防水屋として独立するにはどうすればいい!?必要資格や開業資金、法人化の可否まで解説

建物建設の仕上げとしてなくてはならない仕事に、防水屋(防水工)があります。

梅雨や秋雨、台風シーズンがある日本では住居やビルなど建物に加えて、道路、トンネル、橋などの防水工事は不可欠です。

さらに最近では特に夏場の「ゲリラ豪雨」によって、記録的短時間降水警報や「特別警報」も以前の数倍の頻度で出されるようになり、突発的な漏水リスクはかつてなく大きなものになっています。

建物やインフラを守るためにも、防水工事を行う防水屋のニーズは以前と比べて高くなっているといってよいでしょう。

今回は防水屋の仕事について理解していただいたうえで、防水屋として独立するにはどうすればよいのか説明します。

独立の際、法人化して会社設立するのがよいのか、個人事業主として働いた方がよいのか、防水屋として活躍するにはどのような形態が望ましいのかも合わせて検討します。

防水屋として独立するにはどうすればよいのかについて、この記事で理解を深めてください。

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防水屋の仕事とは?

防水屋(防水工)は建物やトンネル、橋などを仕上げる際に防水工事を行う職人です。

塗料などを塗り、防水層を表面に形成していきます。

建設物で防水工事が必要な箇所は多く、雨漏り防止のため建物等への侵入経路や生活、産業用の貯水槽、貯水タンク、水の排出口などさまざまな場所、シーンが該当します。

防水屋はアスファルト系防水層、合成ゴム系防水層、塩化ビニル樹脂系防水層、酢酸ビニル樹脂系防水層、ウレタンゴム系防水層、アクリルゴム系防水層、FRP系防水層、セメント系防水などたくさんの種類の防水加工を駆使します。

防水工事をする場所によって、適切な防水工事があり、防水屋はそれらの場所に、専門技術を用いて適切な防水層を選択し、熟練した技術によって防水層を形成(塗装)していきます。

防水屋は複数の工法を身につける必要があり、それらは年々増えています。

一度マスターしたらあとは惰性で防水工事できるものではなく、防水屋は新しい技術を常に習得しなければなりません。

新しい防水工事を身につけるためには、基本的な防水技術をマスターしていることが何より大切になります。

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防水屋として独立するには何が必要~資格編

防水屋の仕事は年々増えており、技術も多様化していることがわかりました。

それでは防水屋として独立してやっていく、防水屋として活躍するには何が必要なのかまとめてみました。

防水屋の独立までの道のり

防水屋として働くためには、絶対に必要な資格などはありません。

通常、防水屋をやっている親方や建設会社、工務店などに就職して、防水技術を学びます。

一般的には中学校や高校を卒業後、親方の下で、2年~3年、長くても5年程度仕事をすることで、一応評価されうる技術を身につけることが出来ます。

防水工事の種類や工法によって、習得までの難易度の差があり、早いものもあれば時間がかかるものもあります。

弟子入りの前に職業訓練校で基本的な知識を身につけることもできます。

自治体が作った職業訓練校ならば授業料もかかりません。

失業後、ハローワーク経由で防水工の職業訓練をする場合、給付金をもらえることもあります。

防水屋として独立する際に求められる資格

防水屋は特に資格はいりませんが、取得しておいた方がよい、独立にあたって加点要素になる資格が存在します。

防水施工技能士

防水工事の技術を認定する国家資格です。

防水加工は上述のようにさまざまな工法が存在します。

アスファルト防水、ウレタン防水、シーリング防水など工法ごとに資格が認定されていて、自分の得意分野をクライアントにアピールできます。

独立してやっていきたい防水屋の専門分野があれば、その分野の防水施工技能士1級合格はほぼ必須です。

  1. 防水施工(ウレタンゴム系塗膜防水工事作業)
  2. 防水施工(アクリルゴム系塗膜防水工事作業)
  3. 防水施工(セメント系防水工事作業)
  4. 防水施工(シーリング防水工事作業)
  5. 防水施工(FRP防水工事作業)
  6. 防水施工(アスファルト防水工事作業)
  7. 防水施工(合成ゴム系シート防水工事作業)
  8. 防水施工(塩化ビニル系シート防水工事作業)
  9. 防水施工(改質アスファルトシートトーチ工法防水工事作業)

受験資格は学歴によって必要な実務経験年数が異なりますが(高学歴ほど必要な実務経験年数が短くて済む)、学歴を考えないと、2級は2年以上、1級は7年以上の実務経験が必要になります。

