左官屋として独立したい場合何をすればいいの?稼げる伝統技術を活かすのは今!

建物を建設する場合、その壁面がしっかりしていないと、骨組みが安定しませんし、その上からクロスを貼るときにも大きな支障が出てしまいます。

きっちり、かつ平らに壁面を仕上げるのが、高品質の建物建設の条件となります。

左官屋は、その壁面を仕上げる重要な役割を担う職人です。

建物建設がある限り左官屋の需要はなくなりません。

今回は左官屋としてどのようにキャリアを積み、独立をすべきなのか解説します。

左官屋としてどのようなキャリアデザインをするべきなのか、そのあたりも含めて検討していただく材料にしてください。

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左官屋として独立を目指す

左官屋として独立開業して、ご自身の腕一本で厳しい業界を生き抜いていくためにはどうすればいいのでしょうか?

左官屋としての独立の道を探ります。

左官屋とは何?

まず「左官屋」という仕事についておさらいをしておきます。

左官屋、左官業とは、建物の壁や床、土壁などを、独特のコテを使って塗り仕上げる仕事やそれを専門にする職人さんを指します。

高温多湿の日本にあって、左官屋は湿気の調節のために土壁と漆喰(しっくい)を組み合わせて家の壁に塗ることで、湿気を上手に調整できる日本家屋に仕上げていきます。

これが左官工事になります。

土・モルタル・プラスター・漆喰といった壁材を絶妙な配分で混ぜ、主にコテを使って塗っていきます。

塗りと乾燥を繰り返し、幾重にもわたる工程を一人で行い、日本伝統の壁を作り上げていく職人です。

左官屋は塗装業と違います。

共通点と相違点をまとめてみました。

 

左官屋

塗装業

共通点

住宅・建築物の壁を塗る職人

相違点

塗るもの

土・モルタル・漆喰・プラスターなどの壁材

ペンキ

塗り方

専門のコテを使用、塗って乾かし、塗って、乾かし

ローラーや吹き付け、機械で行う

 

目的

家屋の調湿、脱臭、断熱、保温

紫外線・雨風・暑さ寒さの温度変化・サビ防止

塗装業は機械があれば誰でもすぐにスキルを身につけることが出来ますが、左官屋の場合、コテを使った職人芸になるので、最低でも5年~7年の修業期間が必要だといわれています。

左官屋は日本古来の手法により、日本の気候に適した家屋の土台を自然の成分、材料を使って作るのに対して、塗装業は化学薬品を塗ることで、その成分によって壁面を守るという違いがあります。

当然、左官屋のほうが自然にやさしく、かつ高度な技術を要します。

左官屋は日本家屋の減少や大型マンションなどを西洋的手法で建設するようになり、そのニーズが減少していましたが、近年その自然にやさしい工法が見直されつつあります。

しかし、技術の伝承という意味では、厳しい状況であり、腕利きの左官屋は非常に重宝され、ニーズが高まっている状態です。

野丁場と住宅左官

左官屋が活躍する場所は大きく分けて「野丁場」と「住宅左官」に分けられます。

どこで修業を積むのか、独立後どちらをメインに活躍するのか、しっかり考えながらスキルを身につけてください。

野丁場鉄筋コンクリーなどの大規模な工事現場で仕事内容は分業化されています。
左官屋は下塗りを担当。単調だが正確さが要求される。
在宅左官民間住宅等の壁塗りの仕上げを行う。
総合的な左官技術が必要で熟練した職人技が求められるが、
裁量もありやりがいも見いだせる。

受動的に行う「野丁場」か、主体的に行う「在宅左官」かの違いです。

在宅左官は、スキルが高くないとできません。

独立した場合、後者を目指したいところです。

左官屋に必要な資格

左官屋は何よりその技術、スキルが重要視されますが、対外的にそれを証明するものとして「左官技能士」(1級~3級)があります。

国家資格である技能検定制度の一種で、都道府県職業能力開発協会が実施するもので、公的な左官屋としてのスキルを証明するための重要な資格になります。

学科(筆記)試験と実技試験があり、それぞれに合格することで、左官業としてのスキルを示すことができます。

3級~1級の内容は下記になります。

左官技能士3級試験 受験資格:誰でも受験可能
(学科)
◆施工法◆材料◆建築構造◆製図◆関係法規◆安全衛生 
(実技)
基本的な左官塗装

左官技能士2級試験 受験資格:実務経験2年以上 
(学科)
施工法◆材料◆意匠図案◆建築構造◆製図◆関係法規◆安全衛生 
(実技)
1.壁及びそで壁の一部と仮定された下地に所定の塗り仕上げを行う。試験時間=5時間15分
2.下吹きされた吹付け下地(普通合板)に仕上げ吹付けを行う。試験時間=5分

