【税理士が解説】合同会社の税金とは?税金面での株式会社との違いも詳しく解説

会社を設立する際に、選択する法人形態は事業運営において大きな影響を及ぼします。特に重要なのが、法人化した際に発生する税金の違いです。日本で一般的に設立される会社形態として、合同会社株式会社がありますが、両者には税金の計算方法や負担のされ方に大きな違いがあります。これらを理解しておくことで、事業運営の効率化や節税対策を行いやすくなります。

この記事では、合同会社と株式会社の税金の違いを詳しく解説し、どちらの会社形態が自分の事業に最も適しているかを判断するための情報を提供します。

まずは、合同会社と株式会社の基本的な特徴について確認しておきましょう。両者の違いは、税制に限らず、設立費用や経営体制にも影響を及ぼします。

1. 合同会社の特徴

合同会社(LLC:Limited Liability Company)は、2006年の会社法改正により導入された法人形態で、少人数での設立が可能で、設立費用が安いことが特徴です。合同会社の最大の特徴は、社員(出資者)が経営に直接関与できる点で、株主総会や取締役会を必要としません。このため、意思決定が迅速であり、柔軟な運営が可能です。

2. 株式会社の特徴

株式会社(Joint Stock Company)は、日本で最も一般的な法人形態であり、株式を発行して資金調達を行うことができるのが特徴です。株式会社は、株主と経営者が分離しており、取締役会や株主総会を通じて経営の意思決定が行われます。規模が大きい会社や資金調達を重視する企業が選択することが多いです。

合同会社と株式会社の税金に関する違いは、法人設立後の運営において重要なポイントです。具体的には、法人税や法人住民税、消費税、さらに役員報酬の取り扱いなどに違いがあります。

1. 法人税

まず、合同会社と株式会社のどちらを選択しても、法人税の税率は基本的に同じです。法人税は、会社の所得(利益)に対して課される税金であり、その税率は所得金額に応じて変動します。

  • 所得800万円以下:税率は15%
  • 所得800万円超:税率は23.2%

法人税自体は合同会社でも株式会社でも差はないため、事業規模が同じであれば、法人税の負担額も基本的には同等です。しかし、合同会社は利益が社員に直接分配されるため、個人の所得税にも影響が出る点が特徴です。

2. 法人住民税

次に、法人住民税ですが、こちらも合同会社と株式会社で大きな違いはありません。法人住民税は、会社の所在地の自治体に支払う税金で、事業所がある場所ごとに自治体の基準で算出されます。法人住民税には「均等割」と「法人税割」があります。

  • 均等割:赤字であっても発生する税金で、資本金や従業員数によって異なります。例えば、資本金1,000万円以下、従業員50人以下の企業の場合、均等割は年間7万円です。
  • 法人税割:法人税額に基づいて算出される税金で、法人税額の**6〜10%**が課されます。

3. 役員報酬と給与所得控除

合同会社と株式会社の税制上の違いで重要なのが、役員報酬の取り扱いです。株式会社の場合、役員報酬を法人の経費として計上することができます。これにより、会社の利益を圧縮し、法人税の課税対象を減らすことが可能です。

一方、合同会社では、出資者がそのまま経営者となるため、役員報酬という形ではなく、利益配分として所得を受け取ります。この利益配分は法人税ではなく個人の所得税として課税されるため、節税効果は低くなる場合があります。

株式会社では、役員報酬を経費として計上できるため、会社の利益を圧縮し、法人税の課税額を減らすことができる一方、合同会社ではその分、配当として課税される可能性があります。

4. 消費税

消費税の取り扱いも合同会社と株式会社で大きな違いはありません。両者ともに、資本金1,000万円未満で設立された場合、設立から2年間は消費税が免税される特典があります。3年目以降は、売上高に応じて消費税を納付する必要があります。

