【税理士が解説】合同会社と株式会社の設立費用と維持費を徹底比較

会社設立時に、合同会社と株式会社のどちらを選択するかは、事業の規模や目的によって異なります。それぞれの会社形態には特徴があり、設立費用や維持費も異なります。どちらが自社に適しているかを判断するためには、費用面の違いを理解することが重要です。

この記事では、それぞれの費用と特徴を詳しく解説します。

1-1. 合同会社とは

合同会社は、2006年に施行された会社法で導入された新しい会社形態です。設立費用が安価で、運営の柔軟性が高いことが特徴です。

  • 特徴
    • 設立費用が低い
    • 利益分配や意思決定が柔軟
    • 小規模な事業や家族経営に適している

1-2. 株式会社とは

株式会社は、伝統的な会社形態であり、社会的信用度が高いことが特徴です。株式を発行して資金を調達することが可能で、大規模な事業に向いています。

  • 特徴
    • 社会的信用度が高い
    • 資金調達が容易
    • 法的義務が多く、維持費が高い

2-1. 合同会社の設立費用

合同会社は、設立費用が抑えられることが大きな魅力です。

  • 登録免許税:6万円(最低額)
  • 定款作成費用
    • 電子定款の場合:無料(印紙税不要)
    • 紙定款の場合:4万円(印紙税)
  • その他費用
    • 司法書士への依頼料(任意):5万円〜10万円

2-2. 株式会社の設立費用

株式会社は、設立費用が合同会社より高額になります。

  • 登録免許税:15万円(最低額)
  • 定款作成費用
    • 電子定款の場合:無料(印紙税不要)
    • 紙定款の場合:4万円(印紙税)
  • 定款認証手数料:5万円(公証役場で必要)
  • その他費用
    • 司法書士への依頼料(任意):5万円〜15万円

2-3. 設立費用の比較表

項目合同会社株式会社
登録免許税6万円15万円
定款印紙税(紙定款の場合)4万円4万円
定款認証手数料不要5万円
合計(概算)6万〜10万円程度20万〜30万円程度

3-1. 合同会社の維持費

合同会社は、運営コストが比較的安い点が特徴です。

  • 法人住民税(均等割):最低7万円(資本金や規模に応じて増加)
  • 会計処理費用
    • 自分で行う場合:無料〜数万円(会計ソフト代)
    • 税理士への依頼料(任意):月額1万〜3万円程度
  • 決算公告費用:不要(法律で義務付けられていない)

3-2. 株式会社の維持費

株式会社の維持費は、合同会社に比べて高い場合が多いです。

  • 法人住民税(均等割):最低7万円(資本金や規模に応じて増加)
  • 会計処理費用
    • 税理士への依頼料:月額3万〜5万円程度
  • 決算公告費用:5万〜10万円(法律で義務付けられている)
  • 役員変更や株主総会の費用:追加コストが発生する場合がある

3-3. 維持費の比較表

項目合同会社株式会社
法人住民税(均等割)7万円〜7万円〜
税務申告関連費用10万〜30万円20万〜50万円
決算公告費用不要5万〜10万円
その他運営コスト低い高い

4-1. 合同会社を選ぶべきケース

  • 小規模事業
    家族経営や個人事業主の法人化に適している。
  • 設立費用を抑えたい場合
    最小限の初期費用で設立可能。
  • 柔軟な経営を目指す場合
    利益分配や意思決定を柔軟に運用できる。

4-2. 株式会社を選ぶべきケース

  • 大規模事業
    資金調達が必要で、社会的信用度を重視する場合に適している。
  • 株主を募りたい場合
    株式を発行することで、多くの出資者を得ることが可能。
  • 長期的な成長を目指す場合
    事業の拡大を視野に入れる場合に向いている。

5-1. 設立費用だけでなく維持費も考慮

設立時の費用だけでなく、年間維持費も検討して選択することが重要です。

5-2. 専門家のアドバイスを活用

設立や運営に関する法務・税務の複雑さを理解するために、司法書士や税理士のサポートを受けることを推奨します。

5-3. 長期的な事業計画を策定

事業の将来性を見据え、どの会社形態が適しているかを判断します。

5-4. 会社形態変更の可能性

合同会社から株式会社への変更は可能ですが、追加の手続きや費用が発生します。初期の選択が重要です。

合同会社と株式会社は、それぞれ異なる特徴や費用構造を持っています。合同会社は設立費用と維持費を抑えたい場合に適し、株式会社は社会的信用力や資金調達能力を重視する場合に適しています。

費用だけでなく、事業内容や将来の計画を考慮し、最適な選択を行うことが成功への鍵です。設立前に専門家の助言を受けながら、事業の性質や目標に最も適した形態を選びましょう。

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