合同会社の維持費はいくら?株式会社とのランニングコストの違いは?
合同会社の維持費はどれくらいなのか、説明していきます。
その際、株式会社とのランニングコスト(維持費)の違いについて比較していきます。
合同会社の方が設立費用が安いですが、設立後の維持費は、それほど変わりありません。
合同会社の維持費を見ていくと共に、メリット・デメリットについても触れていきましょう。
そして、合同会社の維持費(ランニングコスト)について詳しく見ていきます。
合同会社設立後に売上ゼロでも、最低限必要な維持費や合同会社設立後にその他にかかってくる維持費(ランニングコスト)についても説明します。
合同会社と株式会社の違いは?
合同会社の維持費(ランニングコスト)について見る前に、合同会社と株式会社の違いについて説明します。
合同会社は、出資者が会社の経営にあたるという形態です。
会社のオーナーと経営者が同一というのが、合同会社です。
一方で株式会社の場合は、会社を所有する人と会社の経営する人は、別の人でも良いとされています。
株式会社は、株式を発行し、資金調達して、その資金で運営していくという形です。
株式会社と合同会社の比較すると以下の通りです。
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
定款の作成 | 必要 | 必要 |
定款の認証 | 不要 | 必要 |
設立登記にかかる費用 | 10万円以上 | 24万円以上 |
最低資本金 | 1円 | 1円 |
最低出資者数 | 一人以上 | 一人以上 |
代表者名 | 代表社員 | 代表取締役 |
取締役の人数 | 全員 | 一人以上 |
取締役会の設置 | 不要 | 任意 |
取締役の任期 | なし | 2年から10年より選ぶ |
決算公告 | 不要 | 必要 |
合同会社と株式会社の維持費(ランニングコスト)に関する比較については、後ほど詳しく説明していきます。
維持費ではなく合同会社と株式会社の設立時にかかる費用の違いとして、株式会社は、定款認証が必要になるため費用が増えます。
また登録免許税も株式会社の方が高いです。
合同会社の方が設立費用が安い
維持費(ランニングコスト)ではなく、設立費用は、株式会社より合同会社の方が安いです。
設立時に多くを占める登録免許税の額は、合同会社の場合、資本金の0.7%か6万円のいずれか高い方です。
一方で、株式会社の登録免許税は、資本金の0.7%か15万円のいずれか高い方です。
合同会社は資本金が約858万円未満の場合には、登録免許税は6万円で済みます。
一方で株式会社の場合には、資本金が約2,143万円未満の場合には、登録免許税が15万円です。
このように登録免許税は、合同会社の方が安いです。
その他に、合同会社が株式会社より安いのは、定款認証が不要ということです。
株式会社の場合には、定款を公証人役場で認証してもらう必要があります。
その際に5万円の定款認証手数料がかかります。
しかし合同会社の場合には、定款認証が不要ですので、手数料5万円がかかりません。
この登録免許税と定款認証手数料の違いにより、合同会社の方が株式会社より設立コストが低く済みます。
設立後は維持費はほぼ変わらない
合同会社と株式会社の設立後の維持費は、ほぼ変わりません。
株式会社と合同会社での維持費として、税金がありますが、税金の費用に違いはありません。
その他にも社会保険料や税理士報酬も、株式会社と合同会社で違ってくるということはありません。
また定款変更手続きの維持費は変わりません。
その他、株式会社と合同会社の維持費(ランニングコスト)として以下のようなものがあります。
- 事務所の家賃
- 事務所で使う光熱費
- 事務所で使う通信費
- 社員の給料
- 福利厚生費
これらの維持費(ランニングコスト)は株式会社・合同会社という会社形態によって変わるものではありません。
一方で、株式会社の場合にだけかかる維持費(ランニングコスト)があります。
合同会社にはかからず、株式会社の場合、かかる維持費は以下の通りです。
- 決算公告費用
- 重任登記費用
- 株主総会開催費用
合同会社はこれらの維持費(ランニングコスト)がかからないため、株式会社より少し維持費が低いです。
それぞれ説明していきます。
決算公告とは、会社の決算を一般に公開し、株主や債権者に財政状況や経営状況を見てもらうというものです。
決算公告を官報で行った場合には、6万円ほどの維持費がかかります。
決算公告を日経新聞などの全国誌に載せる場合には、10万円から100万円の維持費がかかります。
重任登記費用とは、株式会社における取締が任期を終えた際に、退任と同時に再就任する場合の登記のことです。
登記には基本的に司法書士に依頼するため、3万円から6万円の維持費がかかります。
