合同会社(株式会社)には不可欠!会社設立と社会保険義務の関係を整理してみましょう

会社設立し法人化すると、原則的に社会保険への加入が必須となります。
個人事業主とは違い、ここが合同会社や株式会社を設立した場合の大きな違いになります。
メリットにもデメリットにもなりうる、会社設立後の社会保険加入についてここで解説します。

社会保険は健康的な生活を営む上で重要な制度ですが、一方で会社の財政を圧迫する要素にもなります。
しっかり社会保険について理解していただき、会社設立の可否を含めて検討材料にしてください。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

社会保険とは何?

社会保険は、国や地方公共団体が主体となって運営・管理する社会保障制度です。
日本国憲法では25条で「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されている(はず!)ので、それを支える公助、共助の1つの形として、みんなでお金を出し合って困った人を助ける制度として社会保険制度が整備されています。

狭義の社会保険は以下のものを指します。

健康保険(社会保険)

いちばんなじみのある社会保険制度です。病気やけがで病院にかかわった時、3割負担などで済むのは、保険料として会社や個人から集めたお金を充当しているからです。

医療給付や手当金などを支給して、生活安定を目的としている社会保険です。
大きな病気で手術をした時なども、支払い医療費に上限があり、経済的に助かるのは、健康保険があるからです。
企業の健康保険を「社会保険」(社保)と呼ぶこともあります。

会社の経営者、役員、社員、およびその扶養家族が加入します。
社保に入れない人は市区町村の国民健康保険に加入しますが、会社設立した場合、国民健康保険に加入することはなく、社保への加入となります。

厚生年金

20歳になると国民年金に加入しますが、実は国民年金だけでは支給額が心もとなく、老後の生活が不安になります。厚生年金は、厚生年金法に基づくもので、企業経営者やその労働者を対象とした公的年金制度になります。

ご存知のように、日本の年金制度は3段階に区別されていて、1階部分が国民全員に加入義務のある「国民年金」、2階部分には職業に応じた上乗せ給付を行う「厚生年金」になります。
企業は「厚生年金」としてこの1階と2階の部分を加入者と企業で折半して支払う義務があります。

企業負担によって、老後に受け取れる年金の金額を増やすという制度になっています。

介護保険

2000年に創設された比較的新しい社会保険制度で、病気や加齢、ケガ等によって要介護認定または要支援認定を受けたときの介護サービスを受けることができます。

それまでは「介護は家族の義務。日本の美風」という風潮でしたが、それでは共倒れする家族が増えるため、大きく政策転換しました。

高齢化社会を支える重要な制度であり、その一部を会社負担することも社会的責務となっています。

健康保険(社会保険)医療サービスを受けるときの給付
厚生年金年金の2階建て部分を会社の年金で構成する
介護保険40歳以上が支払う老後等のための介護保険
会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

社会保険とは少々違う労働保険についても知っておこう

狭義の社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)の他にも、社会で刺させる制度があり、これを労働保険と言います。

法人及び従業員を常時5名以上雇っている個人事業主は法律によって下記の「労働保険」への加入も義務となっています。

労災保険

「労災」という言葉を聞いたことはほとんどの人があるはずです。
労災は労災保険の略称で、経営者や社員が業務上あるいは通勤時における負傷、疾病、障害、死亡などに備えるための公的保険です。

病菌での治療費に加えて働けない期間の賃金も一定額保障します。
労災保険料は会社が全額を支払います。

仕事上のケガで重い障害を負い、働けなくなった場合などはここから障害給付や傷病給付が支払われます。
「傷病手当金」と似ていますが、こちらは健康保険のカテゴリになり、仕事と無関係の病気やケガの保障になります。

雇用保険

「失業手当」「失業保険」と言い換えるとイメージしやすいかもしれません。
雇用保険とは、雇用保険法に基づくもので、従業員が失業した場合などに適用される制度です。

失業した人がハローワークに通い受給する失業手当は、税金ではなく、各企業や社員が毎月保険として積み立てていた原資から支払われるものです。

  • 失業手当
  • 再就職お祝い金(失業手当受給前などに転職が決まると一時金が支給される)
  • 教育訓練給付制度(ハローワークに通いながら学校や通信講座を受講すると、受講料や授業料の一部が支給される)

