屋根屋の職人技は独立開業後に大いに評価される!屋根屋の独立ロードマップを解説

建設工事現場で最終的に建物の良し悪しを決めるのはその屋根です。

屋根工事がしっかり行われていないと、その建物から雨漏りをしてしまいます。

隙間があれば冬の寒い風が入ってくるかもしれません。

台風が来たら吹き飛ばされてしまうかも・・・そう考えると、丈夫で水が漏れない屋根は、建物建設の仕上げとして重要な工程になります。

屋根がしっかりしていない建築工事は、「画竜点睛を欠く」「仏像作って魂入れず」の状態で、困ったことになります。

その建設工事において、重要な屋根工事を専門的に担当するのが「屋根屋」と呼ばれる人たちです。

彼ら屋根屋の活躍によって、その建物が素晴らしい価値に仕上がります。

非常に大切な役割を担う屋根屋は、独立開業してもやっていける素晴らしい職人です。

今回は、屋根屋として独立開業するまでの流れや、そのキャリアマップなどについて解説します。

会社設立等も選択肢に入れ、ぜひご自身の屋根屋としてのスキルを活かして活躍してください。

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屋根屋としての仕事と求められる資格をチェック

まず屋根屋としての仕事を今一度チェックしておきましょう。

みなさんのスキルはこれらをしっかり満たしていますか?

また、それを証明する資格は取っていますか?

屋根屋としての仕事

屋根屋(屋根工事業)は、建物の屋根を、瓦やスレート(粘板岩を薄い板状に加工した建築材)、金属板などを使って、屋根を葺く(ふく:覆う、作る)工事を行う職人です。

屋根屋は、屋根材を用いて瓦吹き(屋根を作って建物の天井を覆う)ことに加えて、屋根断熱工事なども行います。

重労働であり、屋根という建物のてっぺんで行うため、非常に危険な建設工程を担当します。

周囲を覆うものがないので、真夏は炎天下、冬場は木枯らしが体に吹き付け、過酷な環境の中で作業をします。

大工さんであれば、まだ組み立てている木材等に守られますが、屋根屋は自分を守るものがない中で危険な作業に従事します。

建設系の職人の中でも、ケガのリスクが高く、かつ職人技を求められるハイレベルな仕事になります。

屋根屋がいないと建物は完成せず、非常に重要な仕事になります。

鉄板を使った屋根工事(屋根葺き以外)の場合は、板金工事にもなりますので、そちらのスキルや知識も必要になります。

屋根屋は稼げるのか?

