分社化のメリットはなに?事前に押さえておきたいデメリットとあわせて解説

会社の規模が大きくなった場合に検討するのが分社化です。

分社化はメジャーな言葉ではないものの、会社経営においては非常に重要な考え方です。

いくつものメリットがあるため、必要に応じて分社化を決断します。

経営者ならば分社化のメリットを知っておきたいものですが、具体的なメリットがつかめていない人は多いようです。

今回は会社を経営していくにあたって重要な、分社化の意味と分社化のメリットについてご説明します。

分社化とは

最初に分社化とはどのような意味であるのかご説明します。

また、分社化と混同されやすい子会社化の意味との違いについてもご説明しておきます。

分社化の意味

分社化とは規模の大きくなった会社が子会社を設立したり関連会社を設立したりすることを指します。

会社の規模が大きすぎると管理が行き届かないなどのデメリットが生じるため、会社を分割して管理しやすくします。

今の会社を「分ける」手続きであるため、分社化と呼ぶのです。

デメリットを解決するために分社化するため、状況によって分社化の方針は大きく異なります。

事業ごとに分社化する場合もあれば、地域ごとに分社化する場合もあります。

取り扱いしている商品ごとに分社化するなど、多種多様な文化があると考えておきましょう。

分社化では新しい会社を設立するため、その会社は独立した法人となります。

ただ、大半の場合は完全に独立した法人ではなく、分社化する前の会社と「親会社」「子会社」の関係になるのです。

分社化前の会社の方針などを踏まえながら、分社化によるメリットを活かして会社を経営します。

なお、分社化の進め方は会社法で定められているため、そのルールに則って進めなければなりません。

好きなように分社化できるわけではないため、その点は理解しておくと良いでしょう。

子会社化との違い

分社化と間違えられやすい言葉に子会社化があるため、こちらとの違いについてもご説明します。

厳密には異なった手続きであるため正しく理解しておかなければなりません。

まず、分社化とは上記でご説明したとおり会社を分割する行為を指します。

会社を分割するため、例えば現金や従業員などは分社化前の会社と分社化した会社に割り当てられるのです。

分社化前の会社は分社化した会社に100%出資して、100%会社の体制をとります。

それに対して、子会社化とは一般的に自社と関係のない会社の株式を50%以上を取得することを指します。

親会社が自分で実施して子会社を設立し株式を取得する場合はありますが、全く資本関係にない他人が設立した会社の株式を取得する場合もあります。

分社化と似た意味が含まれているものの、大きく異なる意味も含まれているのです。

分社化と子会社化では資本の観点で意味合いが異なります。

実態としては同じような関係に見えてしまいますが、厳密には違いがあるため分社化のメリットを理解するためにも子会社との違いも理解しておきましょう。

分社化による4つのメリット

分社化には多くのメリットがありますが、それらの中でもピックアップすると以下の4つが挙げられます。

  1. 節税効果
  2. 生産性の向上
  3. 損益の明確化
  4. 倒産時のリスク軽減

それぞれのメリットについて、具体的にどのような効果があるのか続いては詳しくご説明します。

節税効果

分社化することで節税できるメリットがあります。

節税できる対象には法人税と消費税が挙げられます。

それぞれについてご説明していきます。

法人税

法人税は基本的に税率23.2%ですが、法人の資本金が1億円以下の場合は、課税所得800万円まで税率が下がります。

法人の規模が大きくなり資本金が1億円を超えてしまうと低い税率が適用されませんが、分社化してそれぞれの資本金が少なくなれば、低い税率が適用されます。

結果、法人税の節約につなげられるのです。

また、分社化して複数の法人を設立すると、それぞれの法人で交際費を計上できるようになります。

交際費には上限があるため、ひとつの会社で計上できる金額には限りがありますが、分社化するとそれぞれの会社で計上できるメリットを生み出します。

これも計上できる経費の増加につながり、節税効果を生み出すのです。

消費税

基本的に法人は消費税を納税しなければなりませんが、一定の条件下なら設立して最大2年間は納税が免除されます。

分社化して新しく会社を設立することで、消費税においては納税しなくて良くなるのです。

一時的なメリットではあるものの、納税額が減ることは会社にとって魅力的でしょう。

分社化して会社の数が増えれば、トータルで免除される税金の額も大きくなります。

それぞれの会社では小さなメリットでも、グループ全体で見ると大きなメリットになるはずです。

生産性の向上

特定の事業に特化した会社を設立するため、分社化すると生産性の向上が期待できます。

プロフェッショナルが集まった会社が設立され、効率よく業務に取り組めるようになるのです。

また、分社化すると会社の規模が小さくなるため、事務手続きのボトルネックが低減するメリットもあります。

例えば、クライアントに見積もりを提出するにあたって、承認者が減るためスムーズな事務手続きが可能です。

分社化せずに会社の規模が大きいと無駄に承認者が増えてしまう場合があるため、比較するとメリットです。

他にも、分社化して関係者の数が少なくなれば、スケジュールの調節などもしやすくなります。

