「SDGs」(持続可能な開発目標)が世界的な潮流となり、社会のさまざまな活動がSDGsに基づき再構成されつつあります。
リサイクルもこれまでの環境保護の観点だけではなく、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に基づき、持続可能な生産消費形態を確保することを実現するために不可欠な行動になっています。
リサイクルショップで行われるリサイクル、リユースは単に「もったいないから」「安いから」という視点だけではなく、SDGsの世界的潮流に沿っている世の中のトレンドであり、リサイクルショップの開業は社会的評価も高く、今後ニーズが高まっていくことが予想されています。
もちろん、リサイクルショップ自体は昔からある質屋の流れでもあり、世の中に根付いています。
リサイクルショップの開業については、開業支援団体の人や金融機関にもノウハウがあり、一定の開業サポートが期待できます。
新しく開業したい人はリサイクルショップが選択肢になります。
今後の社会的ニーズにも鑑み、前途有望なリサイクルショップの開業方法などについて説明していきます。
リサイクルショップの開業に必要な資格
いらないゲームや本をリサイクルショップに売ったことがある人は多いはずです。
自分の所有している動産を処分するために売るだけならば、法律的には問題ありません。
自己使用していた物や自己使用のために購入したが未使用の物をリサイクルショップに売る、メルカリやヤフオクで売る場合は、何の資格も必要ありません。
リサイクルショップ開業には「古物商許可」が必須!
しかし、転売目的(安く仕入れて高く売る)でそれを行った場合はメルカリやヤフオクでも資格が必要になります。
特に、それで生計を立てる場合は、明らかに「事業」「開業」であり、無資格は違法です。
リサイクルショップは転売について「業」として行うものですから、開業にあたっては、法人設立登記や開業届の提出を行うはずで、絶対に資格が必要になります。
そのリサイクルショップ開業に必須な資格とは「古物商」の許可です。
古物商許可証がないと、リサイクルショップは開業できません。
以下の業態の開業には古物商許可が必要です。
- 古物商:古物の売買、交換をするか、委託を受けてそれを行う。(リサイクルショップ)
- 古物市場主:古物市場(古物商同士での古物の売買、交換を行うための市場)を経営する(メルカリやヤフオクの運営)。
- 古物競りあっせん業者:古物売買の斡旋を競りの方法で行う(ネットオークションなど)
リサイクルショップは明らかに「古物商」であり、古物商許可がないと、開業すると、違法行為として、「三年以下の懲役又は百万円以下の罰金」となります。
最悪、懲役で刑務所に入る可能性もゼロではないのです。
<古物営業法> 第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者 二 偽りその他不正の手段により第三条の規定による許可を受けた者 三 第九条の規定に違反した者 四 第二十四条の規定による公安委員会の命令に違反した者 |
リサイクルショップ開業にあたり古物商許可の取り方
リサイクルショップ開業に必要な古物商許可を取るのは、それほど難しいものではありません。
国家試験に合格する必要もなく、必要な書類をそろえて、営業所(本店)を管轄する警察署に届出して許可を受けます。
警察が許可を出すわけですので、うかつなことは決してできないはずです。
古物商許可申請書類は警察のHPより様式をDLできるほか、最寄りの警察署にある「古物商担当」の係で直接説明を受けながら入手することもできます。
古物商許可に必要な書類(=リサイクルショップ開業に絶対必要)は以下になります。
必須は◎ |
必要書類 |
入手場所 |
補足説明 |
◎ |
古物商許可申請書 |
管轄の警察署 |
|
◎ |
誓約書 |
管轄の警察署 |
個人用、管理者用、法人役員用の3種類。必要なものを提出。 |
◎ |
略歴書 |
管轄の警察署 |
|
◎ |
使用承諾書 |
管轄の警察署 |
|
◎ |
住民票 |
役所 |
管理者と申請名義人が違う場合はそれぞれ必要 |
◎ |
身分証明書コピー |
役所 |
管理者と申請名義人が違う場合はそれぞれ必要 |
◎ |
登記されていないことの証明書 |
法務局 |
・成年被後見人、被保佐人登記されていないことを証明するため |
