「会社設立の時の印鑑証明は誰のものが何枚必要で、どこに提出したらいいのかよく分からない」
会社設立時の手続きの中でも、印鑑証明の取り扱いについて、わかりにくいとお考えの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
印鑑証明は普段あまり発行することのない証書なので、いざ発行となると戸惑ってしまいますよね。
会社設立に使うとなると、なおさらですよね。
この記事では、会社設立に必要な印鑑証明について網羅的に記載しています。
会社設立時の印鑑証明について、いまいち分からないという方は、ぜひ内容をご確認ください。
会社設立に必要な印鑑証明書とは?
会社設立に必要な印鑑証明とは、どんな証書なのか?ということをくわしく解説していきます。
印鑑証明書は本人の実印であることを証明する書類
印鑑証明書とは、個人の実印であることを証明するための証書です。
個人の実印は住民登録をしている自治体で実印を登録申請し、受理されたものを指します。
会社設立の段階では、実印として登録された発起人や取締役の印鑑証明書が必要です。
日本において印鑑とは本人の承諾を証明するサインのようなもので、大事な契約の時など、実印の押印が必要とされるケースが多々あります。
会社設立においても、他人のなりすましを防ぐために、実印として登録している証拠となる印鑑証明書が必要なのです。
会社の実印と代表取締役の実印は別物
混同してしまいがちですが、会社の実印と代表取締役の実印は全くの別物です。
会社にも実印が存在し、他人が勝手に契約しないように実印を登録する制度が法人にも用意されています。
会社設立時に使った代表取締役の実印の他に、会社の実印を用意して印鑑登録しなければいけません。
個人と会社の実印を用意することで、唯一無二の会社であることを証明するのです。
印鑑制度は面倒ですが、現状日本において契約を正当化するために重要なツールとなっていますので、真似されにくいしっかりとした実印を用意しましょう。
会社設立における印鑑証明書の提出先
会社設立する時の印鑑証明書の届出先を目的と合わせて解説します。
定款作成のため公証役場に提出
会社設立に必須となる定款を作成するために、公証役場へ印鑑証明書を提出します。
株式会社の場合、定款には発起人全員の実印の押印が必要です。
発起人の印鑑が本人のものと証明するために、印鑑証明書は発起人の人数分必要となるのです。
印鑑証明書の提出をもって、正式に定款の承認を受けることができます。
合同会社の場合定款の作成は必要ですが、公証役場への提出は必要ありません。
定款には出資者全員の氏名、住所の記載が必要となり、その字体は印鑑証明書通りでなければいけません。
- 定款作成のため公証役場へ提出
- 印鑑証明書の枚数は発起人の人数分
登記申請のため法務局へ提出
会社の存在を公に明らかにするために、法務局で会社の登記を行います。
その時に印鑑証明書が必要となるのですが、取締役会を置く場合、代表取締役のみの印鑑証明書が1通、取締役会を置かない場合、取締役全員分の印鑑証明書が1通ずつ必要となります。
取締役会とは、業務を運営するための意思決定機関です。
設置は必須ではありませんが、ある程度の人数で創業する場合、設置しておくと良いでしょう。
合同会社の場合、出資者全員の印鑑証明書は必要なく、代表社員の印鑑証明書だけ必要となります。
- 会社登記のために法務局へ提出
- 取締役会を置く場合、代表取締役の印鑑証明書が1通、取締役会を置かない場合、取締役全員分の印鑑証明書が1通ずつ必要
会社設立に必要な印鑑証明書の必要枚数
提出先は公証役場と法務局ですが、それぞれの必要枚数をまとめると
- 公証役場には発起人の数だけ印鑑証明書が必要
- 法務局へは、取締役会を置く場合、代表取締役の印鑑証明書が1通、取締役会を置かない場合、取締役全員分の印鑑証明書が1通ずつ必要
取締役会設置の有無によって必要枚数が変わる点に、注意が必要です。
実印の登録がないと印鑑証明書の発行はできませんので、まだ未登録の場合、先に登録の手続きを進めます。
この決まりをもとに、誰の印鑑証明が何枚いるのか、を理解し用意しておきましょう。
合同会社の会社設立に必要な印鑑証明書
合同会社の場合は、法務局へ会社登記のために代表社員の印鑑証明書が1通必要となります。
合同会社の場合、会社設立時に公証役場に印鑑証明書を提出する必要はありません。
提出の手間がない分楽に思えますが、第三者によるチェックがない、というデメリットにもなりますので、最後の確認は自社で確実に行わなければいけません。
しかし、記載する名前や住所は印鑑証明書と完全一致が求められます。
印鑑証明書の発行が必要な人
会社設立において印鑑証明書を発行して提出が必要な人を、あらためてまとめます。
発起人
発起人の人数分だけ印鑑証明書が必要となり、公証役場や法務局へ提出しなければいけません。
発起人とは会社を設立する際に必要となる人物で、定款の作成、資本金の出資、などに携わります。
会社設立後は出資した資本金の額に応じて株式が発行され、以後会社の運営に携わっていきます。
取締役
代表取締役も人数分だけ印鑑証明書が必要となり、発起人と同じく公証役場や法務局への提出が基本ですが、取締役会を設置する場合、法務局に代表取締役の印鑑証明書のみを提出するだけでかまいません。
取締役とは、会社運営の意思決定、監督に携わる役職で、昔の幕府に存在した5大老のような役職です。
大雑把な言い方では、役員や幹部と呼ばれることもあります。
取締役は最低1名以上必要とされていますが、取締役会を設置する場合、最低3名が必要となります。
印鑑登録から印鑑証明書の発行まで
実印の作成や印鑑の登録を済ませていない方は、少々時間がかかる作業となります。
印鑑の登録から、印鑑証明書の発行まで、一通りの流れを解説します。
印鑑登録を行う
印鑑を登録するためには。住民登録している自治体の窓口に実印にしたい印鑑と、顔写写真つきの本人確認書類を提出し、実印の登録申請を行います。
普通の銀行印と同じようなシンプルなものを実印として登録する個人の方もいますが、真似されると困りますのでできるだけ複雑な印章を作成するようにしましょう。
ここで登録された印鑑が個人の実印となり、会社設立に利用されます。
印鑑カードをもらう
印鑑登録は、実印にしたい印鑑と本人確認書類を、自治体の役所窓口へ提出し印鑑登録を行えば、その日のうちに登録が完了します。
登録が完了すると、印鑑カードという実印が記されたカードを受け取ることができます。
印鑑登録証明書の発行申請
印鑑登録は窓口での手続きが必要ですが、登録が完了すると、コンビニのマルチコピー機や、役所に設置されているマルチコピー機やサービス機で、印鑑証明書の発行の手続きを行い、取得することができます。
実印を登録するまでは、多少手間がかかりますが、印鑑証明書の発行は簡単にできます。
会社設立時の印鑑証明書を取得する手間は、さほどかかりません。
まとめ 提出先は2箇所、発起人と代表取締役の提出が必要
印鑑証明書は定款作成のために公証役場、会社登記のため法務局へ、発起人と取締役の人数分の提出が必要です。
取締役会を設置する場合、取締役の印鑑証明の提出は代表取締役のみでも可となります。
合同会社は、定款作成のための印鑑証明書の提出は必要ありません。
法務局への提出は代表取締役一人のみで可となっています。
印鑑証明書の取得は簡単に行うことができますが、実印の作成や印鑑登録は少々時間がかかりますので、あらかじめ実印を用意しておきましょう。