【税理士が解説】会社設立時の株価の決め方とは?基本のポイントと具体的な方法

会社を設立する際、経営者が直面する重要な課題の一つが株価の決定です。株価は会社の価値や資金調達に直結するため、その決め方は慎重に行わなければなりません。特に、設立時の株価は投資家との信頼関係を構築し、今後の事業展開に大きく影響を与えるため、適切な株価設定が欠かせません。

この記事では、会社設立時における株価の決め方について、基本的な考え方から具体的な決定プロセス、また、実務で考慮すべきポイントを解説します。

株価とは、会社の発行する株式一株あたりの価格を指します。株式会社を設立する際、出資者(株主)はその株式を購入することで、会社に資金を提供し、会社の所有者となります。株価は、会社の財務的価値や資本構成、株主への利益分配などに直結し、将来的な株式取引や資金調達にも影響を与えます。

株価の設定は、設立当初の資金調達と将来的な株式の発行において極めて重要です。特にベンチャー企業やスタートアップの場合、最初の株価が低すぎると将来的な株式価値の増加が制限され、高すぎると投資家の負担が大きくなり出資を得ることが難しくなることがあります。

株価を決定する際には、いくつかの要因を考慮する必要があります。以下では、株価を決定する際に考慮すべき代表的な要因を紹介します。

2-1. 資本金と株式の関係

会社設立時の資本金と発行する株式数は、株価決定に直接影響を与えます。資本金は、会社設立時に出資者が会社に提供する資金であり、その対価として株式が発行されます。このため、発行する株式の総数と資本金の額を基に、1株あたりの株価を決定することが一般的です。

例えば、資本金が100万円で、1,000株を発行する場合、1株あたりの株価は100円となります。資本金と株式のバランスを考えながら、適切な株価を設定することが重要です。

2-2. 会社の成長性

会社の成長性は、株価を決定する際の重要な要素です。特に、スタートアップやベンチャー企業の場合、将来的な成長性が高く見込まれる場合は、株価を高めに設定することが一般的です。これは、事業の成功により株価が上昇することで、投資家が得られるリターンが大きくなることを見越しての決定です。

一方、設立初期の段階で会社の成長性がまだ不確実である場合は、株価を低めに設定し、投資家への負担を軽減することもあります。これにより、出資者がリスクを取りやすくなり、資金調達が円滑に進む可能性があります。

2-3. 市場環境と競合他社

会社の市場環境競合他社の状況も、株価の決定に影響を与えます。設立する会社が参入する業界が急成長している場合や、競合他社の株価が高い場合、設立時の株価を高めに設定しても出資者を得やすい可能性があります。

逆に、市場環境が不安定で競争が激しい業界の場合、株価を低めに設定してリスクを分散させることが効果的です。市場や競合の動向をよく調査し、会社のポジションに合った株価設定を行うことが大切です。

2-4. 出資者の意向

出資者(投資家)の意向も、株価の決定に大きな影響を与えます。特に、複数の投資家がいる場合は、株価が適正かつ公正であるかを確認し、出資者同士で合意を得ることが求められます。投資家が期待するリターンや、リスクの許容度に応じた株価を設定することで、円滑な資金調達を実現できます。

株価を具体的に決定するための方法はいくつかありますが、会社の規模や事業内容によって最適な方法が異なります。ここでは、代表的な株価決定方法を紹介します。

3-1. 資本金ベースでの株価設定

最もシンプルな株価設定方法が、資本金ベースで株価を決定する方法です。前述の通り、会社が設立時に設定した資本金を発行株式数で割り、その額を1株あたりの株価とします。この方法は、スタートアップや小規模企業でよく利用され、手続きが簡単な点が魅力です。

例えば、資本金が500万円で、5,000株を発行する場合、1株あたりの株価は100円となります。この方式は、株式の発行が資本金に基づいているため、出資者からも理解を得やすい方法です。

