通信工事業って何?今後の業界見通しや独立開業のメリット、デメリットについて解説

テレワークなどの推進もあり、個人あるいは団体の電気通信需要は年々増加しています。

これまで、特に通信回線についてまったくなにもしておらず、スマホやガラケーの4G回線のみだったお年寄りの家庭も、本格的にLINEやZoomによる遠隔地との通信を行う機会も増えてきました。

しかし、自分たちではその設定もできず、できる工事屋さんにお願いするしかありません。

通信工事を請け負う職人さんは、こうした電気通信需要や通信回線の増設などによって、そのニーズが高まっています。

通信工事を生業として独立するのは、この状況にある現在が大きなチャンスといえるでしょう。

今回は通信工事の独立について、その流れなどを説明していきます。

腕に覚えのある方は、ぜひこの機会に通信工事の職人として独立を考えてみてください。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

通信工事の仕事とは?

「通信工事」と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか?

かつての通信は電話回線や無線などをイメージしましたが、今はWi-Fiなどのネット回線をイメージする方が多いはずです。

通信工事は「電気通信工事」と言い換えてもよく、実際の仕事は通信に加えて電気関係も行うことがあります。

具体的な通信工事としては

  • 電話回線や光回線などの通信回線の整備
  • Wi-Fiルーターや家庭内ネット回線の整備
  • インターホンの工事
  • 屋内防犯カメラの設置社の内線の設置
  • 電信柱のメンテナンスやケーブルの設置
  • イベントなどでのスピーカーやアンプなど音を出す装置の設営

などです。

室内で簡単にできそうなものから、高所で危険な仕事も含まれます。

家庭の通信設備の工事は比較的参入障壁が低いですが、工事の技術だけではなくパソコンや通信回線の知識も必要になります。

一方、電柱工事の場合、感電や転落リスクもあるため、やりたい人は少ないですが、しっかり技術をマスターすれば、通信工事として独立した際、さまざまな顧客をつかむことができます。

ある通信工事(筆者がかつて仕事でかかわった方)の仕事メニューは以下のようになっていて、一般的な「通信工事」以外にも幅広く請け負っています。

実際、仕事の依頼が多いのは1、3番目の設備工事(3は通信工事とは離れた分野)だったそうです。

<通信工事1>
パソコンレスキュー 

<通信工事2>
コンピュータ製作販売 
サーバー設置
ネットワーク構築(LAN) 
データベース製作 
メンテナンス 

<通信工事以外の工事>
給排水設備・工事 
水処理装置の製作 
ミクロンセパレーター(水処理装置)の設置工事
ビールの樽栓・装置

実際に多いのは、通信工事ではなくパソコンのレスキュー、次いで通信工事以外の工事で、我々がイメージする通信工事は3番目、よほどしっかりした技術がないと、通信工事だけで独立しても、業績が頭打ちになってしまう可能性があります。

通信工事は幅広く、場合によってはその他の工事も独立後請け負えるようにしておくのがよいでしょう。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

通信工事で独立する際に取得しておきたい資格

通信工事で独立する際、取得しておきたい資格をまとめました。

電気通信工事担任者

電気通信工事担当者は、インターネットや電話回線などの通信事業における光回線などの新設、設置やメンテナンスなどを行う仕事に必要な資格です。

光ファイバーや光回線などインターネットの「固定回線」を自宅や会社に引くための有線でのインターネット接続などには欠かせない工事を行います。

Wi-Fi接続が一般的になりましたが、まだまだ有線接続の優位性はあります。

個人で仕事を請け負うだけでなく、NTTなどの通信事業者から依頼されることもあり、下請けとして、仕事量は安定しており、収入も一定規模を維持できます。

電気工事士

とても汎用性が高い資格です。

電気工事士は、戸建住宅・集合住宅(マンション、アパート)・工場・事業所・公共施設・商業施設などさまざまな建物に、電気工事やメンテナンスを行うことができる資格です。

