【税理士が解説】株主と役員の違いとは?分かりやすく解説

株主と役員は、会社における重要な立場ですが、その役割や責任は大きく異なります。

本記事では、株主と役員の定義、権利、責任について詳しく解説し、それぞれの違いを理解するためのポイントを分かりやすくまとめます。

定義と役割

  • 株主
    株主は、会社の株式を保有することで会社の所有権を持つ人です。株主は出資者であり、会社の経営には直接関与しませんが、利益の配当を受ける権利があります。
  • 役員
    役員は、会社の経営を実際に運営する立場にある人です。取締役、監査役、執行役員などが含まれ、株主から選任されます。

権限の違い

項目株主役員
権限所有権を持つが経営には直接関与しない経営を執行する立場
決定事項株主総会での重要事項の決定日常的な経営判断を行う
責任出資額以上の責任を負わない経営判断の結果に責任を負う

株主の権利

株主は会社に対して以下の権利を持ちます。

  • 議決権
    株主総会に出席し、会社の重要な事項に対して投票する権利。
  • 配当請求権
    会社が利益を分配する際に、その一部を受け取る権利。
  • 残余財産分配請求権
    会社が解散した際に、残った財産を出資額に応じて受け取る権利。

株主の責任

株主の責任は原則として出資額に限られます。

  • 有限責任
    会社が倒産した場合でも、株主が失うのは出資した資金のみ。追加で負担を求められることはありません。

役員の権利

役員は会社の経営に関して以下のような権利を持ちます。

  • 業務執行権
    取締役として会社の日常業務を遂行する権利。
  • 報酬請求権
    株主総会で承認された報酬を受け取る権利。

役員の責任

役員の責任は、株主に比べて非常に重いものがあります。

  • 善管注意義務
    経営において慎重かつ誠実に行動する義務。
  • 忠実義務
    会社の利益を最優先に考え、自己の利益を優先しない義務。
  • 損害賠償責任
    経営判断によって会社や第三者に損害を与えた場合、その責任を問われる可能性がある。

株主総会

株主総会は、株主が会社の経営に対して意見を述べる場です。

  • 主な決定事項
    • 取締役や監査役の選任・解任。
    • 定款変更の承認。
    • 重要な取引や合併・分割などの承認。

取締役会

取締役会は、会社の日常的な経営を運営するための組織です。

  • 主な決定事項
    • 業務執行の基本方針の決定。
    • 重要な契約や投資の承認。
    • 業務の遂行状況の監督。

株主と役員を兼任することは可能ですが、それぞれの立場での責任を理解しておく必要があります。

  • メリット
    • 経営判断を迅速に行える。
    • 会社の方向性を一貫して進められる。
  • デメリット
    • 責任の範囲が広がる。
    • 利益相反のリスクが高まる。

株主と役員の違いを整理した表

項目株主役員
主な役割出資者として会社を所有経営者として会社を運営
所有権株式を保有無し
報酬配当金役員報酬
法的責任有限責任無限責任に近い
意思決定の関与株主総会での投票日常的な経営判断を行う

株主と役員の関係性は、会社の運営において非常に重要です。

  • 株主が役員を選任
    株主総会で取締役や監査役を選任し、経営を託します。
  • 役員が株主に報告
    取締役会で決定された事項や経営の進捗状況を株主総会で報告します。

株主と役員は、会社の運営において異なる役割と責任を持っています。株主は出資者として会社の所有権を持ち、役員は経営者として会社の運営を担います。それぞれの役割を正しく理解し、適切に協力することで、会社の成長と安定が実現します。本記事を参考に、株主と役員の違いを正しく把握し、より良い経営環境を構築してください。

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