5. 登録免許税

会社設立時にかかる費用として、登録免許税があります。登録免許税は、会社を設立する際の初期コストであり、合同会社と株式会社で費用が異なります。

  • 合同会社:登録免許税は6万円
  • 株式会社:登録免許税は資本金の0.7%または15万円のいずれか高い方

このように、初期コストにおいて合同会社の方が安く済む点は、特に少額でスタートしたい事業者にとって魅力的なポイントです。

税金以外の費用や管理の面でも、合同会社と株式会社にはいくつかの違いがあります。特に、設立後の運営コストや管理の複雑さが大きな違いを生みます。

1. 設立費用の違い

合同会社の設立費用は株式会社に比べて低コストであり、特に初期投資を抑えたい場合にメリットがあります。合同会社は設立費用が6万円程度で済む一方、株式会社は最低でも15万円の登録免許税がかかるため、設立費用だけでも大きな差が生まれます。

2. 管理の複雑さ

株式会社では、取締役会や株主総会の開催が法律で義務付けられており、これに伴う事務作業や管理コストが発生します。一方、合同会社は、株主総会や取締役会を設置する必要がなく、運営がシンプルである点が大きな特徴です。このため、合同会社の方が管理コストを抑え、経営の自由度を高めることができます。

合同会社と株式会社のどちらを選ぶべきかは、事業規模や目指す経営スタイルによって異なります。以下に、どのようなケースで合同会社が適しているか、または株式会社を選択すべきかを考えるポイントを示します。

1. 合同会社が適しているケース

合同会社は、小規模なビジネスやスタートアップ、個人事業主の法人化に適しています。特に以下の条件に当てはまる場合は、合同会社を選ぶメリットが大きいです。

  • 初期費用や設立コストを抑えたい
  • 少人数で経営を行いたい
  • 経営に柔軟性を持たせたい
  • 取締役会や株主総会などの煩雑な手続きや運営管理を避けたい

2. 株式会社が適しているケース

一方、株式会社は、将来的に大規模な事業展開を視野に入れている場合や、外部からの資金調達を重視する場合に適しています。以下のようなケースでは、株式会社を選ぶことが推奨されます。

  • 外部の投資家や株主からの資金調達を行いたい
  • 事業規模を拡大し、多くの従業員を抱える予定がある
  • 信頼性や社会的評価を高めたい

合同会社のメリット

  • 設立コストが低い
  • 経営に柔軟性があり、迅速な意思決定が可能
  • 株主総会や取締役会が不要で、管理が簡単
  • 利益を出資者に直接分配できる

合同会社のデメリット

  • 外部からの資金調達が難しい
  • 株式会社に比べ、信頼性や社会的評価が低い場合がある
  • 役員報酬ではなく利益配分が課税対象となるため、節税の効果が限定的

株式会社のメリット

  • 外部からの資金調達が容易で、株式の発行により資本を増やせる
  • 社会的な信頼性や知名度が高い
  • 役員報酬を経費として計上できるため、節税効果が高い

株式会社のデメリット

  • 設立費用や運営コストが高い
  • 取締役会や株主総会など、管理が煩雑
  • 利益をすべて出資者に還元できない

合同会社と株式会社の税金の違いや設立・運営コストの違いを理解することは、事業のスタートを成功させるための重要なポイントです。合同会社は、少人数やスモールビジネス向けに適した柔軟な経営が可能で、コスト面でも優れています。一方で、株式会社は、社会的信頼や資金調達の面で優位性を持ち、大規模な事業展開を考えている場合に適しています。

事業の規模や目標に応じて、どちらの法人形態が最も適しているかを慎重に検討し、最終的な判断を下すことが重要です。

ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

LINEでの会社設立相談はこちらから
会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
>会社設立バイブル

会社設立バイブル

家にいながらオンラインで簡単に会社設立!

外出自粛に完全対応します! コロナショックの今だからこそ、動いて準備するか、そのままでいるかで、きっと一年後に大きな差となります。 まずはお気軽にお問い合わせください。

CTR IMG