株式会社の役員と株主の違いについて解説。取締役と株主の兼任は?

普通の株式会社って役員が自社の株を持っているのでは?

株主と役員の関連性について、案外知らない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、株式会社を設立するにあたって重要になる、役員と株主について記事にしています。

会社の組織について知りたい方はぜひ、記事内容をご確認ください。

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株主と役員はどう違うの?

株主と役員はどのような立場で会社との関連性を持っているのでしょうか。

株主と役員の立場から解説します。

出資者である株主

株式会社は元手となる資金を出資してくれる人のもとで成り立ちます。

したがって、資本金を出してくれる人のことを株主と呼びます。

株主は出資する代わりに、そのお金で儲けて還元してほしいという意図のもとに出資をするのです。

会社が利益を出して純資産が増えることで、会社の価値も上がりますので、結果として株主の財産が増えることとなります。

会社の利益で配当金をもらったり最終的には、IPOやM&Aを経て誰かに売却し利益を受けようとする意図もあります。

株主は純粋に儲けるために会社へ出資するのです。

株式会社の役員の定義

株主は会社を成長させ儲けたいと考えているので、優秀な人に会社を経営してもらいたいと思っています。

その役割を受け持つのが代表取締役です。
株主は取締役を選ぶ権利を持っており、うまく運営してくれそうな人を取締役に選びます。

取締役の中の代表者が代表取締役となり会社を運営していくのです。

中小企業の場合、優秀な人を招くことが難しいので株主や親族が代表取締役となるオーナー社長のケースが多く見られます。

株式会社の役員の上には株主が存在し、役員はうまく経営できない場合、クビにされてしまう可能性がある立場なのです。

役員と株主を兼ねる一人株式会社も可能

一人株式会社は2006年の会社法改正により創業可能となりました。

株式会社を設立するには、資本金1,000万円、取締役3人以上という決まりがありましたが、資本金1円以上、取締役1人以上と改正されました。

これによって、一人で株主と役員を兼ねる一人株式会社が可能となったのです。

個人事業主との違いは法人格の有無のみです。

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株主総会と取締役会の違い

株主総会や取締役会は大事なことを決める会議です。

株主総会は株主が参加し、取締役会は取締役が参加します。

会議内容の違いは決議できる内容です。

以下、詳しく解説します。

株主総会とは

株主総会は出資者である株主が集まり、会社の運営方針などを話し合い決める会議です。

株主総会での決定事項

株主総会での決議事項は以下の通りです。

  • 定款の変更、解散や合併などの会社組織そのものに関する事項
  • 計算書類の承認や株主の利益に直結する事項
  • 取締役などの役員の選任や解任事項
  • 役員報酬について法律を逸脱しないようにするための取り決めについて

株主総会の開催にあたっては、議事録をしっかりと作成し、株主と経営陣がもめないようにすることが重要です。

正しい議事録を残したい場合は、司法書士のような専門家へ相談しましよう。

取締役会とは

株主総会に対して、日常的な業務に関する取り決めを行う会議が取締役会です。

法律に関する重要な事柄は取締役会では決議できません。

取締役会は3人以上の取締役が必要となりますので、一人株式会社では取締役会を開催できません。

取締役会での決議事項

取締役会では、会社のトップとなる役員が集まり、会社における重要な事項を決めていきます。

取締役会で決めること(決議事項)は以下のとおりです。

取締役会では、会社の役員が集まり会社の重要な事柄を決めます。

取締役会での決定事項は以下の通りです。

  • 重要な財産の処分及び譲受け
  • 多額の借財支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
  • 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  • 社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
  • 内部統制システムの構築に関する決定
  • 定款の定めに基づく取締役会決議による役員及び会計検査人の会社に対する責任(426条1項、423条1項)の免除