2級に合格した場合、その後2年以上の実務経験があれば1級を受験できます。

つまり防水屋に弟子入りして4年で1級が取れる可能性があります。

学科試験と実技試験があり、双方とも基準点に達することで合格できます。

危険物取扱者

防水屋の資格は基本的に防水施工技能士だけでも問題ありませんが、防水塗料によっては危険な薬物を取り扱うことがあります。

そうした危険物でない防水塗料を用いる防水加工のみを行う独立もありますが、できれば他の人がやらない危険な塗料も使えた方が独立後の仕事幅が広がります。

危険物取扱者もそうした危険物を扱うために必要な資格です。

可能ならば取っておくことで、独立後に扱える防水加工技術を増やしておきましょう。

有機溶剤作業主任者

こちらも同様です。

有機溶剤を用いる防水工事にはこの資格を持つ人が不可欠です。

大きな会社ならば現場にこの資格所持者が1人いればいいのですが、独立開業して自分で防水工事を行うわけで、この資格も取得しておくことで、自分が有機溶剤を取り扱えるようにしておきましょう。

防水屋独立の際建設業許可は必要か?

防水屋は防水工事を行うわけで、建設業許可が必要なのでは?と思われるかもしれません。

基本的に1人で防水屋(一人親方的に)を行うのであれば、建設業許可は不要です。

なぜなら、建設業許可が必要な防水工事は

建築一式工事
次のどちらかに当てはまる工事の場合建設業許可が必要
①1件の請負代金が1,500万円超の工事(消費税込み)
②延べ面積が150㎡超の木造住宅工事

建築一式工事以外
1件の請負代金が500万円超の工事(消費税込み)

この条件を満たす場合のみなのです。

1人で防水工事を行うならば、1件につき500万円とか1500万円になることはないはずです。

したがって、建設業許可はいりません。

ただし、将来的に防水屋を大きくして、会社などで防水工事を請け負う場合は、大型案件ならば基準を超えるので、建設業許可が必要になります。

その場合、防水施工技能士を持っているはずなので、建設業許可の条件である「専任技術者」になることができます。

防水屋になる際に取得した資格は無駄になりません。

防水屋として取得したい資格ランキング

以上をまとめると防水屋としては以下の優先順位で資格を取ってください。

絶対防水施工技能士1級
最低限防水施工技能士2級
あるとよい危険物取扱者、有機溶剤作業主任者
将来的に建設業許可
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防水屋として独立するには何が必要~お金と道具編

資格面の準備はこのようになりますが、それだけでは防水屋として独立できません。

先立つものもやはり重要です。

お金や道具についてここでは解説します。

防水屋は稼げるのか?

防水工の平均年収は、「賃金構造基本統計調査」によると433万円です。

全業種トータルの平均年収が436万円であるのでほぼ平均年収程稼げる仕事です。

職人の世界独特のものとして。日給制(日払い)の仕事もあります。

その日、空いていれば現場に入り、日払いで現金(相場は1.5万円)が手に入るのは中々ありがたく、請け負っている仕事の「隙間時間」も有効活用して稼ぐことができます。

中期的なプロジェクトの防水工事の場合、月給として支払われることもあります。

あとは独立後の契約形態として、雇用契約(残業代あり)なのか業務委託契約(残業代なし。ただし時間に拘束されない)のか、ご自身の働き方や稼ぎ方で選んでもいいです。

ただ、通常は独立すると個人事業主or会社経営者になるので、雇用契約で働くことは難しいです(例外的に給与所得の業務請負契約という脱法的なものもあるようです)。

防水屋の独立開業資金は?

防水屋として独立開業する際、そのくらいの資金が必要なのか、開業資金について見積もってみます。

防水屋として独立する際、「一人親方」的にフリーランス職人として行う場合、開業資金はそれほど必要なく、2か月~3か月分の運転資金があればOKです。

自宅兼事務所にできれば、新しく不動産を契約する必要がありません。

一方、建設業許可を取って独立開業する場合、総資産(資本)が500万円以上必要になります。

加えて、建設業許可が必要な規模なら自宅兼事務所にはできないので、外部に不動産を借りなければなりません。

運転資金と合わせて1000万円ほどが必要になります。

すべて自己資金でまかなえないのであれば、金融機関に創業融資を依頼することになります。

すべて融資で資金調達することはできず、ある程度の自己資金も必要です。

資金調達の専門家に相談しながら、金利が低く、条件のよい融資を選んでください。

そもそも独立のタイミングで、多額の開業資金が必要な建設業許可の規模の事業は不要なケースかもしれません。

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防水屋として独立する際に必要な工具備品

防水屋として独立する際に必要な工具や備品は、独立前に使っていたもの基本的に変わりません。

よく使う道具としては

工具

金づち

のこぎり

ドリル

護身用品

ヘルメット

ゴーグル

グローブ

安全靴

車両運搬具

移動用車両(軽トラックなど)

などです。

あとは防水薬剤になります。

新しく購入するとしたら、移動用(兼道具器具運搬用)トラックくらいでしょうか?

