【税理士が解説】資産管理会社の設立方法|合同会社の活用方法とメリット・デメリットも解説

資産を効率的に管理し、財産の保全や節税を図る手段として、資産管理会社を設立することは有効な方法です。特に、合同会社(LLC)としての設立は、法人税や相続税の対策として注目されています。この記事では、合同会社を活用した資産管理会社の設立方法やそのメリット・デメリットについて解説します。

資産管理会社とは、不動産や株式、債券、その他の財産を管理する目的で設立される法人です。個人で保有する資産を法人化することにより、税務面でのメリットや資産の保全が図られます。個人では直接保有する資産に対して高い税負担が発生することがありますが、法人を通じて管理することで、税負担を軽減する手法が一般的です。

資産管理会社は、不動産投資や株式の運用、事業の譲渡など、さまざまな資産運用に対応しており、法人として資産を保有することで相続対策やリスク管理の手段にもなります。

1-1. 合同会社を選ぶ理由

資産管理会社を設立する際、特に合同会社(LLC)の形態が選ばれることが多い理由は、設立コストが低く、運営が柔軟であるためです。合同会社は株式会社と比較して、以下のような特徴があります。

  • 設立費用が安い:株式会社を設立する際には、登録免許税が15万円かかりますが、合同会社の場合は6万円で済みます。
  • 内部運営が簡単:株式会社の場合、取締役会や株主総会などの形式的な手続きが必要ですが、合同会社はその必要がなく、内部運営が柔軟に行えます。
  • 利益の分配が自由:合同会社では、出資比率にかかわらず、利益の分配方法を柔軟に決定することができます。これにより、税務計画に応じた配当が可能です。

これらの理由から、資産管理会社を設立する際に、コストを抑えつつも柔軟に運営できる合同会社がよく選ばれています。

資産管理会社を設立するには、いくつかの基本的な手続きを踏む必要があります。以下では、その手順を具体的に説明します。

2-1. 会社名と事業目的の決定

まずは、会社名と事業目的を決めます。資産管理会社の場合、事業目的には「不動産の賃貸・管理」「有価証券の運用」などの資産運用に関する文言を含めることが一般的です。

2-2. 定款の作成

定款は、会社の基本的なルールや構造を定めた書類です。資産管理会社の場合、事業内容や利益の分配方法、出資割合などを定款に明記します。定款の内容は、将来的な経営方針や税務対策に大きく影響するため、慎重に作成することが重要です。

合同会社の場合、株式会社と違い、公証人による定款の認証は不要ですが、電子定款を作成することで印紙税(4万円)を節約できます。

2-3. 資本金の準備と振り込み

会社設立時には、資本金を用意する必要があります。資本金は会社の信頼性に影響を与えますが、資産管理会社の場合は比較的少額の資本金でも問題ありません。ただし、税務上のメリットを考慮し、1,000万円未満に設定することで、設立後2年間の消費税の免税を受けられることが一般的です。

資本金は法人口座に振り込み、その後、法務局に資本金払い込み証明書を提出します。

2-4. 法務局での登記申請

定款や資本金の準備が整ったら、法務局に会社設立の登記申請を行います。合同会社の場合、登記手続きが簡素化されているため、スムーズに進めることができます。

登記が完了すると、会社の法人格が正式に認められ、資産管理会社としての運営を開始することが可能です。

資産管理会社を設立することで、個人で資産を保有する場合には得られないメリットがあります。以下では、主なメリットについて詳しく解説します。

3-1. 節税効果

資産管理会社を設立することで、法人税の活用により個人よりも低い税率で資産を運用することが可能です。個人で不動産や株式を保有する場合、高額な所得税や住民税が課されますが、法人で保有することで、利益に対する法人税を支払うだけで済みます。

また、法人として経費計上できる範囲が広がるため、不動産の管理費や通信費、車両費なども法人の経費として扱うことができ、課税所得を圧縮することが可能です。

3-2. 資産の保全とリスク分散

資産管理会社を通じて資産を保有することで、個人の資産と法人の資産を分離できます。これにより、個人が事業で損失を被った場合でも、資産管理会社が保有する資産は保護されます。また、万が一、会社が倒産した場合でも、個人の資産が直接的に影響を受けにくいというメリットがあります。

さらに、複数の資産管理会社を設立することで、リスクを分散し、特定の資産に対する法的リスクを最小限に抑えることが可能です。

3-3. 相続税対策

資産管理会社を設立することで、相続税の節税対策が可能になります。個人で不動産や金融資産を保有している場合、その評価額が高く、相続税が大きな負担となることがあります。しかし、資産管理会社を通じて資産を保有することで、法人の株式として評価されるため、資産の評価額を抑えることができ、相続税を軽減することができます。

また、相続が発生する際には、資産管理会社の株式を子供や相続人に譲渡することで、スムーズに資産の移転が行えます。

資産管理会社を設立することには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。これらを理解し、慎重に対応することが重要です。

4-1. 法人運営のコスト

資産管理会社を設立すると、定期的な法人税申告決算報告が必要になります。これに伴う会計処理や税務申告には、税理士のサポートが必要になることが多く、運営コストがかかります。特に、法人住民税や法人事業税は、事業活動がなくても支払う義務があるため、定期的な費用負担を考慮する必要があります。

4-2. 法人と個人の資金管理

資産管理会社を設立した場合、法人と個人の資産を明確に分けて管理することが求められます。個人の生活費や娯楽費を法人の経費として計上することは違法であり、税務署からの指摘を受けるリスクがあります。

特に、法人と個人の資金を明確に区別し、必要に応じて税理士に相談しながら適切な管理を行うことが重要です。

4-3. 短期的な利益を期待しにくい

資産管理会社は、長期的な資産保全や相続税対策に適している一方で、短期間で大きな利益を得ることは難しい場合があります。特に、不動産投資や金融商品の運用による収益は、時間をかけて積み上げていくことが一般的であり、即効性のある節税効果を期待することは難しいです。

そのため、資産管理会社を設立する際には、長期的な視点で計画を立て、事業運営を進めることが重要です。

資産管理会社を効果的に運営し、最大限のメリットを享受するためには、いくつかの重要なポイントがあります。

5-1. 専門家との連携

資産管理会社の設立や運営には、法務や税務の専門知識が求められます。特に、税務対策や相続対策に関しては、専門家のサポートを受けることで、リスクを最小限に抑えながら最大限の効果を得ることが可能です。

税理士や弁護士、司法書士などの専門家と連携し、適切なアドバイスを受けながら資産管理会社を運営することが、成功への鍵となります。

5-2. 定期的な資産の見直し

資産管理会社を運営する際には、定期的に資産の状況を見直し、適切な管理が行われているかを確認することが重要です。特に、不動産や株式などの資産は、市場状況や税制の変更によって価値が変動するため、定期的なチェックが必要です。

また、相続対策としての資産管理会社を活用する場合には、相続人の状況や税制改正に応じた計画の見直しも必要となります。

資産管理会社の設立は、個人資産を法人として管理することで、節税や資産保全、相続対策に大きなメリットをもたらします。特に、合同会社としての設立は、コストを抑えつつ柔軟な運営が可能であり、多くの投資家や資産保有者に支持されています。

ただし、法人運営には一定のコストがかかることや、法人と個人の資産を明確に区別する必要があるため、適切な管理と専門家のサポートが欠かせません。長期的な視点で計画を立て、資産管理会社を活用することで、資産の保全と税務対策を効果的に進めることが可能です。

ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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