3-2. 事業計画に基づく株価設定

将来的な事業成長を見越した株価設定を行う場合は、事業計画に基づいて株価を決定する方法が取られます。この方法では、会社の成長性や将来的なキャッシュフロー、利益見込みを基に株価を算出します。

特に、ベンチャー企業やスタートアップでこの方法が採用されることが多く、初期の投資家に対して事業のポテンシャルをアピールし、株価の正当性を説明する際に有効です。この手法では、将来の利益や資産価値が株価に反映されるため、出資者にとっても魅力的な投資先となりやすいです。

3-3. 比較企業法

比較企業法は、同じ業界や類似の事業を行っている他の企業の株価と比較して株価を決定する方法です。競合他社の株価や業績を参考にしながら、自社の株価を設定することで、出資者にとっても納得のいく適正な株価を提示することができます。

例えば、同じ業界で同規模の企業が1株あたり100円で取引されている場合、自社の株価をそれに近づける形で設定することが一般的です。ただし、他社との比較には慎重さが求められ、単純に価格を真似するのではなく、自社の特徴や将来性を加味する必要があります。

株価を設定する際には、いくつかの実務上の注意点があります。これらを考慮しないと、後々の株式取引や投資家との関係において問題が生じる可能性があります。

4-1. 過小評価・過大評価のリスク

株価を過小評価しすぎると、会社の価値が低く見られてしまい、投資家からの信頼を損ねる可能性があります。特に、将来的な成長を見込んで出資を行う投資家にとって、株価が低すぎると十分なリターンが得られないと判断されることがあります。

一方で、株価を過大評価しすぎると、初期の出資者がリスクを取りにくくなり、資金調達が難航する恐れがあります。適切な株価設定は、会社の成長性と投資家の期待をバランスよく反映することが重要です。

4-2. 株式の分散と支配権の維持

株価設定は、株式をどの程度分散させるか、また支配権をどのように維持するかにも影響します。出資者が増えることで、会社の資金調達力が高まる一方、株式の分散によって経営者の意思決定に制約が生じることがあります。

特に、会社設立時には経営者が大きな割合の株式を保有し、経営権を保持することが一般的ですが、資金調達を進める中で株式を分散させる際には、経営権が希薄化しないよう慎重に計画を立てる必要があります。

4-3. 税務上の影響

株価は、税務上も重要な要素です。特に、株式の評価額が税務署によって査定される際、過大評価や過小評価が問題視されることがあります。適正な株価を設定しないと、贈与税や譲渡所得税に関するトラブルが生じる可能性があるため、税務上の影響も考慮して慎重に株価を設定することが求められます。

株価を設定した後も、その管理や調整が重要です。株価の変動や投資家の要求に応じた対応が必要になるため、継続的な株価管理を行うことが不可欠です。

5-1. 増資時の株価調整

会社が成長し、資金調達の必要が生じた場合、増資が行われます。増資時には、新たな株式を発行し、株価を調整する必要があります。初期の株価と比較して適切に調整し、既存の株主と新規投資家のバランスを保つことが重要です。

5-2. 株価の適正性を維持

株価の変動は、会社の経営状況や市場環境によって影響を受けます。投資家との信頼関係を維持するためには、適正な株価を常に維持し、透明性のある経営を行うことが大切です。定期的に株価の見直しを行い、必要に応じて調整を行うことで、会社の成長と株主の利益を両立させることができます。

会社設立時の株価の決め方は、会社の将来に大きな影響を与える重要な決定事項です。資本金や事業計画、市場環境、出資者の意向など、様々な要因を総合的に考慮し、適切な株価を設定することが求められます。また、株価を適正に設定し、株主との信頼関係を築くことで、将来的な資金調達や事業展開をスムーズに進めることが可能です。

株価設定は一度決めたら終わりではなく、増資や経営の変化に応じて見直しや調整を行い、常に適正な状態を保つことが会社の成長に繋がります。

ぜひ、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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