最近では、一つの会社で定年まで働くという概念が崩れつつあり、日本でも転職市場が活発になっているという現状があります。
この流れを受けて、最近人気なのが人材紹介会社の設立です。
そこで、この記事では人材紹介会社を設立するための要件や、人材紹介会社を設立するためにかかるコストについて紹介していきます。
人材紹介会社を設立するための要件とは?
人材紹介会社を設立するための要件は、大きく以下の4つに分れます。
- 資産要件
- 代表者及び役員に関する要件
- 事業所に関する要件
- 適正な事業運営に関する要件
資産要件
人材紹介会社を設立する際には、以下の資産要件を満たす必要があります。
(引用:第31条第1項第1号の要件)
- 資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が500万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数を乗じて得た額以上であること
- 事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が、150万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数から1を減じた数に60万円を乗じた額を加えて得た額以上であること
代表者及び役員に関する要件
代表者及び役員に関する要件は、以下のようになっています。
(引用:法第31条第1項第3号の要件)
- 貸金業、質屋営業を営む者にあっては、それぞれ許可等を受け適正に業務を運営していること
- 風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業その他職業紹介事業との関係において不適当な営業の名義人または実質的な営業を行う者でないこと
- 職業安定局長が指定する者(社団法人全国民営職業紹介事業協会・社団法人日本人材紹介事業協会等)が行う「職業紹介責任者講習」を受講したものであること(許可申請の受理の日の前5年以内の受講に限る)
- 成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること
事業所に関する要件
事業所に関する要件は、以下のようになっています。
(引用:法第31条第1項第3号の要件)
- 予約制、近隣の貸部屋の確保等により、他の求人者又は求職者等と同室にならずに対面の職業紹介を行うことができるような措置を講じること。この場合において、当該措置を講じない運営がなされた場合には、許可の取消し対象となる旨の許可条件を付するものとすること
- 専らインターネットを利用すること等により、対面を伴わない職業紹介を行うこと。この場合において、対面を伴う職業紹介事業の運営がなされたときは、許可の取消し対象となる旨の許可条件を付するものとすること。なお、適切な苦情処理等の実施について必要な指導を行うものとすること
- 事業所の面積がおおむね20m2以上であること
適正な事業運営に関する要件
適正な事業運営に関する要件は、以下のようになっています。
(引用:法第31条第1項第3号の要件)
- 申請者が国または地方公共団体でないこと
- 有料職業紹介事業を会員の獲得、組織の拡大、宣伝等他の目的の手段として利用するものでないこと
- 事業主の利益に偏った職業紹介が行われるおそれのあるものでないこと
- その紹介により就職した者のうち、労働者災害補償保険法施行規則第46条の18第5号の作業に従事する者が、同法第35条第1項の規定により労働者災害補償保険の適用を受けることを希望した場合に、同項に規定する団体の代表者として所定の申請を行うものであること
- 法の条文の内容を含む業務の運営に関する規程を有し、これに従って適正に運営されること。
- 徴収する手数料を明らかにした手数料表を有すること
- 他に名義を貸与するために、または職業紹介責任者となり得る者の名義を借用して許可を得るものでないこと
人材紹介会社を設立するのにかかるコストとは?
人材紹介会社を設立する際には、資本金として500万円が必要になります。
そのほかにも、初期費用としては以下のものがかかるでしょう。
- 法人設立費用
- オフィスレンタル費用
- オフィス入居費用
- 人件費
- 広告宣伝費
- 什器費用
これらの費用を合計すると初期費用だけで、1000万円前後かかることが多いです。
また、人材紹介業の場合は毎月の運営費のなかで、広告宣伝費が大きなウエイトを占めることが多くなっています。
現在、日本でも転職をしてスキルアップをするという考えが増えてきており、転職希望者・求職希望者も多いです。
一方で、人材紹介業の場合は紹介者の想定年収の数%を報酬としてもらう形になります。
そのため、スペックの高い求職者を囲い込むことが必要です。
この際に、多くの広告費を使ってターゲットとしている層に対して、効果的な宣伝を行っていく必要があるでしょう。
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人材紹介会社を設立して成功するポイントとは?
