「脱サラをして〇〇を始めました」「会社員というくびきからようやく脱サラで解き放たれました」「起業してモチベーションアップ!脱サラしてよかったです」
脱サラという言葉は昭和の時代からある、会社員をやめて起業することですが、みなさんは「脱サラ」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
おそらく
- 会社員=社畜、会社の奴隷
- 脱サラ=起業して自由な世界に船出した人、好きなことを始めた人
このようなニ項対立で、脱サラの方は起業して自由になったというポジティブイメージを持っている方が多いはずです。
確かに、脱サラによって会社員のキツイ人間関係から脱出でき、自分で好きなことを始められます。
脱サラ起業で「自由」を得ることができますが、当然自由には「責任」が伴います。
会社員時代とは違い、脱サラすることで直面する責任やリスクも知らないと、絵に描いた餅に終わってしまいます。絵に描いた餅は食べることができず、生活もできません。
今回は脱サラ起業する際に気を付けていただきたいことをお話しし、みなさまの脱サラを応援する内容です。
起業はやりがいのあるものです。
脱サラ起業は甘くない!それとも以外に何とかなる!?10年後生存率は○%!
脱サラ、つまりサラリーマンを退職して、自分で開業、法人設立するということは、安定した給与収入を捨てて退路を断ち、背水の陣を敷くということです。
自分だけの脱サラであれば、起業に失敗しても、貯金で食いつなぎ、最悪、また会社員として働き始めればいいのですが、家族や子供がいる場合、生活費が頭をよぎります。
夫婦で共働きの場合、どちらかが会社員を続けて給料を確保しながら、もう一人が脱サラ起業してリスクヘッジを図るということもできます。
いずれにせよ、脱サラするということは、給料がなくなるので、起業した事業が軌道に乗るまでは、安定した収入を確保することができなくなります。
そもそも、起業というのは成功するのでしょうか?
起業した場合の10年生存率は10%以下?約70%!?データによって差があることに注意!
「企業生存率」という概念があります。起業している法人や個人事業主が廃業せずに事業を継続している確率です。
「10年以内に90%以上廃業する。起業はほとんど成功しない!!」という話もありますが、実際の数字を計算してみましょう。
『帝国データバンク』(※)によると
企業の10年後の生存率は約70%、20年後に約52%となっています。なんだか意外に高いという印象を受けます。これが正しければ、脱サラ起業もありだと思えますが、実はもう1つ別の統計データがあります。
※「中小企業白書 2011 第3編 11ページ」より。本データは帝国データバンク「COSMOS2企業概要ファイル」を再編加工したもの
『日経ビジネス』でも企業生存率を計算しています。それによると
ベンチャー企業が創業してからの生存率は、以下のようになっています。
5年後→15.0%、10年後→6.3%、20年後→0.3% ・・・!!
※「創業20年後の生存率0.3%」を乗り越えるには:日経ビジネス電子版」
データの取り方によって、生存率がまったく異なるのですが、「帝国データバンク」のデータは、全企業が分母になるため、数十年、あるいは明治、大正から続く老舗企業込みの5年後、20年後の生存率となります。
新規開業した起業ベンチャーの生存率は、「日経ビジネス」の値の分母になっているため、これをもとに算出すると、法人設立、個人事業主として開業しても10年後に1割も残らない厳しい結果となります。
5年後の生存率については40%程度という統計(※)もあり、過剰に悲観する必要もないかもしれませんが、いずれにせよ、脱サラ起業して10年後では、半分以上が失敗すると思って間違いなさそうです。
※「中小企業庁:2020年版「小規模企業白書」 第1部第3章第1節 企業数の変化と開廃業の動向」
脱サラ起業は大きな賭け!成功しないとリスタートに苦労する
10年後、50%以上の確率で脱サラ起業に失敗しているとなると、かなりしっかりした事業計画を立てて、覚悟を決める必要があります。
日本社会では、会社員として断絶期間がある人の転職は、明確な理由が求められます。
留学や病気(完治証明あり)など客観的に説明できないと「フラフラしていた人」と思われます。
脱サラ起業はどういう印象を与えるのでしょうか?