合同会社の場合は、役員の任期は決まっていないため、この維持費は、かかりません。
その他の、合同会社にはかからない維持費として株主総会開催費用があります。
株主総会の開催には、会場費、お茶・お弁当代、お土産品代、懇親会費用などがかかります。
以上のような合同会社にはかからない株式会社の維持費(ランニングコスト)があります。
しかしトータルで維持費(ランニングコスト)を見た時には、株式会社と合同会社でそれほど変わらないでしょう。
合同会社のメリット・デメリット
合同会社と株式会社の設立費用や維持費(ランニングコスト)について比較しましたが、合同会社のメリット・デメリットについて説明していきます。
合同会社は維持費も含め費用が、少なく済むという特徴があります。
会社の信頼性があまり重要視されない業界では、合同会社がおすすめです。
例えば介護事業をする場合には、事業をするための許認可手続きが必要であり、法人の必要があります。
しかし開業するために、わざわざ株式会社である必要はないため、合同会社がおすすめです。
その他にインターネットビジネスのアフィリエイトなどで収入を得る会社を作る場合には、信頼性が必要ないため合同会社がおすすめです。
それでは、合同会社の、メリット・デメリットについて見ていきましょう。
合同会社のメリット
合同会社のメリットは、以下の通りです。
- 設立費用が安い
- 手続きが簡単
- 決算公告が不要で維持費が少ない
- 株式会社より自由に組織運営できる
- 利益の分配を自由に決められる
- 重任登記費用や株主総会開催費用などの維持費がかからない
合同会社は設立費用が6万円でできるので、株式会社より安く会社設立できます。
また合同会社は、株式会社と違い定款認証の必要がなく、そのための費用も少なく簡単な手続きで設立できます。
そして株式会社は、年に一度決算書を公告する必要があります。
合同会社の場合には、公告の義務がないためそのための維持費(ランニングコスト)がかかりません。
合同会社は、株式会社と比べて組織の自由度が高いです。
例えば取締役会を置く場合にも、監査役を置かなければいけないなどのルールは、合同会社にはありません。
株式会社の場合には、利益は出資額に応じて分配されます。
しかし、合同会社の場合には出資額にかかわらず、自由に取り分を決められます。
その他には、前に説明しましたように、重任登記費用や株主総会費用が発生しないため維持費(ランニングコスト)が少なく済みます。
合同会社のデメリット
合同会社は、株式会社よりも、維持費がかからない事が分かりましたが、合同会社のデメリットもあります。
合同会社のデメリットは、以下の通りです。
- 対外的な信用度が、高くない
- 株式発行による資金調達ができない
- 上場できない
- 役員の肩書きを代表取締役などとできない
- 出資だけの参加ができず、出資しなければ参加できない
それぞれ説明していきます。
株式会社と比較して合同会社は、まだ対外的な信用度が高くありません。
合同会社の認知度が低く、わざわざ会社を設立したのに、個人事業主とあまり変わらないようにとらえられてしまう場合もあります。
しかし、合同会社の設立件数は、年々増えており、今後認知度が広まればこのデメリットは解消されるでしょう。
合同会社は、株式会社のように、株式を発行できないため、株式発行による資金調達ができません。
合同会社であっても運営するために、維持費がかかるため、資金調達が必要な場合があります。
その場合に株式発行という選択肢がないのです。
そのため、合同会社は、株式会社のように株式発行できないため、上場もできません。
やはり合同会社であっても、運営するための維持費がかかりますが、資金調達手段が減ってしまいます。
合同会社の場合は、役員が株式会社のように、代表取締役などと名乗ることができません。
合同会社の場合は、代表役員と言われ、対外的に認知されていないというデメリットがあります。
株式会社の場合には、会社の所有は株主、経営は取締役と分かれています。
しかし合同会社の場合には、出資した人が経営することになっています。
そして、合同会社に出資しなければ参加できませんし、出資だけの参加も原則的にはできません。
合同会社の維持費(ランニングコスト)
合同会社の維持費(ランニングコスト)について、説明していきます。
合同会社の維持費は、以下のようなものがあります。
- 合同会社設立後に売上ゼロでも最低限必要な維持費
- その他の税金
- 社会保険料
- 合同会社設立後に事業を運営していく上でかかる事業費
- 税理士との顧問契約にかかる費用
これらが合同会社の維持費(ランニングコスト)です。
ひとつずつ説明していきます。
合同会社設立後に売上ゼロでも最低限必要な維持費
