株式投資をする際には法人化をするべきかどうか悩むことがあります。
法人化で多くのメリットを得られるからです。本記事では株式投資の法人化について、必要な手続きや注意点などを解説します。
株式投資で法人化するメリット
株式投資で法人化することでどのようなメリットを得られるのか解説しましょう。
株式投資やFXなどをまとめて損益通算できる
株式投資とFXはそれぞれ別々の所得として扱われるため損益通算することができません。
しかし、法人化すると株式投資もFXもまとめて損益通算できるようになります。
たとえば、株式投資で赤字になったとしても、FXの黒字と相殺することで節税できるのです。
複数の方法で投資を行っているならば、法人化が節税につながるケースがあります。
最大で赤字を10年繰越できる
個人では赤字を繰越できるのは最大でも3年までです。
それが法人化すると赤字を最大で10年まで繰越できるようになります。
大きな赤字が生じた年があった場合でも、法人化していれば10年先まで赤字を繰越できるため、大きな節税効果を得られるのです。
個人よりも税率が下がるケースがある
個人と法人では所得税率が異なっています。
そして、所得が上がっていくと個人よりも法人の方が税率が下がるケースがあるのです。
そのため、株式投資で高額所得を得られるようになったならば、法人化した方が税率が低くなり節税できます。
経費計上できる範囲が広がる
法人化することで経費に計上できる範囲は広がります。
そのため、法人化で経費を増やすことができて所得税を抑えられるのです。
たとえば、住居は役員社宅として扱うことができます。
役員へ退職金を支給することができ、こちらも損金にすることが可能です。
ただし、経費はあくまでも事業に関係のあるものに限られます。
家族を役員にして所得を分散できる
法人化すれば家族を役員にすることができます。
役員にはそれぞれ役員報酬を支給することが可能です。
株式投資で得た収入を家族に役員報酬として分散できます。
これにより、本人にまとめて所得が入る場合と比較すると節税できるケースがあるのです。
相続対策ができる
株式投資で法人化しておくと相続対策にもなります。
法人化しない場合は、本人が亡くなると財産がそのまま相続されることになり、相続税の負担は大きいです。
一方、法人名義で株式投資をしていた場合は、財産が法人に移転しているため相続税を減らせます。
役員報酬を家族に支給しておけば、相続財産を減らすことにもつながるのです。
株式投資で法人化するときの法人格は?
株式投資で法人化する場合の法人格の選び方について紹介しましょう。
株式会社と合同会社という2つの選択肢がある
一般的な法人形態は4種類あります。
ただし、実際に選択されるのは株式会社と合同会社です。
そのため、株式投資のための会社設立を考えているならば、実質的には株式会社と合同会社の二択になるでしょう。
それぞれ違いがあるため、特徴を踏まえた上で最適な方を選択してください。
株式会社の特徴
株式会社の主な特徴は以下の通りです。
- 所有と経営が分離している
- 社会的な信用が高い
- 株式を発行できる
株式会社は会社の出資者である株主が経営者を選ぶのが特徴です。
会社の所有と経営が分離しています。
ただし、資産管理などのために設立される小規模な株式会社の場合は、株主と経営者が一致しているケースがほとんどです。
株式会社は社会的信用が高いという点も大きな特徴といえます。
株式会社という名称は昔からよく知られており、信頼されやすいです。
また、株式会社は株式を発行することができます。
株式発行により資金調達ができるのです。
合同会社の特徴
合同会社の主な特徴は以下の通りです。
- 出資者が経営者になる
- 設立費用が安い
- 利益配分や議決権割合などを自由に決められる
- 決算公告義務がない
- 役員の任期がない
合同会社は出資者が社員と呼ばれるのが大きな特徴です。
そして、社員には平等に議決権が与えられています。
株式会社とは異なり所有と経営が一致しているのです。
また、合同会社は設立費用が株式会社よりも安くなっています。
株式会社の設立費用は約25万円であり、合同会社は約11万円で済むのです。
また、合同会社では定款によって利益配分や議決権割合などを出資比率とは別に自由に決められます。
たとえば、特定の社員に集中して利益配分や議決権が与えられるようにすることも可能です。
その他には、合同会社は決算公告の義務がない、役員の任期がないといった特徴も重要でしょう。
法人格を選ぶ際のポイント
株式投資で法人設立をする際には、基本的には合同会社の方が良いでしょう。
株式投資を目的とするならば、社会的信用はあまり必要なく、設立費用が安い合同会社の方がメリットが大きいからです。