「夢追い人」と判断する経営者もいるかもしれません(つまり脱サラ起業はネガティブ)。
脱サラ起業に失敗すると、事業の借金だけではなく転職にも苦労する現状を踏まえて、成功する脱サラ起業を選ぶ必要がありそうです。
メディア別企業生存率の表
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帝国データバンク |
日経ビジネス |
中小企業庁 |
5年後生存率 |
約80% |
約15% |
約40% |
10年後生存率 |
約70% |
約6% |
約25% |
20年後生存率 |
約50% |
0.3% |
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脱サラ起業のメリットとデメリットを理解しよう
会社員を辞めて脱サラ起業することについて、メリットとデメリットを理解しておきましょう。
デメリットの方が大きければ、脱サラせず、会社員を続けながら目標を実現する方策を探すのがよいでしょう。
それぞれまとめました。
脱サラ起業のメリット
メリットは「自由」を得られることです。
職場の人間関係から解放され、上下関係や人事等で悩む心配もありません。
勤務時間、出退勤も自由、同僚に付き合い残業することもなく、精神的なストレスも減ります。
自分のやりたいことを自分の好きなタイミングで、自分の決断で行うことができる。
脱サラしなければ、社長や会長にならなければできないことでした。
ひょっとすると、なっても周囲の役員などの関係でできないかもしれません。
脱サラすることで、会社組織から解き放たれ、起業することで、自己の責任において事業を進められるのが大きなメリットです。
また、給料ではなく、売上に応じて収入は青天井になります。
Youtuberは毎月数千万円単位の収入があります。
会社員の場合、昇進して社長になっても、その会社の給与規定以上は受け取れません。
しかし、自分で脱サラ起業すれば、どんどん収入が増えます。
頑張って結果を出せば報われるのが脱サラ起業です。
脱サラ起業のデメリット
脱サラ起業のデメリットはその逆です。
結果が出なければいくら頑張っても収入になりません。
売上がなければ生活もできず、倒産してしまいます。
雇用されているわけではないので、バイトの最低時給も保証されません。
生活を賭けて背水の陣で脱サラ起業しても、いくら努力を重ねてもダメなことがあります。
会社員であれば、出世コースから外れても、リストラ候補にならない限り生活できる程度の給料は保証されます。
生活ができ、そこそこの暮らしを維持したいのであれば、脱サラ起業せず会社員のままの方がいいでしょう。
また、脱サラ起業して、病気や事故に遭うと、その間収入が途絶えます。
会社員ならば、傷病休暇や健保組合の傷病手当などで生活はできますが、脱サラ起業して経営者になるとそれがありません。
セーフティーネットを維持するためには、「就業不能保険」「所得補償保険」などに加入し、毎月多額の掛け金を支払わなければなりません。
それらを掛けないと、一切の収入も保証もなくなります。
守ってくれる職場がないので、すべて自己責任になります。
自由にできる一方で、事業に失敗して家族が路頭に迷うリスクもあるのが脱サラ起業です。
そこまでの覚悟をもって、脱サラできますでしょうか?
脱サラ起業のメリットとデメリット表
脱サラ起業のメリット |
脱サラ起業のデメリット |
会社にとらわれない自由な働き方 |
売上がないと最低限の生活もできない |
売上が上がれば収入は青天井 |
病気や事故の時のセーフティーネットがない |
自分ですべて決定できる |
倒産すれば財産を失ったり自己破産したりする可能性も |
ベネフィットとリスクを天秤にかけて、確実に成功するように脱サラ起業をしなければなりません。
脱サラ起業が成功しやすい事業内容とは?
脱サラ起業を成功させるためにはどのようなポイントがあるのでしょうか?
成功しやすいからと言って興味がないことを始めてもモチベーションが維持できません。
せっかく脱サラ起業をするのですから「やりたいこと」が大前提ですが、それでも失敗するリスクを減らして、成功しやすくする工夫をしましょう。
原価がかからず利益率が高いこと
仕入れや販管費がかからない、低い事業です。
つまり、モノを仕入れたり製造したりして売るのではなく、自分の知識やスキルをお金に換える起業です。
在宅でできるプログラミング、デザイン、ライティングなどもそうですし、あまり持っていない資格を活かしたハウスクリーニングや修理業なども技術料がメインになります。
高価な機械や原材料を買わず、消耗品だけで済ませることができれば、設備資金は不要で、融資を受けなくても起業が可能です。
在庫がない
商品や原材料の在庫をかかえなくてはいけない事業では、商品の売れ残りなどのリスクがあります。
在庫が長期間保存、保管できるものならばまだいいのですが(それでも不良在庫になる可能性はあります)、食品など長期間保存できないものを在庫として抱えるリスクはとても大きいです。
あとは流行りものです。
売り時に失敗すると、半額セール、ワゴンセールでたたき売りしないといけなくなったら目も当てられなくなります。
やはり在庫のない、知識やスキルを売る仕事がリスクヘッジにつながります。
脱サラ起業をする前に、ご自身の知識やスキルの「棚卸し」をしてみましょう。
知識やスキルの在庫ならいくらあっても困ることはありません!