屋根屋は建設系の職人の中でも過酷で危険な仕事になるので、年収は高めです。

屋根工事業の平均年収は約420万円です。

日本の平均年収とほぼ同額で、建設業全体では高めに位置します。

この年収約420万円は雇用されている屋根屋(社員)を含むので、独立して一人親方として屋根屋をすればもっと稼げます。

独立した屋根屋は600万円~700万円程度稼げると言われていて、一人親方から弟子を雇う「親方」になると、年収1000万円超えも珍しくありません。

建設系職人の中ではかなり稼げます。

屋根屋が取得しておきたい資格

屋根屋として独立開業する場合、取得しておいていただきたい資格があります。

ぜひ修行中に取得を目指してください。

かわらぶき技能士

各都道府県が実施している「技能検定」=技能士の1つです。

公的資格であり信頼があります。

日本家屋に必須の瓦(かわら)を屋根に設置する技能を証明する資格です。

1級~3級の3種類があり、1級が上位資格になっています。

【試験内容】 
学科試験と実技試験を併用します。 
例えば実技試験は 

1級:屋根下地に、引掛け桟葺きにより瓦葺きを行う。
なお、軒先には、一文字軒瓦を使用する。試験時間=4時間30分

2級:屋根下地に、引掛け桟葺きにより瓦葺きを行う。
なお、軒先には、万十軒瓦を使用する。試験時間=4時間30分

3級:屋根下地に、F形粘土がわらを使用した瓦葺き作業を行う。
試験時間=3時間 

と違いがあります。 

【受験資格】

1級:「2級合格者+実務経験2年」or実務経験7年

2級:3級合格者or実務経験2年

3級:誰でも受験できる 

学歴によって実務経験が短縮できることがあります。

2級は2年以上の実務経験か3級の合格、1級は7年以上の実務経験か2級合格+2年以上の実務経験が必要です。

3級は最近できました。

まず、修行開始後は3級にチャレンジしてもいいでしょう。

合格すると「かわらぶき技能士〇級」と名刺に記載することも、履歴書に載せることもできるようになります。

国家資格は、仕事を取る上でも重要な資格になります。

建築板金技能士

屋根屋が取得しておきたい資格の2つ目は「建築板金技能士」です。

こちらも都道府県が実施する技能検定の1つです。

国家資格で合格すると「建設板金技能士〇級」を名乗れます。

屋根工事で板金というのはなじみがないかもしれませんが、屋根は瓦だけではなく、鉄板で屋根を葺くこともあります。

その場合は板金工事を行うのでこの資格が必要になります。

最近の屋根は瓦ではなく鉄板での屋根葺きの建物が増えているので、この資格がないと屋根屋として不利になるので取得しておきましょう。

建築板金技能士はさらに

  • ダクト板金
  • 内外装板金

に資格は分かれています。

ダクト板金は1級と2級、内外装板金は1級~3級があります。

【試験内容】 
学科試験と実技試験を併用します。 
実技試験は 

建築板金(内外装板金作業)
1級:板金工具及びはんだ付け工具を使用し、溶融亜鉛めっき鋼板(亜鉛鉄板)厚さ0.35mmを加工して、落し口のついた谷どい状の製品を製作する。試験時間:5時間

2級:板金工具及びはんだ付け工具を使用し、溶融亜鉛めっき鋼板(亜鉛鉄板)厚さ0.35mmを加工して、落し口のついた角どい状の製品を製作する。試験時間:4時間30分

3級:板金工具及びはんだ付け工具を使用し、溶融亜鉛めっき鋼板(亜鉛鉄板)厚さ0.35mmを加工して、落し口の付いたホッパーを製作する。試験時間:3時間 

建築板金(ダクト板金作業)
1級:
溶融亜鉛めっき鋼板を加工して、長方形の曲りダクトに長円形の短管を取り付ける。試験時間:4時間

2級:溶融亜鉛めっき鋼板を加工して、正方形の曲りダクトに円形の短管を取り付ける。試験時間:4時間  

【受験資格】 
1級:「2級合格者+実務経験2年」or実務経験7年

2級:3級合格者or実務経験2年

3級(内外装板金のみ):誰でも受験できる 

学歴によって実務経験が短縮できることがあります。

建築施工管理技士

屋根屋としてのスキルを証明するものではありませんが、将来的に建設業許可(屋根工事)を取りたい場合、この資格が必要になることがあります。

「技能士」の資格で代用することもできますので、まずは「かわらぶき技能士」や「建設板金技能士」を目指してください。

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屋根屋独立開業までのロードマップ

屋根屋として独立開業するにはどのくらいかかるのでしょうか?

高所作業で高度なスキルが必要な屋根屋は、最低でも10年は必要だと昔から言われています。

屋根葺きは、瓦葺や板金だけではなく、昔からの茅葺もぜひ身につけておきたいところです。

茅葺屋根の家は今はありませんが、自治体等から伝統的建物の修復、復元などを依頼される機会もゲットできます。

昔ながらの工法ができる屋根屋は引き合いも多いのです。

それを踏まえてロードマップを示します。

開業後の事業形態

法人化(会社形態)

個人事業主

開業前

修業期間

屋根屋として実務経験を積む(最低10年)

「かわらぶき技能士1級」「建築板金技能士(ダクト板金)1級」「建築板金技能士(内外装板金)1級」に合格する

可能ならば茅葺のスキルも身につける

独立、開業

商号(社名)や事業目的、資本金、役員等を決める

開業届を税務署に提出する

定款を作成する

定款認証(合同会社は不要)

社印を作成する

資本金を振り込む

法務局へ行き会社設立登記の申請をする

設立登記後社会保険や年金の手続きをする

開業資金の準備

法定設立費用6万円~20万円+資本金

開業資金不要

他の建設系職人と比べて、実務経験が長く、修業期間にしっかり多様なスキルを身につけることが、屋根屋独立のためには必要になります。

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屋根屋として独立するメリットとデメリット

屋根屋は建設系職人の中でもスペシャリスト要素が強い分野ですが、屋根屋として独立するメリットとデメリットは何なのでしょうか?