トラックでなくてもワゴン車でも大丈夫です。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

防水屋として独立する際には法人or個人事業主どちらがよい?

防水屋として独立する際、法人化すべきなのか、個人事業主の方がいいのか、基本的に売上(予想)額で判断してください。

防水屋について法人化した場合と個人事業主の税金面の違い

事業主体

法人化(会社設立)

個人事業主

所得税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%

事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45%

個人住民税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%

事業の売上から「事業所得」を算出してその約10%

消費税

課税売上1000万円以上の場合支払う

課税売上1000万円以上の場合支払う

法人税

かかる(15%~23.2%)

なし

法人住民税

かかる

なし

法人事業税

かかる

なし

個人事業税

なし

かかる

売上1000万円くらいを境に「所得税<法人税」から「所得税>法人税」になり、法人化した方が節税になります。

この規模になると、ひょっとすると建設業許可も必要になるかもしれません。

しかし、法人化は簡単ではありません。

事業主体

法人化(会社形態)

個人事業主

開業方法

商号(社名)や事業目的、資本金、役員等を決める

開業届を税務署に提出する

定款を作成する

定款認証(合同会社は不要)

社印を作成する

資本金を振り込む

法務局へ行き会社設立登記の申請をする

設立登記後社会保険や年金の手続きをする

 

開業手続きについても、個人事業主の場合、開業届を税務署に提出するだけでよいのに、法人設立する場合は、いくつものステップを踏まなければなりません。

しかも、事業を運営する際には

防水屋について法人化した場合と個人事業主の組織形態の違い

事業の主体

法人(会社設立)

個人

資本金

1円以上

不要

出資者

1名以上

本人

責任

有限責任

無限責任

決算日

自由に決められる

12月31日固定

確定申告

事業年度末から2か月以内

翌年3月15日前後

代表者の所得

給与所得

事業所得

設立費用

最低60,000円

無料

印鑑作成

必要

個人の印鑑でOK

意思決定

株主総会など機関決定が必要

自分の判断で勝手に進められる

設立期間

・数日~最短即日も場合によっては可能
・登記完了までに2週間

即時即日

社会保険

強制加入

従業員4名位以下は任意加入

社会的信用

株式会社には劣るもののある

あまりない

借入

比較的容易

結構大変

経費として認められる範囲

比較的広い

狭い

この違いに留意しなければなりません。

会社設立をした場合、顧問税理士をつけないと申告までとても手が回りません。

顧問料もかかるので、まずは個人事業主として独立しできる範囲で事業を行い、クライアントの信用を得るという方法でも構いません。

焦って会社設立をしてもデメリットが多いかもしれません。

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防水屋として独立する気持ちがあるならまず「経営サポートプラスアルファ」に相談を!

防水屋は需要が今後高くなる職人分野です。

洪水やゲリラ豪雨は明らかに増えており、その水をはじく技術へのニーズは高まっています。

防水のための工法によって「防水施工技能士」は細分化されているので、独立にあたって何に特化した防水屋を目指すのか、独立前にしっかり戦略を練っておく必要があります。

法人化の可否、建設業許可の可否も含めて、独立後のロードマップを描く際にはぜひ専門家のアドバイスを聞いてください。

「経営サポートプラスアルファ」には防水工事にも会社設立にも詳しい専門家がいて、会社設立の可否や建設業許可の可否についてもアドバイスをいたします。

もし、会社設立や建設業許可をする場合、手続き代行も行っていますのでご安心ください。

もちろん資金繰りは専門ですので、開業資金が必要な場合、当社の経験豊富なスタッフにて対応させていただきます。

「経営サポートプラスアルファ」では土日祝日、夜間の相談も行っていて、仕事後や休日でも対応します。

遠隔地の方は、LINEやZoomを利用していただけます。

防水屋は独立後も十分稼げる仕事で、みなさんが身につけるスキルを必ず活かすことができます。

ぜひ一度「経営サポートプラスアルファ」までご相談ください。

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