足場職人の独立開業について徹底解説!法人化のメリットとデメリットについても紹介

建設現場で非常に重要なのが足場の確保です。

特に高所での作業、高い建物を建設する場合は、足場がしっかりしていないと工事ができません。

足場は大工さんや鳶職の命に直結する重要な仕事です。

すべての建設現場の「骨組み」「土台」は足場であり、堅牢な足場を設置できる職人さんは、現場から重宝されます。

優秀な足場職人の方は、独立しても各建設現場からの引き合いが多く、自分のスキルを売りにして稼ぐことができます。

また、休み等も自分の意見が通りやすく、働き方を選べる立場になります。

優秀な足場職人の独立方法について、今回は解説します。

すでに足場工事に従事されている方はぜひこの機会に独立を考えてみてはいかがでしょうか?

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独立前に改めてチェック!足場職人とはどのような人を指すのか?

まず、今回紹介する「足場」足場職人とはどのような人なのか確認しておきましょう。

足場職人とは鳶職の中でも、特に足場の設営、組み立てに特化した仕事をしている人を指します。

鳶職の仕事は大きく分けて「玉掛け」「足場」「鉄骨」の3大技能があることは知られています。

足場職人は、鳶職の3大技能のうち「足場」に特化し、優れたスキルを持っている職人です。

足場がない建設現場はないわけで、安定した土台を作れる足場職人さんは、どの建設現場でも欲しく、独立開業しても口コミで引き合いがあるはずです。

鳶職には以下の6つの区分けをする考え方もあります。

足場鳶建設現場の足場を設置、組み立てをする鳶職
鉄骨鳶鉄骨とボルトを使用して基盤の骨組みを仕上げていく鳶職
重量鳶数十トン〜数百トンにも及ぶ、大型の機械や高作物などクレーンを用いて作業する鳶職
橋梁鳶橋や高速道路などの建設にかかわる鳶職
町場鳶一軒家、戸建て住宅を担当する鳶職です。鉄筋ではなく木造住宅を担当します。
送電鳶「送電線架線工」と呼び、高所で作業する電気工事士です。
鳶職と電気工事の中間的な位置づけで、電流等の知識も必要になります。

足場職人は、建設現場の足場だけではなくイベントや舞台ステージ、照明などの設営を行うこともあります(舞台やステージも広い意味で「足場」です)。

足場を設営するだけでなく、その撤収や解体も含めて完結させるスキルが求められます。

あらゆる建設現場は足場がないと工事ができません。

その意味では足場職人(足場鳶)はすべての鳶職の中核であり、地味ながらも欠かせない存在ということがわかります。

これなら独立してもニーズは高そうです。

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足場職人は独立して稼げるのか?

実際に足場職人として独立して稼げるのか、他の工事系職人と年収を比較してみましょう。

職人平均年収
足場職人約425万円
大工約350万円
塗装工(塗装職人)約310万円
左官職人(建物の壁や床、土塀を塗る)約380万円

平均年収.jp」より

建設現場にいる職人さんの中で稼げるのは足場職人ということがわかります。

実際に木材を切る大工さんよりも、組み立てた後塗る塗装や左官職人よりも年収が高い、つまり余人をもって代えがたい存在が足場職人ということになります。

足場はどの建設現場、工事現場でも必要であり、また高所の作業を伴います。

ケガのリスクも高いので、相応の対価を受けることができるのです。

年収425万円なら日本の年収の平均値付近であり、自由な働き方ができるメリットも勘案すると独立する価値は大いにありそうです。

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独立して評価される足場職人になるための資格はある?

足場職人として独立後評価される資格は基本的に鳶職と同じです。

鳶職は無資格でもできますが、やはり足場職人の場合もしっかり資格を取得しておいた方がいいでしょう。

足場職人を含めて鳶職の3大スキルは「玉掛け」「足場」「鉄骨」です。

足場職人は当然足場が専門分野なので、その技術を証明する資格は必須になります。

【絶対に必要】足場の組立て等作業主任者

それがこちら「足場の組立て等作業主任者」です。

鳶職3大技能のうち「足場」のスキルを証明します。

足場職人として、独立した際には、足場の組立、解体、作業変更には、この「足場の組立て等作業主任者」を配置することが義務付けられています。

「足場の組立て等作業主任者」は「足場の組立て等作業主任者技能講習」を受講、修了すれば、「足場の組立て等作業主任者」になれます。

講習は誰でも受講できるわけではなく、(鳶職として)3年以上実務経験がある人が、各都道府県が実施する技能講習を受講することができます。

とび技能士(鳶職の総合的な資格)