人材紹介会社を設立して成功するポイントは、以下の3つです。
- 1人あたりの生産性を向上させる
- 能力の高い求職者を確保する
- 他社と比較したメリットを提示する
1人あたりの生産性を向上させる
人材紹介会社を設立して成功するためには、コンサルタント一人当たりの生産性を向上させることが重要です。
人材紹介会社の場合、求職者と紹介先の企業の間で働くことになります。
そして人材紹介会社はこの両者の間を人が媒介することで、大きなメリットを生み出すという特徴があります。
一方で、人が必要になるので一人当たりの生産性を高めることができないと、固定費が高くなってしまうというデメリットがあります。
例えば、月に100万円の売上を出している社員に対して、給料を30万円支払うということであれば、70万円分は一人当たりの社員が生み出す利益と考えることが可能です。(実際には、諸経費などもあるのでそのまま利益にならないことがほとんどです。)
一方で、毎月の売り上げが30万円で、その社員に支払っている給料も30万円の場合、その社員がいることでむしろマイナスになってしまうと考えることもできます。
このように、一人当たりの社員の生産性を向上させることができないと、結果として会社は利益をあげることができません。
そのため、人材紹介会社を設立して成功するためには、一人当たりの生産性を向上させるために、まずは社内のコンサルタントの教育を優先させることが重要です。
能力の高い求職者を確保する
人材紹介会社を設立して成功するためには、能力の高い求職者を確保することが重要です。
人材紹介会社のビジネスモデルは、求職者を会社に対して紹介して、その会社から求職者の想定年収の30%前後を報酬としてもらうという形式になっています。
そのため、求職者の能力が高く紹介先の企業から高く評価される場合、想定年収も上がり、その分紹介会社に対して支払われる報酬の金額も高くなるでしょう。
このような背景から、人材紹介会社は能力の高い求職者をいかに確保できるかが重要です。
そして、能力の高い求職者を確保するためには、オフラインでのコミュニティが重要になってくるとも言えるでしょう。
一般的に能力の高い求職者は、ヘッドハンティングのような形で他社に引き抜かれることが多いです。
そのため、ヘッドハンティングができる人材を社内に確保しておいた上で、人脈を基に能力の高い求職者を、自社を通して他の会社に紹介できるような体制を構築できれば、より高い利益率を実現できるでしょう。
また、能力の高い求職者の場合、一つの会社で何年も働くのではなく、複数の会社で働くことも多いです。
そのような場合に、転職の度に自社で仲介することができれば、その度に人材紹介料をいただくことができます。
他社と比較したメリットを提示する
他社と比較したメリットを提示することも重要です。
人材紹介会社の場合、顧客は紹介先の企業だけではなく求職者も顧客に当てはまります。
そのため、他社と比較したメリットは紹介先の企業だけではなく、求職者に対しても提示することが重要です。
求職者に対して提示できる他社と比較したメリットは、「紹介できる企業が多い」「コンサルタントが親身になって相談に乗ってくれる」などがあげられるでしょう。
紹介先の企業に対して提示できる他社と比較したメリットは、「人材紹介手数料が他社よりも低く設定されている」「優秀な人材を紹介できる」「ある一定の分野で高い実績を持っている」などが挙げられます。
このように、他社と比較して自社を使うメリットを明確にすることができると、より多くの紹介先・求職者を確保することができ、結果的に自社として仲介できる案件が多くなるというメリットもあります。
また、他社と比較したメリットを提示できないと、利益が上げにくくなるのも事実です。
人材紹介業の場合、求職者を紹介先の会社に紹介して初めて手数料をいただくことができます。
そのため、求職者に対して仕事を紹介して採用までのお手伝いなどをしても、求職者が他の人材紹介会社も並行して利用していて、会社を紹介したものの他社で紹介された会社の方がよく、そちらで契約をしてしまうと自分のとこの人材紹介会社には、手数料が一切入らないという事態になります。
この点からも、他社と比較をして他社よりも優れているということを訴求することがポイントになってきます 。
まとめ
人材紹介会社は、今後も需要が伸びていく分野と言えるでしょう。
一方で、求職者の方が有利になっているのも事実なので、求職者に対してメリットを提示できることが重要です。
弊社、経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも独立を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。
相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。