ゴーストレストランとは?
ゴーストレストランとは、ニューヨーク発祥の業態でイートインスペースを持たないデリバリー専門のレストランです。
バーチャルレストランとも呼ばれています。
注文は電話もしくはネットでのみ承り、UberEatsのようなデリバリーサービスにデリバリーは任せています。
これまでのレストランは、開業するためにある程度の客席を置ける広さの店舗、そして調理部門とサービス部門でそれぞれ従業員を雇わなければならず、開業するには1,000万円以上の開業資金がかかります。
さらに開業前に求人募集をして、営業後も人件費の負担がかかります。
ゴーストレストランでは、広い店舗も不要、従業員も調理ができる最低人数で開業できるので、初期費用やこれまで負担だった人件費を抑えてレストランを開業することができます。
ゴーストレストランは今後も市場拡大が見込まれている!
コロナ前の2016年にはフードデリバリー市場は3,770億円でしたが、2021年には7,909億円とこの5年間で約2倍へと急成長を遂げています。(※エヌピーディー・ジャパン調べ)
デリバリー可能なエリアもまだまだ拡大が見込まれることから、デリバリー業界は今後も伸び続けるとされています。
飲食店を開業したいオーナーが続々とゴーストレストランで開業する、というパターンがこれからも増えていくでしょう。
ゴーストレストランを開業するステップ
ここでは、ゴーストレストランを開業するためのステップについて解説します。
ゴーストレストランは物件探しや内装工事などが必要ないので、開業を決めてから2~6ヵ月と短期間で開業できるのもメリットの1つです。
1. 「食品衛生責任者」の資格を取得する
ゴーストレストランで開業してみたいと思ったら、まずは「食品衛生責任者」の資格を取りましょう。
飲食店や食品製造をおこなう場合、必ずその施設に1名以上食品衛生管理者を置くことが義務付けられています。
食品衛生責任者は厚生省が管轄する国家資格で、講習会を受講すると取得できます。
講習会は各自治体や食品衛生協会がおこなっており、事前に申し込みが必要です。
人気の資格なので、講習が数か月先まで埋まっていることがよくあるので早めに申し込むことをおすすめします。
食品衛生責任者は、1度取得すれば無期限で更新などもありません。
ゴーストレストランの開業間近になると忙しくなり講習を受ける余裕がなくなってしまうので、開業を決意した段階でまず資格を取得しておくと安心です。
2. シェアキッチンなど調理場を確保する
ゴーストレストランは、店舗物件を探す必要はありません。
その代わりにシェアキッチンや既存のレストランのキッチンを探して契約をおこないます。
ゴーストレストランは、シェアキッチンをレンタルすることによって厨房設備を一から揃える必要がなくなり、初期コストをかなり抑えることができます。
ただ、その分毎月の利用料を支払うことになるので複数のシェアキッチンの料金をしっかりと比較して決めることをおすすめします。
- シェアキッチンを借りる場合
シェアキッチンとは、ゴーストレストランのようなデリバリー専用の飲食店が複数で共同利用できるキッチンです。
デリバリーで利用するには、必ず飲食店の営業許可が下りているシェアキッチンを選びましょう。
いいシェアキッチンが見つかったら、まずは内覧をしてどのような設備があるのか、広さはどのくらいかなどをチェックします。
その後、面談で利用規約や利用方法の説明を受けて契約手続きをおこないます。
- 既存のレストランのキッチンを間借りする場合
ランチだけ開業している、夜だけ開業しているレストランが、使用しない時間帯でレストランのキッチンを貸し出していることがあります。
間借りキッチンのマッチングサイトなども増えており、以前と比べると間借りキッチンも探しやすくなっています。
そのレストランのオーナーとの契約になるため、まずオーナーと信頼関係を結ぶことが大切です。
また、後の金銭トラブルを避けるためにも契約書はしっかりと確認しましょう。
3. 飲食店の営業許可を申請する
調理場を確保したら、管轄の保健所に飲食店の営業許可を申請します。
営業許可の申請時に、衛生管理責任者の申請も一緒におこないます。
申請後、保健所の立ち入り検査があり、基準を満たしているかチェックが入ります。
基準を満たしていれば立ち入り検査の2~3週間後に営業許可が下ります。
4. デリバリー代行サービスに登録する
営業許可が下りたらUberEatsのようなデリバリー代行サービスに登録が必要です。
登録には審査があり、数日かかることもあります。
各デリバリーによっては営業日数や1日の営業時間、メニュー数などに基準を設けているところもあるので気を付けましょう。
店舗の位置から配達可能なデリバリー代行サービスを調べて、複数のデリバリーサービスに登録申請を出します。
ゴーストレストランの開業資金について
ゴーストレストランの開業資金は、平均300万円ほどです。
