会社設立を希望している場合、自分だけで判断せずに専門家の意見を聞き、アドバイスを受け入れるべきというケースがあります。
たしかに、専門知識に疎い人が自分で判断するよりも、その道のプロフェッショナルに聞いた方がいいかもしれません。
しかし、専門家は会社設立すべてに詳しいわけではなく、得意分野をしっかり把握しておく必要があります。
税理士は税務の専門家ですが、会社設立という「開業」「創業」分野にはどのくらい詳しいのでしょうか?
会社設立してからでも十分なのか、会社設立前から相談したほうがいいのでしょうか?
今回は会社設立前、設立後の税理士との関わり方について解説していきます。
会社設立すれば税理士と確実に関わることになります。是非ここで知識を貯めておいてください。
会社設立前から税理士に相談した方がよい
税理士の主な仕事は後述のように会社設立後の税務、会計業務であり、会社設立前にはあまり関りがなさそうに見えますが、実は開業前、会社設立前から様々なことを相談しておくと、大きなメリットがあります。
会社設立前に税理士に相談することの意義についてここでは解説いたします。
税理士(税理士事務所)だからこそ税の情報が手に入る
税制は毎年刻々とアップデートされていきます。
会社設立後の法人税率や、減価償却費の計上方法、税務申告制度など毎年変わることが多く、開業、会社設立に関わる諸費用、手数料、会社設立後の税制など重要な情報を知るメリットがあります。
しかし、税務に疎い人だとその辺りが分からず、あまりよくないタイミングで、よくない方法で会社設立をしてしまいかねません。
事前に有利なタイミングで会社設立をするためには、税についてのエキスパートである税理士に相談しておくのが重要です。
税理士(税理士事務所)だからこその創業融資サポート
税理士は各地の金融機関や商工会議所、日本政策金融公庫などと太いパイプを持っている人が多いです。
会社設立、創業を考えている場合、創業融資を受けるかどうかも重要な要素になります。
創業融資を受けるためには条件があり、創業前(会社設立前や開業届提出前)に融資を受けたい場合、綿密な「創業計画書」「事業計画書」が必要になります。
会社設立に際して接する専門家である弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士では、金融関係の実務はあまり詳しくない人が多く、税理士のコネクションを頼るのは間違っていません。
過去に通した創業融資の経験も活かして、適切な指導を受けられます。これは他の専門家にはない大きな強みになります。
税理士(税理士事務所)だからこそ経費の相談ができる
会社設立後、日々の記帳や経理処理の際に「経費」として何が計上できるのか、何を計上してはいけないのか、妥当な経費の範囲などをアドバイスできる税理士の役割は非常に大きいのは、みなさんご存知の通りです。
税理士のアドバイスを受けずに会計処理を行うと、税務署の調査を受けた際、申告漏れや不適切会計、下手をすると脱税まで指摘されるおそれがあります。
経費が何かを相談するには、税務のプロフェッショナルである税理士に聞くのが確実です。
税理士が誤ったことをアドバイスするわけがないですし、「脱税」と「節税」のラインも上手に伝えてくれるはずです。
しかし、これは開業後の話であり、会社設立前ならば関係ないのでは?と思われる方もいるかもしれません。
実は会社設立前、開業前や会社設立後、事業開始前に準備の経費として支出したお金を「創立費」(会社設立前)「開業費」(会社設立後事業開始前)として経費にできる可能性があります。
創立費、開業費として何を計上できるのか、これは実際に事業を営む前の段階では判断が難しいです。
しかし、税理士に聞くことで、創立費、開業費として何を計上でき、経費にできるのかがわかります。
創立費、開業費は、繰越資産とみなされ、任意償却と言って、確定申告の際に任意の金額を経費にでき、法人税などをぎりぎりのラインで節税するのに役立ちます。
非常に使い勝手がいい経費なのですが、何を計上すべきなのか、自分だけではなかなか判断がつきかねます。
会社設立前から税理士に相談していると、この開業費についても適切なアドバイスを受けることができ、その後の事業展開や決算の際にもプラスに作用します。
経費として何を計上できるのかどうか、会社設立前から様々な方法を知ることで、税務全般、経営全般について知見を深めることができます。
会社設立すると税理士と契約する必要がある
会社を設立する前の税理士への相談は任意ですが、設立した後はほぼ確実に税理士と顧問契約をする必要があります。
日本の場合、会社を設立した場合、85%~90%超の法人が税理士と顧問契約をしていると言われています。
税理士を付けずに会社運営を行うことも不可能ではありませんが、かなり厳しく、よほど税務に精通し、余裕があるケースでないと厳しいです。
実際、法人の会計処理は個人事業主やフリーランスの場合と比べて非常に難しく、提出する書類も多いので自分たちだけではなかなかできません。
年1回、確定申告の時期に所得税の確定申告書を会計ソフトで作って出せばよい個人事業主、フリーランスとは違うこと、また、税務署も税理士が絡まない申告書については相当疑ってかかることからも、税理士を付けておくことは、ベターどころかマストだと言えるでしょう。
税理士の仕事とは?
