職人として活躍するには独立はあり?独立開業の流れやメリットとデメリットを解説します

職人はさまざまな分野を支える「技術の屋台骨」です。

職人がご自身のスキルを存分に発揮してできるモチベーションが、優れたモノづくりにつながります。

のびのびと活躍でき、スキルを発揮すれば、職人技は素晴らしいクオリティにつながります。

職人技によって「芸術品」に仕上がります。

そのためのみなさんが活躍できる環境づくりの1つとして、独立開業する方法があります。

弟子入りして修行を積み、ある時点で独立するという生き方はとてもかっこいいです。

しかし、やみくもに独立しても、うまくいかない可能性があります。

腕のいい職人がイコール腕のいい経営者、親方には必ずしもならず、また独立のタイミングも重要です。

早すぎても「若造が!!」と低く見られてしまいますし、遅すぎても「今まで何をしていたんだ?」と思われてしまいます。

独立しようにもお金がなく、無理に独立しても仕事が取れず生活費に困るという事態も予想されます。

今回は職人の方がその実力をいかんなく発揮できるような独立の方法、タイミングについて解説します。

どういう職人としての生き方を希望するのか、考えるきっかけにしてください。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

職人としての独立とは?

職人として独立するとはどのようなことなのでしょうか?

ざっくりと独立について解説します。

独立後は雇用関係を持ち給料をもらって働くことはできない

職人として親方や工務店などで「弟子」「見習い」「社員」として働いていた時、みなさんは毎月のお給料をもらっているはずです。

これは、経営者と雇用関係にあるため、決まった金額(+時間外、歩合)を受け取ることができます。

退職すればハローワークのサポートを受けることができますし、有給休暇の取得や、健康保険、年金についても、雇用主とみなさんで折半しています。

しかし、独立開業すると、みなさんが経営者になるため、「労働者」ではなくなります。

有給休暇の権利自体がなくなるどころか、法定休日もなくなります。

働くも休むもすべて自分の責任になります。

社会保険や年金なども自分で全額納めなければなりません。

毎年、会計処理をして確定申告をしないと脱税になります。

雇用されているときは、それらの手続きはすべて職場がやってくれましたが、独立開業するとすべて自分で、あるいは税理士などにお金を払ってお願いする必要が出てきます。

職人として仕事だけやっていればよい状態ではなくなり、経営者、会計担当、人事労務担当などの役割もご自身で請け負うことになります。

ご家族やご友人の助けを借りることもできますが、当然報酬が発生し、それに伴う手続きも必要になります。

もし「株式会社○○」というように会社設立を考えている場合、さらに法人登記や法人会計という複雑で手間のかかる手続きが加わります。

ご自身の腕で世の中を渡り歩く意気込みややりがいは大いに認めるところですが、実は結構大変な面もあり、思い切りの良さだけでは独立は成功しません。

いろいろ準備が必要になります。

「一人親方」「親方」「経営者」という選択肢

独立開業後の姿も、今のうちから考えておきましょう。

職人として独立する場合も、いくつかの選択肢があります。

一人親方、フリーランス

自分一人で仕事を請け負う独立方法です。
小回りが利きますが、社員も仲間もいないのですべての責任は自分(+家族)で負うことになります。
その代わり、自由な働き方ができます。
本当に腕のいい職人であれば、いくらでも仕事が舞い込みます。
その中でやりたい仕事をやりたいスケジュールで受けることができます。
稼いでいれば、長期休みを取るのも旅行へ行くのも自由です。
労働時間も、働く場所が許せば好きにできます。
理想的な働き方ですが、誰も助けてくれません。
自己責任で、自分のスキル一本でやっていくという独立方法です。

親方

弟子を抱える職人です。
みなさんが修行したときにも親方がいたはずですが、その立場になります。
自分も先頭に立って仕事をしながら、弟子を統率して、集団をまとめていきます。
当然、求められるスキルは職人技だけではなく、リーダー、経営者としての能力も必要になります。
大きな工事や仕事を手掛けることができるので、名を成し、有名になり、かつ稼ぎたい場合、この道を模索することになります。

経営者

職人としては一歩引き、経営に専念、または経営の比重を重くする働き方です。
ヤクルトの古田監督がやっていたような、「代打オレ」くらいの感覚で、マネージメントや経営を中心に行う生き方です。
職人としての経験は当然生かせますが、それ以上に経営全般について能力が求められます。
会計、人事労務、法務、保険、マネージメントなどこれまでとは違った分野の勉強も必要になります。
大変ですが、法人化して事業を拡大し、世間的にも社会的にも名を成すことができるかもしれません。

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職人として独立開業するのに資格は必要?

