会社員として安定した給与をもらっている、一方でやりたいことがあり、個人事業主として事業を始めたい、そのはざまで迷っている方も多いはずです。
会社員もさまざまな働き方、柔軟な働き方が徐々に浸透しつつある現在、個人事業主として自分のやりたいことを始めるよい機会かもしれません。
今回は会社員という働き方と個人事業主という働き方が両立できるのか、将来的に個人事業主だけでやっていけるのか、将来が不透明な時代だからこそさまざまな面でリスクヘッジしたいものです。
会社員と個人事業主、その二足の草鞋を履けるのか、今回は解説していきたいと思います。
会社員と個人事業主の副業ができるか就業規則をチェック
まず、会社員として働きながら、副業で個人事業主ができるのでしょうか?
ここが大きなポイントになります。
副業OKの会社員ならば問題なし!職場に許可を得て堂々と個人事業主として始めよう
もともと副業を認めず、自社の会社員として働くことのみを求めていた日本の会社ですが、従業員の将来を完全に保証する年功序列、終身雇用の体制を維持しづらくなっている中で、副業を解禁するところが増えてきました。
また、外資系企業であればそもそも、働き方が自由で個人事業主として副業するのも何の問題もないという会社もあります(もっというと、副業で会社設立もOKというところもあります)。
副業OKの会社であれば会社員と個人事業主の二足の草鞋を履いて働くことができます。
将来的な独立を応援する会社もあり、個人事業主として行う事業について詳細を届け出ておいた方がよいでしょう。
副業OKの会社員ならば、住民税を天引き(特別徴税)にしても問題ありません。
副業禁止の会社員はまだまだ多い・・・その場合個人事業主としての副業はできないの?
副業OKの会社が増えてきましたが、まだまだ日本の会社は会社員の副業禁止で、身も心も自社に捧げることを強要する会社がいかに多いか知らされます。
副業禁止の規定は表向き「従業員の健康のため」と商工会議所のアンケートなどでは回答されていますが、実際にはサービス残業を強いて、就業後余計なことをさせたくない経営者の意向を反映しています。
従業員の健康を害しているのは、副業ではなく、安い賃金でこき使う経営者なのですが・・。
会社員の副業禁止規定は憲法が定める「職業選択の自由」と対立します。
日本国の最高法規と一企業の就業規則、どちらが優先するか、考えるまでもないですよね。
当然、憲法が優先するため、就業規則で副業を禁止しても個人事業主を始めてOKです。
バレて処分を受けたりしても裁判を起こしてまず勝てます。
しかし、そんな手間はかけられないわけで、バレないことが大切です。
- 個人事業主部分の住民税は「普通徴収」にして会社員としての給与から合算、天引きにしない
- 会社員としてしっかり成果を残す
- 自分が個人事業主として働いていることを周囲には言わない
- 「競業避止義務違反」にならないよう、会社員とは別の業種、業界の個人事業主として働く
この辺りを注意してください。
税理士や弁護士など専門家のアドバイスを聞きながら進めてもいいでしょう。
しかし、会社員として競業避止義務違反に問われる場合は別です。
「競業避止義務」とは在職中の企業と競合に当たる企業・組織への転職」や、「競合する企業の設立」などの競業行為をしてはならないという義務のことで、つまり、自分が会社員として働いている業界の内部情報を使って、個人事業主として有利に働くことはダメという義務です。
いくら職業選択の自由が優先しても、会社員として得られたインサイダー情報を使って個人事業主として有利に働くのはアウトです。
会社設立をすると、商業登記簿に住所や代表者の名前が載るので、黙っていても会社にバレる可能性があります。
会社バレリスクを考えると、まずは個人事業主として開業することをおすすめします。
なお、会社員ではなく公務員の場合は、その性質上、副業禁止が法律で定められています。
すべての副業がNGではなく、農業や不動産管理(大家)、作家などはOKで、そのほかにも講師など許可を取れればできるものもあります。
ただし、許可を取らないと懲戒処分(最悪懲戒免職)になるため、会社員のように隠して行うことはリスクが大きすぎます。
公務員でもできる副業については専門家に聞いた方がいいでしょう。
会社員と個人事業主で働く場合の注意点
会社員と個人事業主の二足の草鞋を履く場合、注意していただきたいことがあります。
個人事業主として確定申告を必ず行う
毎年、会社員として年末調整を職場で行うはずです。
これは行っていただいて問題ありません。
逆に年末調整しないと、個人で確定申告することになりますが、いろいろ会社側に疑念を持たれてしまいます。
年末調整後、12月の給料時に「源泉徴収票」をもらえるはずです。
これは会社員の「給与所得」の確定申告を会社が代行したに過ぎず、個人事業主として行った副業は含まれていません。
源泉徴収票のデータをもとに、翌年2月~3月に、個人事業主として「事業所得」ないし「雑所得」の確定申告を行わないと脱税になります。
赤字決算で所得税が発生しない場合も、個人事業主の「義務」としてしっかり確定申告をしてください。
個人事業主として開業届を出さないと白色申告になる
