個人事業主の決算と決算月について
個人事業主の決算についてや、決算月についての説明していきます。
個人事業主の決算月はいつなのか、自由に決められるのかについても詳しく解説します。
また個人事業主の決算手続きや決算の流れについて、経理処理について説明していきます。
個人事業主にかかる税金についても紹介していきます。
個人事業主の決算とは?
決算と言うと会社が関係しているように感じることかもしれません。
しかし個人事業主でも確定申告する際に、必要となってくるものなので、決算について理解しておきましょう。
決算とは1年間の収入と経費を整理し、利益について計算していくことです。
利益について計算し、確定申告することで税金納付や、赤字の場合には還付が行われます。
なぜ決算しないといけないか
手間をかけて決算書を作成するには、次のような理由があります。
- 税務署に確定申告する際に必要
- 融資を受ける際に必要
- 個人事業主が運営状況を把握するために必要
順に説明していきます。
税務署に確定申告する際に、その年の経費と収入についてまとめた決算書が必要となります。
控除に有利な青色申告の際には、貸借対照表などの特別な書類も必要となります。
また融資を受ける際にも、決算書が必要となります。融資する機関が融資するかどうかの判断するために、個人事業主の決算書のデータを見ることを重要視します。
決算書がなかったり、決算書が不十分な場合には融資に消極的になることもあります。
融資を受けるにはしっかりとした決算書を作っておくことが必要でしょう。
最後に個人事業主が個人事業の運営状況を把握するのに、決算書は役に立ちます。
決算書の把握については、年1回ではなく何度も行う必要がありますが、売上と経費について再検討することができます。
個人事業主の決算月は、決まっている
個人事業主の決算月は法律で12月、決算日は12月31日と決まっています。
法律において、全ての個人事業主は1月1日から12月31日までを事業年度となっているのです。
これは個人事業主全員に適用されるもので、勝手に決算月を変更することはできません。
個人事業主の決算手続きについて
個人事業主の決算についてや確定申告の方法について紹介していきます。
個人事業主ができる確定申告の方法には、白色申告と青色申告があります。
どちらの申告も、申告期間は一緒ですが、申告の仕方と税金に関する控除が変わってきます。
白色申告
白色申告は簡単な帳簿付け、領収書の保存でできる確定申告です。
個人事業として開業した際に、「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出が必要ですが、それ以外何も申請していない場合には、白色申告として扱われます。
決算処理はとても簡単ですが、特に白色申告の特典はありません。
しかし白色申告でも納税者が、一年間の収入経費を正しく計算し、納税するための記録を保存しておけば確定申告が可能です。
青色申告
青色申告は、貸借対照表や損益計算書などの必要書類をそろえて申告し、税金上メリットのある申告方法です。
青色申告すると最大65万円の青色申告特別控除を受けられたり、3年間赤字を繰り越すことができたり、家族への給料も経費にできるなどのメリットがあります。
青色申告するために必要な書類を作るには、複式簿記の知識が必要になります。
しかし最近では、オンラインの会計処理ソフトが出ており、そのソフトを利用すれば簿記知識はなくても、日付や経費や売上などを入力するだけで、貸借対照表・損益計算書を作ってくれ確定申告することができます。
ちなみに青色申告を希望する場合には、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
個人事業にかかる税金
個人事業主に発生する税金は以下の四つがあります。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税
まず1つ目と2つ目は、通常のサラリーマンと同様の所得税と住民税が課せられます。
ついで企業の法人税にあたる個人事業税が課せられて、税率は法律によって記載されています。
消費税については、消費税課税事業者が対象となります。
また決算報告しなかったり、納税をきちんと行わないと、追徴課税が発生します。
それぞれの税金の納付時期については、以下のようになっています。
税金 | 納付時期 |
---|---|
所得税 | 3月15日まで(その年の確定申告期限) |
住民税 | 6月、8月、10月、翌年1月 |
個人事業税 | 8月、11月 |
消費税 | 3月31日まで |
個人事業主の決算の流れ
個人事業主が決算月の12月を終えて決算する時には、どのような順序で行なっていくと良いでしょうか。
決算の流れについて説明していきます。
決算の流れは以下の通りです。
- 棚卸表を作る
- 帳簿の内容の確認
- 帳簿の整理
- 減価償却の計算
- 収支内訳書の作成
棚卸表を作る
棚卸しとは、商品や消耗品などの在庫の数を数えて、その金額はどれだけになっているかを計算することになります。
商品については、主に飲食業や小売業などの個人事業主が行っていきます。
棚卸する必要のある資産は次のようなものです。
消耗品の場合:
事務用品なの消耗品、使用可能期間が1年未満または10万円未満の工具や器具、備品など、通信機器など
商品などの場合:
商品、製品、仕掛品、原材料、副産物、作業くずなど
棚卸の方法は、消耗品や商品などの種類やまたその数量を確認していきます。
