会社設立の際には資本金を用意しなければいけません。
その際に資本金を見せ金として用意するケースがあり、これは違法とされています。
それではなぜ資本金として見せ金を用意してはいけないのか、その他どんな点に注意するべきなのか解説しましょう。
資本金の見せ金とは
資本金の見せ金とは、借入したお金を用いて資本金にすることです。
見せ金は会社設立後に同額を返済します。
資本金に相当する資金を用意したと見せかける行為を見せ金と呼ぶのです。
見せ金として資本金を用意するのは禁止されています。
なぜ資本金の見せ金が必要になるのか?
なぜ資本金として見せ金が必要になるのか説明します。
会社設立時には最低1円以上の資本金を用意しなければいけない
会社を設立するためには最低1円以上の資本金を用意しなければいけません。
そのため、実質的に資本金の金額は自由に設定することができます。
ただし、資本金の金額は会社経営においてさまざまな影響を与えるものです。
そのため、会社設立の際には資本金の金額にこだわるケースはよくあります。
できるだけ多くの資本金を用意したいと考える人がいて、見せ金を活用するケースが出てくるのです。
資本金は返済不要の自己資金しか認められない
資本金として認められるのは返済不要の自己資金のみです。
そのため、お金を借り入れて資本金にすることは禁止されています。自分たちで集めたものであり、誰にも返済する必要がなく自由にできるお金のみを資本金として設定できるのです。
お金を借り入れて資本金に充当する行為を見せ金と呼ぶ
お金を借り入れて資本金として充当する行為を見せ金と呼びます。
たとえば、銀行からお金を借り入れるケースだけではなく、家族から借りたお金を資本金にするのも見せ金です。
一時的に借り入れたものであり、後で返済する必要がある資金は資本金として認められず見せ金とみなされます。
見せ金は違法行為であり罰則がある
資本金として見せ金を活用するのは違法行為とされています。
見せ金は資本金を偽装したとみなされるからです。
見せ金を資本金として法人登記すると虚偽の記載が登記簿に記録されることになります。
虚偽の申請をしたことで罰則を受ける可能性があるのです。
見せ金が禁止されている理由
見せ金は誰かから借りたお金であり、返済しなければいけないものです。
そのため、会社の資金としては認められません。
見せ金を資本金にしている会社は、自己資金を有していない状態であり、それにもかかわらず自己資金があると見せかけているのです。
このような会社の存在を認めると多くの人達が不利益を被るため、見せ金は禁止されています。
もし、会社設立後に融資を受けるならば、自己資金として資本金の金額が評価されます。
見せ金を資本金として融資の申請した場合は、自己資金の金額を誤魔化したことになるため詐欺行為にあたるのです。
資本金は多い方がいい
資本金が多いとさまざまなメリットがあります。
資本金が多い場合のメリットを詳しく説明しましょう。
融資を受ける際に有利になる
融資を受ける際には自己資金がチェックされます。
そして、基本的に法人における自己資金は資本金とされています。
発起人が現金で出資したお金は、会社が自由に使える固有の財産とみなせるのです。
資本金が多ければ、融資の際に有利になるでしょう。
ただし、代表者以外の出資したお金を自己資金と認めてもらえない場合があります。
ケースバイケースのため、不安ならばあらかじめ問い合わせておきましょう。
社会的な信用が高まる
資本金は会社が事業のためにいつでも自由に利用できるお金です。
資本金が多ければ、それだけ自由に利用できる資金を会社が有している証拠になります。
資本金が多いと何か起きてもすぐに対応できる会社として信頼されやすいです。
資本金が少ない会社は誰でも簡単に設立できます。
そのような会社は怪しまれる可能性が高いです。
ペーパー会社なのではないかと疑われるケースもあります。
また、資本金1円では不測の事態に何も対応できないため、そんな会社と取引するのはリスクが大きいと判断されるでしょう。
許認可を得るための要件に資本金が含まれるケースがあるため
特定の事業を行うためには許認可を得る必要があります。
事業によっては許認可を得るための要件として資本金の最低金額が定められている場合があるのです。たとえば、建設業であれば最低でも500万円の資本金が必要であり、一般労働者派遣業であれば1000万円の資本金が必要になります。
見せ金で資本金を用意するとバレるのか?
