法人化するかどうか決めるための基準の1つが年収です。
それでは、年収がどのくらいの金額になると法人化した方が良いのでしょうか。
法人化するタイミングの目安を紹介します。
法人化のタイミングは年収を目安にしよう
なぜ法人化のタイミングを決めるのに年収を目安にするべきか紹介します。
個人事業主と法人は異なる税率が適用される
個人事業主と法人とでは税率が異なっています。
どちらも累進課税であり、年収が高くなるほど税率も上がる仕組みです。
ただし、最高税率が異なっており、個人の最高税率は45%、法人は23.2%となっています。
法人化するかどうか考える際には、税率の違いに注目することが大切です。
一定の所得を超えると法人の方が税率が低くなる
最高税率は個人より法人の方が低くなっています。
したがって、一定の所得を超えると法人の方が税率は低くなるのです。
個人事業主の場合は所得が900万円〜1,800万円の部分に適用される税率は33%となっていますが、法人は所得800万円の部分までは19%、所得800万円超えの部分の税率は23.2%です。
所得が950万円の場合は、個人事業主の所得税は159万9千円、法人は155万1千円のため、法人の方が税金は低くなります。
所得がさらに増えれば、個人と法人の税金の差はかなり大きくなるでしょう。
法人の方が経費にできる項目が増える
法人は個人よりも経費にできる項目が増える点がメリットです。
多くの費用を経費にして個人よりも節税しやすくなります。
たとえば、法人名義で契約をすることで社宅や社用車として扱えば、これらの費用を経費にできるのです。
法人は役員報酬や退職金などを経費にできる
法人では役員に対して役員報酬を支給することができ、経費になります。
また、退職金を支給する場合も経費として計上可能です。
たとえば、家族を役員にすることで所得の分散化を図り、なおかつ法人所得税の節税ができます。
役員報酬は給与所得控除の対象となるため、役員個人の所得税を抑えることもできるのです。
法人化の年収目安
法人化する場合の年収の目安を紹介します。
年収700~800万円程度であれば法人化の節税メリットは大きくなる
所得が上がれば、個人よりも法人の方が税率が低くなります。
さらに、法人の方が多くの費用を経費にできるメリットもあるのです。
これらの理由から、年収が700〜800万円程度の場合に、法人化したときの節税メリットは大きくなります。
ただし、業種によって経費の金額に差があるため、きちんとシミュレーションすることが大切です。
売上が1,000万円を超えそうならば法人化がおすすめ
売上が1,000万円を超える規模であれば、法人化したときの節税メリットは大きくなります。
法人税を節税できるだけではなく、消費税の課税タイミングを遅らせることができるからです。
売上が1,000万円を超えると消費税が課税されます。
このときに法人化すると、消費税の課税の判定がリセットされるのです。
年収500万円以下では法人化によるメリットがほとんどない
年収が500万円以下だと、法人化したときのデメリットが大きくなります。
年収が低い場合は法人化しても個人と税額にあまり差がありません。
逆に法人の維持費用や事務処理の負担が増えるなどデメリットが目立つようになります。
あまり年収が高くない場合は、法人化を検討する必要はないでしょう。
年収以外の要素も考慮して法人化を検討しよう
法人化を考える際には年収以外の要素も考慮することが大切です。
たとえば、事業規模を拡大したい場合は法人化のメリットがあります。
法人化で社会的な信用が高まれば、従業員を雇いやすくなり、取引先の確保もしやすくなるからです。逆に法人化によって事務処理の負担が増える点や、設立や解散に費用がかかる点はデメリットになります。
法人化のメリット・デメリットを踏まえた上で検討しましょう。
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法人化の流れ
法人化するための流れを紹介します。
会社の基本事項を決める
法人化する際には会社の基本事項を決めることが大切です。
会社の商号や発起人、本店所在地、事業目的、資本金の金額などを決めておきましょう。
会社の基本事項は、会社設立後の経営に影響を与えるケースがあります。
会社設立後のことを踏まえた上で会社の基本事項を検討しましょう。
定款を作成する
会社の基本事項を決めた後は定款を作成しましょう。
定款には会社の基本事項や会社運営のルールなどを記載できます。
定款に記載しないと効力を発揮しない事項があるため注意しましょう。
たとえば、株式の譲渡制限に関する規定や役員の任期の伸長、現物出資、財産引渡といった事項は定款に記載しないと有効になりません。
資本金の払込をする
会社を設立する際には必ず資本金を用意する必要があります。
資本金の金額は最低1円から自由に決められるのが特徴です。
ただし、資本金は会社の信用に影響します。