あらかじめ税務署に届けている場合にはその方法によって計算します。
届出していない場合には、最終仕入原価法により計算していきます。
最終仕入原価法による年末の棚卸高以下のようになります。
年末に一番近い時期に仕入れた棚卸資産の仕入原価×年末の資産の数
帳簿の内容の確認
帳簿に記載されている内容と納品書請求書領収書などの記録が、合致しているかどうかを確認します。
確認し間違っていないことが分かった後に、収入や経費などの項目ごとにその1年の合計額を計算し、記載していきます。
帳簿の整理
収入や経費について、その年の収入や経費になるのかどうか確認し、帳簿整理していく必要があります。
収入に関する帳簿の整理
その年中に売り上げたものについては、まだ実際に代金を受け取ってなくても、その年の収入金額になります。
つまり未収入金は収入金額として計上していきます。
逆に商品をまだ売り上げていないのに、受け取っている前受金などは収入金額にはなりません。
必要経費に関する帳簿の整理
売上原価についてはその年の経費になります。
家賃などその年中に支払うべきもののうち、未払のものについても必要経費になります。
それらは未払経費として計上されます。
ただしその年に支払った金額を、前年以前において既に未払金として計上している場合には、経費として計上することはできません。
その年中に支払った経費の中で、次の年以降の期間に対応するのが含まれている場合にはその部分は経費になりません。
つまり、前払い経費は、経費になりません。
減価償却の計算
建物や機械装置などの、支払った金額がそのまま経費になるのではなく、ある期間(数年など)にわたって分割して経費計上していく減価償却があります。
減価償却は、耐用年数を割り出し、償却率を国税庁のホームページから算出し、計算していく必要があります。
減価償却になる例としては、次のようなものがあります。
- 建物
- 機械装置
- 船舶
- 車両運搬器具
- 工具
- 器具装備
- 漁業権
土地や建設中の建物、使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の少額減価償却資産などは対象になりません。
収支内訳書や青色申告決算書の作成
以上の手続きを終えたら、経費や収入のデータから、白色申告の場合には収支内訳、書青色申告の場合には、青色申告決算書を作成します。
控除額の事を考えると、青色申告することをお勧めしますが、その際には簿記の知識が必要となります。
しかし最近ではオンラインのソフトウェアが出ており、そのソフトウェアを使えば収入と支出や棚卸したデータを入力するだけで、簡単に青色申告決算書を作成してもらえるものがあります。
月1,000円もしない程度で、そのような手間がなくなるのでおすすめです。
個人事業主と経理処理について
個人事業者の中でも、従業員のいないフリーランスの方は、メイン業務が多く、なかなか経理処理に時間を回せないかもしれません。
個人事業主と経理処理について詳しく見ていきましょう。
個人事業主に経理処理がなぜ必要か?
個人事業主が決算書を作る必要があるのは、確定申告で必要な事と、運営状況を把握するということです。
確定申告で必要なため、決算書を作るということはどの個人事業主も行なっていることでしょう。
しかし、決算書を見直して、状況を見直しているという個人事業主は少ないかもしれません。
決算書から何の項目が経費として多くかかっているのか、そしてそこから売り上げがどれだけ出ているのかを把握することで、より効果的な運営に修正していくことができます。
忙しい個人事業主が経理処理するために
忙しい個人事業主が、経理処理していくためにはいくつか工夫できることはあります。
第1に会計処理ソフトや税理士を利用するということです。
会計処理ソフトを使うのは少し面倒に感じる方もいらっしゃいますかもしれませんが、税理士に会計をお願いする場合にも、個人事業における経費と収入については報告することになります。
税理士にお願いしてもいいですし、ソフトの管理画面でそれらを入力することで、青色申告書を作成することもできます。
2つ目の個人事業主の経理処理に大切なこととしては、毎月分割して経理処理するということです。
毎月行うことで経理処理する時間を少なくすることができます。
個人事業ではなく法人の決算月はどうやって決める?
個人事業主ではなく法人の場合の決算月は、自由に決めることができ、その決め方は色々あります。
一般的なイメージでは3月や12月が多いように感じますが、国税庁のデータでは全体的に分散しています。
法人の場合における決算月の決め方としては、節税ができるような月にしたり、繁忙期を避けて経理処理がしやすい月にしたり、税理士や公認会計士が忙しくない時期を決算月としたりすることができます。
設立手数料0円の会社設立サポート
個人事業主の方でも事業拡大などに伴い、会社設立を考えている方もいるかもしれません。
初めて会社設立する方は、以下のような悩みがあるかもしれません。
- 個人事業と法人の違いやメリットデメリット分からない
- 少しでも早く会社を設立したい
- 会社設立費用を安く、会社設立後の費用も安く抑えたい
- 賢く節税したい
そんな方には、代行費用0円で、安くて早い会社設立の方法があります。
合同会社の設立の場合には6万円、株式会社設立の場合は202,000円で行えます。
司法書士を利用して会社設立した場合よりもちろん安いですし、ご自身で会社設立する場合よりも安く済みます。