見せ金で資本金を準備するとバレる可能性があるのか紹介します。
不自然なお金の出入りは疑われやすい
税務署は銀行口座のお金の出入りを確認しています。
もし不自然なお金の出入りがあれば疑われるでしょう。
たとえば、資本金を見せ金として用意して、すぐに返済する場合は短期間で大きなお金が動くことになります。
それは税務署にチェックされているため、すぐに調査が入る可能性があるのです。
不自然な役員貸付金が生じることが多いため
資本金を見せ金として用意する場合、役員に貸付金を与えるという処理をするケースが多いです。
法人が役員にお金を貸し付けるという処理を行い、資本金を債権者に返済します。
客観的には、会社設立直後に法人が役員に多額のお金を貸し付けたことになるため、とても不自然です。
経費で見せ金を消そうとしてバレる
役員貸付金として処理するとバレるため、見せ金を経費で処理するケースがあります。
資本金を経費として利用したことにして見せ金の事実を隠そうとするのです。
たとえば、見せ金と同額分のレシートや領収書を集めて経費として落とせばいいと考える人がいます。しかし、これは経費を捏造したことになり脱税行為です。
会社設立直後に多くの経費を計上すれば、税務署に怪しまれるため調査でバレる可能性は高いでしょう。
振込名義人が個人だと疑われる
見せ金として資本金を用意した後で借金をした相手に振込をして返済するケースがあります。
このときに、振込相手が個人名だと疑われやすいです。
たとえば、毎月一定の金額を個人名の口座に法人が振り込んでいる場合は、個人を相手にお金を借りていて返済していると判断されます。
個人相手への振込が事業と関連性のあるものでないと証明できなければ、徹底して調査を受けて見せ金の事実がバレます。
「公正証書原本不実記載罪」に問われる恐れ
見せ金で資本金を用意すると法人登記の際に虚偽の事実を申請したことになります。
公的な書類に嘘の情報を記載したことで「公正証書原本不実記載罪」に問われて、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に科せられる可能性があるのです。
刑法157条で規定されているため、見せ金によって刑事罰を受けることになります。
金融機関からの信用を失う
金融機関の審査を受ける際には、多くの書類を提出します。
そこで、金融機関は法人のお金の動きや使途などを詳しくチェックするのです。
金融機関から見せ金をしていると疑われて審査に落ちる可能性があります。
また、見せ金をしていたことがバレて罰則を受ければ、その事実は一気に広まります。
見せ金をしていたことで金融機関から信用を失ってしまい、融資を受けられなくなる可能性があるのです。
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会社設立時の資本金を用意する方法
会社設立の際に資本金を用意する方法を紹介します。
貯金をする
貯金をして資本金を用意するのは一般的な方法です。
自分で貯めたお金であれば、他人から借り入れたものではなく、完全に自由に利用できます。
貯金をしたお金を資本金にすれば、資本金は全額自己資金として認められるのがメリットです。
創業融資や銀行から融資を得る際にも有利になるでしょう。
親族から資金の援助を受ける
会社設立の際に親族から資金援助を受けて資本金を用意するケースはよくあります。
資金援助という形であれば、借入ではないため、資本金にしたとしても見せ金とはみなされないです。自由に利用できるお金であり、自己資金にすることもできます。
ただし、起業のために親族からお金を受け取る行為は個人からの贈与に該当するため贈与税が発生する点に注意しましょう。
贈与税には110万円の基礎控除額が設定されています。
親族から資金援助を受ける際には、110万円以下の金額にすると良いでしょう。
あるいは、数年かけて少しずつ贈与を受けて資金を貯めていく方法もあります。
出資者を募る
出資者を募れば、それぞれが出資したお金を集めて資本金にできます。
起業する仲間がいれば業務の分担ができる点や自分にはないスキルや知識を活用できる点などがメリットです。
ただし、出資者が増えると会社の意思決定に関係する人間が増えるため、物事の決定に時間がかかります。
信頼できない出資者がいるとトラブルの原因になるため、出資者を募るのは慎重に判断するべきです。
クラウドファンディングでお金を集める
クラウドファンディングとは資金調達の方法の1つであり、不特定多数の人から資金を供与してもらう仕組みのことです。
インターネットを通じて多くの人々からの資金提供を募ります。
購入型や寄付型、投資型といった種類があるのが特徴です。
投資型の場合は出資者に金銭的なリターンが発生します。
寄付型や購入型の場合は返済の必要はありません。
注意点は魅力的なビジネスのアイデアがなければお金が集まらない点です。
また、資金使途が限られるケースがあります。
資金調達のことは専門家に相談しよう
会社設立の資金調達にはさまざまな方法があります。
資金調達の方法によっては税金が発生することがあるため注意しなければいけません。
資本金をいくらに設定するべきかも、会社設立後への影響が大きいため慎重に検討する必要があります。
これらの問題については専門家の意見を求めると良いでしょう。
専門家であれば、最適な助言をしてくれて、手続きのサポートまでしてくれます。
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資本金を見せ金として用意することは禁止されています。
バレると刑事罰を受ける可能性があるため注意しましょう。
会社設立の資本金を用意するための資金調達方法は、親族からの資金援助やクラウドファンディングといった方法があります。
専門家に相談をして、最適な資金調達方法を選択しましょう。
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