会社設立時にある程度まとまった資本金を用意できれば、さまざまなリスクに備えられるでしょう。
一般的には200万円から300万円程度の資本金を用意するケースが多いです。
会社の運転資金の6ヶ月分程度を目安として資本金を用意しておくと安心できます。
法人登記申請をする
必要書類を用意して法務局に法人登記申請をします。
法人登記の際に必要になる主な書類は以下の通りです。
- 登記申請書
- 登録免許税の収入印紙を貼り付けた台紙
- 定款
- 取締役の就任承諾書
- 資本金の払込証明書
- 印鑑届出書
それぞれのケースによって必要になる書類は異なるため注意しましょう。
たとえば、株式会社で監査役を設置する場合は監査役の就任承諾書が必要です。
法人設立後に必要な手続きを進める
法人を設立した後も必要な手続きがたくさんあります。
法人設立後に行う主な手続きは以下の通りです。
- 税務署・都道府県税事務所への届出
- 市町村役場への届出
- 年金事務所への届出
- ハローワークへの届出
- 労働基準監督署への届出
法人設立届出書の提出や社会保険関係の届出が必要になります。
さらに、法人口座を開設するために金融機関での手続きも必要です。
それぞれの手続きごとに提出書類や申請期限が異なるため注意しましょう。
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法人化に関する注意点
法人化する際に注意しておきたい点について解説します。
法人化には費用がかかる
法人化するために費用がかかります。
登録免許税などの法定費用がかかるのです。
法定費用は株式会社が約25万円、合同会社が約11万円程度となっています。
また、法定費用以外にも、法人の印鑑を作成する費用や専門家にサポートしてもらう場合の報酬などもかかるため注意が必要です。
ただし、法人設立の費用を節約する方法もあります。
たとえば、電子定款の作成を選べば、収入印紙代4万円分を節約できるのです。
法人化した後も個人事業主時代の税務調査の可能性はある
法人化したとしても、個人事業主時代について税務調査を受けるケースがあるため注意しましょう。
個人事業主を廃業した後も、申告をしてから7年経過するまでは税務調査の可能性があります。
申告年度から7年経つまでは確定申告書や領収書などをしっかりと保存しておきましょう。
税務調査を受けることになったならば、きちんと対策する必要があります。調査官からの指摘にきちんと対応できないと経費の否認などを受ける可能性があるからです。
税務調査を受ける場合には専門家からサポートを受けることをおすすめします。
税理士に相談すれば、税務調査の対策から立ち会いまで幅広く対応してもらえるでしょう。
法人は社会保険への加入義務がある
法人には社会保険への加入義務があります。
基本的に役員や従業員はすべて社会保険に加入しなければいけません。
社会保険の手続きが必要であり、さらに社会保険料の半分を会社が負担する必要があります。
役員や従業員の数が増えると社会保険料の負担が増えるため注意しましょう。
ただし、社会保険料は経費に計上できます。
法人には維持費がかかる
法人を維持していくための費用がかかります。
たとえば、法人は赤字でも法人住民税が約7万円かかるのです。
法人住民税には所得に関係なく課税される均等割の部分があり、赤字でも請求されます。
また、法人の会計や税務などを専門家に依頼する場合は報酬を支払わなければいけません。
法人の事務所を借りている場合は、月々の家賃や光熱費がランニングコストとしてかかります。
さまざまな維持費用がかかることを考慮しておきましょう。
法人化は専門家に相談して考えよう
法人化するべきかどうかの判断は難しいです。
さまざまな要素を考慮して総合的に判断することが求められます。
判断を誤ると法人化で失敗するリスクがあるのです。
法人化するべきか決める際には専門家に相談して意見をもらうことをおすすめします。
会社設立のプロであれば、ヒアリングした上で最適な提案をしてくれるでしょう。
経営サポートプラスアルファであれば、法人化のプロとして対応可能です。
会社設立の判断から手続き代行、資金繰りのことまでサポートいたします。
法人化でお悩みの方は経営サポートプラスアルファまでお気軽にご相談ください。
法人化のタイミングでお悩みの方は経営サポートプラスアルファまで!
ある程度年収が上がると法人化による節税メリットは大きくなります。
年収が700万円を超えそうになったならば、法人化を検討してみましょう。
その際には実際に法人化した場合の納税額などをシミュレーションすることが大切です。
専門家に相談すれば、税金のシミュレーションから法人化のプランの提案まで対応してくれます。
法人化のタイミングで悩みや不安がある方は経営サポートプラスアルファにお任せください。
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