「若者の車離れ」などが叫ばれるようになりました。
確かに数十年前と比べて、高い自動車を所有していることにステータスを感じない人が増えているのは事実です。
しかし、「車離れ」=「車不要」になったわけではありません。
社会的なインフラとして自動車は依然重要なキーアイテムであることに変わりないからです。
ですが、新車、高級車には必ずしもこだわらず、「安全な自動車ならばOK」「乗れれば車種はあまり関係ない」という価値観の人が増えています。
つまり、「中古車でも問題ない」と思う人が増えていて、中古車屋のニーズがこれまで以上に高くなっている社会情勢です。
中古車屋開業のチャンスでもあります。
今回、中古車屋開業について解説し、独立開業を目指している人の1つの選択肢として中古車屋についてお話しします。
いろいろ複雑で大変な部分もありますが、中古車屋の開業は今後安定した売上が期待できる分野であり、開業希望の方はぜひ考えてみていただければ幸いです。
中古車屋はそもそも何をする職なのか開業前に確認
最初に、そもそも中古車屋がどのような仕事をするのか確認しておきましょう。
単中古車を売るだけの仕事ではありません。
一般的な中古車屋の仕事は以下になります。
中古車の仕入れ
中古車をユーザーから買取りします。
あるいは他の中古車屋(ディーラー)から買い付けを行います。
自分で生産するわけではないので、この中古車の仕入れで需要のある自動車を仕入れなければなりません。
中古車に値段をつける
中古車なので「メーカー希望小売価格」のようなものはありませんが、適正価格をよく考えます。
せっかくいい自動車を仕入れても、需要にマッチした価格でないと売れません。
安すぎず、高すぎず、自分に利益を出しながら、確実に売れる価格を定めるのが、中古車屋の「目利き」になります。
中古車の整備・点検
仕入れた中古車屋が商品として適切かどうか、自分で点検、整備を行います。
特に古い中古車の場合、しっかり整備、点検しないと事故につながります。
また、中古車屋は車検や一般的な自動車整備も(中古車販売とは別に)行うことが多いです。
というか、やはり高額の自動車は中古であってもなかなかコンスタントに売れるものではなく、車検や自動車整備を並行することで、こちらでも売上を計上しないとお店が回りません。
自社で中古車を購入したいただいたお客様の車検や整備だけではなく、車検だけ、整備だけのお客様の対応も喜んで行います。
購入された中古車のアフターメンテナンス
中古車屋は、自社で購入していただいたお客様にしっかりアフターフォローすることで「太客」にしていきます。
次の中古車を買ってもらうためにも、アフターフォロー、アフターメンテナンスもしっかり行います。
車検(上述)や修理対応や自動車についてのよろず相談、オイル交換などさまざまな業務をサポートし、自社のファンにしていきます。
こうすることで、新車よりも安い自動車を扱う中古車屋が開業しても経営が成り立つようになります。
見積書等必要書類の作成
中古車屋を利用するお客様は少しでも安く安全な自動車に乗りたいというニーズがあります。
他社と相見積もりをとることもあり、見積書の作成が重要になります。
駆け引き、どこまで下げられるか、かといってあまり下げすぎても信用されません。
「適正価格」をしっかり見定めて、説得力ある説明ができるようにしてください。
見積書以外にも書類作成をすることがあります。
その自動車のスペックや安全性についてお客様にご理解いただけるような内容の書類を作成するのも中古車屋の重要な仕事です。
来店したお客に対する営業や説明
新車ディーラーのように「ショールーム」はありませんから、駐車場などに置かれた中古車を手寧に説明し、購入していただけるように営業します。
中古車屋を開業しているということは、経営者であり中古車が売れなければ生活できません。
新車ディーラーの社員ならば給料がもらえますが(それでもノルマがきついですが)、中古車屋はそれ以上に生活していくには営業や説明が何よりも大切になります。
中古車屋開業前に取得しなければならない資格、許可
中古車屋開業にあたってはいくつかの資格、許可が必要になり、これらを全部取得することで開業が可能になります。
単に雑貨の小売店を開業するのとはハードルが違うことをご理解ください。
古物商許可
中古車屋開業にあたっては古物商許可が必要です。
中古品=古物を取り扱うのでこれがないと警察に摘発される可能性があります。
質屋や中古ゲームショップと同様に古物商許可が重要になります。
古物商許可は最寄りの警察(公安委員会)が窓口になり、そこで届け出を行います。
届け出から審査し、許可が出るまで40日~50日ほどかかります。
古物商許可のない中古車屋開業は、下記の法律により、最高で「三年以下の懲役又は百万円以下の罰金」となる可能性があります。
個人が小遣い稼ぎ程度にやっているならば、見逃されることもあるようですが、中古車屋規模になればそれは無理です。
かならず中古車屋開業にあたっては古物商許可を取得してください。
<古物営業法> 第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者 二 偽りその他不正の手段により第三条の規定による許可を受けた者 三 第九条の規定に違反した者四 第二十四条の規定による公安委員会の命令に違反した者 |
自動車リサイクル法引取業登録
自動車の売買だけでなく、廃車の引取を(有料で)行う場合は「自動車リサイクル法引取業登録」が必要になります。
お住いの自治体や保健所にある「自動車リサイクル担当窓口」で申請しますが、2カ月ほどかかるため、古物商許可よりも早くこちらの申請を優先してください。
申請の先は、法人の場合は登記事項証明書(登記簿謄本)、個人の場合は住民票などが必要になります。
中古車両のオークション会員