自宅等で始められる
事務所や工場を借りる起業の場合、ランニングコストがかかります。
新規物件の敷金礼金、室内の家具、什器備金、エアコン、そして水道光熱費。
もう1軒の住宅を借りて住むのと同じだけのコストがかかります。
自宅でパソコンや周辺機器を使って始められる起業であれば、脱サラ時に準備は不要です。
自宅開業に向いているのは、ライターやデザイン、翻訳業など、まさに自分の知識やスキルを売る仕事です。
脱サラ起業するには、自分の体一つで可能、小回りの利くこうした事業ができないか考えてください。
自宅でできる起業は売上も大したことないと思われがちですが、稼ぐクラウドワーカーは1000万円を超えますし、数万人の会員を抱えるYoutuberになれば、自宅のPCやカメラのみで稼ぐことができるでしょう。
脱サラ起業と法人設立
脱サラ起業をする場合、個人事業主として始めた方がよいのか、法人設立をした方がよいのか、これは
- 社会的信用(法人の方が高い)
- ランニングコスト(個人事業主の方が安い)
- 予想される売上(1000万円を超えるようなら法人の方が節税になる)
- 法人登記の手間と時間(個人事業主ならば開業届1枚でOK、法人は登記が必要)
- 脱サラ起業をする業種が許認可業否か
- 継続的に融資を受けるような仕事か(そうならば法人の方がよい)
などを総合的に勘案する必要があります。
脱サラ起業時は個人事業主として始めて、売上が伸びていくようなら法人設立するという戦略でもいいです。
法人設立すると、脱サラ起業に失敗したときの廃業の手間もかかります。
個人事業主ならば廃業届1枚でよいので、時間とお金のコストが全然違います。
法人設立登記にも最低6万円~20万円の法定費用+資本金が必要になるため、脱サラ時に資金的に余裕がない場合、法人設立はリスク要因です。
しっかり自己資金を用意して法人設立するか,個人事業主として走りながら様子を見るか、脱サラ時起業の重要ポイントです。
脱サラ起業以外の選択肢はないのか?ほかの方法をチェック
脱サラ起業はリスクがある、しかし、会社の給料だけではなく自分で何かやってみたいという方は、在職しながら事業をする方法もあります。
これでうまくいくようならば、脱サラして退職すればいいのです。
副業・ダブルワーク
会社員として働きながら、会社設立や個人事業主として副業、ダブルワークを始めます。
就業規則で副業OKならば職場に届け出て、副業をすればいいでしょう。
副業禁止の会社も、公務員でなければ「職業選択の自由」を主張すればバレても大丈夫だと言われています。
もちろん、社内のキャリア的にマイナス点が付くので、副業がバレないように慎重に進めてください。
会社員として給料をもらいつつ、起業ができればリスクヘッジになります。
在職中の起業を積極的に応援する会社もあるので、まず自社の就業規則や起業支援制度などを確認してください。
投資
投資家は起業家と言えるのかどうかわかりませんが、資産運用は副業にあたらないので(事業性がない)、副業禁止規定がある会社でも大丈夫なことが多いです(さすがに株を買うことまで禁止する会社は少ないはず)。
事業として脱サラしての投資家はなかなかいばらの道ですが、会社員をしながらできる範囲で投資をするのはアリだといえます。
脱サラ起業のための資金調達の可否
脱サラ起業の際、開業資金をどのように調達すればよいのかですが、上述のように自宅起業し在庫をかかえない事業内容にすれば、ランニングコストを抑えることができ、開業資金は必要ないかもしれません。
それでも自宅以外に事務所を借りたり、工場を建設したり、機械や車両を購入したりする必要がある場合、各金融機関や国の「創業融資」を利用してください。
自己資金が必要額の半額~3分の1程度必要ですが、低利で融資を受けることができます。
注意していただきたいのは、消費者金融や「ビジネスローン」系には絶対に手を出さないことです。
他の公的創業融資で低利なものがあるのに、消費者金融計など高利のローンに手を出すことは、経営者としてのセンスが疑われるだけではなく、何か後ろめたいことがあるのかな、などと邪推されます。
今後、日本政策金融公庫や民間銀行から通常の借入をしようと思っても、消費者金融やビジネスローン系の借入がある時点で、審査に大幅なマイナスとなります。
金利10%以上のこれらの融資を申し込む前に、日本政策金融公庫の「新創業融資」など低利かつ審査のハードルが低いものを選択するのは「経営者」になるための必須条件です。
自分1人で公庫や金融機関の創業融資を申し込むのは不安だという方は専門家の創業融資サポートを受けるのも1つの方法です。
脱サラ起業後の融資以外のサポートもあるので、総合的に起業後のコンサルティングを受けることができます。
資金調達の専門家や商工会議所窓口などで、脱サラ起業したいことを告げて、融資メニューの紹介を受けてください。
事業計画書など売上の見通しについても、専門家のアドバイスによって作成できれば、起業する事業内容についてより理解が深まるはずです。
脱サラして本気で起業を考えている方は「経営サポートプラスアルファ」に相談を!
脱サラ起業は背水の陣となるので失敗できません。
起業にはリスクがともないますが、少しでもリスクを下げて、給与がなくなることのデメリットを抑えることが大切です。
脱サラする覚悟が決まったのならば、在職中にできる限りの準備をしておきましょう。
副業禁止の会社であっても、脱サラする覚悟があれば、副業バレしてもいいくらいの気持ちで起業する事業に打ち込めるはずです。
副業は「職業選択の自由」で認められているので、退職金が出ない懲戒免職にはならないはずです。
そう考えると、気持ちが楽になり、脱サラに向けてモチベーションアップになるかもしれません。
脱サラ起業のリスクを少しでも下げるため、起業に詳しい専門家集団「経営サポートプラスアルファ」を頼ってください。
会社設立や資金調達、事業計画書の作成などへ熟練したスタッフが対応させていただきます。
土日祝日夜間も対応しますし、遠隔地の方はLINEやZOOMで相談をお受けします。
脱サラ起業という人生の重大決定の前に、まず「経営サポートプラスアルファ」に相談をしてみてください。