電気を通すための配線だけでなく、LANケーブルや内線など、通信に関するケーブルの設置、配線もできます。

独立して「一人親方」として電気工事士をやっている方も多く、十分独立後食べていくことができる資格になります。

第1種電気工事士と第2種電気工事士があり、学歴や実務経験は不問です。

最初から上位級である第1種から受験することもできます。

電気通信主任技術者

電気通信主任技術者は、電気通信ネットワークの工事や管理などを行うことができる資格です。

電気通信会社の主任技術者としても働くことができますし、独立して、維持管理や運用を請け負うこともできます。

電気通信主任技術者は大きく以下の2つの専門に分かれています。

伝送交換主任技術者伝送交換設備における工事、維持、運用にかかわる
線路主任技術者電気通信事業の線路に関する、工事、維持、運用にかかわる

特に通信工事として独立してやっていくには、2番目の「線路主任技術者」を優先させてください。

この場合の「線路」は電車の線路ではなく、有線通信のおける電線類のことです。

電信柱の電線や海底ケーブルなども該当します。

冒頭で述べた、電線工事を請け負う場合、この資格が必要になります。

電気通信工事施工管理技士

平成31年にできた新しい資格です。

一定規模の工事(後述)を行う際の建設業許可の取得に必要な条件となる資格です。

電気通信工事施工管理技士を「専任技術者」として配置すれば、建設業許可の条件の1つを満たします。

独立後、建設業許可を得て、仕事を受けたい場合、電気通信工事施工管理技士を取得しておくと楽になります。

この資格は工程管理、品質管理、安全管理など施工管理業務全般が射程に入るので、通信工事の管理者としてのスキルを涵養するのに役立ちます。

陸上無線技術士・陸上特殊無線技士

陸上無線技術士・陸上特殊無線技士は携帯電話やスマホの無線回線の工事を行える資格になります。

携帯の基地局の電気工事や管理業務も行うことができます。

もちろん、各家庭のWi-Fi設定などはこの資格があれば問題なく請け負うことができます。

旧来の通信工事である、テレビやラジオなどの設定や電波塔などの仕事もこの資格があるとかかわれるようになります。

このように、通信工事といっても幅広い内容を網羅する資格があり、少しでも仕事を多く受注しようと思えば、これらも資格を計画立てて取得するのがよいでしょう。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

通信工事独立に建設業許可は必要か?

通信工事も「工事」であり、建設業の1つになります。

建設業となると建設業許可は必要なのでしょうか?

実は、1人で行う分には建設業許可は必要ない可能性が高いです。

通信工事で建設業許可が不要な場合

建設業許可は、以下の基準を満たさない工事のみを請け負う場合不要です。

建築一式工事

次のどちらかに当てはまる工事の場合建設業許可が必要

①1件の請負代金が1,500万円超の工事(消費税込み)
②延べ面積が150㎡超の木造住宅工事

建築一式工事以外

1件の請負代金が500万円超の工事(消費税込み)

家庭や1企業の通信工事を請け負うならば、1件当たり500万円を超えることはまずないでしょう。

特に「一人親方」的に独立するならば、建設業許可については不要、とまでは言いませんが、優先順位は低いです。

もちろん、建設業許可があった方が相手に信頼されやすいということはありますが。

絶対ではなく、それよりもしっかり仕事をこなして、口コミ等を広げた方が効果的です。

通信工事で建設業許可が必要な場合

上記、1件当たり500万円を超える仕事を請け負う場合、必然的に建設業許可が必要になります。

その場合、可能ならば、建設業許可のうち「電気工事」と「電気通信工事」の双方を取得すると、総合的な通信工事が可能になります。

建設業許可の申請の条件として下記を満たす必要があります。

条件

内容

経営業務の管理責任者

経営に携わる管理責任者の設置です。
個人事業主の場合は本人、法人の場合は役員(代表取締役)などを管理責任者とします。
 

専任技術者

実務経験3年~10年(学歴や大学の専攻によって異なる)を積んだ人。
または、1級施工管理士・2級施工管理士・1級建築士・2級建築士の有資格者

安定した財政基盤

貸借対照表の純資産の部合計額が500万円以上。新規会社設立の場合は資本金500万円以上。
個人事業主の場合は預金残高が500万円以上であること。

欠格事項に相当しない

暴力団構成員や彼らと関係ある人間、元犯罪者(禁固以上で執行後5年以内の人)、建設業で罰金刑を受けて5年以内の人、成年被後見人および被保佐人や破産手続き開始の決定を受けた人は建設業許可が下りません。

 

電気通信分野の「専任技術者」については、上述のように電気通信工事施工管理技士の資格があれば大丈夫です。

電気工事士の資格を持っていると、電気工事の分野の専任技術者の実務経験年数が少なくなる可能性があり、やはり取得するのがベターです。

建設業許可は、独立して通信工事を請け負う際に絶対に必要というわけではないですが、っ将来的に事業規模を拡大したい場合、許可を得ることを全体に、申請条件を徐々にクリアしていくことが求められます。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

通信工事として独立するメリットとデメリット

通信工事を独立して請け負う際のメリットとデメリットをまとめました。

通信工事を独立して請け負うメリット通信工事を独立して請け負うデメリット
テレワーク導入が増えていて需要が多い年収が頭打ち傾向
パソコントラブルは必ず発生する高所の通信工事を請け負う場合ケガのリスクがある
将来的に6G規格などまだまだ通信網は発展する 
参入障壁が低い 

