日本投資顧問業協会に登録した場合は毎年報告書の提出が必要
日本投資顧問業協会に登録すると事業報告書の提出が求められます。
ただし、日本投資顧問業協会へ提出する報告書は財務局に提出したものの写しで構いません。
投資運用業や投資助言・代理業を行う場合、事業年度ごとに事業報告書を作成して財務局へ提出する必要があります。
財務局に提出した後は、遅滞なく協会あてにも報告書を提出しましょう。
法人設立は専門家に相談しよう
これから投資顧問会社を設立する際には専門家に相談しましょう。
法人設立は専門的な知識が要求されるからです。
きちんと知識がないと定款の作成の仕方や資本金の決め方などで失敗する可能性があります。
専門家に相談しておけば、さまざまなリスクを回避できるのです。手続きの代行を任せることもできます。
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投資顧問会社の設立は届出をする必要があり、さまざまな要件が定められています。
協会への登録も必要であり、準備するのは大変です。
専門家のサポートを受けながら手続きを進めることで、スムーズに投資顧問会社を設立できるでしょう。
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