取締役会でも株主総会と同じく、議事録を残します。

議事録の作成だけでなく、出席した取締役や監査役は確認の意味を込めて、署名や記名押印を行います。

取締役会において、議事録に署名することは取り決めや決議に賛同したという意思を示す行為でもあるのです。

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役員と株主の関係

株主と役員は所有と経営の分離によって、役割が分担されています。

例外も含めて、詳細を解説します。

株主と役員の分離

株式会社には所有と経営の分離、という考え方があります。

コーポレート・ガバナンスの観点から、企業の株主と経営を分離させることが望ましい、という考え方です。

特別議決権を持つ株主が経営に参加すると、経営の客観的な評価ができず経営者の勝手な判断を許す危険性があります。

会社の暴走を防ぐため、株主と経営陣を分離し、株主は会社の状態を客観的に判断する立場から、構造的な健全性を保ちます。

経営と株主を分離することで、さらなる資金調達が可能となり、人材も幅広く採用できます。

結果的に、株主と役員の分離は会社の発展に寄与することになるのです。

非公開会社では株主=役員が認められる

株主と役員の分離は健全に会社を運営するにあたって、大事な要素であり、会社法でも役員が株主でなければならない旨を定款で定めることができないと記載されています(会社331②・335①)。

しかし、非公開会社についてはこの限りではなく、会社法331条2項ただし書及びこれを準用する335条1項は、「公開会社でない株式会社においては、この限りでない。」と記載されています。

非公開会社は所有と経営の分離が公開会社ほど進んでいませんので、会社経営や監査に多くの人材を確保するという要請はありません。

定款のルールに基づいて、非公開会社ならではの措置も許されると考えられています。

非公開会社は株主どうしの人間関係が強く、株主の変動が少ないので役員を株主に限る要請が強いことも、一因として考えられます。

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株主の持株比率の重要性

株式は株式会社にとって、資金調達の手段であるとともに議決権の行使により、会社の運営に参加できるという大事な効力をもっています。

以下、株主の持ち株比率の重要性について解説します。

持株比率によって行使できる権利

持株比率によって行使できる権利は以下の通りです。

  • 持株比率1%超 株主総会の議案請求権
  • 持株比率3%超 株主総会の招集請求権と会計帳簿の閲覧、謄写請求権
  • 持株比率33.4%超 株主総会の特別決議を単独で否決できる
  • 持株比率50%超 株主総会の普通決議を単独で可決できる
  • 持株比率66.7%超 株主総会の特別決議を単独で可決できる

特別決議の可決は主に以下のような内容が挙げられます。

  • 自己株式の取得に関すること
  • 募集株式の募集事項にういて
  • 事業譲渡について
  • 合併や分割などの組織改編について

持株比率が3分の1を超え始めたあたりから急に、権力が強くなることがよくわかります。

理想的な持株構成比率

持株比率による権力の違いを見ると、持株比率は正しく構成されていないと会社が健全に運営されないことがよくわかりました。

では、理想の持株構成比率は、どうなっているのでしょうか。

理想の持株構成比率は、経営者や安定株主の合計持株比率が66.7%を超えていることです。

過半数の株式を抑えておけば、会社をのっとられることはありません。

その他の細かい比率については自社の現状と、同業他社の持株構成比率を参考にします。

理想の持株構成比率を実現するには、資本政策を念入りに計画しましょう。

資本政策とは、資金調達や株主構成を加味しながら増資や新株予約権を発行する計画のことを指します。

せっかく会社を大きくしたのに、株式を取得されたおかげで会社の運営を乗っ取られると元も子もありません。

株式上場をすると第三者による株式取得が可能となりますので、適正な持株構成比率を維持できるよう努めましょう。

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まとめ 会社は株主が所有し役員が運営します

株式会社は株主が出資しオーナーとなり、役員で運営を行います。

株主は自らが利益を得るために会社を成長させたいので、有能な役員を任命しようとします。

役員は株主によって交代させられることもあり、客観的な経営分析を行う所有と運営の分離が保たれるのです。

非公開会社は上場会社と異なり、社長が株主を兼ねることもできます。

持株比率によって、会社の運営に携わる権限が大きく異なりますので、株式上場の際は、持ち株比率に注意しないと会社をのっとられてしまいます。

経営サポートプラスアルファでは、株式会社の設立についてもいままでのノウハウにより、的確なアドバイスを差し上げています。

会社設立にお迷いの際は、ぜひ一度ご相談ください。

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