税務調査は過去に遡って行われます。
個人事業主の場合は7年前まで遡るのがルールです。
それでは実際に7年前まで調べられるケースはあるのでしょうか。
本記事では、実際に個人が税務調査を受ける場合に何年分まで遡って調べられるのか解説します。
そもそも税務調査とは?
税務調査とはそもそも何なのか、基本的な点について解説します。
申告内容が正しいかどうか調べるのが税務調査
税務調査は申告した内容が正しいかどうか調べるために行うものです。
確定申告は自主的に申告を行う制度であり、後で税務署が細かくチェックします。
そして、疑わしい事業者に対しては詳しく調べていくのです。
調査の結果として誤りや不正が見つかれば修正申告をする必要があり、さらに罰金を課せられます。
税務調査には任意調査と強制調査の2種類がある
税務調査には任意調査と強制調査があります。
任意調査は事前に通知を受けた上で指定した日時に調査担当者がやってきて調査をするという流れです。
強制調査は悪質な脱税行為の疑いがある場合に実施されて、事前通知をせずに国税局査察部が調査をします。
税務調査のほとんどは任意調査です。
個人事業主全体の約1%が毎年税務調査を受けている
税務調査が行われる割合は、個人事業主の場合は毎年全体の約1%です。
したがって、個人事業主は100年に1度のペースで税務調査を受けるとされています。
ただし、実際には帳簿上のミスや不正の疑いがある事業者が調査を受ける可能性が高いです。
また、過去に不正が多かった業種も狙われやすいでしょう。
そのため、税務調査を受ける可能性は低いからといって安心してはいけません。
個人の税務調査は7年前まで遡って調べられる?
個人事業主に対する税務調査は7年前まで遡り調べられるのか説明します。
原則として税務調査は5年前まで遡って調査を実施できる
まず、原則として税務調査では5年前まで遡り調査することができます。
これは国税通則法により規定されていることです。
平成23年までは3年までしか遡って調査できなかったのですが、平成23年に法律が改正されたことによって、5年前まで遡り調べられるようになりました。
基本的には3年前まで調べられるケースが多い
税務署が調査に割くことができるリソースには限りがあります。
そのため、法改正後も基本的には3年分までしか調べられないケースが多いです。
過去3年分を対象に調査をしていき、問題がないようであれば、そこで調査をストップします。
場合によっては、直近1年分の調査をして問題がなければ、後の2年分は軽く調べられるだけというケースもあるのです。
また、税務署が実地調査を行う際には事前に調査対象税目と調査期間について通知します。
そのため、もし事前通知で3年分まで調べると伝えられたならば、税務調査では3年分までしかチェックされないのです。
ただし、実際に調査をしていて申告漏れなどが疑われるケースでは例外規定として事前通知以外の期間についても調査できます。
偽りや不正行為の疑いがある場合は7年前まで調べられる
特に不正や誤りがないのであれば、3年分の調査で終わります。
しかし、悪質な偽りや不正行為の疑いがある場合は別です。
「偽りその他不正の行為」が識別された場合には、税務署は税務調査の調査対象期間を7年まで伸ばせられると法律で定められています。
悪質な犯罪行為の疑いがある場合は、7年分を徹底的に調べられて不正の痕跡が調べられるのです。
よほどの場合でなければ個人で7年前まで調べられることはない
税務調査は多くのケースでは過去3年分までしか調べられません。
過去7年分まで調べられるのは、意図的に脱税をしているケースや不正還付を受けているケースなどです。
刑事事件になるほどの悪質な行為をしていない限りは、個人で過去7年前まで遡って調べられるケースはほとんどないといえます。
税務調査の対象となる帳簿書類は7年間の保存が義務付けられている
税務調査で調べる対象となる帳簿書類は7年間保存しなければいけません。
この点について詳しく紹介しましょう。
申告をしてから7年間は帳簿書類を保存しなければいけない
確定申告をした後は帳簿書類を整理保存しなければいけません。
事業年度の確定申告の提出期限の翌日より7年間とされています。
個人事業主の場合であれば、その事業年度の帳簿書類は翌年の3月16日から7年間保存することが義務です。
法人であれば、決算日の2ヶ月後が申告期限であり、その翌日より7年間帳簿書類を保存します。
個人の場合は契約書や注文書、領収書といった書類の保存期間は5年
法人の場合は契約書や注文書、領収書といった書類についても保存期間は7年とされています。
これは法人税法によって定められているルールです。
一方、個人事業主の場合は法人ではないため、法人税法は適用されません。