左官技能士1級試験 受験資格:実務経験7年以上 
(学科)
施工法材料意匠図案建築構造製図関係法規安全衛生 
(実技)
1.壁、天井及びそで壁の一部と仮定された下地に所定の塗り仕上げを行う。試験時間=5時間15分
2.下吹きされた吹付け下地(普通合板)に仕上げ吹付けを行う。試験時間=10分

1級の上に「特級」もありますが、1級合格後5年以上の実務経験が必要であり、独立開業前に取得することはほぼ不可能です。

まず左官技能士1級を目指し、それを取得後の独立開業を目指しましょう。

左官技能士は「名称独占資格」であり、左官技能士資格を持っていない人が左官技能士と名乗ることはできません。

また、左官技能士は、職業訓練指導員 (左官・タイル科)の実技試験免除の特典もあります。

左官屋は稼げるのか?

左官屋の年収平均は約400万円となっています。

他の建築職人(クロス貼り、とび職、足場職人等)と比較してもやや高めであり(他の職人は年収300万円台)、これは左官屋のスキルが失われつつある重要なものであるからこその裏返しです。

腕のある左官屋はもっともっと稼ぐことができ、場合によっては年収1000万円を超えることも可能であると言われています。

スキルがある左官屋はどこでも重宝されるわけです。

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左官屋独立の具体的な流れ

左官屋としてスキルを身につけて覚悟を決めれば独立することになります。

左官屋として独立するまでの流れをまとめてみました。

独立開業までの流れ

事業主体

法人化(会社形態)

個人事業主

開業前

修行、左官工事を数多く経験

左官屋としてえの実務経験を積む(最低5年~7年)

左官技能士の2級級に合格する(最低ライン)

可能ならば左官技能士1級に合格する

独立、開業

商号(社名)や事業目的、資本金、役員等を決める

開業届を税務署に提出する

定款を作成する

定款認証(合同会社は不要)

社印を作成する

資本金を振り込む

法務局へ行き会社設立登記の申請をする

設立登記後社会保険や年金の手続きをする

開業資金の準備

法定設立費用6万円~20万円+資本金

開業資金不要

左官屋として親方の下でしっかり修行するのは当然ですが、それに加えて「左官技能士」の資格は確実に取得してください。

最低2級、可能ならば修行中に1級を取得すると、独立の際に大きなアピール材料になります。

仕事の取り方、クライアントの開拓方法

左官屋として独立開業後も安定して仕事を得るためには、具体的に以下の取り組みを行ってください。

  • 独立前の親方との関係を良好に維持して仕事を回してもらう
  • 工務店、建設会社やリフォーム業者に売り込む

個人が直接左官屋に左官工事を依頼することはまれですので、この2つの方法がメインになります。

左官工事は新築物件だけではなく、リフォームの際にも行われますので、工務店、建築会社だけではなく、住宅リフォームの会社にも自分を売り込んでいくのが大切です。

その際重要になるのが「左官技能士」の資格になります。

1級を持っていればかなりのアピール材料になるはずです。

また、それまでの親方とそりが合わず独立する場合も、決定的な対立は避けてください。

狭い業界ですので、関係が悪化したままだと、独立後の仕事受注に悪影響が出る可能性があります。

左官屋の独立開業準備~資金や用具

左官屋として独立開業する際の開業資金や開業時の工具備品について整理しましょう。

左官屋として独立する際の工具備品

左官屋として独立するときに必要な代表的な工具備品は以下になります。

基本的に雇われている時のものをそのまま引き継ぐか、同じものを購入していただければOKです。

  • コテ(厚塗りと薄塗り用)
  • コテ板
  • 腰袋
  • 攪拌機
  • ハケ
  • トロフネ
  • ローラー
  • トンボ
  • さし金
  • クワ・手ぐわ
  • ひしゃく・バケツ
  • コンクリート釘
  • わんこ
  • 水糸
  • 自動車(移動、運搬用、自家用車を転用していただいても構いません)

自動車以外の道具はおおよそ30万円~50万円になります。

左官屋として独立する際の開業資金

独立開業する際には資金が必要になります。

おおよその開業資金は以下になります。

独立開業費内訳金額
工具備品30万円~50万円
原材料(土、漆喰等)10万円
車両(移動、工具運搬)100万円~150万円
合計140万円~210万円
  
(法人の場合)法定設立費用6万円~20万円+資本金
建設業許可をとる場合財産要件 500万円(資本金と重複可能)