合同会社は決算公告を出す必要がなく、役員の任期もないため、これらの手続きにかかる費用を節約できる点もメリットといえます。
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株式投資で法人化するときの流れ
株式投資で法人化する際の流れを紹介します。
法人格を決める
株式投資のために法人を設立するならば、法人格を決めなければいけません。
株式会社と合同会社のどちらにするべきかを慎重に決めましょう。
法人格の種類によって、手続きも異なる点があります。
定款の作成や資本金の払込を行う
法人を設立する際には定款を作成しなければいけません。
定款には法人の基本事項や特に定めておきたいルールを記載しておきます。
特に合同会社の場合は、議決権割合や利益配当などについて定款に記載しておくと良いでしょう。
また、株式会社の場合は定款を作成した後に定款の認証という手続きが発生します。
公証役場で公証人に定款をチェックしてもらう必要があるのです。
他には、資本金の払込みという手続きが発生します。
資本金は株式会社でも合同会社でも最低1円から設立可能です。
発起人の代表者の個人口座に資本金を入金しておき、法人を設立して法人口座を開設してから資本金を移します。
登記申請をする
登記申請書類などすべての書類を準備したならば、法務局に法人登記申請をしましょう。
登記申請をすると2週間程度で手続きが完了します。
ただし、提出書類に不備や誤りが見られる場合は補正を求められるため、手続きの完了が遅れる点に注意してください。
法人設立後の手続きを進める
法人を設立した後も必要な手続きがいくつかあります。
まず、市区町村役場と都道府県税事務所に法人設立届出書を提出しましょう。
社会保険の加入手続きも進めなければいけません。
他には、法人口座を開設することも忘れずに行いましょう。
株式投資で法人化する際の注意点
株式投資で法人化を目指す場合の注意点を紹介しましょう。
法人化のデメリットも理解しておく
法人化にはメリットだけではなくデメリットがあることも理解しておきましょう。
たとえば、法人を維持していくためには費用がかかります。
たとえ赤字だったとしても、法人住民税の均等割の部分で最低でも7万円程度の税金が発生するのです。
また、法人になると会計や税務のルールが個人よりも複雑になります。
そのため、個人よりも事務負担が大きくなるのです。
専門家に依頼するケースが多く、専門家への報酬を払うことになり費用負担が増します。
法人は一度設立すると簡単に解散できない点も注意しましょう。
解散するのにも多くの手続きが必要であり、費用もかかります。
法人設立にはこのようなリスクがあることも踏まえた上で設立するかどうか考えましょう。
個人の証券口座を法人に名義変更するのは難しい
個人で株式投資をしていて法人化する場合は、法人名義の証券口座が必要になります。
しかし、基本的に個人から法人への名義変更はできません。
この場合は、新しく法人口座を開設して、個人口座から法人口座へと財産を移す必要があります。
個人口座と法人口座は別々の存在として扱われており、個人口座から法人口座への名義変更を認めてくれないケースがほとんどです。
株式投資の資金を銀行融資で得るのは難しい
法人化をするメリットの1つは社会的な信用が高まり融資を得やすくなる点です。
ただし、銀行から融資を得られるのは通常の事業の場合のみと考えましょう。
株式投資のための資金を銀行が融資してくれるケースは基本的にありません。
通常の事業とは異なり株式投資というのはリスクがあるため、日本では株式投資の資金を貸すケースは少ないのです。
創業融資という制度があるのですが、こちらも株式投資は対象に含まれていません。
あくまでも通常の事業のための資金を得るための制度なのです。
法人化のことは専門家に相談しよう
株式投資で法人化を考えているならば、専門家に相談することをおすすめします。
法人化の際には注意すべき点がたくさんあるからです。
必ずしも法人化のメリットが大きいとは限りません。
それぞれの状況や考え方によって法人設立が良い選択にも悪い選択にもなります。
専門家に相談しておくと判断材料を与えてくれます。
実際に法人設立をする際には専門家に手続きを代行してもらうことも可能です。
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株式投資をしていて税金の負担の大きさや相続のことが気になるならば法人化を検討しましょう。
法人化によってさまざまなメリットを得られます。
ただし、法人化にはリスクが伴うため、その点が気になるならば専門家に相談した方が良いです。
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