そのため、個人事業主の場合は請求書などの保存期間は5年とされています。
請求書など書類の保存期間の起算日は帳簿書類と同様に確定申告の提出期限の翌日からです。
ただし、実際には個人事業主であっても、請求書などは7年間保存しておいた方が良いでしょう。
帳簿書類は7年間保存が必要なため、それに合わせて請求書なども7年保存しておくケースが多いです。
また、個人事業主でも消費税の課税事業者の場合は、消費税法が適用されるため請求書の保存期間は7年になります。
保存方法は原則として紙
基本的には請求書などは原則として紙で保存しなければいけません。
請求書などは取引の証拠書類として保存しておきます。
改ざんを防ぐためにも紙で保存することが義務付けられているのです。
紙であれば、相手先からの押印やサインなどが含まれており、改ざんは難しいものになっています。
また、不正会計を防ぐという目的からも紙による保存が基本とされているのです。
一定の要件を満たす場合は電子データとして保存することもできる
請求書などの書類は基本は5年、場合によっては7年間保存しなければいけません。
請求書などを紙媒体で保存するとなると最終的にかなりの量になります。
保存場所に困るケースがあり、保存するだけでもコストや事務的な負担が生じるでしょう。
そのため、特例として一定の要件を満たす場合には請求書などを電子データで保存することが認められています。
電子保存する際には、タイムスタンプの付与や一定水準以上の解像度(200dpi以上)による読み取り、バージョン管理などさまざまな要件があるのです。
事前に要件をよく確認して電子データによる保存を行いましょう。
個人が税務調査を受ける際の注意点
個人事業主として税務調査を受ける際の注意点について紹介しましょう。
最終的に何年前まで遡って調査するのかは調査官が判断する
何年分まで遡って調べられるのかは明確な基準があるわけではありません。
それぞれの調査官の判断によって変わります。
基本的には疑わしい点があれば過去に遡って調べられていき、悪質な場合では7年前まで調べられると考えましょう。
基本的に調査官が調べたいと申し出たならば拒否することはできません。
保存期間内の書類はすべて揃えておく
当日までに保存期間内の書類をすべて揃えておきましょう。
帳簿書類だけではなく、請求書や契約書、領収書などすべて用意しておきます。
ただ用意するだけではなくて、それぞれの書類を年度ごとに分けて整理しておくと当日はスムーズに調査が進められるでしょう。
場合によっては、書類を保存している場所までチェックされることもあるため注意してください。
過去の申告内容の誤りがないか調べておく
税務調査の当日までに自分たちで過去の申告内容に誤りがないのか調べておくことをおすすめします。
確定申告をする際には念入りに帳簿内容に誤りがないのか調べてから申告するという方は多いでしょう。
しかし、どれだけ注意をしても、実際に税務調査で細かな点を調べていくと誤りが見つかるケースはよくあります。
税務調査で調査官に指摘される前に自分でミスを見つけておくことは大切です。
申告内容の誤りがあるならば速やかに修正申告をしておく
過去の確定申告の内容については修正することができます。
過少申告を修正する場合は、不足分の税金を支払うだけではなく罰金も課せられるため注意しましょう。
ただし、税務署に指摘される前に自分でミスを見つけて修正申告した場合は、罰金が緩和されます。
自主的に修正申告をした方が罰金が軽減されるため、できる限り自力で誤りを見つけましょう。
税務調査を受ける前に専門家に相談すると良い
個人事業主でこれから税務調査を受けるならば、事前に専門家に相談しておきましょう。
どのような対策が必要なのか相談しておくことで万全の体制で当日を迎えることができます。
過去の帳簿書類のチェックから質疑応答のシミュレーション、当日の立ち会いまで頼めるのです。
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税理士法人で税金の専門家が揃っているため、さまざまなお悩みにお応えいたします。
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個人事業主が税務調査を受けると最長で7年前まで遡って調べられます。
ただし、一般的には3年前までの調査で終わることが多く、疑わしい場合にのみさらに遡って調査が進められるのです。
税務調査を受ける際には、あらかじめしっかりと対策を進めておくことが大切であり、専門家に相談しておくことをおすすめします。
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