屋根屋として独立するメリット

屋根屋として独立するデメリット

建設系職人の中でも稼げる

そもそも独立までに時間がかかる

茅葺屋根や伝統的な日本建築に携われる

ケガをするリスク、誰も助けてくれない

さまざまなスキルを応用して1つの屋根を仕上げ達成感がある

スキルがないと仕事が来ない

自分のスタイルで仕事ができる

 

仕事の繁閑を自分で調節できる

 

非常にやりがいがある仕事です。

やりがい搾取をされることなく、ストレートにお金に反映されて、しっかり見返りがあります。

働き方は、社員(雇用契約)ではなく、事業主としての業務請負契約になります。

残業や時間外勤務の概念はなくなりますが、自分のペースで仕事ができます。

1件当たり稼げるならば、その屋根工事が終われば1週間まるまるお休み、という働き方もできます。

腕に自信がある人は、屋根屋の仕事が途切れることなく稼げます。

逆にスキルがないと仕事が来なくて苦労します。

だから「技能士」の資格を取得しておくことが大切なのです。

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屋根屋独立の際は法人or個人?建設業許可は必要?

屋根屋として独立する際、法人化(会社設立)すべきなのか個人事業主でいいのか、それぞれメリットとデメリットをまとめました。

また、「建設業許可」についても考えます。

屋根屋独立は法人化か個人事業主か

屋根屋を法人化する(会社設立)

屋根屋を個人事業主として行う

メリット

社会的信用がある

簡単に設立できる

経費の範囲が広い

定款などの作成義務がない

責任の範囲が有限

自由な働き方ができる

赤字繰り越しが10年である

廃業手続きもすぐにできる

売上が多くなれば個人事業主よりも税率が下がる

社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金では老後が不安

最高税率が23.2%と所得税の約半分

 

デメリット

設立までの手間がかかる

社会的信用がない

設立後の帳票作成や税務申告が大変

最大税率45%と法人税よりはるかに高い

赤字でも法人住民税がかかる

無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う

社会保険へ加入しなければならない

赤字繰り越しが3年までしかできない

会社の廃業手続きが煩雑

経費で落とせる範囲が狭い

法人化すると社会的信用が得られる代わりに手間がかかります。

自分で会計処理をするのはまず難しく、税理士に依頼することになり、その報酬も発生します。

ポイントは法人化した場合の税金(法人税)と個人事業主の税金(所得税)の違いです。

事業主体

法人化(会社設立)

個人事業主

所得税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%

事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45%

個人住民税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%

事業の売上から「事業所得」を算出してその約10%

消費税

課税売上1000万円以上の場合支払う

課税売上1000万円以上の場合支払う

法人税

かかる(15%~23.2%)

なし

法人住民税

かかる

なし

法人事業税

かかる

なし

個人事業税

なし

かかる

年間売上1000万円前後で、支払う税金が「法人税>所得税」から「法人税<所得税」になり、法人化した方が節税できます(税金が安くなる)。

そこまで売上がないならば個人事業主のままでも問題ありません。

上述のように一人親方として独立した屋根屋の方は、年収が高くなる(600万円~700万円)傾向にあるため、独立当初から法人化した方がいいケースもあるかもしれません。

どのような場合に法人化すべきなのか、素人判断は禁物なので、ぜひ「経営サポートプラスアルファ」などの専門家のアドバイスを受けてください。

建設業許可を取るべきか

屋根屋(屋根工事)として建設業許可を取る場合、建設業のうち「屋根工事業許可」を取得することになります。

屋根工事業で可能なことは

  • 屋根葺き工事
  • 屋根一体型の太陽光パネル設置工事

などになります。

屋根葺き工事だけではなく、太陽光パネル設置もできるようになります。

しかし、一人親方としてやる分には、まず建設業許可は不要です。

建設業許可が必要なのは

建築一式工事

次のどちらかに当てはまる工事の場合建設業許可が必要

①1件の請負代金が1,500万円超の工事(消費税込み)
②延べ面積が150㎡超の木造住宅工事

建築一式工事以外

1件の請負代金が500万円超の工事(消費税込み)

