合同会社とはどのような会社なのでしょうか?
会社と聞くと「株式会社」や「有限会社」を思い浮かべる人が多いイメージですが、合同会社とは、それらよりも新しくできた会社形態です。
それぞれの会社形態には特徴がありますが、合同会社とはどのような特徴を持ち、メリットやデメリットは何なのでしょうか?
会社設立を考えている人にとって、合同会社とはどのようなものなのか理解するのは、大いに役に立ち必須な事柄です。
今回は合同会社とは何なのかご理解いただき、会社を設立する際の選択肢にしていただければと存じます。
必ず会社は株式会社ではなくてはならない、ということではないことをご理解いただけるはずです。
合同会社とはどのような会社?
合同会社とは「会社法」で規定される、比較的新しい会社形態です。
合同会社とは2006年の改正会社法の際に、これまで規定されていた有限会社制度が廃止されるのと同時に規定されたものです。
合同会社とはアメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルとした作られたもので、現地では株式会社と同じくらいの数のLLCが設立されています。
合同会社とはどのくらい設立されている?
合同会社は2019年のデータによると、下記の設立件数があります。
会社形態 | 会社設立数(単位:社) | 割合 |
---|---|---|
株式会社 | 87,871 | 74.13% |
合名会社 | 48 | 0.04% |
合資会社 | 47 | 0.04% |
合同会社 | 30,566 | 25.79% |
新規設立された会社の4分の1、25%が合同会社になります。
合同会社とは決してマイナーなものではないことが分かります。
合名会社や合資会社は円グラフに出てこないレベルの、ほとんど設立されていない会社だということがわかります。
ちなみに、合同会社の設立件数や設立割合は以下のように年々増加しています。
合同会社設立数 | 法人設立総数 | 合同会社の割合 | |
---|---|---|---|
2019年 | 30,566 | 118,532 | 25.8% |
2018年 | 29,076 | 116,208 | 25.0% |
2017年 | 27,270 | 118,811 | 23.0% |
2016年 | 23,787 | 114,343 | 20.8% |
2015年 | 22,223 | 111,238 | 20.0% |
年々、合同会社の設立件数、設立割合ともに増加しているので、「合同会社とはどういう会社なのか」、社会に周知され、そのメリットが共有されつつあると言ってもいいでしょう。
合同会社とは決して珍しい存在ではないのです。
合同会社の特徴、内部構成~「代表取締役」がいない!
では合同会社とおなじみの株式会社と違う点はあるのでしょうか?
違う点がなければ株式会社でもよさそうです。
実は合同会社とはこれまでの株式会社と異なる点が多々あります。
合同会社の特徴は以下になります。
合同会社とは所有と経営が分離されていない
株式会社では、「所有と経営の分離」が徹底されています。
つまり、会社を設立し、運営する資本金を出資する「株主」と、実際に経営を行う「取締役」は切り離されています。
もちろん、株主が経営する場合もありますが、株式の過半数を保有して、経営に参画しない株主もいます。
株主総会で権利を行使できますが、出資者である株主と経営を執り行う取締役の役割は切り離されており、(株主と取締役が兼任するケースもあります)、これを「所有と経営の分離」といいます。
一方、合同会社は株式会社とは大きく異なります。
合同会社とは「出資者=会社の経営者」を意味します株式を発行するのではなく、経営に参画する社員から出資金を募り、それを経営のための資金に充てます。
合同会社とは出資者=社員である
合同会社に出資者した人は、株主会社でいう「役員」にあたります。
彼らは「役員」でも「取締役」でもなく「社員」と呼びます。
一般的なイメージの社員は雇用されている従業員のことですが、これは株式会社や有限会社の場合であり、合同会社では、経営している人のことを社員と呼びます。
このイメージと実際のギャップが大きいのです。
合同会社とは出資者=役員=社員であることに注意してください。
合同会社とは役職が株式会社と微妙に異なる。
経営者=社員であることは理解していただけてはずです。
合同会社には「代表社員」「業務執行社員」「社員」というくくりがあります。
合同会社の役職について表を作成しました。
|
代表社員 |
業務執行社員 |
社員 |
株式会社の場合 |
代表取締役 |
取締役 |
株主 |
業務執行の権利 |
なし |
あり |
なし |
会社の代表権 |
あり |
なし |
なし |
登記 |
必要 |
必要 |
不要 |
会社の事業や財務状況の確認、把握 |
可能 |
可能 |
可能 |
合同会社とは、株式会社における「代表取締役」が「代表社員」であり、「取締役」が「業務執行社員」に相当すると憶えていただくとわかりやすいです。
一般の「社員」も株式会社ではまず不可能な会社の事業全般や財務状況へのアクセスが可能です。
つまり、代表社員、業務執行社員、社員のみんなで会社の経営を担っていくことになります。
株式会社のように、社員(従業員)は、役員の指示通り盲目的に動くだけ、ということではありません。
合同会社とは出資した社員全員で会社を盛り立てていくことが目的の、新しいスタイルの会社だと言えるでしょう。
合同会社と株式会社の比較
その他、合同会社の機能、権限について、株式会社と比較しました。
双方の違いが一目瞭然であり、合同会社とはどういうものなのかご理解いただけるはずです。
合同会社とは株式会社と機能面でこれだけ違う!