職人として独立開業する際に絶対に必要な資格というものはありません。

しかし、それぞれの分野で取得しておきたい資格はあります。

一般的には「技能士」各分野の資格を取ることで、それぞれの分野のスキルがあることを証明できます。

技能士は各都道府県の職業開発能力協会が実施する技能検定に合格した人に与えられる国家資格です。

技能検定は、働く人々の有する技能を、国として担保し、証明する制度です。

技能検定、技能士は全部で127職種の試験があり、さまざまな職人の分野をカバーしています。

みなさんの専門は以下にありますでしょうか?

【技能士各分野】

<建設関係(32職種)>
造園技能士
さく井技能士
建築板金技能士
冷凍空気調和機器施工技能士
石材施工技能士
建築大工技能士
枠組壁建築技能士
かわらぶき技能士
とび技能士
左官技能士
築炉技能士
ブロック建築技能士
エーエルシーパネル施工技能士
タイル張り技能士
配管技能士
厨房設備施工技能士
型枠施工技能士
鉄筋施工技能士
コンクリート圧送施工技能士
防水施工技能士
樹脂接着剤注入施工技能士
内装仕上げ施工技能士
熱絶縁施工技能士
カーテンウォール施工技能士
サッシ施工技能士
自動ドア施工技能士
バルコニー施工技能士
ガラス施工技能士
ウェルポイント施工技能士
塗装技能士
路面標示施工技能士
広告美術仕上げ技能士
窯業・土石関係(1職種)
陶磁器製造技能士

<金属加工関係(19職種)>
金属溶解技能士
鋳造技能士
鍛造技能士
金属熱処理技能士
粉末冶金技能士
機械加工技能士
放電加工技能士
金型製作技能士
金属プレス加工技能士
鉄工技能士
工場板金技能士
めっき技能士
アルミニウム陽極酸化処理技能士
溶射技能士
金属ばね製造技能士
仕上げ技能士
切削工具研削技能士
ダイカスト技能士
金属材料試験技能士

<一般機械器具関係(11職種)>
機械検査技能士
産業車両整備技能士
鉄道車両製造・整備技能士
内燃機関組立て技能士
空気圧装置組立て技能士
油圧装置調整技能士
縫製機械整備技能士
建設機械整備技能士
農業機械整備技能士
テクニカルイラストレーション技能士
機械・プラント製図技能士

<電気・精密機械器具関係(8職種)>
電子回路接続技能士
電子機器組立て技能士
電気機器組立て技能士
半導体製品製造技能士
プリント配線板製造技能士
自動販売機調整技能士
光学機器製造技能士
電気製図技能士

<食料品関係(7職種)>
パン製造技能士
菓子製造技能士
製麺技能士
ハム・ソーセージ・ベーコン製造技能士
水産練り製品製造技能士
みそ製造技能士
酒造技能士

<衣服・繊維製品関係(8職種)>
染色技能士
ニット製品製造技能士
婦人子供服製造技能士
紳士服製造技能士
和裁技能士
寝具製作技能士
帆布製品製造技能士
布はく縫製技能士

<木材・木製品・紙加工品関係(6職種)>
機械木工技能士
家具製作技能士
建具製作技能士
紙器・段ボール箱製造技能士
畳製作技能士
表装技能士

<プラスチック製品関係(2職種)>

プラスチック成形技能士
強化プラスチック成形技能士

<貴金属・装身具関係(2職種)>
時計修理技能士
貴金属装身具製作技能士

<印刷製本関係(3職種)>
製版技能士
印刷技能士
製本技能士

<その他>
園芸装飾技能士
ロープ加工技能士
化学分析技能士
印章彫刻技能士
塗料調色技能士
義肢・装具製作技能士
舞台機構調整技能士
工業包装技能士
写真技能士
産業洗浄技能士
商品装飾展示技能士
フラワー装飾技能士
ウェブデザイン技能士
キャリア・コンサルティング技能士
ピアノ調律技能士
ファイナンシャル・プランニング技能士
知的財産管理技能士
金融窓口サービス技能士
着付け技能士
レストランサービス技能士
ビル設備管理技能士
機械保全技能士
情報配線施工技能士
ガラス用フィルム施工技能士
調理技能士
ビルクリーニング技能士
ハウスクリーニング技能士
フィットネスクラブ・マネジメント技能士
接客販売技能士
ブライダルコーディネート技能士
ホテル・マネジメント技能士