税理士の仕事は多岐にわたります。
主なものとして下記の仕事が挙げられます。
税務代理
顧客に変わり、1年間の確定申告、青色申告の承認申請などの税務を代行します。
紙ベースの申告だけでなく、e-Taxを利用して申告書を代理送信することもできます。
税務署から税務調査が入る際には、税理士は立会いができます。
税務調査によって、税務署から更正・決定が出た場合(追徴課税等)、顧客の代理人として申立てもできます。
通年の業務だけではなく、遺産相続や不動産売買、贈与などが発生した際に単発で発生する業務もあります。
税務書類の作成代行
税務関連の書類作成を代行します。
確定申告書、相続税申告書、青色申告承認申請書など税務署などに提出する税務書類を作成します。
これら税務書類の作成は税理士の独占業務であり、他の資格者(弁護士や司法書士、無資格の人はもちろん)が行うと、罰則となります。税理士だからできる代理行為になります。
税務相談
各種税金に関する相談を受け、アドバイスします。もちろん、会社を設立する前にも積極的に関わり、いい形で開業できるように業務を遂行します。
記帳代行
簿記による記帳、仕訳は原則として会社内で行いますが、税理士に代行依頼することもできます。
会計帳簿の記帳(簿記)、財務書類の作成、給与計算などの経理・財務に関する業務を代行します。
コンサルティング、アドバイザー業務
豊富な税務知識と経営者や金融機関、公的機関と関っている経験を活かして、経営全般に関する助言や資金調達のコンサルティング、M&Aなどのアドバイス業務などを行います。
アドバイスだけではなく、金融移管や商工会議所との折衝を会社を代表して行うこともあります。
会計参与
中小企業の取締役と一緒に決算関係書類を作成します。
この書類は、会社の株主・債権者の求めに応じて開示することもあり、その際のアテンドも税理士の仕事になります。
補佐人
税務に関する訴訟を起こした(起こされた)場合、会社の弁護士とともに裁判所に出頭し、税務に関しての陳述を行います。
行政、司法の支援
クライアントとは直接関係しませんが、税理士の中には、国税審判官(国税不服審判所)、監査委員(地方公共団体)、民事・家事調停員(家庭裁判所)、法テラス(日本司法支援センター)、成年後見支援センター(税理士会)など公的機関の審議員、役員、相談員として社会貢献する立場に就く人もいます。
当然そういう人は、社会的地位が高くなります。
税理士に提出すべき書類は多種多様
税理士に仕事をお願いする場合、たくさんの書類を提出します。
逆に考えると、自分で行う場合、これだけの書類を処理しなければならず、いかに税理士に頼らない税務会計が難しいかがわかるはずです。
領収書
会社の事業で支出した金の領収証について、すべて税理士に提出します。
経費として認められるもの、一部経費になりそうなもの、経費として認められないもの、これらを知ろうと判断するのは危険です。
税理士の判断に沿えば、まず税務署から指摘されるリスクは減ります。
また、領収証は基本的に再発行しないものなので紛失しないようにしましょう。
なくしてしまうと、実際に経費で支出しても認められない可能性があります。
その辺りの判断についても税理士に仰ぎましょう。
請求書
取引先、クライアントから受け取った請求書、あるいは自分が販売先に出した請求書についても取引の重要な証拠となります。
漏らさず保存し、税理士に渡す必要があります。
預貯金の通帳やネットバンキングの取引記録(コピー)
事業用口座についてはすべて記帳、ないしプリントして税理士に渡します。
