合同会社から株式会社に変更するには
合同会社と株式会社の特徴について説明した後、合同会社から株式会社へ変更する手順について説明します。
それと同時に合同会社から株式会社に変更するメリットやデメリットについても、説明します。
また合同会社から株式会社に組織変更するためにかかる費用についても解説していきますので、ぜひ最後までお読み下さい。
合同会社と株式会社について
株式会社と合同会社の違いについて説明することで、どのような特徴があるのか解説していきます。
現在合同会社で、株式会社に変更するか検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
合同会社とは
合同会社は会社設立時に、株式を発行せず出資者だけが経営者となる会社形態です。
合同会社の出資者は出資額に関係なく、対等の議決権を持つため、その運営に関わる貢献度によって利益の配分を自由に行えます。
合同会社は、2006年の会社法で改正されてできた形態ですのでまだ新しく数が少ないです。
しかし世界で見れば、グーグルやアップルなど合同会社の形態で大きくなっている会社があります。
登録費用は電子定款の場合には、登録免許税6万円のみで済みます。
株式会社とは
株式会社とは、株式を発行し、株主から資金を調達しその資金で事業活動していく会社形態のことです。
株式会社が上場している場合には、株を一般の人でも購入することができ、株の持っている割合により議決権を行使できます。
株式会社設立時に、電子定款で申請した場合には、登録免許税が15万円、定款認証費用5万円で合計約20万円の費用がかかります。
合同会社から株式会社に変更するメリット
合同会社から株式会社に変更するメリットは以下の通りです。
- 一般的に信用度が上がる場合がある
- 株式上場を目指せる
- 株式の発行により一般から資金を調達できる
- 新規に株式会社設立するよりも安く設立できる
順に説明していきます。
一般的に信用度が上がる場合がある
合同会社の場合には2006年で出来たばかりの会社形態ですので、まだまだ一般的に浸透していません。
一方で株式会社は昔から存在する会社形態であり、一般的に浸透しており信用度が高いのです。
合同会社は世界的に有名な会社があるものの、日本ではまだあまり知られてないため株式会社の方が信用を得られやすいのです。
合同会社の場合には、代表になっても代表取締役と名乗ることはできませんが、株式会社の場合には代表になれば、代表取締役として名乗れます。
株式上場を目指せる
株式会社にすると会社を、上場できる可能性があります。
会社を上場させられれば、株主から多くの資金を獲得できますし、世間的な信用も得ることができます。
一方合同会社では、株式がないので、投資家から資金調達できません。投資家から直接資金調達するには、株式会社がお勧めです。
株式の発行により一般から資金を調達できる
株式会社にすると、株式の発行により一般から資金の調達が自由にできます。
株式会社にすれば、新株発行や社債などさまざまな仕組みを使って、一般の人や企業から資金調達できます。
一方で合同会社の場合には、すでに所属する社員に追加出資してもらうか、新たに社員を増やすなど、限られた方法でしか資金調達できません。
前の章で説明しましたが、上場した場合には、多くの資金が調達可能になります。
新規に株式会社設立するよりも安く設立できる
司法書士の手数料など勘案しない場合には、株式会社を新規で設立するよりも費用が安く済むことがあります。
新規で株式会社を設定した場合には、電子定款の場合の費用は約20万円になります。
一方で合同会社の場合電子定款で申請した場合には、6万円で済みます。
合同会社から株式会社に組織変更する場合には、法定費用は10万円程度なのでそのものだけでは安く済みます。
司法書士の手数料を勘案するとほとんど変わらないかもしれません。
合同会社から株式会社に変更するデメリット
合同会社を株式会社にする時のデメリットは、以下のようになります。
- 経営を自由に行えなくなる
- 株主総会が必要になる
- 役員の任期が発生する
株式会社にすると株主の議決権が発生するため、経営陣が自由に経営することができなくなります。
さまざまな決定について、株主総会での認可が必要となってくるのです。
またそれに伴い、株式会社にすると株主総会の開催が、必要になってきます。
そして株式会社の場合には役員の任期が発生するので、その度に取締役会や、取締役、監査役などを決める必要が出てきます。
中でも、合同会社に比べて経営が自由に行えないというデメリットが、一番大きいでしょう。
合同会社から株式会社に変更する手順
合同会社から株式会社に変更する手順は以下の通りです。
- 組織変更計画書の作成
- 全ての社員からの同意を得る
- 債権者保護手続
- 組織変更の効力発生
- 代表取締役の選定
- 株式会社の登記申請と合同会社の解散登記を申請
順に説明していきます。
組織変更計画書の作成
合同会社から株式会社へ変更する場合、組織変更計画書という書類を作成します。