合同会社設立後に売上ゼロでも最低限必要な維持費が、法人住民税の均等割という税金です。
合同会社の最低限必要な維持費というのは、法人住民税5万円と地方税2万円の合わせて7万円です。
住民税ですので住む場所によって税金の金額が変わってきますが、例えば東京都23区で、従業員が50人以下、資本金の額が1,000万円以下の場合、均等割が7万円です。
以上が、合同会社設立後に、赤字だったとしても必要となる維持費です。
h3合同会社設立後にその他にかかってくる維持費
合同会社設立後にその他にかかってくる維持費として、まずその他の税金があります。
事業の所得によって法人税がかかります。
事業所得が年800万円以下の部分に対しては15%、年800万円以上の部分に対しては23.20%の法人税がかかります。
続いてかかる税金が、公共サービスの経費を負担するために徴収している法人事業税です。
法人事業税は所属する地方自治体に納付する税金です。
合同会社の維持費となる法人事業税は、都道府県によって異なります。
例えば東京都の場合、開始する事業年度によっても変わりますが、所得によって3.5%、5.3%、7%の税率と変わってきます。
売上ゼロでもかかってく合同会社の維持費として、法人住民税の均等割について説明しましたが、それ以外に法人税割というものもあります。
法人税割は、事業開始年度と事業所の場所によって税率が変わってきます。
たとえば東京23区に会社がある場合、標準税率は7%です。
合同会社の資本金が1,000万円以上ある場合には消費税の税金もかかります。
資本金を1,000万以上にしてしまうと、合同会社の維持費(ランニングコスト)がかかってしまうため注意が必要です。
税金以外に合同会社のかかる維持費用として、社会保険加入料があります。
社会保険とは健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険です。
これらの社会保険は、法律によって加入が義務付けられているものです。
社会保険料としては給料30万円の社員を雇用した場合、会社の負担額は年間約52万円です。
社会保険料は、合同会社の維持費(ランニングコスト)としては、とても高いものになるのでしっかり把握しておきましょう。
その他に、合同会社の維持費(ランニングコスト)としてかかるものは、以下のようなものがあります。
- 事務所の家賃
- 事務所の光熱費
- 通信費
- 社員への給料
- 福利厚生の費用
- 商品の制作費
合同会社設立後は、これらの費用を最低半年分、できれば2年分用意しておくと安心です。
以上が、合同会社の設立後にかかる維持費です。
税理士との顧問契約
最後に合同会社設立にかかる維持費として、税理士との顧問契約にかかる費用があります。
税務処理や会計処理というのは、とても複雑なので、自分で把握し処理していくにはとても多くの時間がかかってしまいます。
そして正確に処理してもらうためにも、専門家に依頼した方がいいでしょう。
税理士に依頼する場合には、年間の顧問契約費が50万~70万程度になっています。
それぐらいの額を、合同会社設立後の維持費として計算しておきましょう。
【まとめ】合同会社と株式会社の設立後の維持費も検討すること!
会社設立後は、合同会社と株式会社の設立後の維持費も検討しておきましょう。
合同会社や株式会社の設立時は、登録免許税などの設立費用ばかりを考えてしまいがちです。
しかし合同会社や株式会社設立後に維持費としてかかるものも、準備しておく必要があります。
合同会社と株式会社の設立後にかかる維持費にも、株主総会開催費用などの違いがあります。
合同会社の設立費用が安かったり、手続きが簡単、決済公告が不要で維持費が少ないなどのメリットがあります。
一方で対外的な信用度が高くない事や、株式発行による資金調達ができない、役員の肩書に代表取締などとできないなどのデメリットがあります。
合同会社の維持費(ランニングコスト)としては、売上ゼロでも最低限必要な税金、その他の税金、社会保険料、事業を運営していく上でかかる事業費、税理士との顧問契約にかかる費用などがあります。
合同会社や株式会社の設立にかかる維持費をしっかり把握して、事業を運営していきましょう。
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会社設立の際には、多くの必要書類を準備し、さまざまな申請する必要があり、専門家にお願いしたほうが安心です。
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合同会社の設立の場合には6万円、株式会社設立の場合は20万2,000円から行えます。
司法書士に依頼して、会社設立した場合よりもちろん安いですし、ご自分で会社設立する場合よりも安く済みます。