家庭内の通信工事だけならば比較的参入障壁が低く、独立は容易です。

しかし、誰でもできる仕事の単価は低く、他の通信工事と差別化する意味でも、工事の幅を広げたり、高所の通信ケーブル工事を請け負ったりする必要が出てきます。

電気通信工事業の平均年収は約380万円で、日本人全体の平均年収約430万円よりもやや低めです。

独立開業すれば経費で落とせるものも出てくるので、上手に節税する工夫が必要になります。

高所の工事や電線工事は当然、落下や感電リスクもあるため、安全ではありません。

そのため、

一人親方労災保険組合」に可能ならば加入しておきましょう。

国の労災制度です。

労災は雇用契約のある従業員(社員)向けですが、仕事の性質上、国も考えていて、特例で独立した「一人親方」も加入できます。

通信工事も危険な分野の仕事をするならば加入できます(通信設備の保守、点検、修理、メンテナンス、検査のみの場合は加入不可)。

ケガの治療費無料、休業補償(1日4000円)、障害が残った場合の一時金、ご不幸があった場合の葬儀費用や遺族への年金支援などもあります。

通信工事の性質によっては(高所や電線を扱う)ぜひ加入をおすすめします。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

通信工事独立の際は法人がよいか個人事業主でよいか

通信工事業として独立する際は、法人化した方がいいのか、個人事業主でもいいのか、両者を比較してみましょう。

まず設立についての違いです。

 

法人化(会社形態)

個人事業主

開業方法の流れの違い

商号(社名)や事業目的、資本金、役員等を決める

開業届を税務署に提出する

定款を作成する

定款認証(合同会社は不要)

社印を作成する

資本金を振り込む

法務局へ行き会社設立登記の申請をする

設立登記後社会保険や年金の手続きをする

 

法人化すると非常に手続きが煩雑です。

個人事業主の場合、開業届を税務署に出して完了します。

通信工事として開業し、年間1000万円を超える売上になる場合、法人化のメリットがあります。

通信工事業として独立したとき法人化した場合と個人事業主の税金面の違い

 

法人化

個人事業主

所得税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%

事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45%

個人住民税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%

事業の売上から「事業所得」を算出してその約10%

消費税

課税売上1000万円以上の場合支払う

課税売上1000万円以上の場合支払う

法人税

かかる(15%~23.2%)

なし

法人住民税

かかる

なし

法人事業税

かかる

なし

個人事業税

なし

かかる

所得税は累進課税で5%から45%まで変動しますが、法人税は15%~23.2%で変動幅が小さいです。

売上1000万円前後で、所得税率>法人税率となります。

この場合、法人化した方が税金は安くなりメリットがあります。

逆に年間売上(≠年収)数百万円であれば、わざわざ会社設立する必要はありません。

法人の会計処理の方が難しく、税理士に依頼しなくてはならなくなるからです。

毎月数万円の税理士報酬も発生し、稼げなくなります。

法人と個人事業主の違いについて、組織の相違を下記の表にまとめました。

通信工事業として独立したとき法人化した場合と個人事業主の組織形態の違い

事業の主体

法人(株式会社、合同会社)

個人

資本金

1円以上

不要

出資者

1名以上

本人

責任

有限責任

無限責任

決算日

自由に決められる

12月31日固定

確定申告

事業年度末から2か月以内

翌年3月15日前後

代表者の所得

給与所得

事業所得

設立費用

最低60,000円

無料

印鑑作成

必要

個人の印鑑でOK

設立期間

・数日~最短即日も場合によっては可能
・登記完了までに2週間

即時即日

社会保険

強制加入

従業員4名位以下は任意加入

社会的信用

高い

あまりない

借入

比較的容易

結構大変

経費として認められる範囲

比較的広い

狭い

法人化したほうが社会的信用はありますが、ご自身の腕に自信があるなら口コミで挽回可能です。

会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

通信工事の分野で独立を考ええている方は「経営サポートプラスアルファ」に相談してください

通信工事の分野はまだまだ需要が大きくなることが予想されます。

独立開業するなら今がチャンスであり、必要な資格を取得しながら計画的に進めましょう。

独立のタイミングや法人化の有無、建設業許可についてなど、ご自身だけで判断せず経験豊富な専門家のアドバイスを聞くことをおすすめします。

「経営サポートプラスアルファ」には、通信分野にも明るく、建設業の独立開業にかかわった専門家が揃っています。

法人化や建設業許可申請代行も行うことができ、資金繰りについてもサポートします。

ぜひ一度「経営サポートプラスアルファ」に相談してください。

「経営サポートプラスアルファ」は土日祝日夜間も相談OKです。

遠隔地の方は、LINEやZoomにて対応できます。

一人で悩まず、プロフェッショナル集団である「経営サポートプラスアルファ」にぜひご相談ください。

LINEでの会社設立相談はこちらから
会社設立の代行費用0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
>会社設立バイブル

会社設立バイブル

家にいながらオンラインで簡単に会社設立!

外出自粛に完全対応します! コロナショックの今だからこそ、動いて準備するか、そのままでいるかで、きっと一年後に大きな差となります。 まずはお気軽にお問い合わせください。

CTR IMG