組織変更計画書というのは、会社名や事業内容、株式会社変更後の株式総数などを記載した書類で、後から社員から同意を得るための書類です。
組織変更計画書の中の項目は以下の通りです。
- 事業内容
- 会社名(商号)
- 本店所在地
- 発行可能株式総数
- 定款
- 取締役氏名
- 株式会社変更後の発行株式数
- 合同会社の社員役職割り当て
- 効力発生日
全ての社員からの同意を得る
合同会社から株式会社に変更する場合には、経営者が一人で決定できません。
株式会社に変更するには、合同会社に存在する有限責任社員全員の同意が必要となってきます。
有限責任社員とは、従業員のことではなく、会社に出資している社員のことです。
組織変更計画書に記載した効力発生日の前日までに、全有限責任社員からの同意を得る必要があります。
有限責任社員の同意は、記載箇所に対して印鑑を押すというものです。
債権者保護手続き
債権者に株式会社に変更すると言うことを伝えるために、官報への公告掲載と個別責任者の勧告を実施します。
官報への公告掲載は株式会社を変更するという旨を伝える事とともに、この組織変更に対する異議申し立てが可能になります。
もし異議申し立てがあった場合には、組織変更を一旦中断しなければなりません。
この官報に対する期間は1カ月以上の期間が必要です。
組織変更の効力発生
債権者保護手続きまで問題なく通過すれば、組織変更の効力が発生します。
組織変更計画書の最後に記載した効力発生日に、効力が発生し法務局での手続きが可能となります。
代表取締役の選定
代表取締役の選定は、株式会社への効力が発生した後に行っていきます。
株式会社の定款において、代表取締役をすでに定めている場合には、効力発生時に代表取締役選定の効力が発生します。
株式会社の登記申請と合同会社の解散登記を申請
最後に株式会社の登記申請と合同会社の解散登記を申請します。
組織変更の登記については、効力発生日から2週間以内に申請する必要があります。
株式会社の登記申請に必要な書類は、以下のようなものがあります。
- 組織変更計画書
- 株式会社の定款
- 全ての有限責任社員からの同意が分かる書類
- 債権者保護手続き関係の書類
- 役員の就任承認書及び本人確認証明書
その他、司法書士に依頼する場合には委任状が必要です。
以上で、合同会社から株式会社への変更が完了します。
合同会社から株式会社に組織変更するためにかかる費用
合同会社から株式会社に組織変更するためにかかる費用は、以下の通りです。
官報公告掲載費 | 約35,000円 |
登録免許税 (合同会社解散) | 3万円 |
登録免許税 (株式会社設立) | 3万円 |
合計 | 約9万5,000円 |
合同会社から株式会社への変更手続きの一般的な費用は、トータルで10万円程度です。
登記手続きなどの司法書士に代行依頼した場合には、別途費用が掛かります。
官報への公告掲載費は、発行部数や会社概要によって変化しますが、およそ35,000円となっております。
登録免許税の株式会社設立費用は、3万円または資本金額の1000分の1.5のどちらか大きい方の金額です。
つまり資本金額が2000万円以下の場合には3万円です。
合同会社から株式会社に変更時のQ&A
合同会社から株式会社変更時に、気になることについて解説していきます。
会社名は変更できる?
ただし、株式会社という言葉を入れる必要があります。
合同会社○○○から株式会社△△△と言うように違う会社名に変えられます。
役員を変更することはできる?
株式会社において取締役、代表取締役や監査役などを選びなおすことができます。
本店所在地の変更はできる?
合同会社から株式会社への組織変更の登記と、本店移転の登記は一緒には申請できないのです。
これは登記記録上、同じ会社であることの確認のため、本店移転の登録ができません。
本店所在地を移転したい場合には、株式会社へ組織変更する前か、株式会社に組織変更した後に別途手続きが必要です。
まとめ
合同会社とは、会社設立時に株式を発行する出資者だけが経営者となる会社形態です。
一方で株式会社とは、株式を発行し、株主から資金を調達して、その資金で事業活動していく会社形態です。
合同会社が株式を発行し資金調達したい場合に、組織変更の手続きをすることで変更が可能です。
合同会社から株式会社に変更する手順は以下の通りです。
- 組織変更計画書の作成
- 全ての社員の同意を得る
- 債権者保護手続き
- 組織変更の効力発生
- 代表取締役の選定
- 株式会社の登記申請と合同会社の解散登記申請
合同会社から株式会社へ変更する場合は、新規に株式会社を設立するよりも安く変更できる場合があります。
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合同会社から株式会社に形態を変更する方がいいのか、はたまた新規に株式会社設立する方がいいのかは、その会社や今後の事業計画等のご状況によって異なってきます。
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