会社設立をする場合、期間と費用において株式会社よりも合同会社の方がメリットが大きいケースもあり、特に設立までの期間を短縮したい場合、合同会社を選択するほうが良いケースがあります。
今回は 合同会社というものについて多角的に解説していきます。
株式会社と合同会社の設立期間の違い
まず、株式会社と合同会社の設立までにかかる期間について、違いを見ていくことにします。
短期に会社を設立したい場合、株式会社ではなく合同会社にすべきだということが分かります。
株式会社の設立の標準的な期間
株式会社の標準的な設立までの期間は約3週間程度と言われています。
なぜ3週間という比較的長い時間がかかるのでしょうか?
それを理解していただくため、株式会社設立までの流れを簡単に追っていきましょう。
法人の名称(商号)を決める
「株式会社○○」「◎◎商事株式会社」などの会社名(商号)を決めます。
個人事業主と違い、会社を立ち上げる場合は商号の制定が不可欠です。
個性的で、かつ他社と被らず、長く愛される商号を考えます。
事業目的の策定
その会社でどのような事業を行うのか、定款に記載する事業目的を考えます。
設立当初から行わなくても招待着手したい事業についても、ここで考えておきます。
本店所在地の決定
株式会社の本店住所を決定します。
実際に本店として借りている、所有している物件でなくても、自宅や家族の家を本店とすることもできます。
事業が回りはじめ、新しく事務所を構えることになれば、後日、そちらに移転登記をすることもできます。
まず、どこかを本店と決めましょう。
資本金額を決める
会社法の改正で、資本金の額は1円でもOKになりました。
もちろん、資本金1円で事業ができる会社は限られますが、とりあえず自己資金が用意できなくても会社設立についてできるようになりました。
その後増資していくこともできます。
出資者(株主)を募る
株式会社は株式を発行して資金を調達します。
会社設立にあたって、誰に出資してもらうのか、実際の出資も含めて募る必要があります。
役員の人数と構成
会社設立にあたって役員を選任します。
設立する代表者1名だけでも役員は大丈夫ですが、他にも役員を選任する場合、彼らの承諾を得ておく必要があります。
役員の人数によってその後の会社組織の在り方が変わります。
したがって、あらかじめ誰が役員になるのか、その人は本当に信用できる人なのかじっくり考えてください。
定款を作成する
以上が法人にとっての「重要事項」であり、それら法人の重要事項を定めたら、会社の「憲法」である定款を作成していきます。
定款の内容についてはここでは詳述しませんが、「絶対的記載事項」と呼ばれる事柄は必ず定款に記す必要があります。
絶対的記載事項とは下記のような事柄です。
- 商号
- 目的
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(資本金の金額)
- 本店所在地
- 発起人の氏名及び住所
- 発行可能株式総数
これらの記載が定款にないと、不備であり会社設立届が受理されません。
その前段階の定款認証で指摘されるはずですので、確実に記載をお願いします。
定款の認証
作成した定款は、そのまま会社設立届に添付できません。
公証役場で公的な保証を得て、認証を受ける必要があります。
定款の認証を受ける場合、作成した定款以外にも、収入印紙(手数料)、発起人の印鑑証明書と実印、本人確認書類などが必要になります。
定款の認証は、書類に瑕疵がなければ30分~1時間程度で終了します。
なお、実際に定款をプリントして持ち込まず、電子認証というオンラインで定款を認証する制度もあります。
この場合、認証までの期間が数日かかることがあり、1時間など即日で認証が下りない可能性があります。
資本金の振込
定款が認証されたら、発起人個人名義の銀行口座に資本金を振り込みます。
銀行口座に確かに資本金が払い込まれたことを「払込証明書」という書類を作成して証明します。
1円会社の場合はこの金額が「1円」になります。
法務局で会社設立登記
定款、払込証明書などを持って法務局へ行き、株式会社設立の登記申請を行います。
これが受理されてようやく会社を立ち上げることができます。
全部事前に準備していれば、期間3週間というのは短縮できますが、発起人1人で行おうとするとどうしても時間がかかってしまいます。
その辺りをどう考えるかが重要になります。
合同会社の設立の標準的な期間
合同会社の標準的な設立までの期間は約2週間程度と言われています。
基本的な会社設立までの流れは
- 絶対的記載事項、重要事項の策定(商号、目的、資本金、取締役、発起人、本店所在地)
- 定款の作成
- 資本金の振込
- 法務局で設立の登記申請
とほぼ株式会社と同じです。
それではなぜ合同会社のほうが設立までの期間が短いのでしょうか?