個人事業主として開業する場合、税務署に「開業届」を出すことは、実は義務ではありません。
開業届を出さずに事業を始めても罰則がないのです。
しかし、確定申告の義務は当然あり、開業届を出していれば税務署から送られてくる確定申告の案内も来ないので、自分で情報収集と確定申告用紙の入手をしないといけません。
開業届を出さないと、個人事業主の大きなメリットである「青色申告特別控除」を受けることができず、自動的に「白色申告」になります。
事業所得から55万円~65万円の青色申告控除ができないのは、支払う税金(所得税や住民税)に大きく影響します。
そのほか、開業届を出すメリットもあるので(ただしデメリットもあり。後述)、個人事業主と会社員の二足の草鞋を履く場合、注意してください。
会社員として迷惑をかけないように個人事業主を行う
経営者が副業禁止する「従業員が副業で健康を害する」というのは100%でたらめというわけではありません。
会社員として働いた後、深夜、明け方まで個人事業主として副業すれば、「本業」の会社員の業務に支障が出てしまうことは当然あるからです。
体調不良による欠勤や遅刻、会社のPCを使っての副業などは絶対に避けなければなりません。
こういうことをしてしまうと、会社員の時間の職務専念義務違反になります。
当然、会社員としての社会評価も下がり、個人事業主の方もうまくいかなくなる可能性があります。
会社員と個人事業主で働くメリットとデメリット
会社員と個人事業主の二足の草鞋を履くメリットとデメリットも知っておきましょう。
デメリットが多ければ、どちらかに絞る、つまり個人事業主としてやる場合、会社員を退職(ないし休職)する必要があります。
<会社員と個人事業主兼業のメリット>
1.副業の所得を本業の所得と損益通算できる
2.個人事業主の必要経費を計上できる
3.ステップアップ、独立の足がかりになる
4.独立開業して収入がなくなるリスクを回避できる
<会社員と個人事業主兼業のデメリット>
5.失業保険がもらえなくなる可能性がある
6.バレた場合本業の昇進や査定に響く(副業禁止の会社員の場合)
7.どっちつかずで結果を残せない可能性
例えば自宅開業し、自宅を個人事業主の事務所とした場合、家賃や光熱費の一部を事業案分して個人事業主の経費にすることができます。
確定申告は会社員の給与所得と個人事業主の事業所得を合わせて行うので、会社員だけの場合と比較して、家賃や光熱費の個人事業主案分にかかる所得税や住民税を減らすことができます。
個人事業主としての事業所得、会社員としての給与所得を合算できることで、節税効果につなげることができます。ただし、個人事業主としての売上がほとんどないなど、ペーパーカンパニー的なものだと税務署に目を付けられると大変なことになるため、節税のためだけに個人事業主を始めるのは危険です。
大きなメリットは、会社員としての給料を確保し、生活基盤を維持しながら、個人事業主としてとして冒険できるというリスクヘッジです。
会社員をやめて背水の陣で個人事業主としてやっていく方法は、やはりリスクが大きいでしょう。
デメリットは個人事業主として時間を使いすぎ、会社員生活に影響が出てしまうこと、副業禁止会社の副業バレリスク(懲戒処分や出世コースから外れる)などがあります。
いちばん大きなデメリットとして、開業届を出して個人事業主として開業してしまうと、会社員を退職したときに失業手当がもらえなくなる可能性があります。
失業手当は働きたくても働く場所が見つからない人に給付されるものであり、個人事業主としてすでに働く場所がある人は、失業していないため失業手当がもらえません。
確定申告不要の年間20万円までの雑所得扱いのお小遣い稼ぎ程度であれば大丈夫ですが、開業届を出して本格的に個人事業主として事業を始めている場合、たとえ利益が出ていなくても、「失業ではない」と判断され、会社員をやめた場合も失業手当がもらえません。
将来個人事業主として独立を目指す?会社員との二足の草鞋を履き続ける?質問は「経営サポートプラスアルファ」に!
個人事業主として独立開業するのか、会社員と個人事業主の二足の草鞋を履くのか、非常に悩むところです。
リスクに飛び込まないと大成功はないかもしれませんが、自身と家族の生活もかかっています。
副業禁止規定を設けている会社も多く、処分は裁判で覆る可能性が高いものの、その労力とお金をかけられる人は少ないでしょう。
どのようにバランスをとるべきなのでしょうか?
会社員をやめるべきなのか、兼業するべきなのかでかなりその後の人生が変わります。
個人事業主としてやってみたい気持ちと会社員としての安定、それぞれについて詳しい専門家が「経営サポートプラスアルファ」にはいます。
副業禁止規定との付き合い方やかわし方などもぜひ聞いてください。
会社と対立せず良い形で個人事業主として進められるよう「経営サポートプラスアルファ」はアドバイスさせていただきます。
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みなさまの個人事業主として頑張りたい「想い」をくみ取るべく、最善の選択肢を提供します。
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