店舗を持つ飲食店の開業費用の平均が1,000万円前後なので、ゴーストレストランなら1/3以下で飲食店を開業することができます。
ここでは、ゴーストレストランの開業資金について項目ごとに詳しく説明していきます。
資格取得のための資金 10,000円前後
食品衛生責任者の講習を受講するために、受講料が10,000円前後かかります。
受講料は地域によって変わってくるので、各自治体、各地域の食品衛生協会に確認しましょう。
シェアキッチンに支払う初期費用 50万円~300万円
シェアキッチンを利用するためには、シェアキッチンのオーナーに登録料や保険料などの初期費用を支払います。
初期費用が安い分毎月の支払料が高いなどあるため、必ず複数のシェアキッチンで比較検討をしましょう。
また必ず内覧に行って決めましょう。
飲食店営業許可の申請費用 20,000円前後
飲食店の営業許可を取得する手数料は地域によって異なり、だいたい15,000~20,000円ほどかかります。
また営業許可は有効期限があり期限が来たら更新しなければいけません。
更新の際にも費用がかかるので忘れないようにしましょう。
デリバリー代行サービスへの登録料 1事業所ごと0~50,000円
デリバリー代行サービスに登録する際に登録料を支払います。
登録料にはタブレット端末等のレンタル料やメニューに掲載する写真撮影料が含まれている場合もあります。
また、登録料無料のキャンペーンをおこなっていることもあります。
登録する際には、必ず複数のデリバリー代行サービスに登録しましょう。
複数のデリバリー代行サービスに登録した方が、より多くの人に見てもらえて注文も多く受け取ることができます。
デリバリーの容器などの備品費用 5万円前後
ゴーストレストランで必ず用意しなければいけないのが、デリバリー用の容器です。
配達時にこぼれてしまうとリピートがほぼのぞめなくなってしまいます。
こぼれにくく耐水性、耐油性に特化しているものを選びましょう。
また、デリバリーの容器にもこだわることが大切です。
透明カップタイプで彩りよく見せる、再生可能なエコに配慮した容器を使うなど、少しの工夫でリピート率をアップすることができます。
ホームページ作成費用 5万~30万円
ゴーストレストランは、UberEatsや出前館などのデリバリー代行サービスのサイトで利用されることがほとんどです。
利用するお客様は、デリバリー代行サービスのサイトでそのお店を見つけた後に、そのお店がどんなお店なのか、評判や詳細をインターネットで検索します。
そのため、ゴーストレストランといえども自分のお店のホームページを作成しておくことが必須です。
メニューの詳細、さまざまな角度からの写真、使っている食材のこだわりなど、デリバリーサービスのサイトでは載せられない自店舗の魅力を伝える場所となります。
ゴーストレストランを成功させるポイント3つ
デリバリー代行サービスへの手数料を考慮して価格設定をする
ゴーストレストランの場合、デリバリーを代行サービスに依頼する代わりにデリバリー代行サービスへ毎月手数料を支払います。
販売価格を安くした方が注文が入ると思いがちですが、ゴーストレストランの場合には、手数料を考慮した販売価格の設定が必要です。
【大手デリバリーサービスの手数料】
UberEats | 売上金の35% |
出前館 | ・サービス利用料 売上金の10% ・配達代行手数料 売上金の25% |
menu | 売上金の34% |
wolt | 売上金の30% |
SNSを活用する
ゴーストレストランの場合、実際にお客様とコミュニケ―ションを取ったり、宣伝したりする場所は限られています。
そのためSNSを活用することがとても大切です。
商品メニューの写真を載せたり、プレゼント企画をおこなって口コミを集める、利用してくれたお客様のツイートをリツイートするなど、お店の宣伝にうまく利用しましょう。
配達地域の住民の需要をしっかり把握する
ゴーストレストランでは、独自性のあるメニューを出すことも大切ですが、それ以上に大切なのは、配達地域の住民の年齢層や家族構成などを調査して、それに合わせたメニュー展開をすることです。
年齢層が高い地域で若者向けのメニューを展開しても注文が伸びることは期待できないでしょう。
逆に都心など若者が多い場所では、流行を取り入れたメニューが必要です。
場所によってどんなメニューにするのか調査してから決めましょう。
まとめ 低コストで飲食店の開業をしたい人にはゴーストレストランがおすすめ!
ゴーストレストランは、開業資金も低価格で開業までの日数も店舗があるレストランと比べて短期間で開業ができます。
レストランの開業をしたいけれど資金不足など不安がある方には、まずゴーストレストランでの開業を検討してみることをおすすめします。
ゴーストレストランで認知度を上げてから実際の店舗を出すなど、ゴーストレストランを実際の飲食店を出すステップアップとして利用することもできるからです。
飲食店の開業資金など、開業に関する悩みはぜひ弊社へお気軽にご相談ください。