ここで確認できる取引もあるのです。
領収証がなくても、通帳の記帳で認められるものもあります。
また、クレジットカードの明細についても税理士に渡しておきましょう。
つまり、個人用の口座やカードではなく、事業用のものを持つべきで、そうすれば税理士にプライベートな買い物について知られずに済みます。
支払調書(およびそのデータ)
税務署へ提出する法定調書です。
1年間に支払った報酬額のほか、源泉徴収額、消費税額などが記載されています。
マイナンバーも記載します。
税理士に管理や作成をお任せすべきで、そのためのデータなども渡します。
控除に関する書類
代表者や役員の生命保険控除の証明書、小規模企業共済控除の証明書、iDeCo(確定拠出型年金)などの証明書、年金や社会保険の領収証、障害者手帳等個人、法人の確定申告の際に控除されるものの証明書原本についても税理士に渡します。
控除関連の証明書は原則として原本を添付して申告するので、なくさないようにとっておき、それを税理士に渡します。
このように税理士はプライベートな情報も含む様々な書類を取り扱います。
したがって信頼関係が重要であり、会社を設立する際から是非お付き合いしておきたいものです。
記帳代行を依頼すると売上が上がる?
個人事業主の場合、年末に1年間にかかった領収書などを慌てて整理して、帳簿付けをする人が少なくありません。
夏休み最終日に追い込まれて宿題をするようなものですが、個人事業主ならばそれで何とかなっても、法人の場合はそうはいきません。
そもそも、法人の日々の記帳、簿記は慌ててやって何とかなる類のものではないからです。
法人の簿記は個人のように会計ソフトで何とかならない部分もあり、手間を考えると、税理士に記帳代行を依頼した方がコスパがいいのです。
記帳代行は、こちらの方で、領収書、請求書、預金通帳のコピー等を準備するだけで、あと簿記会計などの記帳業務について、税理士が適切なプロの仕事として記帳業務を行ってくれます。
適切な記帳により、毎月試算表が更新され、税理士から月次決算表が渡されます。
これにより、1年間の決算を待たず、会社の財務状況をアルタイムで把握できます。
それをもとに経営戦略を練れますので、結果的に会社の売上増につなげることができます。
記帳代行を税理士に依頼すると売上が上がるというのはこういうからくりがあります。
会社設立に強い税理士(税理士事務所)にご相談ください。
会社設立の際には、開業費をはじめ実際に事業を始める前の状況にも詳しく、節税や資金調達に明るい人に相談するのが良いことがわかりました。
専門資格を持ち、かつ的確にアドバイスできるのは税理士です。
税理士は会社の設立代行はできませんが、司法書士などとチームプレイを行うことで、役割分担できます。
開業前に税理士に様々なことを相談できる環境が会社設立を成功に導きます。
「経営サポートプラスアルファ」では、会社設立について税理士をはじめ司法書士など各専門家がサポートします。
会社設立後も、引き続き創業にかかわった税理士が万全のサポートをし、経営を軌道に乗せるお手伝いをいたします。
各種記帳、経費処理、決算、法人税申告等、税理士は会社経営にとって不可欠な存在です。
会社設立をお考えの方は、税理士にこだわってください。
「経営サポートプラスアルファ」では会社経営に強い税理士を揃えております。
24時間、無料相談をいたします。
離れた場所でも、ZOOMやLINEで相談が可能で、お忙しいみなさまのご負担にならないようにアドバイスします。
ぜひご相談をお待ちしています。