〇 |
商業登記簿謄本 |
法務局 |
リサイクルショップが法人の場合必須 |
〇 |
定款のコピー |
自身で保存している定款 |
リサイクルショップが法人の場合必須 |
|
委任状 |
|
申請の手続きを名義人と別の人物が行う場合のみ必須 |
|
営業所の賃貸契約書のコピー |
管理会社or大家さん |
賃貸物件をリサイクルショップにする場合 |
|
営業所の使用承諾書 |
管理会社or大家さん |
居住用物件はリサイクルショップ開業不可の場合あり |
|
店舗周辺地図 |
地図を印刷 |
地図帳でなくてもGoogle MAPなどでもOK |
|
ホームページに関する書類 |
WEB上 |
・ネットでリサイクルショップ開業の場合のみ |
|
収入証紙 |
管轄の警察署など |
・申請料19,000円「収入印紙」ではなく「収入証紙」 |
古物商申請が受理され、古物商許可が下りるまで、おおよそ40~60日程度と言われています。
リサイクルショップ開業の3か月くらい前に古物商許可申請を出すといいでしょう。
並行して、開業のための店舗取得、店舗内造作、開業案内、HP作成などを行います。
古物商許可申請が通ると、晴れてリサイクルショップが開業できます。
その際、警察から古物商許可証を受け取り、それをもとに「古物商許可プレート」を制作します。
リサイクルショップに掲げてある以下の様式のものです。
ネット上で業者に発注もできますので、ご安心下さい。
<古物商プレートの様式>
リサイクルショップ開業のための古物商許可取得に必要な費用
上の表にある「収入証紙」19,000円が該当します。
あとは、住民票や法人登記簿謄本の取得費用(各300円前後)になります。
もちろん、それ以外にリサイクルショップ開業には費用が掛かります。
それは次項で説明します。
リサイクルショップの開業に必要な資金と集め方
リサイクルショップにあたって開業資金が必要になります。
開業資金はリサイクルショップの形態によって違います。
リアルな店舗を持ちリサイクルショップを開業するのか、ネットショップ専業にするかで異なります。
リサイクルショップの開業資金概算
当然ネットショップ専業の方が開業資金を抑えられますが、お客さんの目に入るためには、HPを作りこみSEO対策をしないといけません。
開業資金の目安はおおむね以下の通りで、リサイクルショップの形態によって差異があります。
店舗型リサイクルショップ | ネットリサイクルショップ | |
---|---|---|
物件の契約費 | ¥3,500,000 | ¥600,000 |
設備費 | ¥1,000,000 | ¥100,000 |
運搬車両 | ¥200,000 | ¥200,000 |
仕入費 | ¥1,000,000 | ¥1,000,000 |
ホームページ制作費 | ¥300,000 | ¥300,000 |
広告費 | ¥100,000 | ¥100,000 |
その他・雑費 | ¥200,000 | ¥200,000 |
計 | ¥6,300,000 | ¥2,500,000 |
これに人件費が加わります。
家族経営ならばいいのですが、開業時、バイトや社員を雇う場合、社会保険などに加入することになるかもしれません。
ネットショップでも、商品を置く倉庫などを借りる必要があります。
自宅倉庫などを利用して自宅開業できれば、初期費用、開業資金は100万円代に抑えることができるかもしれません。
外部に物件を借りて、店舗型リサイクルショップの開業を目指す場合、600万円超が開業資金として発生します。
「運搬車両」は、出張買取用の軽トラ代を見積もりました。
自分の車よりも軽トラの方が、タンスやベッドを運べます。
出張買取に対応していないと、高額な商品を買取ることができず仕入が滞ります。
数千円の送料を負担して相手に送ってもらうくらいならば、近隣の場合トラックで買取りに伺った方が結果的に安くなります。
HPなどはお金をかけて作りこむことはできますが、デザインだけでなく「リサイクルショップ 〇〇(地名)」などで上位にヒットするようSEO対策に心がけた方がいいかもしれません。
リサイクルショップ開業資金の調達方法
リサイクルショップを開業するにあたっての開業資金は、自己資金で賄えるならそうした方がいいのですが、足りない場合、融資で補うことになります。