などは雇用保険から支出されるものとなります。

この労働保険と狭義の社会保険を合わせて(広義の)社会保険という場合もあります。
狭義の社会保険は、通常生活していれば必ず直面する問題ですが、労働保険については労災事故に遭わない人の方が多いでしょうし、一度も転職せずに勤め上げれば、雇用保険(失業保険)を給付されない人もいるので、なじみがないかもしれません。

医者にかからない人はいませんが、弁護士や司法書士とは縁がない人は多い、という対比に似ていますね。

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合同会社、株式会社の社会保険加入義務

合同会社、株式会社も含めてすべての会社には原則として社会保険への加入義務があります。
会社を設立した以上、社会保険についても整備するのが経営者の義務となります。
それができない人は会社設立すべきではありません。

社会保険への加入は法的義務

社会保険の加入義務がある事業所は健康保険法・厚生年金保険法などで規定されています。
以下のいずれかに該当すれば、原則的に事業者は社会保険へ強制加入となります。

  • 国、地方公共団体、法人で常時従業員を使用する事業所
  • 個人事業主で法定16業種に該当し、かつ常時5人以上を雇用する事業所

会社設立すれば合同会社であれ株式会社であれ「法人」ですので問答無用で1に該当します。
つまり、法的に社会保険への加入が義務となり、それを果たせない場合は、違法行為となります。

加入義務があるにもかかわらず社会保険に未加入の場合、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」の対象となります。
刑事罰だけでなく行政罰の可能性もあり、対外的にもまずいことになります。

会社なのに社会保険加入義務がないケース

合同会社、株式会社の場合、社会保険への加入が「原則」義務になると書きました。
「原則」ということは「例外」もあります。
社会保険への加入義務の例外についても触れておきます。

役員のみで従業員(社員)がいない場合の雇用保険や労災保険

雇用保険や労災保険はあくまで社員が退職した場合や業務でケガや病気に至った時の保険です。
失業手当、労災給付は雇用されていた人が受給できるもので、経営者は受給できません。
したがって、雇用契約のある従業員がいない会社、つまり、代表取締役の一人会社や、役員だけの会社の場合、雇用保険や労災保険については加入義務がありません。

役員の報酬がゼロまたは極めて低い場合

役員だけの会社の場合、雇用保険の義務はありませんが、健康保険や厚生年金については整備して支払う義務があります。
しかし、例外的に、それらの役員は無報酬やほとんど報酬をもらっていない実質ボランティアの場合、社会保険を整備しなくてもよいとされています。

社会保険料は役員報酬や給料から天引きされますが、これが、例えば1万円なら、すべて払えませんし、払ったら給料が0円になってしまいます。そうしたケースでは、社会保険料は支払う義務がないのです。

その場合、実質個人として、国民健康保険や国民年金を支払うことになります。
これらの義務は免れるものではないのでご注意ください。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

社会保険に加入すると会社にどのくらい支出がある?

会社設立した時点で、上記の社会保険加入義務がないケース以外強制的に社会保険に加入し、その料金を会社の費用として支出しなければなりません。
それができない場合や嫌な場合は、会社設立せず個人事業主としてやるしかありません。
個人事業主も場合も、従業員が5名以上の場合は会社と同様に社会保険に加入する義務があります。

社会保険に加入すると、労働者(経営者、役員も含む)と会社(合同会社、株式会社ともに)でその社会保険料を分担して負担することになります。
それぞれの社会保険の会社と個人の分担割合は下記のとおりです。

社会保険名会社と個人の負担割合(最低)
健康保険会社と従業員で折半(50%)
厚生年金会社と従業員で折半(50%)
介護保険会社と従業員で折半(50%)
雇用保険会社と従業員双方で負担(料率は毎年変わる)
労災保険全額会社負担