国が実施している鳶職の総合的な技能資格です。

この1級を持っていると、足場職人はもちろん他の分野の鳶職としても仕事に困りません。

また、「親方」として弟子を率いる場合、「とび技能士1級」が不可欠です。

もちろん、一人親方として足場職人として活躍したい場合も、最高の技能パスポートになります。

玉掛け技能講習/玉掛け特別教育

鳶職の必要な「玉掛け」「足場」「鉄骨」は、見習いの段階でまず習得するのが「玉掛け」です。

玉掛けを身に着けて、ようやく足場の技術を学ぶことができます。

玉掛けについても技能証明があれば、足場職人としてプラスに働きます。

  • 吊り上げ荷重が1トン未満の場合:「玉掛け特別教育」(学科5時間・実技4時間)
  • 吊り上げ荷重が1トン以上の場合:「玉掛け技能講習」(学科12時間・実技7時間)

の玉掛け技能講習/玉掛け特別教育を受講、修了することで、鳶職として基本的な玉掛けスキルが身についていることをアピールできます。

建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者

鳶職3大スキルの「鉄骨」についての資格です。

高さ5メートル以上の建築物で、鉄骨の組立や解体をする際には、この「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」を配置することが義務付けられています。

足場職人として独立するので不要かもしれませんが、持っていて損はありません。

何かの際に鉄骨を組み立てることを一緒にお願いされるかもしれません。

技術は、あって困ることはありません。

3年以上実務経験がある人が、各都道府県が実施する「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者講習」を受講、修了すれば、「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」の資格を得られます。

4つの資格の関係と優先順位

これら4つの資格の優先順位はどうなるのでしょうか?

鳶職としてキャリアがスタートするので、鳶職になり、「玉掛技能講習/特別教育」を受講、取得後、実務経験3年を経て、「足場の組立て等作業主任者技能講習」を確実に受講し、可能ならば「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」と「とび技能士」も取っておくとよいでしょう。

      

このような流れになります。

何より優先されるのは「足場の組立て等作業主任者技能講習」ですが、そうなる仮定で、必然的に「玉掛技能講習/特別教育」については取得できるはずです。

足場の組立て等作業主任者足場職人として独立するためには絶対に必要
とび技能士1級「親方」になるには必須鳶職の総合的なアピール
とび技能士2級独立には必須(+実務経験3年)鳶職の総合的なアピール
玉掛技能講習/特別教育鳶職の初歩的スキル、絶対必要
建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者鉄骨を扱う鳶職として独立する場合必須
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足場職人として独立開業するために準備が必要?不要?

足場職人として独立する際、許可などは必要なのでしょうか?

足場職人、鳶職独特な部分もあるので注意してください。

建設業許可申請は不要なことが多い(必須ではない)

足場職人も建設業の一種なので「建設業許可」が必要なのでは?と思われるかもしれません。

実は建設業許可が必要なケースと不要なケースがあります。

建築一式工事
次のどちらかに当てはまる工事の場合
①1件の請負代金が1,500万円未満の工事(消費税込み)
②延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
建築一式工事以外
1件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込み)

一人で足場職人として働くならば、1件当たりの請負金額が500万円を超えるということはまずないです。

ケガと隣合わせの足場職人、保険は必ず入っておこう

足場職人は高所に足場を設置するので、落下する危険性と隣り合わせです。

通常のケガの保険は、職業を申告した時点で加入を断られる可能性があります(もちろん、職業を偽ることもできません)。

危険な職業の人が加入できる傷害保険に加えて「一人親方労災保険組合」に加入しておきましょう。

独立後は個人事業主となるため、雇用関係を前提とした労災に加入できないイメージがありますが、個人事業主、法人経営者でもこの保険組合には加入できます。

ケガの治療費は無料、休業補償1日4000円、障害が残った場合の一時金、事故で亡くなった場合の葬儀費用や遺族への年金もあります。

この保険組合は国の制度なので、非常に経営は安定していますので、ぜひ加入しましょう。

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足場職人は法人化した方がよい?個人事業主でもよい?両者を比較してみた

足場職人は独立にあたり法人化したほうがよいのでしょうか?

