【税理士が解説】運送会社の設立の流れとは?メリット・デメリットも解説

運送業は、モノの流通を支える重要な産業です。ネット通販の急成長や物流ニーズの高まりを背景に、運送会社の設立を考える人が増えています。しかし、運送会社の起業には、多くの手続きや法規制が伴い、適切な準備が必要です。本記事では、運送会社設立の流れ、必要な書類や許可、起業後の成功に向けたポイントを解説します。

運送会社は、貨物や荷物を顧客から受託し、目的地まで配送する事業を行う企業を指します。運送業は、ネットショッピングの拡大や企業間物流のニーズが増大する中、成長を続けている業界です。

1-1. 一般貨物自動車運送事業とは?

運送会社には、様々な種類の事業形態がありますが、一般的に多くの起業家が目指すのは「一般貨物自動車運送事業」です。これは、他人の貨物を有償で運送する業務で、国土交通省の管轄にあり、許可制となっています。

一般貨物自動車運送事業では、自社所有のトラックを用いて、貨物の配送を行います。特に、ネット通販業界や小売業との取引が増加しているため、個人事業主や小規模企業がこの分野での起業を目指すことが多くなっています。

運送会社を設立するためには、いくつかの重要な手続きを踏む必要があります。まずは、会社の設立手続きから始まり、次に運送業を営むための許可を取得する必要があります。

2-1. 会社の設立手続き

運送会社を設立するには、まず法人の設立を行う必要があります。個人事業主としても運送業を営むことは可能ですが、特に一般貨物自動車運送事業を行う場合には、法人化することが推奨されます。

2-1-1. 会社形態の選択

最も一般的な選択肢としては、株式会社合同会社があります。株式会社は、社会的信用力が高く、資金調達や規模の拡大がしやすいのが特徴です。一方、合同会社は設立コストが安く、柔軟な運営が可能なため、初期投資を抑えたい場合に適しています。

2-1-2. 定款の作成と登記手続き

会社設立の際には、定款を作成し、公証人役場での認証を受ける必要があります。その後、会社の所在地を法務局に届け出て、法人登記を行います。これにより、運送会社として正式に法人格を取得することができます。

2-2. 運送業許可の取得

法人設立後、運送業を営むためには、国土交通省の管轄である一般貨物自動車運送事業許可を取得する必要があります。この許可を得るためには、いくつかの要件を満たす必要があり、時間と手間がかかります。

2-2-1. 許可取得の要件

許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 事業計画の策定:事業計画書を作成し、収益性や安全管理体制を明確にします。
  2. 車両の確保:運送業を営むために必要な車両を用意します。車両数の規定があり、最低でも5台以上の車両が必要とされています。
  3. 運行管理者の選任:安全な運行を管理するための責任者として、運行管理者を配置します。この人物は、一定の資格を有することが求められます。
  4. 事務所と車庫の確保:運送業を行うための事務所および車庫を確保し、これが法令に基づく基準を満たしていることが必要です。

2-2-2. 許可申請の流れ

許可申請は、地方運輸局に対して行います。申請書類には、事業計画書、資金計画、運行管理体制などの詳細な情報が必要です。また、申請には費用もかかり、許可を得るまでに通常4〜6ヶ月程度の期間がかかります。

2-3. その他の必要な手続き

運送業を営むにあたり、許可の取得以外にも自動車運転者労働時間管理貨物自動車運送事業法に基づく各種の管理体制が必要です。これにより、安全で適正な運送サービスを提供できるよう、適切な労働環境や運行管理が求められます。

運送会社を設立することには、いくつかの大きなメリットがあります。物流業界の成長に伴い、運送業への需要は今後も高まることが予測されており、事業を成功させる可能性は非常に高いと言えます。

3-1. 高い需要と成長性

インターネットショッピングの普及や、企業間取引における物流の重要性の高まりに伴い、運送業は高い需要を誇る業界です。特に、ネット通販の拡大により、個人消費者向けの配送サービスの需要が急速に増加しています。

さらに、グローバル化が進む現代では、海外への輸出入をサポートする物流事業も注目されています。これにより、国内外問わず多くの成長機会が見込まれます。

3-2. 安定した収益源

運送業は、企業間取引や物流ネットワークの維持に欠かせない業種であり、安定した収益源となり得ます。特に、大手企業や工場、倉庫などと長期的な契約を結ぶことで、安定的に仕事が供給される可能性があります。

また、日々の運送業務が一定量存在するため、繁忙期や閑散期があっても、収入が安定しやすいという点も運送業のメリットの一つです。

運送業は需要が高く、成長の見込める業界ですが、一方でデメリットや注意すべき点も存在します。これらを理解し、適切な対策を講じることが、成功するためのカギとなります。

4-1. 初期投資と運営コストの高さ

運送業を始める際の初期投資は比較的高額です。車両の購入費用、事務所や車庫の設置費用、許可申請にかかる費用など、設立時に必要な資金が多くかかります。

さらに、車両の維持費や燃料費、運転手の人件費など、日々の運営にも多額のコストがかかるため、資金計画を慎重に立てることが必要です。

4-2. 労働力の確保

運送業においては、運転手をはじめとする労働力の確保が課題となります。特に、長時間の運転が伴うため、労働環境の整備や安全管理が重要です。運転手の働きやすい環境を整えないと、労働力不足に陥り、事業運営に支障をきたす恐れがあります。

運送会社を設立し、事業を成功させるためには、以下の成功のポイントを押さえておくことが重要です。

5-1. ニッチ市場への参入

物流業界は競争が激しいため、競合他社と差別化することが重要です。特に、特定のニッチ市場に焦点を当てることで、他社にはない独自のサービスを提供し、顧客の信頼を獲得することができます。

例えば、食品物流医療品配送といった専門分野に特化することで、安定した顧客層を獲得しやすくなります。

5-2. 労働環境の改善

運転手の確保と維持は、運送業の成功において重要な要素です。運転手が働きやすい環境を整え、長期的に従業員を確保することが、会社の安定した運営につながります。適切な労働時間の管理や、安全運転教育の徹底などを行い、従業員満足度を高めることが求められます。

5-3. IT技術の活用

近年、運送業においてもIT技術の活用が進んでいます。運行管理システムやGPSを利用することで、効率的な運行スケジュールを組み立て、コスト削減や配送効率の向上を図ることができます。また、顧客向けの追跡システムを導入することで、サービスの質を高め、顧客満足度を向上させることが可能です。

運送会社の設立は、成長が期待される物流業界において、多くのビジネスチャンスを提供します。運送業許可の取得や事業計画の策定、適切な資金管理など、設立時に必要な手続きをしっかりと行い、運送会社としての基盤を確立することが重要です。

また、競争の激しい市場においては、労働力の確保やIT技術の導入など、運営面での工夫も必要不可欠です。これらを適切に実行することで、成功する運送会社を築き上げ、安定した成長を遂げることができるでしょう。

ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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