最低限のメンバーだけを集めれば良くなり、業務の効率アップにつなげられるのです。

損益の明確化

事業ごとに分社化すれば、それぞれの事業がどの程度の損益であるのか把握しやすくなります。

会社の規模が大きいと事業ごとの損益は把握しにくいため、比較するとメリットです。

損益を把握しやすくなるメリットを生み出すのは、売上と経費の算出がしやすくなるからです。

特に経費について把握しやすくなるのが分社化の大きなメリットと言えるでしょう。

一般的に会社の経営にかかる経費は数多くあり、どの経費がどの事業で発生したのかは明確に区分できません。

そのため、事業ごとの損益を経費を踏まえて正確に算出するのは難しいのです。

しかし、分社化すれば発生した経費は全てその事業に関するものであるため、経費を踏まえて損益の算出ができます。

倒産時のリスク軽減

万が一倒産した際に分社化しておくとリスクを最小限に抑えられます。

大きな会社が倒産すると職を失う人が増えてしまいますが、分社化していると最小限に抑えられる点はメリットです。

また、分社化して複数の会社がグループに存在すれば、人材をそちらで雇用することが検討できます。

必ずしも雇用できる状況にあるとは限りませんが、ひとつの会社しかなければ他に転職するしかないため、それと比較すると良い状況です。

また、分社化していれば赤字が原因で倒産する場合であっても、金銭的な影響を最小限に抑えられます。

他の事業で出した利益を食いつぶすのではなく、分社化した会社の中だけで完結できるようになるからです。

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分社化による3つのデメリット

分社化にはご説明したとおりメリットがありますが、それと同時に以下のデメリットも生み出してしまいます。

  1. 設立手続きの複雑
  2. 株主の同意が必要
  3. 管理コストの増加

どのようなデメリットがあるのかについても以下でご説明します。

設立手続きの複雑さ

分社化するためには新しく法人を立ち上げなければなりません。

法人の立ち上げにはいくつもの準備や手続きが必要となり、煩雑であることがデメリットです。

また、分社化の場合は資産の移動なども必要となり、単純な法人設立よりも煩雑になりやすい点でさらにデメリットです。

ご説明したとおり、分社化で設立される法人は子会社に該当します。

子会社を設立する際は親会社も必要に応じて手続きをしなければならず、ここでも手間がかかってしまいます。

例えば、状況によっては親会社の定款を修正しなければなりません。

なお、分社化で新しく法人を設立する場合は、専門家に依頼するのが基本です。

ただ、手続きなどは依頼できても社内で対応する事項もあるため、それは負担になってしまいます。

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株主の同意が必要

会社を分割して分社化する場合には、株主総会で分社化についての決議で同意を得なければなりません。

特別決議を発議して株主の3分の2以上が同意しなければならず、スムーズに進まない可能性があります。

まず、株主総会を開くためには株主に告知しなければなりません。

出欠確認などをする必要もあり、分社化したいと思い立ってもすぐに行動できるわけではないのです。

余裕を持った日程で株主総会を開催しなければなりません。

また、そもそも分社化に株主が同意しない可能性があります。

株主に何かしらデメリットがあると、特別決議で否決されてしまうかもしれません。

十分に情報を提供したり説明したりして、分社化に納得してもらいましょう。

管理コストの増加

分社化して管理する会社が増えると、管理コストの増加というデメリットがあります。

会社が増えれば増えるほど管理コストは大幅に増加するため、この点は注意しなければなりません。

例えば、分社化して法人の数が増えると、「法人住民税の均等割」の負担額が増加します。

こちらの税金は法人の課税所得にかかわらず必ず納めなければなりません。

分社化して法人が増えると絶対に負担が増えてしまうためデメリットです。

また、法人が増えるとそれぞれに「経理」「営業」などの部門を用意しなければなりません。

ひとつの会社だと集約できる部門を個々の会社に設置する必要があり、人件費面で無駄が出やすくなってしまいます。

他にも、弁護士や税理士など顧問契約を結ぶ数が増え、ここでもコストが増加してしまいます。

やむを得ないコストではありますが、デメリットと言えるでしょう。

まとめ

分社化のメリットについてご説明しました。

会社の規模が大きくなると問題が生じやすくなるため、分社化して規模を小さくすることでメリットを生み出します。

業務面や税金面でのメリットが大きいため、積極的に分社化を考えるとよいでしょう。

ただ、分社化すると管理コストが増加するなどのデメリットがあります。

この点を事前に把握しておかなければ、思わぬコストに戸惑ってしまうかもしれません。

コスト面を中心にデメリットにも目を向けて、分社化すべきか考えるようにしましょう。

なお、自分たちで判断できない場合が大半であると思われるため、まずは経営サポートプラスアルファにご相談ください。

会社経営のプロが皆さんからヒアリングし、分社化を進めるべきであるかどうかアドバイスします。    

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