細かい計算式は省略しましたが、かなり会社負担の社会保険料があり、その金額もばかにならないことがわかります。
上記の数字は折半の最低割合であり、「超ホワイト企業」と呼ばれる会社の中には、健康保険料の会社負担が50%ではなく3分の2(66%)だったり、全額会社負担だったりする(この場合、社員の手取り給与は大きく増えます)ところもあります。

会社が法で決まっている割合以上を負担するケースは問題ないですが、個人に法的割合以上を負担させる(例:健康保険料の70%を個人負担)のは違法で許されません。

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会社設立後の社会保険への加入手続きの流れを簡単に解説

会社設立後一定期間内に会社として社会保険加入の手続きを行う必要があります。
合同会社、株式会社ともに必要なステップになります。

健康保険、厚生年金保険、介護保険

健康保険や厚生年金保険はともに年金事務所が窓口になります。

会社設立後5日以内に下記の書類を最寄りの年金事務所に提出しなければなりません。

  • 新規適用届
  • 新規適用事業所現況書
  • 被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 国民年金第3号被保険者の届け出(被扶養者がいる場合)
  • 設立した会社の商業登記簿謄本
  • 保険料の口座振替依頼書
  • 事務所の賃貸借契約書(コピー、賃貸の場合)

雇用保険

次に雇用保険です。
社員がいない(すべて役員や1人会社)の場合は不要です。
下記の書類を最寄りのハローワークに提出します。

従業員(社員)を雇用する事業を開始した日の翌日から10日以内に下記の書類を提出します。

  • 雇用保険適用事務所設置届
  • 会社の商業登記簿謄本
  • 労働者名簿(雇用される人の名簿)
  • 賃金台帳
  • 出勤簿
  • 労働保険関係成立届(雇用した人との労働契約の書類)の控え、コピー

さらに、翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出します。

労災保険

最後が労災保険です。
こちらも、役員社員のみの従業員がいない(すべて役員や1人会社)の場合、提出不要です。
今後、従業員を雇う計画の場合、あらかじめ所定の「労働保険の確定保険料申告書」を提出しておく方法もあります。

従業員を雇用した日の翌日から10日以内に以下の書類を労働基準監督署に提出します。
ハローワークではないので注意してください。

  • 保険関係成立届
  • 会社の商業登記簿謄本
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 出勤簿
  • 就業規則(従業員10名以上の場合)

その後、保険関係が成立した50日以内に、「労働保険概算保険料申告書」を各都道府県の労働局に提出します。

このように社会保険の手続きは煩雑で、しかも従業員を雇用する場合は複数の行政機関に手続きをすることになります。
会社の設立登記の方が簡単かもしれません。

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社会保険のプロは社会保険労務士!しかし・・

このように合同会社であれ株式会社であれ、会社設立をすると、社内の社会保険整備から逃げることはできません。

年金事務所やハローワークに社会保険関連の届出が必要であり、そのためにはプロフェッショナルである「社会保険労務士」の手助けが必要です。
社会保険労務士に一連の手続きを依頼することで業務負担が軽くなります。

一方、社会保険労務士に依頼する業務は一時的なものが多く、ひとたび社会保険を整備すれば、よほどのことがない限り大きな変更はありません。
社会保険労務士との付き合いもそれほど多くないということです。

もし、社会保険関連の整備を、会社設立前から相談しているところが請け負ってくれればありがたいですよね。
そして、本当に大事なのは合同会社や株式会社設立後の、日々の会計や財務、資金調達、法人税の申告などのはずです。
ここまでトータルでお願いできるところがあれば、とてもありがたいことをご理解いただけるはずです。

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つまり、社会保険関連の業務については、提携した社会保険労務士が行い、ワンストップサービスを途切れさせることなく、みなさまの会社を軌道に乗せます。

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社会保険関連は未整備ですと、ペナルティもあるため無視できません。
必ずしっかりしたものを作り上げましょう。
お力になれるようがんばります!

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