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

独立後は事業主!集客できるシステムを考えよう

スキルがある職人は独立後仕事が途切れない、それが理想ですが、実際にはある程度「固定客」をつかんでおく必要があります。

そのためには、

  • 前の(独立前の)職場と喧嘩別れしない
  • 積極的に営業をかける
  • 専門家のアドバイスを聞く
  • 外部の信頼度を高めるため法人化を考える

などの方法があります。

ともかく、独立する際には、元の職場との喧嘩別れはNGです。

むしろ、良好な関係を維持しながら、仕事を回してもらえるくらいの方がいいです。

ライバルではありますが、同じ仕事をする仲間であり、そこからつまはじきにされるリスクは当然考えてください。

法人化のメリットとデメリットについては、この次の項で解説します。

職人としてどのようなロードマップを持っているかが大きく影響します。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

独立開業は法人化(会社設立)と個人事業主という2パターンがあります。

職人として独立開業する際、法人化(会社設立)するのか、個人事業主として独立するのか2つの選択肢があります。

基本的に独立当初は、個人事業主で大丈夫です。

法人化する場合、売上が1000万円以上見込めるなど、事業規模が大きくなりそうな場合、開業時に法人化すればOKです。

個人事業主として開業し、事業規模が大きくなった時点で法人化することもできます。

また、売上とは別に、法人化に伴って社会的信用が高まることや、取引条件が法人である企業もあるので、最初は多少税金面で損があっても、新規取引先の獲得のためには法人化している方が有利なこともあります。

そのあたりは専門家に相談してください。

法人化、個人事業主それぞれのメリットとデメリットは以下になります。

職人独立の際法人化する(会社設立)

独立後職人を個人事業主として行う

メリット

社会的信用がある

簡単に設立できる

経費の範囲が広い

定款などの作成義務がない

責任の範囲が有限

自由な働き方ができる

赤字繰り越しが10年である

廃業手続きもすぐにできる

売上が多くなれば個人事業主よりも税率が下がる

社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金では老後が不安

最高税率が23.2%と所得税の約半分

 

デメリット

設立までの手間がかかる

社会的信用がない

設立後の帳票作成や税務申告が大変

最大税率45%と法人税よりはるかに高い

赤字でも法人住民税がかかる

無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う

社会保険へ加入しなければならない

赤字繰り越しが3年までしかできない

会社の廃業手続きが煩雑

経費で落とせる範囲が狭い

法人化すると社会的信用度が上がりますが、会社設立手続きや会計に手間がかかります。

一方個人事業主は時間をかけず開業ができます。

法人化と個人事業主で大きく違うのが税金です。

事業主体

法人化(会社設立)

個人事業主

所得税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%

事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45%

個人住民税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%

事業の売上から「事業所得」を算出してその約10%

消費税

課税売上1000万円以上の場合支払う

課税売上1000万円以上の場合支払う

法人税

かかる(15%~23.2%)

なし

法人住民税

かかる

なし

法人事業税

かかる

なし

個人事業税

なし

かかる

法人化した場合、国に納税するのは「法人税」、個人事業主の場合は「所得税」になります。

売上が低い場合、個人事業主が支払う所得税の方が安いのですが、大体、売上1000万円くらいから、法人が支払う法人税の方が安くなります。

税金だけで法人化か個人事業主か決めるのがよいのかはわかりませんが、大きな判断材料になります。

職人として独立開業時の売上見込みをしっかり立てて、その後、会社設立か個人事業主かを判断してください。

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独立には資金が必要!どうやって調達する?

独立する際には開業資金が必要なケースがあります。

  • 事務所、店舗の賃貸料
  • 職人としての工具、備品
  • 原材料の仕入れ
  • 当面の運転資金
  • 許認可にかかわる費用
  • 法人登記費用(法人化する場合)

これらはどの分野の職人かによって異なりますが、数十万円~数百万円かかります。

すべて自己資金(預金)で充当するのは難しいため、創業融資など金融機関からの借入で対応します。

創業融資については、日本政策金融公庫や自治体の創業窓口、あるいは開業と資金調達に強い専門家集団「経営サポートプラスアルファ」に相談をしてください。

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独立開業は「職人としての経験」+「経営者としてのセンス」が求められます。

前者は十分すぎるくらいみなさんは身に着けておられます。

後者について、独立後「しまった」と思っても後戻りができません。

特に会社設立までしてしまうと、廃業に手続きや時間、お金もかかります。

独立開業する前にしっかり戦略を練る必要があり、そのため、職人としての独立開業に強い専門家を頼ってください。

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