法人化(会社設立)した場合と、個人事業主として独立するのと比較してみました。

法人化(会社設立)と個人事業主の違いをチェック

法人化する場合と個人事業主で独立する場合の違いについてチェックしましょう。

 

法人化(会社形態)

個人事業主

開業方法の流れの違い

商号(社名)や事業目的、資本金、役員等を決める

開業届を税務署に提出する

定款を作成する

定款認証(合同会社は不要)

社印を作成する

資本金を振り込む

法務局へ行き会社設立登記の申請をする

設立登記後社会保険や年金の手続きをする

独立開業する際、法人の方が圧倒的に手間がかかります。

足場職人として独立したとき法人化した場合と個人事業主の組織形態の違い

事業の主体

法人

個人

資本金

1円以上

不要

出資者

1名以上

本人

責任

有限責任

無限責任

決算日

自由に決められる

12月31日固定

確定申告

事業年度末から2か月以内

翌年3月15日前後

代表者の所得

給与所得

事業所得

設立費用

最低60,000円

無料

印鑑作成

必要

個人の印鑑でOK

設立期間

・数日~最短即日も場合によっては可能
・登記完了までに2週間

即時即日

社会保険

強制加入

従業員4名位以下は任意加入

社会的信用

株式会社には劣るもののある

あまりない

借入

比較的容易

結構大変

経費として認められる範囲

比較的広い

狭い

法人になるとさまざまな義務があり、手間がかかります。

日々の会計処理や決算はなかなか複雑でできません。

税理士などに顧問になってもらいアウトソーシングする必要も出てきます。

足場職人について法人化した場合と個人事業主の税金面の違い

事業主体

法人化(会社設立)

個人事業主

所得税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%

事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45%

個人住民税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%

事業の売上から「事業所得」を算出してその約10%

消費税

課税売上1000万円以上の場合支払う

課税売上1000万円以上の場合支払う

法人税

かかる(15%~23.2%)

なし

法人住民税

かかる

なし

法人事業税

かかる

なし

個人事業税

なし

かかる

支払う税金も法人化した場合=法人税、個人事業主の場合=所得税で変わります。

年間売上1000万円程度で税率は「所得税<法人税」から「法人税<所得税」に変わります。

足場職人として年間の売上見込みはどのくらいでしょうか?

あまり売上がないならば、わざわざ法人化しなくてもいいでしょう。

足場職人として年間の売上見込みをしっかり見極めてください。

法人化(会社設立)と個人事業主それぞれのメリットとデメリット

足場職人として法人化する(会社設立)

個人事業主のまま足場職人で独立する

メリット

社会的信用がある

簡単に設立できる

経費の範囲が広い

定款などの作成義務がない

責任の範囲が有限

自由な働き方ができる

赤字繰り越しが10年である

廃業手続きもすぐにできる

売上が多くなれば個人事業主よりも税率が下がる

社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金では老後が不安

最高税率が23.2%と所得税の約半分

 

デメリット

設立までの手間がかかる

社会的信用がない

設立後の帳票作成や税務申告が大変

最大税率45%と法人税よりはるかに高い

赤字でも法人住民税がかかる

無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う

社会保険へ加入しなければならない

赤字繰り越しが3年までしかできない

会社の廃業手続きが煩雑

経費で落とせる範囲が狭い

新しく許認可が必要(建設業許可を得て仕事する場合)

 

法人化するケース、個人事業主のまま仕事をするケース、それぞれメリット、デメリットがあります。

足場職人を一人親方としてやっていくのであれば、複雑、煩雑な手続きや仕事がない個人事業主のままでもよいでしょう。

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足場職人として独立開業資金は必要か?

足場職人として独立開業する際には、「従業員の毎月の給料×人数×2~3か月分」程度です。

弟子を抱えず、一人親方としてやっていくのであれば、自宅兼事務所にして、ほとんど開業資金は必要ありません。

工具備品は独立前のものを使えばよいので、あえて言えば軽トラックなどを購入すればOKです。

自家用ワゴン車などに工具備品を積めれば、それを事業用として使っていただいて大丈夫です(運送業ではないので、自分の荷物運び用なので許可は不要です)。

足場職人として独立開業したい場合「経営サポートプラスアルファ」に相談してください

足場職人は鳶職の中でも足場に特化した、なくてはならないスキルを持った職人です。

「玉掛け」「足場」「鉄骨」の重要な3本柱の1つを担うため、建設工事現場の需要は多く、腕のある足場職人ならば引き合いが途切れることなく、十分独立してやっていくことができます。

そのためにはしっかりと資格(足場の組立て等作業主任者など)を取得し、仕事を依頼するゼネコンや工務店が安心できるようにアピール材料を作ってください。

建設業許可については不要なケースもありますが、足場職人として独立後そのくらい売上が期待できるのかも含めて慎重な判断が求められます。

「経営サポートプラスアルファ」には、建設業許可や職人仕事について詳しい専門家がいて、足場職人としての独立について、適切にサポート、アドバイスいたします。

建設業許可を申請する場合、その代行も承っています。

日々の記帳や簿記、確定申告についても顧問契約を結べば、当社の方で行います。

みなさまは日々の業務に集中することができます。

土日祝日、夜間も対応し、遠隔地の方はLINEやZoomを使っての相談もできます。

足場職人として独立をお考えの方、ぜひ「経営サポートプラスアルファ」までお問い合わせください。

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