自家用車を業務用に転用できれば、車両代は浮きます。

その場合、会社設立をしないのであれば、100万円以内で開業できるため、銀行からの融資など資金調達は不要になるでしょう。

車両も新たに購入する場合、創業融資を受けることもあるかもしれません。

その場合、日本政策金融公庫や自治体の創業窓口、あるいは「経営サポートプラスアルファ」などの資金調達のプロフェッショナルに相談してください。

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左官屋の独立開業の際の規模を考える

左官業を身一つで独立開業することもできますが、ある程度の規模で始めることも考えられます。

法人化か個人事業主か

左官屋を独立開業する際、法人(会社設立)として始めるべきか、個人事業主として始めるべきか、こちらについては、最初は個人事業主として始めれば十分です。

法人化するのは将来的に弟子を複数抱え、大型案件を受注するようになってからで間に合います。

左官屋を法人化する(会社設立)

左官屋を個人事業主として行う

メリット

社会的信用がある

簡単に設立できる

経費の範囲が広い

定款などの作成義務がない

責任の範囲が有限

自由な働き方ができる

赤字繰り越しが10年である

廃業手続きもすぐにできる

売上が多くなれば個人事業主よりも税率が下がる

社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金では老後が不安

最高税率が23.2%と所得税の約半分

 

デメリット

設立までの手間がかかる

社会的信用がない

設立後の帳票作成や税務申告が大変

最大税率45%と法人税よりはるかに高い

赤字でも法人住民税がかかる

無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う

社会保険へ加入しなければならない

赤字繰り越しが3年までしかできない

会社の廃業手続きが煩雑

経費で落とせる範囲が狭い

 

事業主体

法人化(会社設立)

個人事業主

所得税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%

事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45%

個人住民税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%

事業の売上から「事業所得」を算出してその約10%

消費税

課税売上1000万円以上の場合支払う

課税売上1000万円以上の場合支払う

法人税

かかる(15%~23.2%)

なし

法人住民税

かかる

なし

法人事業税

かかる

なし

個人事業税

なし

かかる

年間売上1000万円前後で、支払う税金が「法人税>所得税」から「法人税<所得税」になり、法人化した方が節税効果は生まれます。

逆にそこまで売上がないならば個人事業主のままでも十分です。

建設業許可が必要なのは

建築一式工事

次のどちらかに当てはまる工事の場合建設業許可が必要

①1件の請負代金が1,500万円超の工事(消費税込み)
②延べ面積が150㎡超の木造住宅工事

建築一式工事以外

1件の請負代金が500万円超の工事(消費税込み)

このケースであり左官工事は「建築一式工事以外」に該当します。

1人で1回あたり500万円超の左官工事を請け負うことはまずありません。

ただし、余裕があるならば、対外的な信頼度を高めるため、建設業許可を取ってもマイナスにはなりませんので、自社の余裕があれば・・という話になります。

建設業許可のためには

条件

内容

経営業務の管理責任者

経営に携わる管理責任者の設置です。個人事業主の場合は本人、法人の場合は役員(代表取締役)などを管理責任者とします。

専任技術者

実務経験3年~10年(学歴や大学の専攻によって異なる)を積んだ人。
一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士(種別:仕上げ)、左官技能士

安定した財政基盤

貸借対照表の純資産の部合計額が500万円以上。新規会社設立の場合は資本金500万円以上。
個人事業主の場合は預金残高が500万円以上であること。

欠格事項に相当しない

暴力団構成員や彼らと関係ある人間、元犯罪者(禁固以上で執行後5年以内の人)、建設業で罰金刑を受けて5年以内の人、成年被後見人および被保佐人や破産手続き開始の決定を受けた人は建設業許可が下りません。

これらが必須です。

左官技能士を取得し、実務経験を積んで、資金に余裕があれば会社設立と一緒に建設業許可を取る、くらいの感覚で良いでしょう。

無理に早く建設業許可を取得する必要はありません。

建設業許可は必要か、不要か

左官屋も建設工事にかかわるので、建設業許可が必要なのではないか?と思われるかもしれません。

結論から言うと、一人親方として左官屋を行うのであれば、建設業許可はまず要りません。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

左官屋独立開業を希望の方は「経営サポートプラスアルファ」に相談を!

左官屋は単に建築系の職人というだけではなく、日本の伝統技能の継承者という一面も持っています。

左官屋が少なくなっている中で、独立開業を目指すというのはチャンスでもあります。

そのためにはしっかりした技術を身につけていくことが大切で、「左官技能士」をしっかり取得し、実務経験を積んだうえで独立開業を目指しましょう。

左官屋としてのキャリアプランや開業方法などについて、ぜひ専門家を頼ってください。

「経営サポートプラスアルファ」には、建設業関係の職人の独立開業に詳しいプロフェッショナルが揃っていて、左官業も守備範囲です。

開業方法、法人か個人事業主かなど何でも聞いてください。

開業資金についての相談もお受けします。

土日祝日夜間も対応します。遠隔地の方はLINEやZOOMでご相談ください。

職人スキルを独立開業してぜひ役立ててください。

「経営サポートプラスアルファ」はそのためのサポートをさせていただきます。

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