中古車は個人客から買取るだけではなく、オークションで落とすこともあります(というか、個人客からの買取りだけでは足りません)。
オークションを利用するには、「オートオークション」など中古車の中古売買の会員になる必要があります。
信頼できるオークションの会員になることで、中古車屋として質の高い自動車を仕入れることができ、顧客の信用も得られます。
種類が豊富になればそれだけ多様なニーズをつかむこともできます。
自賠責保険の代理店登録
中古車屋で自動車を購入したユーザーも当然自動車保険に加入しなければなりません。
別の場所で自動車保険(自賠責保険など)に加入するよりも、中古車屋でそのまま保険加入手続きができた方が便利ですよね。
開業前に、可能なら自動車保険の代理店になれる「自動車保険募集人」になりましょう。
保険の代理店登録には試験(損害保険募集人一般試験)に合格する必要がありますが、できれば中古車屋開業前に取得をお願いします。
開業届、会社設立登記
個人事業主として中古車屋を始める場合は税務署に「開業届」を、法人として行う場合、法務局に会社設立登記を行います。
後者はかなり手続き的に複雑なので専門家のアドバイスや会社設立代行を依頼するのも1つの方法です。
中古車屋開業にかかる開業資金
事業を開業するには開業資金が不可欠ですが、中古車屋開業の場合、他の業種よりも高くなります。
この開業資金をどう確保するかが課題です。
中古車屋の開業資金目安
中古車屋開業にあたっての開業資金の目安はおおむね以下の表のようになります。
項目 | 金額 |
---|---|
物件取得費 | 500万円 |
内外装費(設備費) | 500万円 |
仕入れ費 | 1,000万円 |
広告宣伝費 | 50万円 |
合計 | 2,050万円 |
廃業時の中古車の仕入れ資金が多くなるのはもちろん、自動車を置く駐車場スペースが必要になります。
普通に事務所や店舗を借りるよりも、不動産関連費も高額になることを意識してください。
これを全部自己資金(預金)で賄うのはかなり大変です。
開業資金だけではなく運転資金も必要
中古車屋開業についての記事ですので詳述しませんが、開業後お金が入って回るまで運転資金も必要になります。
売れてようやく事業が回るので、売れなければ維持費で大変なことになります。
運転資金や1か月当たり約800万円~1000万円ほど必要になります。
中古車屋開業資金の調達は「創業融資」も併用する
開業資金+運転資金をすべて自己資金で賄えればいいのですが、実際はなかなか難しいです。
そのため、開業資金については「創業融資」を併用します。
創業融資は日本政策金融公庫や自治体のものがおすすめです。
銀行や信金など民間金融機関の創業融資は利率が高めなので、まず公的機関の創業融資をあたり、開業資金を調達しましょう。
具体的なメニューについてはぜひ専門家を頼ってください。
中古車屋開業のメリットとデメリットを確認しよう
そもそも中古車屋を開業することはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
「自動車が好きだから」というのはもちろんですが、事業としてどうなのでしょうか?
下記のとおりです。
◇中古車屋開業のメリット
- 高収入が狙える
- 中古車売買だけなら資金面以外の開業ハードルが低い
- ライバルが少ない
◇中古車屋開業のデメリット
- 開業資金が高い
- 専門知識(自動車全般、保険)、専門スキル(車検、修理など)が必要
中古車屋で扱う自動車は単価が高いので、1台売れるだけでかなりの売上、収入になります。
売れれば売れるほど高収入が可能な仕事です。
また、飲食店や雑貨店などと比較してもライバルが少なく、競争がないので、価格をダンピングして下げることなく、確実に利益を確保できます。
車検や修理、保険代行まで行うならば知識やスキルが必要ですが、中古車売買だけなら古物商許可や自動車オークション会員になるだけで開業できるため、飲食店などよりも開業ハードルが低いかもしれません。
問題は開業資金であり、やはり一定程度中古車を仕入れてから開業しないと話にならないので、どこまで開業資金を用意できるかにかかっています。
そのあたり、開業資金調達については、専門家の力を適宜借りてください。
いくつもの手続きを考えると中古車屋開業にあたって「経営サポートプラスアルファ」に相談を!
中古車を開業するにあたっては、「手続き面」(古物商許可や自動車リサイクル法引取業登録)、「資金面」(開業資金)双方をクリアすることが不可欠です。
一度開業し、軌道に乗れば中古車屋は安定して高収入が期待できる仕事になります。
しかし、そのためのスタートアップは少々複雑で大変です。
おひとりで進められるのもいいですが、ぜひ専門家の力を借りてください。
個人事業主として開業するのか、法人設立して開業するのかでも、その後が変わります。
そのあたりも含めて「経営サポートプラスアルファ」に相談してください。
「経営サポートプラスアルファ」には会社設立や開業資金調達のプロフェッショナルがいます。
また、古物商許可などの諸手続きを代行することも可能です。
開業後に目を向けて、それら手続き(多くは1回のみで慣れる必要はない)は全部専門家に代行してもらうという方法もあります。
そのあたりも含めて、みなさまの中古車屋開業プランをぜひ「経営サポートプラスアルファ」にお聞かせください。
専門家が適切にアドバイスさせていただきます。
「経営サポートプラスアルファ」では土日祝日夜間も中古車屋開業について相談を受け付けています。
遠隔地の方はLINEやZoom、チャットワークなどで対応しますのでご安心ください。
中古車屋開業は大きな決断ですが、しっかりしたアドバイスの下始めなければ勝算はありません。
中古車屋開業をお考えの方、ぜひ「経営サポートプラスアルファ」までご相談ください。