であり、屋根工事は「建築一式工事以外」に該当するため、1件あたり500万円を超えなければ建設業許可は不要です。

一人親方として1件500万円を超える工事はまず請け負わないので、建設業許可は不要ということになります。

それでも将来のことを考え、屋根工事専門会社や、親方として部下を多数抱えようと考えている場合、屋根工事の建設業許可を将来的に取得してもいいでしょう。

その場合

条件

内容

経営業務の管理責任者

経営に携わる管理責任者の設置です。個人事業主の場合は本人、法人の場合は役員(代表取締役)などを管理責任者とします。

専任技術者

実務経験3年~10年(学歴や大学の専攻によって異なる)を積んだ人。一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士(種別:仕上げ)、建築板金技能士(建築板金作業・ダクト板金作業)、かわらぶき技能士

安定した財政基盤

貸借対照表の純資産の部合計額が500万円以上。新規会社設立の場合は資本金500万円以上。
個人事業主の場合は預金残高が500万円以上であること。

欠格事項に相当しない

暴力団構成員や彼らと関係ある人間、元犯罪者(禁固以上で執行後5年以内の人)、建設業で罰金刑を受けて5年以内の人、成年被後見人および被保佐人や破産手続き開始の決定を受けた人は建設業許可が下りません。

の条件が必要になります。

いずれにせよ、建築板金技能士(建築板金作業・ダクト板金作業)、かわらぶき技能士の資格取得は不可欠です。

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屋根屋独立の際に準備しておきたいモノとお金と保険

屋根屋として独立する際、準備しておきたいことがあります。

道具、お金(開業資金)、そして保険です。

屋根屋として独立する場合の道具

釈迦に説法ですが、一人親方としてやっていけるよう屋根工事の道具、用具は用意してください。

こちらのリンク先に屋根屋が使う道具が一覧として掲載されています。

修行中に使っていたものはぜひ用意してください。

「屋根施工作業道具 通販 | カナマル産業株式会社」

屋根屋として独立する場合の資金

独立開業資金も重要です。

独立開業費内訳

金額

工具備品

30万円

車両(移動、工具運搬)

100万円~150万円

合計

130万円~180万円

 

 

(法人の場合)法定設立費用

6万円~20万円+資本金

建設業許可をとる場合

財産要件 500万円(資本金と重複可能)

車両については自家用車を兼用させることができます。

屋根屋の道具はそこまでかさばらないので、自家用車の後ろの席やトランクに載せることも可能です。

そうなると、建設業許可を取得せずに開業する場合、そこまで資金は必要ありません。

どうしても・・という場合は、日本政策金融公庫や自治体の創業窓口、あるいは「経営サポートプラスアルファ」などの資金調達のプロフェッショナルに相談してください。

屋根屋として独立する場合の保険

屋根工事は建設物のてっぺんで作業するため、落下やケガのリスクが大きく、そうなった場合のリスクヘッジが重要です。

雇用関係がある職人ならば労災がありますが、独立後は経営者、個人事業主であり、原則労災の対象外です。

しかし、ケガと隣り合わせの職業上、特例で個人事業主や経営者の鳶職でも加入できる労災があります。

「一人親方労災保険組合」

というもので、ケガの治療費無料、休業補償(1日4000円)、障害が残った場合の一時金、ご不幸があった場合の葬儀費用や遺族への年金支援などもあります。

国の制度なので安心できます。

以上の、「モノ」「お金」「保険」の準備を屋根屋独立の際にはお願いします。

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屋根屋独立開業を目指す方は「経営サポートプラスアルファ」に相談をしてください

屋根屋は建設系職人の中でも、修業期間が長く、ケガのリスクも高い仕事です。

しかし、その大変さの対価として、独立開業後は、かなり安定した高収入を得ることができます。

独立のタイミングや法人化、建設業許可の可否など、自分だけで考えずに、専門家のアドバイスを受けてください。

「経営サポートプラスアルファ」にはその分野に詳しいプロフェッショナルが揃っています。

資金調達や独立後の会計、確定申告などについてもぜひ相談してください。

社員ではなくなるので、すべて自分で行わなければなりません。専門家のサポートは不可欠でしょう。

「経営サポートプラスアルファ」は税務や会計の専門家もいます。適切な会計や申告は、仕事の評価を高めます。

土日祝日夜間も「経営サポートプラスアルファ」は対応します。

遠隔地の方はLINEやZoomを利用いただけます。

職人技が評価される屋根屋は独立開業向きの仕事です。

少しでも独立を考えている方は「経営サポートプラスアルファ」に相談をしてください。

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