合同会社は株式会社より設立の期間が早い
合同会社のほうが設立期間が短くて済む理由は 「定款を公証役場で認証、あるいは電子認証の必要がない、行わなくてよい」 ということです。
定款の作成は必要ですが、それを公的機関に見せて、認証する必要がありません。
つまり、この過程をショートカットできるため、合同会社の方が、設立期間が短いのです。
公証役場での認証は1日で済むかもしれませんが、不備があれば突き返されます。
また、公証役場に行く時間を確保するのは意外に大変です。
各自治体に公証役場はなく、各都道府県数か所しかありません。
遠方の人はそれだけで1日かかりますし、その時間をすぐに確保できないかもしれません。
電子認証の場合は数日かかることがあり、この場合も時間をロスしてしまいます。
合同会社にかかる費用は?
合同会社を設立する際の費用はどのくらいかかるのでしょうか?
資本金次第になりますが、事務手数料という意味では株式会社と明確な違いがあります。
合同会社は株式会社より設立費用が安い
合同会社と株式会社の設立までにかかる費用を表にまとめました。
|
株式会社 |
合同会社 |
公証人手数料 |
50,000円 |
0円 |
定款印紙代 |
40,000円(公証役場で紙の手続きの場合) |
40,000円(公証役場で紙の手続きの場合) |
登録免許税 |
150,000円 |
60,000円 |
定款謄本代 |
2,000円 |
2,000円 |
会社の実印等 |
約20,000円 |
約20,000円 |
資本金 |
1円以上 |
1円以上 |
合計 |
約260,000円+資本金 |
約120,000円+資本金 |
表を見ていただくと分かりますが、公証人への手数料が合同会社ではかからないこと、登録免許税という税金が株式会社に比べて合同会社は安いことから、合同会社の設立にかかる費用は株式会社のそれと比較して半額以下で済みます。
設立期間も短く、設立費用も安く済むので、株式会社ではなく合同会社を設立することに意味があります。
もちろん、対外的には株式会社の方が信頼されやすい、株式を発行し資金調達しやすいなど、株式会社にした方がいいメリットもありますのでよく比較検討してください。
とにかく早い期間をお求めなら合同会社
少なくとも、公証役場での定款認証過程が合同会社では不要なので、他の項目がすべて株式会社と同じであれば、合同会社の方が設立までにかかる期間は絶対的に短くなります。
とにかく早い設立を求める場合、株式会社ではなく合同会社を選択することになります。
もちろん、株式会社の方がメリットがある部分もあり、スピードだけで決めてよいかはみなさんの判断となります。
合同会社の設立には定款の認証は不要
合同会社の設立期間を短くできるのは、定款の認証が不要であるからです。
しかし、不要なのは定款の認証だけであり、定款そのものは作成する必要があります。
しかも定款は設立登記時に届出をして、その後は、株主や債権者等範囲は限定されますが、閲覧することが可能です。
そこで定款に瑕疵やミスがあることが分かれば問題となってしまいます。
公証役場での定款認証は必要ないものの、しっかりした定款を作成するのは、会社の設立者としての義務であることを忘れないようにしてください。
合同会社と株式会社の違いまとめ
合同会社と株式会社について、以上述べたことをまとめて表にしました。
参考にしていただければありがたいです。
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
設立まで | 約2週間 | 約3週間 |
定款の作成 | 必要 | 必要 |
定款の認証 | 不要 | 必要 |
設立登記 | 必要 | 必要 |
資本金 | 1円以上 | 1円以上 |
設立時の費用 | 120,000円+資本金 | 260,000円+資本金 |
とにかく期間を短く合同会社を設立したいなら
合同会社は株式会社と比較して、定款の認証過程を省略できるので、短期間で設立が可能です。
とはいえ、数日で設立までこぎつけるのはなかなか大変で、専門家のアドバイスや設立代行サービスを受けた方が確実に短期間の設立が可能です。
経営サポートプラスアルファでは、経験豊富な専門家がみなさんの合同会社設立をサポート、代行いたします。
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