融資は、「ビジネスローン」的な高利のものではなく、日本政策公庫の「新創業融資」、自治体の「創業融資」、銀行・信用金庫の開業資金融資をまず考えてください。
利率1%台~2%、据置期間あり(融資から返済まで期間あり。
リサイクルショップを開業し軌道に乗るまで返済がない)の極めて優遇された条件になっています。
開業にあたり「創業計画書」「事業計画書」などの作成が必須なので、そこは専門家の指導を仰いでください。
また、開業資金全額を融資で調達することはできません。
3分の1~半額の自己資金(自分の預金)がないと、融資を受けられません。
ここは開業にあたり注意してください。
リサイクルショップ開業のメリット、デメリット
リサイクルショップを開業するメリットとデメリットについても簡単に押さえておきましょう。
リサイクルショップ開業のメリット | リサイクルショップ開業のデメリット |
---|---|
在庫を大量に抱えなくて済む | 真贋を見極める目利きスキルが必要 |
仕入れ価格が安い | 不良品を買い取ってしまうリスク |
店舗面積が大きくなくてもよい | 衛生的な問題、不衛生な品物もある |
一人でも開業できる | |
アフターフォローの必要が少ない |
新品を売るお店と比べて、リサイクルショップは仕入れ価格が安く、また店舗内のディスプレイもそこまで気を使わなくて大丈夫です。
お客さんは、安いものなら中古でもOKという人が来ているので、店内は清潔ささえあれば、商品の並べ方まで細かく指摘されることは少ないでしょう。
一方で、リサイクルショップ店主として「目利き」のスキルが問われます。
半分壊れているものを売ってしまえば大きなクレームなり、すごく価値のあるものを安く売り過ぎては利益が出ません。
新品で確実に品質を保証されている商品を仕入れるわけではなく、中古品を仕入れるデメリット、不良在庫(本当の意味で使い物にならない不良品)を抱えるリスクを把握してください。
リサイクルショップをゴミ捨て場のように利用する人は残念ながらいます。
そういう人をうまくあしらうスキルも必要です。
普通のお店と比べて客層が少々異なることも、リサイクルショップ開業にあたってはデメリットとして理解しておきたいです。
リサイクルショップ開業の形態はどれがいい?法人?個人事業主?
リサイクルショップ開業に必要な「古物商」許可は個人事業主でも法人でも有効です。
個人事業主の方が小回りが利きますが、法人の方が社会的信用はあります。
人によってはHPで個人か法人か調べる人もいます。
個人事業主の場合、メルカリやヤフオクの「転売ヤー」の延長だと思う人もいるかもしれません。
法人設立後開業すれば、「運営:株式会社〇〇」と掲載できるので、事業としてリサイクルショップを開業しているのだと判断され、信頼度が増すかもしれません。
リサイクルショップ開業にあたり、個人事業主のケース、法人設立のケース、それぞれメリットとデメリットがあるので、ご自身のリサイクルショップの商品や事業規模を専門家に伝えて指示を仰ぐのもいいでしょう。
高額な骨董品や、情報漏洩などのリスクがあるパソコンのリサイクルショップであれば、どこの誰が経営しているか第3者にわかる(登記簿謄本をとれる)、法人登記をした方が信用があります。
書籍や家具であれば、個人事業主でも問題ないかもしれません。
そのあたりはじっくり検討してください。
リサイクルショップ開業にはノウハウが必要!ぜひ「経営サポートプラスアルファ」に相談を!
リサイクルショップは中古品を扱うということで、古物商許可に加えて、中古品の価値を査定するスキルが必要です。
儲かりそうだから骨董品や瀬戸物のリサイクルショップを開業してもうまくいかないでしょう。
そのあたりは、リサイクルショップ開業について詳しい専門家のアドバイスを受けながら、最適な開業形態や取り扱う品物を決めるといいでしょう。
もちろん、リサイクルショップで売りたいみなさんの希望優先でOKですが、リスクもあるということです。
「経営サポートプラスアルファ」は、リサイクルショップ開業について詳しい専門家を揃えています。
古物商許可手続きについてもサポートしますのでご安心ください。
土日祝日、夜間も対応しますし、遠隔地の方はLINEやZoomで相談できます。
リサイクルショップはこれからのSDGs社会に不可欠な「インフラ」となり、有望な事業です。
開業をお考えの方は、ぜひ「経営サポートプラスアルファ」までお問い合わせください。