【税理士が解説】会社設立時は現物出資でも大丈夫?基本的なルールと利用時のポイントを解説

会社設立時に必要な資本金は、現金だけでなく「現物出資」と呼ばれる資産を使って充当することも可能です。現物出資は、手持ちの不動産や機械、特許権などを資本金として活用できる方法であり、現金が不足している場合や特定の資産を事業に活かしたい場合に非常に有効です。

この記事では、現物出資のメリット・デメリット、必要な手続き、注意点を詳しく解説します。

現物出資とは、会社設立や増資の際に現金ではなく、不動産や機械設備、知的財産権などを資本金として提供する方法です。これは、日本の会社法で認められた制度であり、会社が保有する資産の種類や構成を柔軟に設計できる点が特徴です。

1-1. 現物出資の対象となる資産

現物出資として認められる主な資産は以下の通りです。

  • 不動産:土地や建物など
  • 動産:車両や機械、オフィス家具など
  • 有価証券:株式や債券など
  • 知的財産権:特許権、商標権、著作権など
  • その他の財産:高価な美術品、宝飾品、ソフトウェアライセンスなど

これらの資産は、会社の事業運営に役立つものであることが重要です。

現物出資は、会社設立時の資本形成において非常に柔軟な方法を提供します。以下は、現物出資を利用する主なメリットです。

2-1. 手持ちの現金が少なくても会社設立が可能

現物出資を利用する最大のメリットは、現金が不足していても会社設立が可能な点です。不動産や機械などを出資することで、資本金として計上できるため、現金を用意する負担が軽減されます。

2-2. 資産を有効活用できる

手持ちの資産を有効活用することで、事業運営に必要な物品や設備を事前に確保できます。たとえば、自分が所有しているオフィス用の家具や車両を現物出資として会社に提供すれば、新たにこれらを購入する必要がなくなります。

2-3. 節税対策として有効

個人で保有している高額な資産を法人に出資することで、節税効果が期待できます。資産を法人化することで、減価償却費を計上し、法人税を軽減することが可能です。

現物出資には多くのメリットがありますが、一方でデメリットや注意点も存在します。これらを理解した上で、慎重に進めることが重要です。

3-1. 評価手続きが複雑

現物出資を行う場合、資産の適正な評価が必要です。特に、不動産や知的財産権など、価値の見積もりが難しい資産の場合は、専門家による評価が求められることがあります。

3-1-1. 裁判所の鑑定が必要なケース

現物出資の評価額が500万円を超える場合、通常、裁判所の選任した鑑定人による評価が必要です。この手続きには時間と費用がかかるため、計画的に準備する必要があります。

3-2. 手続きが煩雑

現物出資を行うには、定款に出資する資産とその評価額を明記し、法務局に提出する書類も増えるため、通常の現金出資に比べて手続きが煩雑です。

3-3. 出資資産のリスク

現物出資として提供した資産は、会社の所有物となります。そのため、会社の財務状況が悪化した場合、出資した資産が失われるリスクがあります。

現物出資を利用して会社を設立する場合、いくつかの手続きを踏む必要があります。以下は、その具体的な流れです。

4-1. 出資する資産の選定

まず、出資する資産を選定します。出資する資産は、会社の事業運営に必要であり、かつ適正な評価が可能なものが望ましいです。

4-2. 資産の評価

次に、出資する資産の評価を行います。評価額が500万円以下であれば、裁判所による鑑定は不要ですが、それを超える場合は専門家による鑑定が必要です。

4-3. 定款の作成

評価額が確定したら、それをもとに定款を作成します。定款には、出資する資産の詳細と評価額を明記する必要があります。

4-4. 資本金として計上

出資する資産の評価額を資本金として計上します。この際、現物出資の詳細を法務局に提出します。

4-5. 法務局への登記申請

最後に、法務局に登記申請を行います。必要書類を提出し、登記が完了すると、会社が正式に設立されます。

現物出資を成功させるためには、適切な準備と手続きが必要です。以下は、現物出資の成功例と失敗例を紹介します。

5-1. 成功事例

ある起業家が、自身の所有する不動産を現物出資として活用し、オフィスとして利用可能な状態で会社を設立しました。これにより、設立時の資本金を十分に確保すると同時に、運営コストを抑えることに成功しました。

5-2. 失敗事例

一方で、別のケースでは、出資した特許権の価値が適正に評価されていなかったため、税務調査で指摘を受け、追徴課税が発生しました。この事例では、専門家による適切な評価が行われていなかったことが原因とされています。

現物出資を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

6-1. 専門家のサポートを受ける

現物出資における評価や手続きには、専門的な知識が必要です。税理士や司法書士、鑑定士などの専門家と連携し、適切なサポートを受けることが重要です。

6-2. 出資資産の選定を慎重に行う

出資資産は、会社の事業運営に役立つものであり、かつ適正な評価が可能なものを選ぶことが推奨されます。

6-3. 定款作成時に将来を見据える

定款に記載する事業目的や出資内容は、将来的な事業拡大を見据えて柔軟に設定することが重要です。

現物出資は、会社設立時の資本形成において非常に柔軟な方法を提供します。現金が不足している場合や特定の資産を活用したい場合に有効であり、事業運営の効率化や節税効果も期待できます。

一方で、評価や手続きの煩雑さ、出資資産のリスクなど、慎重に対処すべき課題もあります。専門家のサポートを受けながら、計画的に進めることで、現物出資を活用した成功する会社設立が可能になります。

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