まず、合同会社とは株式会社と機能面でこれだけ違うということを比較表にしました。
上で書いたことも一部含まれています。
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
代表者の名称 | 『代表社員』 | 『代表取締役』 |
資本金 | 1円以上 | 1円以上 |
出資者と経営者 | 同じ | 異なる |
重要事項の決定 | 社員全員の同意 | 株主総会の議決 |
意思決定方法 | 社員の過半数の同意が必要(経営者は『社員』) | 取締役の議決(経営者は『取締役』) |
最高意思決定機関 | 社員総会 | 株主総会 |
業務執行者 | 業務執行社員あるいは社員全員 | 取締役 |
責任の範囲 | 有限責任 | 有限責任 |
役員の任期 | なし | 2年ごとに更新(最大10年) |
定款の認証 | 必要なし | 必要 |
決算公告 | 不要 | 毎年必要 |
出資者への利益分配 | 社員間の合意で自由に配分 | 株式の保保有割合に応じて配分 |
株式の譲渡 | 社員全員の同意が必要 | 自由 |
社会的な認知度 | 低い | 高い |
株式の公開 | できない(「株主」がいない) | できる |
合同会社とは、株式会社と異なり「みんなで話し合って決める」ことが主軸となっています。
ある意味日本的ともいえますが、以前存在した有限会社のように家族経営や少人数経営で、事業拡張や株式上場を希望しないのであれば、合同会社を設立するのは有力な選択肢になります。
社員間の合意があれば、株主総会を経ずにいろいろ進むので、機動的な機関決定、意思決定にも有効です。
あとは、社会的認知度が低い部分など、デメリットについてどう考えるかだといえます。
それについては後述します。
合同会社とは株式会社と設立費用面でこれだけ違う!
機能面だけではなく、株式会社と大きく異なるのが設立にかかる費用です。
こちらも表にさせていただきました。
|
合同会社 |
株式会社 |
会社設立にかかる費用 |
||
定款印紙代 |
紙の定款:4万円 |
紙の定款:4万円 |
定款認証代 |
0円(認証手続きそのものが認証不要) |
5万円 |
謄本代 |
なし |
2,000円 |
登録免許税 |
最低6万円 |
最低15万円 |
資本金 |
最低1円 |
最低1円 |
|
|
|
合計 |
最低6万円+資本金 |
最低20万2千円+資本金 |
支払う税金 |
||
同じもの |
||
法人税 |
税率は共通 |
|
法人住民税 |
税率は共通 |
|
法人事業税 |
税率は共通 |
|
消費税 |
税率は共通 |
|
違うもの |
||
登録免許税 |
6万円 |
15万円 |
合同会社とは株式会社と比較して、設立費用を半分以下にできます。
会社設立時、開業時の資金はとても重要であり、会社経営を行う上で、合同会社でも問題ないのであれば、初期費用が少なくて済むのでおすすめです。
合同会社のメリットとデメリット
合同会社とは株主総会を経ずにいろいろ機動的に決定できたり、設立費用が株式会社と比較して安かったりメリットも多いのですが、デメリットもあります。
合同会社とはどういうものか理解するうえで、メリットデメリットも押さえておいてください。
合同会社のメリット |
合同会社のデメリット |
設立費用が安い |
社会的信用度が株式会社と比較して落ちる |
役員の任期がなく長期的に経営が可能 |
上場できない。株式発行による資金調達ができない |
株主総会での議決が不要で迅速な意思決定が可能 |
社員間の関係が悪くなってしまうと何も決められなくなってしまう |
悪意を持った株主の経営への介入がない |
|
経営が比較的自由である |
|
決算公告の義務がない |
|
総合的にみるとメリットの方が多く、合同会社とは新しい会社形態として、大いに検討に値すると言えるでしょう。
今は少なくなりましたが「総会屋」のような存在は、そもそも気心が知れた仲間や家族で設立する合同会社には遭遇するリスクがありません。決算公告の義務もないので、その分の手間も省けます。
金融機関からの融資の場合、合同会社だから不利になることは基本的にありません。
しかし、一般消費者や取引先は「合同会社とは何?」「株式会社ではない=信用できない、怪しい」というイメージを持つ人がいます。
その払しょくにはもう少々時間がかかりますが、上述のように、合同会社の新規設立は25%まで来ました。
そう遠くないうちに、株式会社に迫ってくることが予想され、合同会社とは?にはならず、合同会社も当たり前になってくるはずです。
合同会社とはどのようなものか深く知りたい場合「経営サポートプラスアルファ」にご相談ください
以上、合同会社について説明しました。
合同会社とはどういうものなのか、ざっくり理解していただけたはずです。
年々新規設立数も増え、割合も株式会社を追っている合同会社ですが、まだまだ世間的には知られていない部分があることも否めません。
メリット、デメリットを把握し、ご自身の判断で設立するのは悪くない選択ですが、可能ならば専門家のアドバイスを聞いていただくのをおすすめします。
場合によっては株式会社のほうがいいこともありますし、個人事業主として開業し、その後合同会社を目指すという方法が有効なこともあります。
合同会社とはどういうものかさらに理解を深めていただくためにも、ぜひ、会社設立や各会社形態に詳しい専門家の意見を聞いてください。
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